強制わいせつ罪について解説 示談成立が不起訴成立の可能性を高めます

強制わいせつ罪とは

強制わいせつ罪は、刑法176条に規定され、罰則は6月以上10年以下の懲役となっています。

強制わいせつ罪が適用される事例

強制わいせつ罪は、暴行・脅迫を用いて、わいせつな行為をした場合に適用されます。13歳未満に対してわいせつな行為をした場合には、暴行・脅迫を用いずとも強制わいせつ罪となります。暴行・脅迫の程度としては、相手の抵抗を著しく困難にする程度である必要があるとされています。

強制わいせつ罪と他の犯罪との違い

強制わいせつ罪と迷惑防止条例違反との違い

痴漢行為の場合、迷惑防止上程違反となる場合と強制わいせつ罪となる場合があります。迷惑防止上程違反の場合、通常1か月以上6か月以下の懲役または1万円以上50万円以下の罰金です。これに対し、強制わいせつ罪の場合には、6か月以上10年以下の懲役となります。したがって、強制わいせつ罪となる場合の方が、罰金刑がなく起訴されると必ず裁判となること、懲役刑の長さが非常に長くなる可能性があることがわかります。では、この違いは何なのでしょうか。

一般的には、着衣の上から触るだけの場合には迷惑防止条例違反、着衣の中に手を入れて触れば強制わいせつ罪とされています。

強制わいせつ罪と強制わいせつ致傷罪の関係

強制わいせつ罪に該当する行為をしようとした場合、未遂に終わったとしても、わいせつ行為をしようとした際に怪我を負わせた場合には、強制わいせつ致傷罪となります。

強制わいせつ罪と強制性交等罪の違い

今年、刑法が改正され、強姦罪と言われていた犯罪が強制性交等罪とされました。具体的には、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」と規定されています。したがって、暴力・脅迫を用いて性交等を行った場合は、強制性交等罪となります。

強制わいせつ罪は親告罪ではなくなりました

親告罪とは、被害者等からの告訴がなければ検察が起訴することができない犯罪の種類のことを言います。通常、親告罪で告訴がない場合には、捜査機関は逮捕し、捜査を進めることはしません。

今年、刑法が110年ぶりに大きく改正され、強制わいせつ罪は親告罪ではなくなりました。そのため、強制わいせつ罪について、検察は告訴がなくても起訴できるようになりました。なお、改正刑法は平成29年6月23日に公布され、平成29年7月13日に施行されましたが、改正法の施行前に起きた事件についても原則として適用されるとされています。

強制わいせつ罪で逮捕された場合には、弁護士にご相談を

強制わいせつ罪は親告罪ではなくなりました。そのため、被害者等の告訴がない場合でも、検察が起訴することができます。もっとも、親告罪ではなくなったとしても、被害者と示談することは非常に有効です。被害者と示談をすることで不起訴になる可能性が高まります。また、残念ながら起訴されてしまったとしても、情状面で非常に有利になります。

被害者は犯罪にあったことで、被疑者本人やご親族等とは連絡を取ることが拒否することが通常です。このような場合には、弁護士に依頼することで、示談の交渉に進みやすくなります。

被害者との示談をご検討なさっているからは、ぜひ弁護士にご相談ください。

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