更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2024年12月9日 (月)

ネット上の恋愛を理由とした不倫慰謝料請求は認められる?

ネット上の恋愛を理由とした不倫慰謝料請求は認められる? ネット上の恋愛を理由とした不倫慰謝料請求は認められる?

サマリー

近年、SNSやオンラインゲームなどのネット上で知り合った異性とメッセージや音声通話などを利用して恋愛を楽しむケースが増加しています。たとえ実際に会っていないとしても、異性と愛情表現や性的なやり取りをしている配偶者を目の当たりにしたら、ショックを受けるのも無理もありません。

この記事では、ネット上での恋愛を理由に不倫慰謝料を請求したいと考えているあなたに知ってほしいことをまとめています。
感情的になって行動を起こす前に、ご一読いただければ幸いです。

ネット上の恋愛を理由とした不倫慰謝料請求は認められる?

配偶者がネット上で知り合った異性と恋愛していることが発覚し、不倫慰謝料を請求したいと考えていませんか?

メッセージや音声通話などのやり取りだけで不倫慰謝料請求が認められるかどうか、詳しく解説します。

 

不倫慰謝料は原則として認められない

ネット上で恋愛をしているだけでは、不倫慰謝料請求は認められない可能性が高いです。SNSやオンラインゲームなどネット上でのやり取りは、不倫(不貞行為)には該当しないためです。

 

慰謝料の発生原因である不貞行為とは、既婚者が配偶者以外の者と肉体関係を持つことをいいます。肉体関係がなければ、原則として慰謝料の支払い義務は発生しません。たとえ愛情表現が含まれていたとしても、ネット上のやり取りだけで肉体関係がない場合は、不倫慰謝料請求が認められる可能性は低いでしょう。

 

婚姻破綻の原因となれば離婚慰謝料が認められる可能性はある

ネット上のやり取りが婚姻破綻の原因となれば、離婚慰謝料が認められる可能性はあります

 

例えば、配偶者がSNSやオンラインゲームで出会った異性に夢中になりすぎて働かないため家計がひっ迫している、家事や育児に協力せず夫婦の会話も全くない、といった状況です。ネット上でのやり取りだけでも、それが原因で離婚に至ったのであれば、離婚慰謝料が認められるかもしれません。

 

ネット不倫の証拠を掴みたいと考えているあなたに伝えたいこと

ネット上のやり取りから不倫の証拠を掴みたいと考えている場合は、以下の点に注意しましょう。

 

  • 配偶者のアカウントに無断でログインするのは違法行為
  • 違法に収集した証拠は訴訟で証拠能力が否定される可能性がある

 

配偶者のアカウントに無断でログインするのは違法行為

証拠収集のためでも、配偶者のアカウントに無断でログインするのは違法行為です。

 

配偶者のIDやパスワードを無断で使用してアカウントにログインする行為は、不正アクセスに該当するためです。
不正アクセス行為をした場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます(不正アクセス行為の禁止等に関する法律第11条)。

 

別のデバイスから無断でログインすると不正なログインとしてユーザーに通知されたり、ログイン履歴が確認できたりするものもあります。そのため、配偶者が不審なログインに気づく可能性もあります。

 

ネット上のやり取りの内容を確認するために、配偶者のSNSやオンラインゲームのアカウントに無断でログインすることはやめましょう

 

違法に収集した証拠は訴訟で証拠能力が否定される可能性がある

違法に収集した証拠は、訴訟で証拠能力が否定される可能性があります

 

民事訴訟においては、刑事訴訟のように違法収集証拠を排除するという明確なルールはありませんが、違法収集証拠の証拠能力が常に認められるわけではありません。

 

東京高裁昭和52年7月15日判決は、著しく反社会的な手段を用いて人の精神的肉体的自由を拘束するなどの人格権侵害を伴う方法によって収集されたものである場合には、証拠能力が否定されると述べています。この考え方によれば、よほど不当な方法で取得された証拠でなければ、証拠として採用されるでしょう。

 

しかし、これと異なる見解を示す判例もあります。

 

東京地裁平成21年12月16日判決では、著しい反社会的手段が用いられた場合に限って排除されるとすべき根拠はないとして、違法に入手した証拠を排除しています。この事例では、原告が、自身の妻Aと被告との不貞行為の証拠として、Aと被告間のメール文のデータを提出していますが、これは原告がAの承諾を得ることなく携帯電話機を操作し、同携帯電話機のチップを外して自身のパソコンに取り込んだものでした。裁判所は、配偶者の不貞を疑った場合に、配偶者の信書や携帯電話機等のメールを見たり、その内容を自ら保存したりすること等が一般的に許されるとはいえないとし、本件メール文を違法に入手した証拠として排除しました。

 

違法に収集された証拠に証拠能力が認められるか否かの判断は、それぞれの状況により異なるため、簡単ではありません。

以下のような方法で収集した証拠は、訴訟で証拠能力が否定される可能性はゼロではないことを念頭に置いておきましょう。

 

  • 配偶者のアカウントに無断でログインしてメッセージなどのやり取りを確認した場合
  • 配偶者の承諾なく監視カメラを設置し、オンラインゲームのチャット内容を確認した場合
  • 配偶者の承諾なく音声通話機能を利用した会話を録音した場合

 

SNSやオンラインゲームでの交流から不倫に発展している可能性も

SNSやオンラインゲームでの交流がきっかけとなり、不倫に発展している可能性もあります

 

ネット上のやり取りで親密な関係となり、メールやLINE、電話で連絡を取り合ったり、直接会っていたりするケースは少なくありません。

電話やLINEで肉体関係を匂わせる会話があった場合は、不倫(不貞行為)の証拠を収集しておくことをお勧めします。不貞行為の証拠がなければ、慰謝料を請求しても、言い逃れをされるおそれがあるためです。

 

以下のようなものは、不貞行為を立証する有力な証拠となるでしょう。

 

  • 肉体関係を持ったことがわかるLINEやメッセージのやり取り
  • 肉体関係を持ったことがわかるドライブレコーダーの音声
  • 裸や下着姿で抱き合っている写真や動画
  • ラブホテルの領収書

 

不倫の慰謝料請求で有効な証拠について、詳しくは「浮気・不倫の慰謝料請求で有効な証拠|LINEやメールだけでも請求できる?」をご参照ください。

 

不貞行為は人目につかない密室で行われるケースが多いため、有力な証拠を収集するのは簡単ではありません。十分な証拠を得られない場合は、探偵や興信所に調査を依頼するのも選択肢のひとつです。

ただし、調査費用が高額になるケースも少なくないため、依頼前に見積もりをとることをお勧めします。

 

まとめ

SNSやオンラインゲームなどネット上でのやり取りだけでは、不倫慰謝料請求は認められない可能性が高いです。しかし、配偶者のネット上のやり取りが婚姻破綻の原因となった場合は、離婚慰謝料が認められる可能性はあります。

 

SNSやオンラインゲームでの交流やオフ会などをきっかけに不倫に発展しているケースもみられるため、落ち着いて状況を見極めることが大切です。配偶者の裏切りともいえる行為が発覚したら動揺するのも無理もありませんが、冷静な対処を心がけましょう。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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