NMNのサプリメントと薬機法の留意点を弁護士が解説

NMNのサプリメントと薬機法の留意点を弁護士が解説します。

目次

NMNとは、薬機法との関係

NMN(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)について、アンチエイジングを中心とする美容やガン治療においても注目されており、商材が増えてきています。

NMNとは、どのような効能効果があるのか、ここでは割愛しますが、後記の表現例のような内容が巷でささやかれています。

NMNは、ブロッコリー、枝豆、アボカドなどに含まれる成分であり、NMNという成分に、どのような効能効果があるということを、webや紙媒体で公表することは問題ありません。

しかし、そこに商品名を加えると、その商品にそのような効能効果があるという「医薬品的な効能効果の標ぼう」となり、最悪は薬機法違反でいきなり逮捕される可能性があります(未承認医薬品の広告や販売の罪)

NMNは高単価であることや、注目の成分であることからしても、薬機法について、十分留意して広告や販売をする必要があります。

そこで、薬機法違反となる表現、ならない表現について、簡単にまとめたいと思います。

なお、薬機法は、その商品の販売や広告に関して適用されるものであり、医師が医療行為として処方する場合には、別途、医療法の問題が生じえます。ここでは、サプリメント、健康食品や化粧品などを販売することに関して解説したいと思います。(医療については別途お問合せください。)

NMNが医薬品に該当?

NMNに限りませんが、サプリメントや健康食品は、「医薬品的な効能効果の標榜」がNGです。

くだけて言えば、医薬品っぽい表現はNGということになります。

では医薬品とは何か? 薬機法の定義から、以下の2つに該当するような物が医薬品ですので、そのような表現をしないように注意しましょう。

  1. 人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等でないもの
  2. 人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの

NG表現例

ガン
糖尿病
アルツハイマー病
不眠症
神経疾患
動脈硬化
脳内出血
虚血再灌流障害

→特定の疾病を出すのは即NGです。疾病の治療や予防を暗示させる結果となることは明らかですので、医薬品的な効能効果の標ぼうとなります。

眼機能
肌艶がよくなった
目の機能向上
体力がよみがえる
頭がスッキリする
思考力・集中力が高まる
代謝が上がる
熟睡できる
運動中の呼吸が楽になる
エストロゲンの上昇
肌のキメがアップ
ミトコンドリアの活性化
老化、アンチエイジング
(運動や適度な食事制限なく)痩せた

→身体の機能または構造に影響を及ぼすような効能効果の表現はNGです。

微妙な表現

年齢に負けない力を補助、サポート
NMNは加齢により失われる成分
40代に嬉しい。
医師と共同開発、医師監修
エネルギーを生み出す
朝が気持ちいい、シャキッと
夜まで元気でいられる

→身体の機能または構造に影響を及ぼすような効能効果といえるかどうか、微妙な表現です。現状では、このような表現をしている広告主は多いです。結局は総合考慮して、一般ユーザーがその商材を「医薬品」であると思うか思わないかという点がポイントになります。

可能な表現(事実であることが前提)

若々しく(若返るのではなく)
エイジングケア(若返るのではなく、年齢に応じたケアという趣旨で)
表情が明るくなった、生き生きとしている。
女性に嬉しい。
運動や適度な食事制限をあわせて痩せた(実際に痩せたというエビデンスは必要)
健康をサポート、健康維持
栄養を補う
注目されている成分
贅沢な成分、贅沢に配合
食物からとれるのはわずか、希少な成分
成分の純度に関する説明

→抽象的な表現にならざるをえませんが、医薬品としての承認を得ていない以上、それは仕方のないことだということになります。

NMNと景品表示法について

薬機法だけではなく、景品表示法についても注意しなければなりません。

優良誤認表示といって、その商材の実際の品質よりも著しく優良であるかのような表現はNGとなります。

この点において、エビデンスが必要、ということになります。

NMNについては論文も出ている思いますが、実際に、その商材に含まれるNMNの量や純度から、表示する効能効果が得られることを実証できなければなりません。

クリニックでNMNを販売する場合

クリニックで、NMNを医療行為として処方しつつ、サプリメントも販売するということが行われています。

その場合、医療法だけでなく薬機法のルールも守らなければなりません。

医療法では一定のルールに従って施術効果を表現することは可能ですが、その効果と、サプリメントの販売を併記して、NMNについて「医薬品的な効能効果を標ぼう」することは非常に危険です。

現にそのようなクリニックは多く存在しますが、薬機法違反でいきなり逮捕される可能性があります。

そのようなことがないよう、十分にご留意ください。

当事務所では、月額5万5000円、解約縛りなしで、薬機法・医療法・景表法を中心とする法律顧問業務を行っております。
お気軽にお問合せください。

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ネクスパート法律事務所
代表弁護士 寺垣 俊介
(第二東京弁護士会)

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