盗撮事件で逮捕されたら|逮捕の流れ・弁護活動の内容を解説

盗撮とは、公共の場所や個人の住居・建造物などにおいて、相手に気づかれることなく、相手が困惑するような映像を撮影する行為をいいます。

盗撮が発覚した場合、都道府県の迷惑防止条例などにより処罰されます。

この記事では、以下のような点について解説します。

  • 盗撮をした場合に成立しうる罪
  • 盗撮で逮捕されるケース・されないケース
  • 盗撮で逮捕された後の流れ
  • 刑事弁護の内容

「盗撮で在宅事件になった」「家族が逮捕された」という方は、今後の対策を考える上での参考にしてみてください

盗撮とは?成立しうる罪と罰則

盗撮とは、被写体に無断で、被写体の身体や下着などを撮影する行為をいいます。
正確に言えば、人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所又は不特定多数の人が利用し、もしくは出入りする場所又は乗り物において、人の通常衣服で隠されている下着または身体を、写真機等を利用して撮影し、または撮影する目的で写真機等を差し向け、もしくは設置することをいいます。

ここでは、盗撮をした際に成立しうる罪とその罰則について、以下の3パターンに分けてお伝えします。

  1. 公共の場で盗撮した場合
  2. 公共の場とは言えない場所で盗撮した場合
  3. 他人の敷地内に侵入して盗撮した場合

公共の場で盗撮した場合

駅構内や電車・バスの中など、公共の場で撮影した場合、都道府県の迷惑防止条例により処罰されます。

東京都、千葉県の場合、

・撮影機器等の設置や差し向ける行為については6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

・撮影した場合は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習犯は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。

千葉県、埼玉県の場合、撮影したか否かにかかわらず1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習犯は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)です。

公共の場とは言えない場所で盗撮した場合

かつては、個人の住宅やビルの中などの、公共の場とは言えない場所で撮影した場合、軽犯罪法や迷惑防止条例における覗き見の罪により処罰されるケースがありました。しかしながら、近年では迷惑防止条例の改正を受けて、「公共の場所」以外での盗撮行為についても迷惑防止条例違反により処罰されることになりました。

他人の敷地内に侵入して盗撮した場合

さらに、盗撮するために他人の住居やビルの中に立ち入った場合は、住居侵入罪・建造物侵入罪(刑法130条)により、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処されます。

上記で、「100万円以下の罰金」という場合、下記の様々な事情が考慮され,罰金の金額が決定します。

  • 結果の重大性
  • 行為の悪質性
  • 被害弁償や反省の程度
  • 被害者の処罰感情 など

盗撮で逮捕されるケース・されないケース

ここでは、盗撮で逮捕されるケースとされないケースをそれぞれご説明します。

  1. 盗撮で逮捕されるケース
  2. 盗撮で逮捕されないケース

盗撮で逮捕されるケース

盗撮で逮捕されるケースには、現行犯逮捕と通常逮捕(後日逮捕)があります。

現行犯逮捕

盗撮の現場を目撃され、逮捕されるケースです。

現行犯の場合は、警察官・警察官以外の人でも逮捕できます(刑事訴訟法213条)。警察に連行されるまでの間に家族や弁護士に連絡している余裕がないことが予想されます。

万一ご家族が現行犯逮捕されたような場合は、ご家族の方が弁護士を探し、接見の依頼をすることになります。

通常逮捕(後日逮捕)

逮捕状を持った警察や検察官に逮捕されることを通常逮捕といいます(刑事訴訟法199条1項)。盗撮を行った場合でも通常逮捕されることがあります。

通常逮捕されるケースは例えば…

  • 盗撮現場を目撃した人の証言から犯人が発覚した
  • 防犯カメラに犯人がうつっていた
  • 盗撮の機材が発見され、犯人の特定に繋がった

上記のような場合、犯行の数日後に警察が自宅を訪れて逮捕されることがあります。盗撮したことを後悔している場合は、自首を検討しましょう。

詳細:自首をしたいと思ったら? -まずは弁護士にご相談ください。

盗撮で逮捕されないケース

盗撮をしたからといってすべて逮捕されるわけではありません。ここでは、盗撮で逮捕されないケースについてご説明します。

  • 在宅事件になるケース
  • 犯行が発覚していないケース
  • 犯人が発覚していないケース

在宅事件になるケース

在宅事件とは、被疑者(犯罪の疑いがある人)の身柄を拘束することなく事件の捜査を進めることです。

逮捕する目的は、逃亡や証拠隠滅を未然に防ぐことです。これらの心配がない場合は、在宅事件で捜査が進められます。

犯行が発覚していないケース

盗撮が警察に発覚していないケースです。当然認識していない事件については捜査のしようがありません。

ただ、警察が捜査をしているかどうかを一般の方が知るのは難しいです。「バレていないから大丈夫だろう」と考えるのは危険です。

犯人が発覚していないケース

警察が事件を認知したものの、犯人がわかっていないケースです。この場合は、防犯カメラの映像や目撃者の証言などから、犯人の特定を目指した捜査が行われます。

盗撮で逮捕された後の流れ

逮捕されると、最大で23日間身柄を拘束されます。

以下、逮捕後の流れを簡単にご説明します。

  1. 警察による取り調べ|48時間以内
  2. 検察官へ送致・勾留請求|24時間以内
  3. 勾留|原則10日間、最大20日間
  4. 起訴不起訴の判断
  5. 起訴後勾留|約2カ月
  6. 刑事裁判

警察による取り調べ|48時間以内

警察による取り調べが行われます。

取り調べでの供述内容は供述調書に録取され、被疑者が署名・押印をした供述調書は刑事裁判で証拠として使用されます。したがって、嘘の自白や実際よりも重い犯罪をしたかのような供述は避けるべきです。また、嘘の自白や実際よりも重い犯罪をしたかのような供述調書が作成された場合、署名・押印を拒否するべきです。

逮捕から勾留決定が出るまでの間は弁護士しか被疑者と接見(面会)を行えません。弁護士に接見の依頼をし、実際以上に不利な供述をしてしまわないよう対応しましょう。

検察官へ送致・勾留請求|24時間以内

事件の送致を受けた検察官は、釈放するか、送致の時から24時間以内に勾留請求をするかどうかを判断します。

裁判所は、検察官から勾留請求を受けた場合、勾留の理由や必要性があるかどうかを検討し、勾留の可否を決定します。

勾留|原則10日間、最大20日間

勾留決定を受けた場合、勾留請求があった日から10日間、身体拘束を受けます。さらに捜査が必要であると判断された場合に、検察官から勾留期間の延長請求がなされます。勾留期間の延長請求により延長される期間は最大で10日間です。勾留延長の決定がでた場合、最大で20日間身柄拘束を受けます。

起訴・不起訴の判断

検察官は、捜査の結果被疑者を起訴するかどうか判断します。盗撮のような性犯罪については、被害者の被害感情を重視しますので、被害者との間で示談が成立し、被害者の宥恕を得る、または被害届を取り下げてもらったような場合には、不起訴処分とされることが多いです。

日本では起訴後の有罪率が99.9%と言われています。前科を避けるためには、被害者と示談交渉をして、不起訴を目指すことが重要です。

不起訴を得られれば被疑者の身柄が解放されます。前科もつきません

起訴後勾留|2カ月

勾留中に起訴された場合、被疑者という立場から被告人という立場に変わり、被疑者の勾留から被告人の勾留へと自動的に変更されます。この場合、何らの手続をすることなく勾留が継続します。起訴後の勾留期間は身柄拘束の期間は原則として2ヶ月と長期であり、かつ、その後1か月ごとに更新されることになります。ですので、保釈請求をして身柄解放を目指すことが重要です(刑事訴訟法88条)。

刑事裁判

冤罪の場合は無罪を、犯罪を行ったことが事実である場合は執行猶予や罰金刑を目指すことになります。

懲役刑の実刑判決が下された場合は、刑務所に収監されます。

盗撮で逮捕されたら弁護士に相談を!刑事弁護の内容とは

盗撮で逮捕された場合、逮捕後3日間は警察署や検察庁で取り調べを受け、その後は20日も警察署や拘置所で拘留されます。

このような長期間、家に帰れず職場にも出られないとなると、職を失うことにもなりかねません。また、長期間の拘束に精神的に耐えられずに、真実と異なる自白をしてしまい、後の裁判で不利になることもあり得ます。

このようなリスクを避けるために、弁護士は次のような活動を行います。

  1. 早期釈放を目指す活動
  2. 接見をし、取り調べへの対応方法を助言
  3. 被害者との示談交渉
  4. 保釈請求

早期釈放を目指す活動

弁護士にご依頼いただければ、一刻も早く釈放されるように活動します。証拠を揃え文書を作成し、検察庁や裁判所に対して釈放を求め、勾留決定が出されてしまったら準抗告という不服申立てを行うなど、最善の努力をします。

接見をし、取り調べへの対応方法を助言

また、ご本人と面会して、圧力に屈しないように励ますとともに、法律的なアドバイスをして取り調べにおいて不利にならないようにします。

不当な圧力が加えられたり署名押印を強要されたりするなどの違法な捜査が行われた場合は、直ちに警察署長や検察官に抗議をして止めさせます。

被害者との示談交渉

冤罪の場合等は除きますが、刑事事件では、被害者に謝罪し、示談交渉をすることが重要です。先に述べたとおり性犯罪においては被害者の被害感情が重視されますので、示談交渉を行って被害感情の軽減を図ることが肝要となります。示談が成立し、示談金の支払によって被害弁償を行うとともに、被害者の宥恕や被害届の取り下げなどを得られた場合、検察官の起訴・不起訴の判断に先立ち釈放してもらえる可能性があります。

不起訴を得られれば事件が終了します。前科もつきません。

保釈請求

起訴されると、さらに勾留が続きます。この場合は、直ちに裁判所に保釈請求を行います。罪証を隠滅する疑いがないなどの事情が認められれば、保釈金を預けることにより釈放されます。

弁護士に依頼していただければ、起訴を免れるため、あるいは有利な判決を得るために、あらゆる手段を用いて尽力します。

【盗撮で逮捕】ネクスパート法律事務所の弁護士費用

当事務所では、わかりやすい料金体系を心がけています。捜査段階(逮捕勾留されている場合、されていない場合)・裁判になった場合の弁護士費用は以下の通りです。

捜査段階

  逮捕勾留されていない場合 逮捕勾留されている場合
着手金 27万5000円 38万5000円
成功報酬 不起訴の場合 27万5000円 38万5000円
罰金の場合 22万円 27万5000円
起訴された場合 16万5000円 16万5000円
別途 示談成立 11万円 11万円
接見 3万3000円
勾留却下・準抗告認容の場合 22万円
  逮捕勾留されていない場合
着手金 22万円
成功報酬 不起訴の場合 22万円
罰金の場合 16万5000円
起訴された場合 10万円
別途 示談成立 11万円
  逮捕勾留されている場合
着手金 33万円
成功報酬 不起訴の場合 33万円
罰金の場合 22万円
起訴された場合 11万円
別途 示談成立 11万円
接見 11万円
勾留却下・準抗告認容 22万円

裁判

  弁護士費用
着手金 裁判からのご依頼 27万5000円
成功報酬 執行猶予の場合 27万5000円
求刑から減刑できた場合 16万5000円
別途 接見、公判 1回あたり3万3000円
保釈認容 11万円

まとめ

この記事では、盗撮をした際に成立しうる罪をお伝えした上で、逮捕された後の流れや、弁護活動の内容などについてご説明してきました。

盗撮事件では、被害者と示談交渉をすることが早期釈放・不起訴への近道です。在宅事件になっている方、ご家族が逮捕されてしまった方はぜひ一度ご相談ください。