筋肉増強サプリの課徴金納付命令について

令和3年11月18日、食品等の通信販売業等を営む法人に対して、6627万円の課徴金納付命令が下されました。

目次

概要

  • 「※適度な食事と運動後の一例の個人の感想で結果には個人差がございます。」
  • 「理想の体※2」との表示について「※2 健康的で美しい体」
  • 「細マッチョ」との表示について「※細マッチョを目指した運動・食事管理への栄養補給」

このような打消し表示をすることにより、あたかも、健康的な食事や運動と共に、「ファイラマッスルサプリHMB」と称する商品(以下「本件商品」という。)を、毎日4粒を目安に摂取し続ければ、本件商品に含まれる成分の作用により、効率よく筋肉増強効果及び痩身効果が得られるかのように示す表示をしていました。

消費者庁は、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出されましたが、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものでした。

その結果、同法人に対して、6627万円の課徴金納付命令が下されました。

資料を提出したとしても、「適度な運動と食事管理の補助」として摂取した結果、「効率よく筋肉増強効果及び痩身効果」が得られるという客観的に実証された内容のものでないと、不当表示とみなされてしまいます。

優良誤認表示とは?

  1. 商品やサービスの内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示
  2. 商品やサービスの内容について、事実に相違して競争事業者よりも著しく優良であると一般消費者に示す表示

優良誤認表示の不実証広告規制とは?

消費者庁は、商品やサービスの効果や性能に優良誤認表示の疑いがある場合、その事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。

  1. 期限までに資料が提出されない。
  2. 合理的なものとは認められない。

①②のような場合には、不当表示と認定されます。

強調表示と打消し表示の関係性とは?

強調表示(目立つ表現を使用し、商品の内容や取引条件を強調した表示)の訴求している内容が商品やサービスの実際を反映していることが原則となります。

そのため、打消し表示は、強調表示だけでは一般消費者が認識できない例外条件、制約条件等がある場合に、例外的に使用されるべきとされています。

強調表示と打消し表示が矛盾するような場合には、一般消費者に誤認され、景表法上問題となるおそれがあります。

強調表示をする場合には?

  • 打消し表示がなくても強調表示だけで、商品やサービスの内容や取引条件の実際を一般消費者が認識できるような内容とすることが求められます。
  • やむを得ず、強調表示と共に打消し表示する場合でも、打消し表示の内容を誰にでもわかりやすくし、強調表示と打消し表示が一体として認識できるようにする必要があります。

以下の表は、自社ウェブサイトにて実際に表示されていた強調表示と打消し表示です。

打消しの対象となる表示 対応する打消し表示

理想の体※2

※2健康的で美しい体

細マッチョ※ ※細マッチョを目指した運動・食事管理への栄養補給
ビルドアップ※ ※筋トレ後の栄養補給
プロテインよりボディメイク※2の実感度アップ! ※2健康体構築
筋肉サプリ※2 ※2筋トレ後の栄養補給
本気で変わりたいと願う※2 ※2本品をキッカケに運動・食事管理を行った結果

ボディアップ※

※トレーニング後の栄養補給

「隠れた逞しさを表に出す!ボディメイク※&スッキリの両立」と記載した上で表示されている人物の合成画像

※画像はイメージです

打消しの対象となる表示
対応する打消し表示
理想の体※2
※2健康的で美しい体
細マッチョ※
※細マッチョを目指した運動・食事管理への栄養補給
ビルドアップ※
※筋トレ後の栄養補給
プロテインよりボディメイク※2の実感度アップ!
※2健康体構築
筋肉サプリ※2
※2筋トレ後の栄養補給
本気で変わりたいと願う※2
※2本品をキッカケに運動・食事管理を行った結果
ボディアップ※
※トレーニング後の栄養補給

隠れた逞しさを表に出す!ボディメイク※&スッキリの両立」と記載した上で表示されている人物の合成画像

※画像はイメージです

体験談で気を付けるべきポイントとは?

実際には、商品を使用しても効果を得られない一般消費者が相当数存在するのにも関わらず、商品の効果があったという体験談を表示した場合、打消し表示がはっきりと表示されていたとしても、一般消費者は大体の人が何らかの効果を得られるという認識を抱くと考えられるので、景表法上問題となるおそれがあります。

今回は、「※適度な運動と食事管理の補助として使用した一例で感想・結果には個人差があります。」との打消し表示がありましたが、消費者庁は「一般消費者が表示から受ける本件商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。」と判断しました。

以下、「※適度な運動と食事管理の補助として使用した一例で感想・結果には個人差があります。」との打消し表示と共に表示されていた体験談です。

✔人物の上半身の画像と共に、

「他とは違う結果重視! ■■様/30歳/満足度★★★★★ これまで色んなサプリやプロテインを飲んできましたが、他の商品と決定的に違うのが結果の出方です。今までのトレーニングも実感度が違う!ファイラマッスルサプリHMBと出会って、僕の人生は変わりました!続ければ続けるほど確かな成果を得られました。」と記載。

✔人物の上半身の画像と共に、

「旦那と一緒に理想の体型に!■■様/35歳/満足度★★★★ 筋肉ゴリゴリ!の体型を目指してはないけど、ある程度は筋肉がある方が、より女性らしいラインが作れるかなと思い、旦那と一緒に飲み始めました!軽く運動しながら続けていたら2人とも理想の体型に近づいてきて、今ではサーフィンなどに挑戦しています♪」と記載。

✔人物の上半身の画像と共に、

「トレーニングが楽しい!■■■様/46歳/満足度★★★★★ プロテインを摂って筋トレしていましたが、途中から成長が見られなくなりました。ファイラは筋肉増強+カロリーカットしてくれるので、元々の筋肉はキープしたまま引き締まり、我ながらイケてる体に大満足しています。」と記載。

✔人物の画像及び本件商品の画像と共に、

「理想の体になれないと悩み続けた人生は… ファイラマッスルサプリHMBで今すぐ変えられる!」と記載

✔人物の画像と共に、

「理想の体でファッションがキマる!」、「運動の成果も得られ充実!」及び「異性からスタイルを褒められるように!」と記載。

おわりに

ネクスパート法律事務所では、景表法や薬機法のチェックを行っております。広告をするうえで、「このような表示は大丈夫かな?」と悩まれた場合には、お気軽にお問い合わせください。

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