サマリー
不倫慰謝料の分割払いを提案すると、相手方から保証人を求められることがあります。
支払う意思はあるものの、高額な慰謝料を一括で払うことが難しく、「分割払いにするなら、保証人をつけるしかないのか」と悩む方もいらっしゃるかもしれません。
不倫慰謝料の支払いに、保証人の設定は必須ではありません。
さらに、分割払いや保証人の設定を検討する前に、慰謝料の減額ができる可能性もあるかもしれません。
この記事では、保証人をつけずに解決するための2つの代替案や、慰謝料の減額可能性について解説します。
保証人をつけると、あなただけでなく保証人にも負担がのしかかるため、できたら避けたいと思うのは当然です。
保証人をつけずに解決する方法を、一緒に考えましょう。
不倫慰謝料の支払いに保証人を要求されたら必ずつけないとダメ?
不倫慰謝料の支払いに、保証人をつけることを要求された場合でも、必ず応じなければならないわけではありません。
不倫慰謝料の合意に保証人の設定は必須ではないため、拒否も可能です。
しかし、保証人を要求されたということは、相手方は、あなたを信用できない、または、あなたの支払い能力に不安があると考えている可能性が高いです。
そのため、保証人なしでの示談交渉は難航する可能性があるでしょう。
相手方が直接保証人の候補者に押しかけるリスクも!
示談交渉が平行線のままだと、相手方が直接保証人の候補者に押しかけるリスクがあります。
例えば、相手方があなたの実家を知っている場合には、あなたの両親を保証人にするべく、あなたの実家に押しかける可能性があるでしょう。
保証人の設定(保証契約)は、相手方(債権者)と保証人の書面または電子的記録による合意で成立します。
保証人の設定に、あなたの同意は不要です。
したがって、保証人の設定を拒否する姿勢を続けるだけだと、相手方が直接保証人の候補者に押しかける可能性があるでしょう。
不倫慰謝料の支払いで保証人をつけずに解決する方法は?
保証人の設定を拒否する姿勢を続けるだけでは、話し合いは平行線のままです。
保証人をつけずに解決する代替案として、次の2つが挙げられます。
- 一括で支払える範囲の金額で合意する
- 強制執行認諾文言付き公正証書を交わす
以下、詳しく解説します。
一括で支払える範囲の金額で合意する
一括で支払える範囲の金額で合意する方法です。
示談締結と同時に、慰謝料を一括で支払えば、保証人をつける必要はありません。
したがって、一括で支払える範囲の金額での合意を目指しましょう。
「一括で支払えないから、保証人を立てろと言われているのに…。」と思われた方も多いでしょう。
そもそも、提示された慰謝料額は妥当でしょうか?
相手方から提示された金額をそのまま受け入れてはいませんか?
不倫をした自分が悪いからと、相手の提示額をそのまま受け入れている方もいるかもしれませんが、慰謝料を支払う義務はあっても、不相当な金額を支払う義務はありません。
あなたが、今提示されている金額が不相当な可能性もあります。
その場合、まずは減額交渉を試みましょう。
慰謝料の減額可能性については、次章で解説します。
【補足】
なお、一括で支払える範囲の金額で合意ができた場合でも、必ず示談書を作成しましょう。「一括で支払えるから、その場で払って終わりにしたい。」と考えるかもしれません。
しかし、後日、支払われていない、その額で合意した覚えはないなどと言われるリスクもあります。したがって、慰謝料を支払った事実を証明するためや、慰謝料支払い後のトラブルを回避するためにも、必ず示談書を作成しましょう。
強制執行認諾文言付き公正証書を交わす
強制執行認諾文言付き公正証書を交わす方法です。
強制執行認諾文言付き公正証書とは、慰謝料の支払いが滞った時に、裁判所の訴訟手続きを経ずに給与や預金などの差押え手続きが取れる公正証書の一種です。
具体的には、公正証書に、[債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した。]などの記載がされます。
この文言がない公正証書や私文書(示談書等)では、支払いが滞った場合に差し押さえを行うには、裁判所の手続きを経なければなりません。
つまり、強制執行認諾文言付き公正証書を作成することは、支払いが滞った際に差押えを受けるリスクを自ら受け入れることを意味します。
この方法は、あなたにとって一定のリスクを伴うため慎重な判断が必要ですが、相手方の不安を和らげる材料となるため、保証人なしでの合意を得るための選択肢の一つとなるでしょう。
減額の可能性は?保証人の合意前に慰謝料が妥当か確認すべき
分割払いや保証人の検討をする前に、慰謝料が妥当かを確認しましょう。
次に掲げたケースに当てはまる場合は、慰謝料の減額ができる可能性があります。
- 夫婦が離婚しない場合で、100万円以上の慰謝料を請求されている
- 夫婦が離婚する場合で、150万円以上の慰謝料を請求されている
上記に当てはまらない場合でも、次のような事情がある場合には、減額の可能性があります。
- 夫婦の婚姻期間が短い
- 不倫の期間が短い・不貞回数が少ない
- 社会的制裁を受けている
- W不倫
- 求償権を放棄する
ひとつでも当てはまる事情がある場合には、まずは減額交渉を試みましょう。
不倫慰謝料の減額可能性について、詳しくは「不倫慰謝料の減額を狙えるケースと狙えないケース 」の記事をご参照ください。
保証人なしで不倫慰謝料の合意を目指すなら弁護士にご相談を
保証人なしで不倫慰謝料の合意を目指すなら、一度弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼することで、保証人なしで解決する方法を、一緒に模索してもらえます。
請求額が妥当かどうかの判断
弁護士であれば、請求額が妥当かどうかを判断できます。
慰謝料の金額は、夫婦の状況や交際の態様など、様々な事情を総合して決まります。
ネットを検索すると、おおまかな相場は把握できるでしょう。
しかし、それだけで適切な慰謝料額を判断するのはなかなか難しい部分があります。
もしかしたら、ご自身でも気づいていない減額要素が潜んでいるかもしれません。
弁護士は、交際開始から現在までの状況など、あなたのご事情を聴き取り、適切な慰謝料額を判断します。
弁護士に依頼することで、不相当な金額での合意を避けられるでしょう。
説得力のある減額交渉
弁護士であれば、説得力のある減額交渉が可能です。
あなたひとりで、相手方の譲歩を引き出すのは簡単ではありません。
不倫をした立場である以上、正当な主張をしていても、言い訳に聞こえる可能性があります。
弁護士は、過去の判例などを用いて、根拠と共に妥当な慰謝料額を提示します。
弁護士に依頼することで、減額できる可能性が高まるでしょう。
一括払いによる相手方のメリットの説明
弁護士であれば、相手方に対し、一括払いのメリットを適切に説明できます。
多少の減額をしても、一括払いにすることで、相手方にも慰謝料の支払いが確実になるというメリットがあります。
保証人をつけても、保証人が必ず支払うとは限りません。
強制執行をしようにも、目ぼしい財産がなければ、慰謝料の回収は実現できません。
しかし、多少減額しても、一括での支払いが約束されれば、慰謝料を回収できる可能性は高くなります。
弁護士に依頼することで、一括払いのメリットを説明し、相手方の譲歩を引き出せる可能性があるでしょう。
不倫慰謝料と保証人に関するよくあるQ&A2選
不倫慰謝料と保証人に関するよくある疑問にお答えします。
保証人にならなくても親に不倫慰謝料の支払い義務はある?
原則として、親に慰謝料の支払い義務はありません。
相手方から、「このまま合意ができないなら、あなたの親に慰謝料を請求する!」と言われるケースもあるかもしれません。
しかし、あなたの親に慰謝料請求されても、親が支払う義務はありませんから、慌てず、冷静に対応しましょう。
調停や裁判でも保証人が必要との判断になることはある?
調停や裁判で保証人をつける場合も、当事者双方と保証人の合意が必要です。
以下、調停と裁判それぞれ分けて解説します。
① 調停の場合
そもそも、調停手続きとは、裁判官や調停委員を加えた話し合いを行い、当事者双方の合意で解決を目指す手続きです。
つまり、調停手続きにおいて、保証人を設定する場合には、当事者双方と保証人の合意が必要です。
したがって、あなたが保証人を拒否する場合には、調停手続きにおいて、保証人がつくことはありません。
② 裁判の場合
裁判の場合は、和解による解決と判決による解決の2種類があります。
和解による解決の場合で保証人を設定するためには、当事者双方と保証人の合意が必要です。
当事者双方と保証人の合意があれば、和解の内容に、保証人を設定する条項を盛り込めます。
判決による解決の場合は、保証人がつくことはありません。
不倫慰謝料の支払いを命じる判決は、一括払いが原則です。
したがって、調停、裁判いずれの場合も、あなたが拒否する場合は、保証人がつくことはないでしょう。
まとめ
不倫慰謝料の支払いに、保証人の設定は必須ではありません。
保証人に迷惑をかけたくない、そもそも誰かに不倫がバレたくないと思うのも自然なことです。
一括での支払いや強制執行認諾文言付き公正証書での合意を条件に、保証人なしでの解決を交渉しましょう。
慰謝料150万円以上の請求をされている方は、一度弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼することで、減額できる可能性が高く、保証人なしでの解決が望める場合があります。
ネクスパート法律事務所では、不倫問題に強い弁護士が多数在籍しています。
初回の相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。
コラム監修者
SHIZU ISHIDA
所属:東京オフィス
広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。