雑貨、医療機器、プログラム医療機器の区別と輸入について

「新商品を、医療機器としての承認を受けずに、雑貨として売りたいのですが可能でしょうか」という相談を日々いただいております。

同様のご相談がございましたら、ぜひお問合せください。同業の弁護士からの相談も受け付けております。

また、雑貨であることを前提に輸入をされたいという場合、ざっくり言うと、税関前であれば薬務課、税関で止められた場合は厚生局との折衝が必要になります。

その場合は通関業者と当事務所で連携して対応させていただくこともできますので、こちらについてもぜひお問合せください。

以下では、これに関して理論的な整理と、実務的にどのような手続を執るべきか、解説いたします。

目次

なぜ区別が必要か

日本国内で、雑貨は自由に製造・輸入・販売することができますが、医療機器は、製造・輸入・販売に関して、*薬機法で大きな規制を受け、違反すれば刑事罰を受ける恐れもあります。

最近ではアプリなどがプログラム医療機器に該当するか、という点について、ステークホルダーも敏感で、コンプライアンス、資金調達や上場審査の際には必ず問題になります。

そこで、ある商品を雑貨として販売したいという場合に、何が雑貨で、何が医療機器なのか、区別して、薬機法に違反しないように態勢を整える必要があります。

医療機器として承認を受けるには、時間とコストがかかるので、できれば雑貨として販売したいという事業者が多いです。

例えばApple Watchは2015年に発売開始されましたが、日本で医療機器として承認を受けたのは2020年9月です。承認を受けるまでに相当の時間とコストがかかっていることが伺えます。

雑貨として販売するためにはどうすれば良いかを中心に、以下解説いたします。

*薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。

参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

医療機器の定義

雑貨であるか医療機器であるかは、その商品の使用の「目的」と「機能」から検討すべきことになります。最終的には「目的」が大事になります。

なぜなら、医療機器とは、薬機法2条4項で、以下のように定義されているからです。

この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。

薬機法2条4項

つまり、

  1. 人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されることが目的

または、

  1. 人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的

が目的の機械器具等が医療機器に該当することになります。

逆に言えば、雑貨として販売したいのであれば、この定義に当てはまらないように工夫することが重要です。

ただ、「目的」の設定は、取扱説明書や広告の表示などである程度自由に操作できてしまいます。

そこで、実際の「機能」にも着目して判断がされることになります。

例えば、健康雑貨や玩具などの目的を設定して販売していても、実際には疾病の治療や診断をする機能が備わっていれば、それは雑貨として販売することができないということになります。

以上の通り、雑貨か医療機器かの区別は、「目的」と「機能」からすることになります。

プログラム医療機器の定義

上記の薬機法2条4項の最後に「政令で定めるもの」と書かれています。

この政令は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」と言います。

参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令

この施行令の第1条には以下のように記載されています。

(医療機器の範囲)
第一条 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第二条第四項の医療機器は、別表第一のとおりとする。

この別表第一に以下のようにプログラム医療機器が定義されています。

プログラム
一 疾病診断用プログラム(副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを除く。次項第一号において同じ。)
二 疾病治療用プログラム(副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを除く。次項第二号において同じ。)
三 疾病予防用プログラム(副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを除く。次項第三号において同じ。)

つまり、疾病の診断・治療・予防に用いるプログラムで、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に影響を与える恐れがほとんどないとは言えないものがプログラム医療機器に該当するということになります。

より具体的な判断方法や事例については、厚生労働省の以下の指針を参考にして検討します。

プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインについて(薬生機審発 0331 第1号/薬生監麻発 0331 第 15 号/令和3年3月31日)

プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について(薬食監麻発 1114 第5号/平成 26 年 11 月 14 日)

実務的な手続

(1)厚生労働省の窓口

プログラム医療機器の該当性については、基本的に厚生労働省の窓口にメールで相談ということになっています。

返信までに時間がかかり、いつ判断をもらえるのか見通しが立ちにくいというのが難点です。

最終回答まで2~3カ月かかるということもあります。

【窓口】

厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課

連絡先 samd-gaitousei@mhlw.go.jp

プログラムの医療機器該当性の相談について(事務連絡/令和3年3月 31 日)

(2)福祉保健局薬務課

通常の医療機器であれば、都道府県の薬務課に相談に行くことになります。

プログラムが含まれる場合でも相談に乗っていただくことができることは多いので、こちらで済むようであればこちらにお世話になるのがお勧めです。

東京都であれば以下の窓口に電話をして、商品の概要が分かる資料などを持参することになります。

予約の混雑状況等は電話で聞いてみてください。

【窓口】

東京都福祉保健局 監視指導担当03-5320-4512

輸入について

医療機器に該当する場合、輸入には逐一許可が必要です。

そのため、医療機器に該当する可能性のある商品を輸入しようとすると、税関で止められます。

止められてしまうと、厚生局に、これは医療機器ではないのだということを説明しに行かなければなりません。

これから輸入しようという場合は、上記の薬務課への相談に行くことになります。

もし不用意に進めて医療機器であるとみなされてしまうと、輸入ができずに国内販売も当然できないということになります。

一度医療機器であるとみなされると挽回は難しいです。

雑貨の輸入に関しては、通関業者等と連携して丁寧に進める必要があります。

雑貨の広告について

雑貨を販売するために広告を出す場合、その「目的」や「機能」が医療機器に該当するかのような表示は行ってはなりません。

この点についても広告表示を精査し、違反することが内容留意しなければなりません。

ネクスパート法律事務所で対応できるサービス

薬機法に精通した弁護士は日本で数が少ないです。

なぜなら、薬機法はいわゆる六法には含まれず、司法試験にも出ないからです。

そんな中、ネクスパート法律事務所は、あえてこの分野を強みとして日々多くの相談を受け、成長しています。

弁護士も、初めて聞いた相談の場合、それを調べるために時間的コストがかかります。

しかし、同じ内容の相談の場合は2回目から即答できますので、時間的コストがかからず、費用は安く、正確な回答をすることができます。

ネクスパート法律事務所では以下のようなご依頼に対応しております。

  • 商品を雑貨として販売するための事業設計サポート
  • 医療機器該当性についての意見書作成
  • 厚生労働省、薬務課等の対応
  • 商品の広告表示に関するリーガルチェック
  • 輸入に関する通関業者と連携したサポート
  • その他一般的なリーガルサポート(契約書作成、労働トラブル、クレーマー対応、債権回収、風評被害対策等)

多くの法律事務所は、事業設計や意見書の作成について数十万円から100万円以上となることもありますが、ネクスパート法律事務所では、繰り返し同様の案件を対応していることから効率化し、比較的リーズナブルに対応させていただくことができます。

ネクスパート法律事務所では、原則顧問契約(最低6カ月)を締結していただき、月額5万5000円(税込)で、3時間まで稼働させていただきます。

業務が多くなる月は3時間を超える場合もありますが、超えなかった場合は3カ月まで持ち越しが可能です。

専門性高く、かつリーズナブルに対応しておりますので、ぜひ一度無料相談のお問い合わせをください。

よろしくお願いします。

目次
閉じる