更新日:2026年9月1日 (火)
公開日:2026年8月31日 (月)
不同意性交等罪による逮捕の流れ|後日事件化する可能性と回避方法
サマリー
2023年の刑法改正により、従来の強制性交等罪は「不同意性交等罪」に改められました。
不同意性交等罪で逮捕されるのではないかと不安を抱えており、
・「すぐに逮捕されるのか」
・「事件から時間が経っていても後日逮捕されることはあるのか」
などと気になっている方も多いのではないでしょうか。
不同意性交等罪では、被害者からの被害申告や告訴をきっかけに捜査が開始され、事件発生から一定期間が経過した後に後日逮捕が行われるケースもあります。
また、逮捕された場合には、身柄を拘束された状態で取り調べが行われ、その後、勾留や起訴の可否が判断されることになります。
不同意性交等罪は重大犯罪の一つであり、逮捕やその後の刑事手続きが、仕事や学校、家族関係などに大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、不同意性交等罪で逮捕されるケースや逮捕後の流れを正しく理解し、できるだけ早い段階で適切な対応を取ることが重要です。
この記事では、不同意性交等罪で逮捕されるケースや後日逮捕が行われる理由、逮捕後の流れ、そして身柄拘束や刑事処分のリスクを軽減するために取るべき対応について詳しく解説します。
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そもそも逮捕の対象となる「不同意性交等罪」とは?
不同意性交等罪は、2023年7月の刑法改正によって新設された性犯罪であり、従来の強制性交等罪に代わって設けられた犯罪です。
従来の強制性交等罪では、主に暴行や脅迫によって性交等を行った場合が処罰の対象とされていましたが、現行法では、被害者が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にあることに乗じて性交等を行った場合にも、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
2023年の法改正では、暴行や脅迫だけでなく、アルコールや薬物の影響、睡眠中の状態、社会的地位や関係性を利用して拒絶しにくい状況を作り出した場合など、被害者が自由な意思決定を行うことが困難な状態を生じさせる事情が明文化されました。
例えば、飲酒による酩酊状態や睡眠中など、被害者が十分に意思を形成・表明することが困難な状況下で性交等が行われた場合には、不同意性交等罪に該当する可能性があります。
不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑と定められており、極めて重い刑罰が予定されている重大犯罪です。
そのため、被害者からの被害申告や告訴などをきっかけに捜査が開始された場合には、警察による本格的な捜査が行われ、事案の内容や証拠関係などによっては逮捕に至る可能性があります。
不同意性交等罪の詳しい内容については、以下の記事も合わせてご参照ください。
不同意性交等罪と示談・不起訴の可能性|初動対応と弁護の重要性
不同意性交等罪で後日逮捕される可能性はあるのか?
不同意性交等罪では、事件当日に現行犯逮捕されるとは限らず、事件発生から数週間後や数か月後、場合によってはさらに長期間が経過した後に逮捕されるケースもあります。
被害者からの被害申告や告訴を受けた警察は、関係者からの事情聴取や客観的証拠の収集などを行い、犯罪の嫌疑があると判断した場合には、裁判官に逮捕状を請求します。
そして、裁判官が逮捕状を発付し、逮捕の必要性が認められた場合には、後日逮捕が行われます。
そのため、事件後しばらく警察から連絡がない場合であっても、将来的に捜査対象となり、後日逮捕される可能性は否定できません。
また、不同意性交等罪の公訴時効は15年とされており、被害者が18歳未満である場合には、一定期間が加算されることがあります。
そのため、事件から相当期間が経過していても、直ちに逮捕や刑事責任の可能性がなくなるわけではありません。
もっとも、不同意性交等罪の疑いがある場合でも、必ず逮捕されるわけではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断された場合には、在宅事件として捜査が進められることもあります。
被害申告後に警察が捜査を開始する流れ
被害者が警察に相談したり、被害届や告訴状を提出したりした場合、警察は内容を確認したうえで捜査の必要性を判断します。
その後、関係者への事情聴取、防犯カメラ映像の確認、LINEやSNSのやり取りの収集などを行い、事件の有無や関与者の特定を進めます。
不同意性交等罪は重大犯罪であるため、供述内容や証拠関係によっては、比較的早い段階で本格的な捜査が開始されることもあります。
被害者の供述が重要な証拠となるケース
不同意性交等罪は密室で発生することが多く、第三者の目撃証言や物的証拠が十分に存在しない場合も少なくありません。
そのため、被害者の供述は捜査や裁判において重要な証拠の一つとなります。
もっとも、警察や検察は被害者の供述だけで判断するわけではありません。
事件前後の防犯カメラ映像、ホテルやエレベーター内における被害者の様子、LINEやSNS、DMのやり取り、第三者の証言、診断書などの客観的証拠も収集しながら、供述の信用性を慎重に検討します。
特に、事件直後のメッセージのやり取りや、加害者側による謝罪の内容などが重要な証拠として評価されることもあります。
その結果、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由が認められ、逮捕の必要性もあると判断された場合には、裁判官が逮捕状を発付し、後日逮捕が行われます。
逮捕されずに在宅事件として捜査が進む場合とは
不同意性交等罪の疑いがある場合でも、必ず逮捕されるわけではありません。
住所や勤務先が明らかであり、捜査機関からの呼び出しに応じている場合や、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断された場合には、在宅事件として捜査が進められることがあります。
在宅事件では身柄拘束は行われませんが、警察や検察による取り調べを受けながら捜査が継続され、最終的には起訴・不起訴の判断が行われます。
そのため、逮捕されていないからといって事件が終了したわけではなく、早い段階で弁護士に相談し、今後の対応を検討することが重要です。
在宅事件については、以下の記事も合わせてご参照ください。
在宅事件になるとどうなる?捜査の流れや身柄事件との違いを解説
不同意性交等罪で逮捕されてから起訴・不起訴が決まるまでの流れ
不同意性交等罪で逮捕された場合、直ちに有罪が決まるわけではありません。
逮捕後は、警察や検察による捜査が進められ、最終的に検察官が起訴するか不起訴とするかを判断します。
また、逮捕後に勾留が認められた場合には、逮捕から起訴・不起訴の判断が下されるまで、最大23日間にわたり身柄拘束が続く可能性があります。
そのため、不同意性交等罪で逮捕された場合には、早い段階から適切な弁護活動を行うことが重要です。
警察による取り調べ(逮捕後48時間以内)
逮捕されると、まず警察署の留置施設で身柄を拘束され、警察官による取り調べを受けます。
警察は逮捕後48時間以内に捜査を行い、被疑者の供述や証拠を収集します。
取り調べでは、事件当日の状況や被害者との関係、容疑を認めるかどうかなどについて質問されます。
ここで作成される供述調書は、その後の捜査や裁判において重要な証拠となる可能性があります。
もっとも、被疑者には憲法第38条の黙秘権や刑事訴訟法第30条の弁護人選任権が保障されており、不用意な供述によって不利益を受けることがないよう、必要に応じて弁護士の助言を受けながら対応することが重要です。
検察庁への送致と勾留請求の判断(送致後24時間以内)
警察は、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄や証拠を検察官へ送致します。
送致を受けた検察官は、自ら被疑者を取り調べたうえで、身柄拘束を継続する必要があるかどうかを判断します。
そして、検察官は送致を受けてから24時間以内に、裁判所へ刑事訴訟法第206条の勾留を請求するか、被疑者を釈放するかを決定しなければなりません。
逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合には勾留請求が行われ、裁判官が勾留の必要性を審査します。
このように、逮捕後最初の72時間は、その後の手続きの方向性を左右する重要な期間となります。
勾留決定後の捜査期間(最長20日間)
裁判官が勾留を認めた場合、原則として10日間の勾留が行われます。
さらに、やむを得ない事情があると認められた場合には、裁判所の許可を得て最大10日間の勾留延長が行われることがあります。
そのため、勾留期間は最長20日間に及び、逮捕後の72時間を含めると、起訴・不起訴の判断が下されるまで最大23日間にわたり身柄拘束が続く可能性があります。
この期間中には、弁護士による示談交渉や意見書の提出、証拠収集などの弁護活動が行われることもあり、今後の処分に影響を及ぼすことがあります。
検察官による起訴・不起訴の最終判断
検察官は、収集した証拠や被疑者の供述、被害者の意向、示談の成立状況などを総合的に考慮し、起訴するか不起訴とするかを判断します。
不起訴処分となった場合には刑事裁判は開かれず、その時点で刑事手続きは終了します。
不起訴であれば前科が付くこともありません。
一方、起訴された場合には被告人として刑事裁判を受けることになります。
裁判では、不同意性交等罪が成立するかどうかや、どのような刑罰を科すべきかについて審理が行われます。
また、起訴後も身柄拘束が継続されることがあり、保釈が認められるまで長期間にわたって身体の自由が制限される場合もあります。
そのため、逮捕直後から弁護士に相談し、不起訴処分の獲得や身柄解放、刑の軽減に向けた弁護活動を進めることが重要です。
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合に取るべき対応
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、初期対応によってその後の捜査や処分に大きな影響が生じることがあります。
特に、警察から連絡を受ける前や任意の事情聴取を求められた段階で適切な対応を取ることは重要です。
具体的には、速やかに弁護士へ相談すること、被害者との示談交渉を検討すること、自首や出頭の必要性を慎重に判断すること、そして身に覚えがない場合には客観的な証拠を確保することなどが挙げられます。
事案によって取るべき対応は大きく異なるため、早い段階で刑事事件に精通した弁護士へ相談することが重要です。
速やかに刑事事件に精通した弁護士へ相談する
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、まず優先すべきなのは刑事事件に精通した弁護士へ相談することです。
弁護士は、警察から事情聴取を求められた場合の対応方法や供述上の注意点、今後予想される刑事手続きについて具体的な助言を行います。
また、事案によっては被害者との示談交渉や証拠収集などの弁護活動を早期に開始できるため、逮捕や長期の身柄拘束を回避できる可能性が高まることもあります。
特に、警察から連絡を受ける前や任意の事情聴取を求められた段階で相談することで、より適切な対応を取りやすくなります。
被害者との示談交渉を進める
不同意性交等罪では、被害者との示談成立が、検察官による起訴・不起訴の判断や裁判所による量刑判断において重要な事情の一つとして考慮されます。
被害者への被害弁償が行われ、被害者から宥恕(加害者を許す意思)が示されている場合には、被害回復に努めている事情として評価される可能性があります。
もっとも、不同意性交等罪は重大犯罪であるため、示談が成立したからといって必ず不起訴処分になるわけではありません。
また、加害者本人が直接被害者に連絡すると、被害感情を悪化させたり、新たなトラブルや二次被害につながったりするおそれがあります。
そのため、示談交渉は弁護士を通じて進めるのが一般的です。
自首や任意出頭を検討する場合は弁護士と十分に協議する
自首とは、捜査機関が犯人を特定する前に、自ら犯罪事実を申告して処分を委ねる行為をいいます。
刑法第42条上、自首は量刑上有利な事情として考慮される可能性がありますが、すべての事案で有効とは限りません。
すでに被害届や告訴状が提出されている場合や、捜査機関が被疑者を特定している場合には、法律上の自首には該当しないこともあります。
また、安易に出頭した結果、そのまま逮捕されるケースもあるため、自ら警察へ連絡したり出頭したりする前に、弁護士と十分に協議することが重要です。
事案によっては、弁護士が同行したうえで任意出頭を行うことで、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いことを示し、逮捕を回避できる可能性もあります。
身に覚えがない場合は客観的な証拠を早期に確保する
不同意性交等罪の疑いをかけられたものの、身に覚えがない場合や、相手の同意があったと認識している場合には、客観的な証拠をできる限り早期に確保することが重要です。
例えば、
- LINEやSNS、DMのやり取り
- 通話履歴
- 写真や動画
- GPS履歴や位置情報
- ホテルや店舗、防犯カメラ映像
- 当日に一緒にいた第三者の証言
などは重要な証拠となる可能性があります。
特に、防犯カメラ映像や一部のデジタルデータは一定期間で上書き・削除されることがあるため、時間が経過する前に証拠保全を行うことが重要です。
不同意性交等罪では当事者双方の供述が重要となるケースが少なくありませんが、客観的な証拠が供述の信用性を左右することもあります。
そのため、証拠を適切に保存したうえで弁護士と共有し、事案に応じた対応を進めることが重要です。
「不同意性交等罪 逮捕」に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、不同意性交等罪と逮捕に関して特によく寄せられる質問について解説します。
正しい知識を身につけておくことで、万が一の事態にも落ち着いて対応しやすくなります。
相手と同意があったと思っていた場合でも逮捕されますか?
逮捕される可能性はあります。
行為者が「同意があった」と認識していたとしても、捜査機関が客観的な状況から、相手が「同意しない意思」を形成・表明・全うすることが困難な状態にあったと判断した場合には、不同意性交等罪の容疑がかけられることがあります。
実際には、当事者間で同意に関する認識の違いが生じているケースも少なくありません。
そのため、身に覚えがない場合や同意があったと考えている場合には、LINEやSNSのやり取り、通話履歴、写真、録音データなど、当時の状況を示す客観的な証拠をできる限り早く確保しながら慎重に対応することが重要です。
LINEやSNSのやり取りは同意があった証拠として認められますか?
LINEやSNSのやり取りは、同意の有無を判断するうえで重要な証拠の一つとして考慮される可能性があります。
例えば、行為前後の親密なやり取りや、デートの約束、好意的なメッセージなどは、双方の関係性を示す資料となり得ます。
もっとも、LINEやSNSの履歴だけで同意があったことを決定的に証明できるとは限りません。
捜査機関や裁判所は、メッセージの内容だけでなく、当日の状況、当事者の供述、防犯カメラ映像、位置情報、第三者の証言なども含めて総合的に判断します。
そのため、一つの証拠だけに頼るのではなく、できる限り多くの客観的な資料を確保することが重要です。
家族や会社に知られることなく事件を解決することは可能ですか?
周囲に知られるリスクを低減できる可能性はあります。
例えば、逮捕されずに在宅事件として捜査が進み、早期に弁護士へ相談して適切な対応を行った結果、不起訴処分となるケースもあります。
もっとも、事件の内容や捜査状況によっては、家族や勤務先に事情が伝わる可能性を完全になくすことはできません。
特に、逮捕や勾留によって長期間仕事を休まざるを得なくなった場合には、周囲に事情を知られるリスクが高まります。
そのため、社会生活への影響をできる限り抑えるためにも、警察から連絡を受ける前の段階を含め、できるだけ早く弁護士へ相談することが重要です。
警察から連絡が来ていなくても後日逮捕されることはありますか?
あります。
不同意性交等罪では、事件当日に逮捕されるとは限らず、被害者からの被害申告や告訴を受けた後、警察が捜査を進めた結果、数か月後や場合によってはそれ以上の期間を経て逮捕されることもあります。
また、不同意性交等罪の公訴時効は原則として15年とされているため、事件後しばらく警察から連絡がない場合であっても、将来的に捜査対象となる可能性があります。
そのため、「時間が経ったから大丈夫」と自己判断するのではなく、不安がある場合には早めに弁護士へ相談することが大切です。
まとめ
不同意性交等罪は、2023年の法改正によって成立範囲が拡大され、重い法定刑が定められている重大犯罪です。
被害申告の内容や証拠の状況によっては、事件から一定期間が経過した後に逮捕されるケースもあります。
もっとも、不同意性交等罪の疑いをかけられた場合であっても、すべての事件で逮捕や起訴に至るわけではありません。
警察からまだ連絡が来ていない段階や、任意の事情聴取を求められた段階であっても、早期に弁護士へ相談し、示談交渉や証拠収集などの適切な対応を行うことで、逮捕や長期の身柄拘束を回避できる可能性があります。
また、事案によっては不起訴処分の獲得や、起訴された場合の量刑上有利な事情につながることもあります。
不同意性交等罪に関する問題に直面した場合には、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談し、適切な助言を受けながら対応を進めることが重要です。
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コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:代表(東京オフィス)
広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。