更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2025年6月9日 (月)

不貞の債務不存在確認訴訟とは?損害賠償請求との違いや具体例を解説

不貞の債務不存在確認訴訟とは?損害賠償請求との違いや具体例を解説 不貞の債務不存在確認訴訟とは?損害賠償請求との違いや具体例を解説

サマリー

不貞トラブルを裁判で解決する場合、損害賠償請求を提起するほかに、債務不存在確認訴訟を提起する方法もあります。

債務不存在確認訴訟とは、どのようなものなのでしょう?

この記事では、主に次のことについて解説しています。

・不貞の債務不存在確認訴訟とは
・債務不存在確認訴訟のメリット・デメリット
・債務不存在確認訴訟の具体的ケース
ぜひ参考にしてください。

不貞の債務不存在確認訴訟とは

不貞の債務不存在確認訴訟とは、不貞を理由とした慰謝料債務が存在しないことの確認を求める裁判手続きです(確認訴訟)。

裁判と聞くと、一般的に、お金の支払いを求めたり、物の引き渡しを求めたりするイメージがあるかと思います。

しかし、確認訴訟は、債務の不存在を確認するのみであり、相手方に何らかの金銭請求等を求める手続きではありません。

裁判で債務がないことが確定すると、その後、相手方はあなたに対して慰謝料の支払いを請求できなくなります。

債務不存在確認訴訟の提起には確認の利益が必要

債務不存在確認訴訟の提起には、確認の利益が必要です。

この要件がなければ、無関係な第三者に対して、請求されてもいない債務の不存在を確認する訴訟を提起することも理論上可能です。しかし、【存在しないこと】の確認の対象を無制限に認めると混乱を招きかねません。

そのため、債務不存在確認訴訟の提起は、具体的な争いが生じており、現に裁判手続きを利用しなければ不安定な地位にさらされる場合に限り、認められます。

なお、裁判所が確認の利益がないと判断した場合には、審理は開始されず、却下で終了します。

債務の全部だけでなく一部の不存在の確認もできる

債務不存在確認訴訟では、債務の全部だけでなく一部の不存在の確認もできます。

例えば、示談交渉の中で500万円の慰謝料を請求された場合、200万円については支払い義務を認めるものの、残りの300万円については支払い義務がないとの主張も可能です。

債務不存在確認訴訟では、債務の全部について支払い義務がないと主張する以外にも、一部の支払い義務を認めつつ、それを超えた部分は支払い義務がないことも主張できます。

不貞の債務不存在確認訴訟と損害賠償請求訴訟の違い

不貞の債務不存在確認訴訟と損害賠償請求訴訟の違いは、次のとおりです。

  • 提起する側が異なる
  • 判決の内容が異なる

以下、詳しく見ていきましょう。

①提起する側が異なる

1つめは、提起する側が異なります。

損害賠償請求訴訟は、債権者(不貞をされた側)が提起するのに対し、債務不存在確認訴訟は、債務者側(不貞をした側・不貞の疑いをかけられた側)が提起します。

②判決の内容が異なる

2つめは、判決の内容が異なります。

損害賠償請求訴訟の認容判決は、【被告は、原告に対し、〇万円を支払え。】なのに対し、債務不存在確認訴訟の認容判決は、【原告の被告に対する○○○○に基づく損害賠償債務は存在しないことを確認する。】等です。

不貞の債務不存在確認訴訟のメリット

不貞の債務不存在確認訴訟のメリットとして、次の3つが挙げられます。

  • 債務者から裁判を利用した紛争解決を選択できる
  • 裁判を利用することで不安定な地位を解消できる
  • 立証責任は債権者(不貞をされた側)にある

以下、詳しく見ていきましょう。

債務者から裁判を利用した紛争解決を選択できる

債務者(不貞をした側・不貞の疑いをかけられた側)から裁判を利用した紛争解決を選択できる点です。

不貞トラブルが発生した場合、基本的には、債権者(不貞をされた側)が損害賠償請求を提起し、裁判所に対して紛争解決を求めます。

しかし、いつまでも交渉が平行線にもかかわらず、債権者が訴訟提起をしなければ、債務者は不安定な地位にさらされ続けます。

債務不存在確認訴訟を利用することで、債務者側からも裁判での紛争解決を求められます。

裁判を利用することで不安定な地位を解消できる

裁判を利用することで不安定な地位を解消できる点です。

確認判決が確定すると、相手方は慰謝料請求ができなくなります。

債務不存在確認訴訟を利用することで、相手方から慰謝料請求される不安を解消できるでしょう。

立証責任は債権者(不貞をされた側)にある

立証責任は債権者(不貞をされた側)にある点です。

債務不存在確認訴訟では、債務者側が債務の不存在を証明する必要はありません。

裁判では、権利の発生を主張する側が立証責任を負います。

債務不存在確認訴訟も損害賠償請求訴訟も、不貞行為の有無が争点の場合には、不貞があったことを債権者側が証明する必要があります。

ただし、債務者側も裁判に臨むにあたっては、自己に有利な事実の証拠等を準備して置く必要はあるでしょう。

不貞の債務不存在確認訴訟のデメリット

不貞の債務不存在確認訴訟のデメリットとして、次の3つが挙げられます。

  • 相手方から反訴(損害賠償請求)を提起される可能性がある
  • 相手方の感情を逆撫でする可能性がある
  • 金銭の支払いは求められない

以下、詳しく見ていきましょう。

相手方から反訴(損害賠償請求)を提起される可能性がある

相手方から反訴(損害賠償請求)を提起される可能性がある点です。

不貞の債務不存在確認訴訟を提起した場合には、逆に相手方が不貞を理由とした損害賠償請求訴訟を提起する可能性が考えられます。

この場合、裁判の中で不貞が認められると、あなたに対する慰謝料の支払いが命じられます。

債務不存在確認訴訟を利用することで、反訴が提起される可能性が高いでしょう。

相手方の感情を逆撫でする可能性がある

相手方の感情を逆撫でする可能性がある点です。

裁判を起こすということは、交渉の余地がないことを意味します。

相手方からすれば、全面的に争うつもりだと捉えられるでしょう。

さらに、債務不存在確認は、債務者が原告・債権者が被告です。

不貞をされた側からすると、自分は被害者にもかかわらず被告にされたと感じるでしょう。

債務不存在確認訴訟を利用することで、相手方の感情を逆撫でする可能性が高いでしょう。

金銭の支払いは求められない

金銭の支払いは求められない点です。

債務不存在確認訴訟は、あくまで債務がないことを確認する手続きです。

相手方から脅迫行為や嫌がらせ行為を受けているケースでも、債務不存在確認訴訟の中で相手方に対し金銭請求はできません。

不貞問題で債務不存在確認訴訟の提起が検討される具体的ケース

不貞問題で債務不存在確認訴訟の提起が検討される具体的ケースは、次の4つです。

  • 不貞の事実がないケース
  • 交渉の余地がないケース
  • 相手方からの嫌がらせや脅迫行為がやまないケース
  • 脅迫等により示談書にサインしたケース

以下、詳しく見ていきましょう。

不貞の事実がないケース

不貞の事実がないケースです。

肉体関係がないにもかかわらず慰謝料請求されることもあります。

このようなケースでは、通常、示談交渉で相手方を納得させることを試みます。

しかし、相手方が頑なに請求を維持する場合には、債務不存在確認訴訟で不貞がないことの確認を求める場合があります。

交渉の余地がないケース

交渉の余地がないケースです。

請求額があまりに高額にもかかわらず、相手方が一切の減額に応じないこともあります。

双方の認識に相違があるために、話し合いが平行線のこともあるでしょう。交渉を続けていても、時間と労力がかかるだけで、解決の見込みがありません。

このような場合には、債務不存在確認訴訟を提起し、債務者側から裁判のレールに乗せる場合があります。

相手方からの嫌がらせや脅迫行為がやまないケース

相手方からの嫌がらせや脅迫行為がやまないケースです。

慰謝料請求と共に、相手方から嫌がらせや脅迫行為されるケースもあります。話し合いの申し入れにも応じず、嫌がらせや脅迫行為が続く場合には、当事者間での交渉は困難でしょう。

このような場合には、債務不存在確認訴訟を提起し、裁判で解決を図る場合があります。

脅迫等により示談書に署名押印したケース

脅迫等により示談書に署名押印したケースです。

相手方の脅迫等により、言われるがまま高額な慰謝料に合意するケースもあります。

示談書に署名押印した以上、原則として、その内容の撤回・変更はできません。

しかし、相手方からの脅迫等があった場合には、その内容が無効になる場合があります。

したがって、脅迫等により示談書に署名押印した場合には、債務不存在確認訴訟を提起し、債務のないことを主張する場合があります。

債務不存在確認訴訟を決断する前に弁護士への相談がおすすめ!

債務不存在確認訴訟は、裁判の中でも特殊な手続きです。

相手方から反訴(損害賠償請求訴訟)を提起される可能性が高く、相手方の主張が認められれば、あなたが慰謝料を支払うことになります。

債務不存在確認訴訟を提起してでも争う必要があるか・勝訴の見込みがあるかについて、弁護士に相談のうえ、十分検討する必要があるでしょう。

訴訟を提起すると、対立が深まり、全面的な争いに発展するリスクがありますが、弁護士に依頼すれば、交渉で解決できる可能性も十分にあります。

弁護士は、訴訟に移行した場合の時間的・経済的負担を踏まえ、相手方に対して合理的かつ説得力のある交渉を行えます。
弁護士が介入することで、今まで頑なに譲歩をしなかった相手方も示談に応じる姿勢を見せるかもしれません。

したがって、一度弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

債務者側(不貞をした側・不貞の疑いをかけられた側)が債務不存在確認訴訟を提起することで、不貞トラブルを解決できる場合があります。

交渉の余地がない場合には、裁判での解決を視野に入れる必要があります。

ただし、債務不存在確認訴訟を提起すべきかどうかは慎重な判断が必要です。

債務不存在確認訴訟を提起する前に、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼することで、裁判の全面的なサポートはもちろん、裁判に持ち込まず示談での解決ができる場合もあります。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。
初回の相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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