オンライン診療受診施設に関する広告規制とは – 令和8年4月改正で新設された規制の全体像

オンライン診療受信施設に関する 広告規制とは 令和8年改正で新設された規制の全体像
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はじめに

令和8年4月1日、医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)が施行され、これに合わせて医療広告等ガイドラインも改正されました(最終改正:令和8年3月30日)。

代理店業務に直接影響する最も大きな変更点は、「オンライン診療受診施設」という新しい施設類型に関する広告規制が新設されたことです。 本連載では、医療広告分野の対応を行う弁護士の立場から、改正の実務上のポイントを全3回にわたって解説します。第1回は、オンライン診療受診施設という新しい施設類型と、それに対する広告規制の全体像を整理します。 (参考)厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」

令和8年4月改正の概要

これまでオンライン診療は、厚生労働省の通知(オンライン診療の適切な実施に関する指針等)による解釈運用で実施されてきました。今回の改正により、医療法上にオンライン診療の定義が置かれ、患者がオンライン診療を受ける場所として「オンライン診療受診施設」が新たな医療提供施設として位置づけられました。 これに伴い、広告規制の側でも次の改正が行われています。 第一に、ガイドラインの略称が「医療広告ガイドライン」から「医療広告等ガイドライン」に改められました。新たに「医療広告等」という総称が導入され、医療広告とオンライン診療受診施設に関する広告を包括する概念として用いられています。 第二に、ガイドラインに第4部「オンライン診療受診施設に関する広告」が新設されました。Q&Aにも、Q4-1とQ4-2の2問が新設されています。 (参考)

オンライン診療受診施設とは何か

オンライン診療受診施設とは、その施設の設置者が、業として、オンライン診療を行う医師または歯科医師の勤務する病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院に対して、患者がオンライン診療を受ける場所として提供する施設をいいます(医療法2条の2第2項)。

イメージとしては、駅前やオフィスビル内に設置される「オンライン診療を受けるためのブース・個室」のような施設が想定されます。設置者が医療機関に対して場所を提供し、医療機関の医師がそこにいる患者に対してオンライン診療を行う、という構造です。

ここで押さえておきたいのは、受診施設は「自ら主体的に医療を提供するものではない」という点です。医療を提供するのはあくまで提携先の医療機関であり、受診施設はその場所を貸しているにすぎません。この点が、受診施設に関する広告規制の構造に大きく影響します。

(参考)医療法 – e-Gov法令検索

医療広告と受診施設広告の規制構造の違い

両者は「誘引性」「特定性」を要件とする点では共通しますが、規制の建付けが大きく異なります。 医療広告(医療法6条の5)は、原則として広告可能な事項が限定されています。法令で定められた事項以外は、何人も広告できないのが原則であり、ウェブサイト等で限定解除要件を満たした場合に限って例外的に追加事項の広告が認められます。 これに対し、受診施設広告(医療法6条の7の2)は、「医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合」(医療法施行規則1条の10の2)であれば広告可能とされています。受診施設は自ら医療を提供するものではないため、施設運営に関する情報については医療機関ほどの情報非対称性が想定されず、規制の必要性が相対的に低いと整理されたためです。

ただし、これは規制が緩いという意味ではありません。受診施設広告には景表法等の一般的な広告規制が適用されますし、第2回で解説するとおり「医療を提供するものではない旨の明示」という独自の要件が課されます。

なお、受診施設において提供される医療の内容自体については、医療広告として規制されます。たとえば「○○受診施設では××病院の医師による糖尿病治療が受けられます」という広告は、「糖尿病治療」の部分が医療広告として医療法6条の5の規制対象になります。

第1回まとめ

  • 令和8年4月の医療法改正により、「オンライン診療受診施設」が新たな医療提供施設として法定化された。
  • これに対応してガイドラインに第4部が新設され、受診施設に関する広告規制が新たに設けられた。
  • 受診施設は自ら医療を提供する施設ではないため、医療広告とは異なる規制構造が採用されている。
次回(第2回)は、受診施設広告を制作する際の実務ポイント(明示要件、広告可能事項、紛らわしい名称の禁止、広告主体の問題等)を解説します。 弁護士 津江誠
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