更新日:2026年9月7日 (月)

公開日:2026年9月7日 (月)

相続の税理士費用の相場は?計算目安や加算要因・選び方を解説

相続の税理士費用の相場は?計算目安や加算要因・選び方を解説 相続の税理士費用の相場は?計算目安や加算要因・選び方を解説

サマリー

家族が亡くなり相続税の申告が必要になりそうなとき、税理士に依頼すると費用がいくらかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

税理士報酬は遺産総額の規模だけでなく、不動産の有無や相続人の人数、申告期限までの期間などによっても金額が変動します。また、その費用を誰が支払うべきかといった点も事前に確認しておきたいところです。

この記事では、相続税申告における税理士費用の相場や加算要因、負担の考え方から相談の流れまでをわかりやすく解説します。

相続税申告における税理士費用の相場と計算基準

相続税申告を税理士に依頼する際の報酬は、かつて存在した税理士報酬規定が廃止されて以降、各事務所が個別に設定しています。そのため一律の定価はありませんが、実務上おおよその目安となる相場が存在します。

相続税申告における税理士費用の相場は、一般的に「遺産総額の0.5%〜1.0%程度」とされるケースが多く見られます。

遺産総額に応じた基本報酬の目安

多くの税理士事務所では、遺産総額の規模に応じて段階的に基本報酬を設定しています。遺産の規模が大きくなるほど、財産の評価作業や必要書類の収集・精査にかかる工数が増加するため、報酬額も比例して高くなるのが一般的です。

遺産総額の目安 基本報酬の相場目安
5,000万円以下 25万円〜50万円程度
5,000万円〜1億円以下 50万円〜100万円程度
1億円〜2億円以下 100万円〜150万円程度
2億円〜3億円以下 150万円〜200万円程度

なお、報酬計算の基準となる「遺産総額」は、小規模宅地等の特例や配偶者控除などを適用する前の財産価額(各種特例・債務控除適用前の総額)を基準とする事務所が一般的です。特例の適用によって最終的な納税額が0円になる場合でも、申告書作成にかかる基本報酬は発生します。

事務所ごとに異なる料金体系の内訳

税理士報酬の体系は事務所によって異なり、基本報酬のほかに着手金や相談料、書類取得の実費などが別途設定されている場合があります。初回相談を無料としている事務所もあれば、時間制で相談料を設定している事務所もあります。

また、基本報酬の中に財産目録の作成や遺産分割協議書の作成サポートが含まれているプランもあれば、それぞれ別料金として加算されるプランもあります。総額がどの程度になるかは、事前に提示される見積書の内訳をしっかりと確認することが重要です。

税理士費用が加算される主な要因

相続税申告の税理士報酬は、基本報酬に加えて手続きの難易度や作業量に応じた加算報酬が設定されているケースが一般的です。

遺産の状況や相続人の構成によって追加費用が発生することがあるため、事前にどのような要因で加算されるのかを把握しておくことが大切です。

不動産の評価や現地調査に伴う加算

遺産に土地や建物などの不動産が含まれている場合、物件数や筆数に応じて加算費用が発生することがあります。土地の評価は形状や道路付け、権利関係などを考慮して減額要素を精査する必要があり、現地調査や役所調査などの手間がかかるためです。

特に不整形地や広大な土地、借地権や貸家建付地といった権利関係が複雑な不動産が複数あるケースでは、評価手続きに時間を要するため加算額が高めになる傾向があります。

相続人の人数による加算

基本報酬に含まれる相続人の人数(例えば1〜2名など)を超えると、1名増えるごとに追加料金(基本報酬の10〜20%程度など)が加算される料金体系が多く見られます。

相続人の数が増えるほど、それぞれの取得財産に応じた税額計算や遺産分割協議書の確認、必要書類の収集・案内などの作業負担が増加するためです。

非上場株式の評価や名義預金の精査

被相続人が会社を経営していた場合や非上場企業の株式を保有していた場合、その評価計算には決算書や財務諸表の詳細な分析が必要となり、別途評価手数料が加算されるのが通例です。

また、家族名義の預金口座に被相続人の資金が移動している疑いがある名義預金の確認や、過去数年分の預金口座の入出金履歴の精査が必要な場合も、調査工数に応じた追加費用がかかることがあります。

申告期限までの期間が短い場合の加算

相続税の申告・納付期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。この期限までの残日数が少ない段階で依頼すると、特急料金として緊急対応加算が発生することがあります。

期限まで3ヶ月や2ヶ月を切った状態での依頼は、短期間で集中的に資料収集や財産評価を行う必要があるため、割増料金が適用される可能性が高くなります。

主な加算要因 加算が発生しやすい状況の例
不動産の評価 土地が複数ある、形状が複雑、借地権が設定されている
相続人の人数 相続人が3名以上など、基本設定人数を超える場合
非上場株式・特殊財産 自社株や未公開株の保有、海外資産がある場合
名義預金・通帳精査 多額の使途不明金がある、過去の贈与履歴の調査が必要
申告期限までの期間 申告期限まで3ヶ月未満など短期間での申告作業が必要

相続の税理士費用は誰が支払う?負担方法と経費扱い

相続税申告を税理士に依頼する際、その費用を「誰がどのように支払うのか」という点は相続人間で整理しておくべき重要な事項です。法律上、税理士費用の負担割合について一律の定めはありません。

税理士費用の主な負担方法

税理士報酬の支払い方法は、相続人同士の話し合いによって決めるのが一般的です。実務では、それぞれの状況に合わせて主に次のような分担方法がとられます。

  • 遺産の取得割合に応じて按分して負担する
  • 法定相続分に応じて均等または割合に応じて負担する
  • 代表相続人がいったん全額を立替払いし、後から清算する
  • 遺産(預貯金など)から直接経費として差し引いて清算する

各相続人が取得する財産の割合に応じて負担する方法は、納得感が得られやすく広く用いられています。ただし、財産をほとんど取得しない相続人がいる場合などは、負担割合について事前の丁寧な合意形成が欠かせません。

税理士報酬は相続税の「債務控除」にはならない

相続税の計算では、被相続人が遺した借入金などの債務や葬式費用を遺産総額から差し引く「債務控除」が認められています。しかし、税理士への報酬は相続開始後に相続人自身の判断で発生した費用とみなされます。

相続税申告のために支払った税理士報酬は、相続税の計算上、債務控除の対象には含まれません。

そのため、税理士に支払った費用分を差し引いて課税価格を小さくすることはできない点に留意が必要です。申告に必要な経費であっても税法上の控除対象とは区別して資金準備をしておく必要があります。

遺産から清算する場合の注意点

被相続人の預貯金から税理士費用を支払いたいと考えるケースも少なくありません。この場合、遺産分割協議が成立する前であれば、原則として相続人全員の同意が必要となります。

一部の相続人が独断で口座から引き出して支払ってしまうと、後々のトラブルに発展するおそれがあります。遺産から費用を支払う旨や負担割合については、遺産分割協議書に明記するか、事前に書面で合意を残しておくと手続きが円滑に進みやすくなります。

相続手続きを税理士に依頼するメリットと相談の流れ

相続税の申告は自身で行うことも可能ですが、財産の評価方法や税額計算の仕組みが非常に複雑です。そのため、相続税分野に詳しい知見を持つ税理士に手続きを依頼するケースが多く見られます。

税理士に依頼する主なメリット

税理士に依頼する大きなメリットの一つが、各種特例や控除を適正に適用できる点です。例えば「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」などは、適用要件の判断や添付書類の準備に税務の知識を要します。

特例の適用漏れを防ぐことで、結果として過大申告を回避し適正な税額での申告につながります。

また、税務署からの指摘や税務調査のリスク軽減につながる点も挙げられます。適正な財産評価に基づいた申告書が作成されるほか、税理士が申告内容の正確性を担保する書面添付制度を利用できる場合もあります。

さらに、戸籍謄本や預貯金の残高証明書、不動産の登記事項証明書など膨大な資料の収集や計算作業を一任できるため、相続人自身の時間的・精神的な負担が大幅に軽減されます。

相談から申告完了までの一般的な流れ

税理士に相続税申告を依頼する際は、初回の相談から申告書の提出・納税まで一定のステップを踏んで進められます。

  1. 初回相談・見積もりの確認:遺産の概要や相続人の状況を伝え、業務範囲と費用の見積もりを提示してもらいます。
  2. 契約・資料収集:正式に委任契約を結んだ後、財産目録の作成に必要な公的証明書や各種明細などの資料を収集します。
  3. 財産の調査・評価:不動産の現地確認や路線価による評価、預貯金の精査などを行い、遺産総額を算出します。
  4. 遺産分割協議のサポート・申告書作成:決定した遺産分割内容をもとに相続税申告書を作成し、各相続人の税額を確定させます。
  5. 申告書の提出・納税:申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)までに税務署へ申告書を提出し、各自で納税を完了します。

資料の収集や遺産分割の話し合いには時間がかかることが多いため、相談を検討する場合は申告期限に余裕を持って動き始めることが大切です。

まとめ

相続税申告にかかる税理士費用は、遺産総額だけでなく財産の種類や相続人の数など、手続きの複雑さに応じて変動します。

依頼を検討する際は、基本報酬だけでなく加算報酬の条件も含めて事前に見積もりを取り、総額の目安を確認しておくことが大切です。

なお、相続人間で遺産の分け方をめぐって意見が対立している場合は、税務申告の前提となる遺産分割を円滑に進めるためにも弁護士への相談を検討するとよいでしょう。弁護士法人ネクスパート法律事務所でも相続問題に関するご相談を受け付けておりますので、状況に応じた適切な対応についてお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。

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