オンライン診療において、院内調剤を発送する際の留意点

医療コンサルタント等が、オンライン診療をサポートするために、院内調剤の保管や発送の事務を請け負うことが認められるかという質問を多く受けています。

しかし、そもそも院内調剤が認められるための診療所・病院の調剤所には構造設備要件があり(医療法23条1項、医療法施行規則16条1項14号)、診療所等の開設許可申請にあたって、同要件に該当することを示す事項についても記載・提出していなければなりません。

十四 調剤所の構造設備は次に従うこと。
イ 採光及び換気を十分にし、かつ、清潔を保つこと。
ロ 冷暗所を設けること。
ハ 感量十ミリグラムのてんびん及び五百ミリグラムの上皿てんびんその他調剤に必要な器具を備えること。

医療法施行規則16条1項

AGAや勃起不全の医薬品は、実際のところ粉末の薬を配合するなどの本来の調剤で必要とされる技術や環境は必要ないかもしれませんが、診療所・病院の外で保管することは、上記のルールの趣旨に反することになります。

そこで、診療所・病院の外で調剤することはもちろん、保管することも認められないと解することが無難です。

では、医療コンサルタント等が、オンライン診療をサポートするために、院内調剤の保管や発送の事務を請け負うことは一切認められないのか、というとそうでもありません。

コロナ禍での時限的措置に関する厚生労働省の通達には以下の記載があります。

( 4 ) 薬剤の配送等について
調剤した薬剤は、患者と相談の上、当該薬剤の品質の保持(温度管理を含む 。)や、確実な授与等がなされる方法(書留郵便等)で患者へ渡すこと。薬局は、薬剤の発送後、当該薬剤が確実に患者に授与されたことを電話等により確認すること。
また、品質の保持(温度管理を含む。)に特別の注意を要する薬剤や、早急に授与する必要のある薬剤については、適切な配送方法を利用する、薬局の従事者が届ける、 患者又はその家族等に来局を求める等、工夫して対応すること。
患者が支払う配送料及び薬剤費等については、配送業者による代金引換の他、銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済等の支払方法により実施して差し支えないこと。

クロネコヤマトや佐川急便は、荷物を預かって保管し、運送して近くの営業所でまた保管し、その後配達するということになりますが、その過程で、さらにクロネコヤマト等から外注された業者も取り扱うことになります。しかし、このような方法により配送業者が一時的に保管することは認められているということになります。

そうであれば、医薬品の保管場所は、診療所・病院としながらも、医療コンサルタント等が、配送業者として、一時的に荷物を預かるということは可能であると考えられます。

その場合、配送業者としての貨物自動車運送事業法等の法律に服することになります。

例えば、軽自動車を用いるのであれば「貨物軽自動車運送事業」として、運輸支局に事業の届出を行うことが必要になります。

また、ウーバーイーツなど自転車や徒歩であれば、特に許可は必要ないという解釈がなされているようです。

配送業者として受注して荷物を預かり、徒歩でクロネコヤマトに持ち込んでさらに外注するという構造は、クロネコヤマトがさらに下請けに外注しているというのと同じ構造を一つ増やすだけですので問題ないという解釈ができるように思います。

具体的なスキームの適法性については、弁護士、厚生労働省・国土交通省の担当課等へお問い合わせください

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