更新日:2022年4月26日 (火)
公開日:2021年2月26日 (金)
自己破産の必要書類一覧|入手先や集め方の注意点を解説
サマリー
自己破産の手続きを進めるにあたり、どのような書類を揃える必要があるのか、どこで取得すればよいのか分からず不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
自己破産の申立てには、裁判所所定の申立書類のほか、財産や収入、債務の状況を証明する多岐にわたる資料の準備が求められます。
書類に不備や漏れがあると、手続きの進行に影響が出るおそれもあります。
この記事では、自己破産に必要な標準的な書類一覧やそれぞれの入手先、準備を進める際の注意点について詳しく解説します。
自己破産に必要な書類の全体像

自己破産の手続きを申し立てる際に準備すべき書類は多岐にわたりますが、大別すると「裁判所所定の書式に記入して作成する申立書類」と「申立人が各自で取り寄せて提出する添付資料」の2種類に分かれます。
自己破産の必要書類は、裁判所所定の申立書式と、各自で収集する添付資料の2種類に大別されます。
申立書類は、破産手続開始や免責を求める趣旨を記載する申立書のほか、負債の状況をまとめる債権者一覧表、保有財産を一覧化した財産目録など、裁判所が用意している定型的な書式に基づいて作成するものです。
一方の添付資料は、申立書や目録に記載した内容の客観的な裏付けとして提出するものです。
住民票などの公的証明書、通帳のコピーや保険証券などの財産関連書類、給与明細や確定申告書といった収入証明書類などが該当します。
必要となる書類の範囲は、申立人本人の就労形態や保有財産の状況によっても異なります。
たとえば、会社員などの給与所得者と個人事業主とでは、事業用資産や取引台帳の有無などにより提出を求められる資料の範囲が大きく変わります。
また、自己破産の手続きや提出書式には全国共通の基本的な枠組みがあるものの、運用や必要書類の細かな指定は各地方裁判所(管轄裁判所)ごとにローカルルールが存在する場合があります。
スムーズに準備を進めるためには、申立先の管轄裁判所の運用や自身の生活状況・財産状況に合わせた正確な書類の把握が重要になります。
裁判所の書式に記入する主な申立書類
自己破産を申し立てる際は、管轄の裁判所が用意している所定の書式を用いて、自身の状況を正確に記載した書類を作成する必要があります。
これらの申立書類は、破産手続きの開始原因があるかどうかの判断や、債権者への配当・免責の判断を行うための基礎資料となります。
申立書・債権者一覧表・滞納公租公課一覧表
破産手続開始・免責許可の申立書には、申立人の氏名や住所、生年月日、本籍などの基本情報に加え、申立ての趣旨や理由、過去7年以内の破産歴の有無といった参考事項を記入します。
弁護士などの代理人が就く場合は、代理人の連絡先等も記載します。
債権者一覧表には、借入れを行っているすべての債権者の名称や住所、借入残高、使途、最終返済日、担保や保証人の有無などを一覧でまとめます。
特定の債権者を除外せず、漏れなく正確に記載することが求められます。
税金や国民健康保険料、年金保険料などの公租公課を滞納している場合は、滞納公租公課一覧表を作成します。
役所や納期限、滞納額などを記載し、公的債務の状況を裁判所に示します。
財産目録・陳述書・家計収支表・事業収支実績表
財産目録は、申立人が保有している一切の財産を報告するための書類です。
現金や預貯金口座はもちろん、不動産、自動車、生命保険の解約返戻金、有価証券、退職金請求権(見込額)などの有無や評価額を記載します。
陳述書(報告書)には、過去10年程度の職歴や家族構成、住居状況のほか、借入れが増加して支払不能に至った具体的な経緯や免責不許可事由の有無などを詳しく記入します。
家計収支表では、申立前2か月分などの家計全体の収入と支出の内訳を報告し、現在の生活実態を明らかにします。
申立人が個人事業主である場合は、追加で事業収支実績表を作成し、直近半年分程度の売上、仕入額、経費などの月別推移をまとめて提出します。
自分で収集する主な添付資料と入手先一覧
自己破産の申立てでは、裁判所の書式に記入する書類のほかに、申立人の身元や生活実態、財産および負債の正確な状況を裏付けるための添付資料をご自身で集める必要があります。
身元や居住関係を証明する書類
管轄裁判所の確認や世帯状況の把握のため、市区町村役場で住民票を取得します。住民票は世帯全員および本籍地の記載があり、マイナンバーの記載がないものを準備するのが一般的です。
また、事案に応じて戸籍謄本が求められる場合があるほか、賃貸住宅にお住まいの場合は賃貸借契約書のコピーを提出し、居住関係を証明します。
財産・収入・債務を証明する資料
財産に関する資料としては、直近2年分の預貯金通帳のコピーや、保険会社が発行する解約返戻金証明書、不動産を所有している場合の登記事項証明書や査定書などが該当します。
給与所得者の場合は、直近2〜3ヶ月分の給与明細書や直近2年分の源泉徴収票、勤務先から取得する退職金見込額証明書などの収入・財産関連書類を準備します。
負債関係では、借入れ時の契約書や各債権者からの取引履歴のほか、税金や社会保険料の滞納がある場合は納税通知書や督促状の写しが必要です。
個人事業主の場合に追加で必要となる事業関連資料
個人事業主が自己破産を申し立てる際は、事業実態や資産・負債の内訳を明らかにするため、直近2期分の確定申告書控に加えて各種の事業関連帳票を提出します。
具体的には、売掛台帳や請求書控、現金出納帳、事務所や工場の賃貸借契約書、火災保険証券などが挙げられ、事業活動の内容に応じた資料の収集が求められます。
主な添付書類と入手先の一覧
| 分類 | 主な必要書類 | 入手先 | 主な対象・備考 |
|---|---|---|---|
| 身元・居住 | 住民票(世帯全員・マイナンバー記載なし) | 市区町村役場 | 発行後3ヶ月以内のもの |
| 身元・居住 | 賃貸借契約書(コピー) | 自己保管 | 賃貸物件に居住している場合 |
| 財産 | 預貯金通帳(直近2年分) | 自己保管(金融機関) | 記帳を済ませたもの |
| 財産 | 保険証券・解約返戻金証明書 | 保険会社 | 生命保険・積立型保険の加入者 |
| 財産 | 退職金見込額証明書 | 勤務先 | 退職金制度がある給与所得者 |
| 収入 | 給与明細書(直近2〜3ヶ月分)・源泉徴収票 | 勤務先 | 給与所得者 |
| 収入 | 確定申告書控(直近2期分) | 自己保管 | 個人事業主 |
| 収入 | 課税証明書・非課税証明書 | 市区町村役場 | 申告書控等がない場合・無職の方 |
| 債務 | 取引履歴・借用書等の写し | 各債権者・自己保管 | 借入状況の確認資料 |
| 事業関連 | 売掛台帳・現金出納帳等 | 自己保管 | 個人事業主(該当取引がある場合) |
公的機関や金融機関から取得する証明書類には、発行後3ヶ月以内などの有効期限が設けられている場合があるため、収集の順序に配慮して準備を進めることが大切です。
自己破産の書類を準備する際の注意点
財産の隠匿や虚偽申告・記載漏れのリスク
自己破産の申立てにおいて提出する各種書類には、事実を正確に記載する必要があります。
手持ちの財産を少なく見せようと意図的に隠したり、申立書や財産目録に虚偽の内容を記載したりする行為は認められません。
意図的な財産隠しや虚偽申告だけでなく、債権者の記載漏れや財産の申告漏れにも注意が必要です。
これらは免責不許可事由に該当する可能性があり、最終的に借金の免除(免責)が認められなくなるおそれがあります。
提出書類や取引履歴などから事実関係は調査されるため、すべての財産や債務の状況を正確かつ正直に申告することが極めて重要です。
書類不備や追加提出要請に応じない場合の影響
自己破産の手続きを進めるにあたっては、管轄の裁判所が指定する書類を漏れなく揃えて提出しなければなりません。
必要書類に不備や不足がある場合、申立ての手続きが円滑に進まない原因となります。
申立後においても、裁判所や破産管財人から過去の取引内容や財産の詳細について追加資料の提出を求められることがあります。
こうした指示に対して正当な理由なく対応を怠ると、手続きの遅延を招くだけでなく、免責判断において不利益を受けるリスクが生じます。
書類の収集や記載方法に不明な点がある場合は、自己判断で書類を省略したり放置したりせず、事前に弁護士などに確認しながら不備のない形で準備を進めることが大切です。
自己破産の必要書類に関するよくある質問
自己破産の必要書類を集める際には、家族への影響や勤務先への対応、裁判所から求められる特有の書類などについて疑問を抱く方が少なくありません。
ここでは、書類準備に関して実務上よく寄せられる質問と一般的な解説をまとめました。
Q. 同居家族や配偶者の収入・財産に関する書類も提出する必要がありますか?
自己破産の手続きでは、申立人本人だけでなく世帯全体の経済状況や家計収支の妥当性を確認するため、同居家族や配偶者の給与明細書や預貯金通帳の写しなどの提出を求められるケースがあります。
また、申立人の口座から家族名義の口座へ不自然な資金移動があった場合や、申立人の財産を家族名義に変更した経緯がある場合なども、財産隠しの有無を確認する目的で家族関連の資料提出が指示されることがあります。
Q. 退職金見込額証明書を取得する際、勤務先に自己破産することが知られてしまいますか?
退職金見込額証明書の発行を勤務先に依頼する際、会社側から使用目的を尋ねられることがあります。
会社に対して自己破産の事実まで開示する法的義務はなく、ライフプランの設計や住宅ローン等の見直しといった一般的な名目を伝えるケースも見られます。
勤務先の事情により証明書の発行自体が困難な場合は、就業規則や退職金規程のコピーを提出し、支給額の計算式を用いて見込額を算出・報告する方法で代用が認められることもあります。
Q. 自己破産の手続きにおいて反省文の提出を求められることはありますか?
すべての申立人に反省文の提出が義務付けられているわけではありません。
しかし、借金の主たる原因がギャンブルや浪費といった免責不許可事由に該当する場合や、過去に破産申立ての経験がある場合などには、反省文や生活改善の誓約書の提出を促されることがあります。
反省文を通じて借金に至った経緯を真摯に振り返り、今後の生活再建の意思を示すことは、裁判所が裁量免責の可否を判断する際の重要な考慮要素の一つとなります。
Q. 書類を準備する過程で同居家族に手続きのことが知られてしまうでしょうか?
同居している家族がいる場合、家計全体の収支状況を記載する家計収支表の作成や、配偶者の収入証明書・公共料金の領収書などを集める過程で、手続きの存在を完全に伏せて進めることが困難になる場面があります。
隠したまま無理に進めると書類の不備や提出遅延につながるおそれもあるため、同居家族には状況を誠実に説明して協力を得る形で書類収集を進めることが現実的な対応となる場合も少なくありません。
自己破産の書類収集・手続きに関する弁護士への相談
自己破産の申立てには多くの書類が必要となり、記載内容の正確さや網羅性が求められます。
ご自身だけで多岐にわたる資料を集めて不備のない申立書を作成することに不安がある場合は、弁護士への相談を検討するのが一般的です。

弁護士による書類収集・作成サポートの流れ
弁護士に自己破産の手続きを依頼した場合、各債権者に対する受任通知の送付や取引履歴・債権調査票の取り寄せといった作業は、基本的に弁護士が代理人として進めます。
住民票や課税証明書、給与明細など、本人の申請が必要な書類については、どのような資料をどこで取得すればよいのか具体的な案内を受けることができます。
取得方法が分からない書類がある場合でも、手順を確認しながら準備を進められます。
集まった添付資料や聞き取り内容をもとに、申立書・財産目録・陳述書などの裁判所提出書類を弁護士が作成します。
申立書類の作成や債権者・裁判所との連絡対応を任せることで、書類の不備や記載漏れを防ぎやすくなります。
複雑な調査や申立準備を適切に進めるための相談窓口
保有財産の種類が多い場合や過去の取引履歴が複雑な場合、事前の調査や整理が不十分であると、裁判所から追加書類の提出指示が出されるなど、手続きの進行に時間を要することがあります。
各地の弁護士会や法テラス(日本司法支援センター)、法律事務所などでは、借金問題や自己破産手続きに関する相談窓口が設けられています。
費用面での支援制度が利用できる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
必要書類の収集や作成を適切に行うことが、裁判所での円滑な審理につながります。
手続きに不安を感じる点がある場合は、弁護士へ相談してみることをおすすめします。
コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:代表(東京オフィス)
広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。