ドバイ移住・起業に必要な手続き、所要期間及び費用・コスト

ドバイは日本と比較して税金が安く、また、他国と比較してVISA取得のハードルが低いため、近年、移住先として注目を集めています。

しかし、日本と比較して物価は総じて高額であり、金銭面において必ずしもメリットばかりというわけではありません。ドバイ移住を検討するにあたっては、移住にかかる費用及び移住後に発生するランニングコストをしっかりと把握する必要があります。

本稿では、フリーゾーンに法人を設立することを前提に、ドバイ移住・企業に必要な手続きと所要期間及び費用・コストについて解説します。

目次

ドバイ移住・起業時に必要な手続きと発生するコスト:300万円〜

ドバイ移住・起業にあたっては、通常以下の手続きが必要となります。発生する費用は、どのフリーゾーンに法人を設立するのか、どのような専門家を起用するのかによって異なりますが、(1)-(8)の総額で通常300万円程度は必要となります。移住にあたっては1−2ヶ月の期間を見ておいた方が無難ですが、急ぎの場合は最短で2週間程度で手続きを完了することも可能です。

(1)法人設立/ライセンス取得

ドバイに移住し起業するにあたっては、VISAの発行主体となる法人を設立し、必要なライセンスを取得する必要がありますが、法人設立にあたって当局に対してライセンスフィーを支払う必要があります。ライセンスフィーの金額は、フリーゾーンによって異なります。また、専門家に法人設立を依頼する場合は専門家に対するフィーが発生します。

法人設立に必要な期間は、必要書類の手配も含めて通常は1ヶ月程度を見ておく必要があります。株主が個人であるか法人であるかで必要となる手続きが異なり、法人株主を含む場合、設立に必要な所要期間が長くなります。なお、弊グルーブでは、フリーゾーンと緊密な連携を取れる体制が整えられており、急ぎの場合、1-2週間程度で法人を設立することも可能な場合があります。

(2)VISA取得

法人設立の次に必要となる手続きがドバイの居住ビザの取得になります。通常は、E-VISAという入国用のVISAを取得し、UAE入国後に居住VISAを取得するという流れになります。VISAを取得するにあたっては、当局に対してVISA発行フィーを支払う必要となります(フリーゾーンにもよりますが通常10万円前後)。また、所定の健康診断やタイピング手続きといった手続き実費が数万円程度かかります。さらに、VISAの発行を専門家に依頼する場合、専門家の費用もかかります。

VISA取得に必要な所要期間は、E-VISAの発行に1週間程度、居住VISAの発行に2週間程度となります。なお、UAE入国後から居住VISA発行までの期間はUAE国内から出ることができないので注意する必要があります。

(3)エミレーツID取得

エミレーツIDは、ドバイにおける身分証明書であり、日本でいうマイナンバーカードのような役割を果たします。エミレーツID取得には、指紋採取手続などに必要なフィーを当局に支払う必要があります(1万円前後)。また、エミレーツIDの取得を専門家に依頼する場合、専門家の費用もかかります。

ドバイでは、携帯電話番号の取得や銀行口座開設など、何かとエミレーツIDが必要となる機会が多いため、早めに取得することが推奨されますが、指紋採取手続きのアポイントメントに時間がかかることがあり1−2ヶ月待たされることもあります。

(4)ドバイ携帯電話番号の取得

エミレーツIDが取得できたら、次に必要となるのがドバイ携帯電話番号の取得です。ドバイでは、銀行口座開設などの認証手続きの一環としてドバイ携帯電話番号が使用されるため、ドバイ携帯電話番号の取得が銀行口座開設に必須となります。エミレーツIDを持参して携帯キャリアの窓口に行けばすぐに契約することができます。

(5)個人銀行口座開設

エミレーツIDと携帯電話番号を取得できれば、銀行の個人口座を開設することができます。口座開設にあたっては、給与証明が必要となるため、あらかじめフリーゾーン等から給与証明を取得しなければなりません。個人口座開設に、特に費用はかかりませんが、銀行によっては数十万円程度の最低デポジットが求められます。なお、不安がある方は個人口座開設についても専門家にサポートを求めることが可能です。

法人口座と異なり、個人口座の開設は容易であり即日の口座開設が可能です。

(6)法人口座開設

エミレーツIDと携帯電話番号を取得できれば、法人の銀行口座を開設することが可能です。ドバイの法人口座開設は一般的にハードルが高く、法人を設立したフリーゾーンによって口座開設の難易度が高い場合もありますので、その点も含めフリーゾーンは選択する必要があります。法人口座開設自体には費用はかかりませんが、ドバイにおける法人口座の開設は難易度が高いため専門家の支援を受けた方が無難と言えます。

法人口座の開設に必要な期間は、銀行によって大きく異なります。大手の場合は数ヶ月程度かかることもありますが、新興である銀行の場合、最短で数週間程度で口座を開くことも可能な場合があります。

(7) フライト・ホテル

ドバイに渡航するためのフライト代と居所が決まるまでの仮住まいのホテル代が費用としてかかります。フライト代やホテル代は、シーズンによって大きく異なります。ドバイの夏季(4月-9月)は気温が高く、人が少なくなるためホテル代は安いですが、気温が落ち着く冬季(10月-3月)はホテル代が高額になります。夏季は冬季と比べホテルの代金が半額以下になることも珍しくありません。

(8) 税務上の検討

ドバイに移住し起業するにあたっては、多くの税務上の検討ポイントがあります。ドバイは租税回避地として日本の国税も目をつけており、ドバイにおける日本国税による課税リスクは低くありません。税務上のメリットに魅力を感じてドバイに移住したにも関わらず日本で課税されてしまっては意味がありませんので、適切な専門家からのアドバイスを事前に受けておくことが必須となります。

ドバイ移住後に発生する法人のランニングコスト 年間最低200万円程度から(居住不動産コストを除く)

ドバイに移住し、起業した場合、生活費とは別に法人を維持するためのコストが発生します。ドバイにおける法人維持に関する主要なランニングコストは以下のとおりです。

(1) 年間ライセンスフィー

フリーゾーン法人を維持するためには、フリーゾーンに対してライセンスフィーを支払う必要があります。フリーゾーンによって必要なライセンスフィーは異なりますが、概ね60万円から100万円程度の費用が年間で発生します。

(2) 法人税等の税コスト

ドバイではこれまで法人税が存在しておりませんでしたが、2023年6月より法人税が導入されました。法人税免除の制度も存在しますが、ハードルが高く基本的にフリーゾーン法人についても年間の課税所得がAED375,000を超える場合には法人税を納税する必要があります。

また、年間売上がAED375,000を超えるなど、一定の条件を満たす場合にはフリーゾーン企業についてもVAT登録の実施が義務付けられており、四半期毎の申告対応など税務対応コストが発生します。

(3) 会計コスト

従来、フリーゾーンによっては財務諸表の作成等が義務付けられていませんでしたが、法人税の導入に伴い、多くのフリーゾーンにおいて財務諸表の作成・提出をライセンス更新の条件にするようになり、会計帳簿や財務諸表の作成が事実上義務付けられていると言えます。外部の専門家に依頼した場合、年間100万円~のコストが会計コストとして発生します。

(4) オフィスコスト

フリーゾーンで法人を設立し起業するケースでは、自宅を職場として取り扱い、多くの場合オフィスを賃貸しません。この場合、フリーゾーンにバーチャルオフィスという形で当該法人の登録住所が設定されることになりますが、バーチャルオフィスとして住所を使うことについてフィーがかかるか否かはフリーゾーンごとに異なります(弊グループが推奨するフリーゾーンでは当該費用は発生しません。)。

(5)居住不動産コスト

厳密な意味では法人維持コストではありませんが、ドバイに移住し起業するにあたっては、居住用不動産の賃料がコストとなりますので念のため言及します。ドバイにおける不動産賃料は日本と比較すると非常に高額です。単身で郊外に住むのであれば月額20万円~といった金額から探すことができますが、中心地に家族で居住するとなると月額100万円を超えることも珍しくありません。また、ドバイにおける賃料は、年額一括払いが原則であり、移住当初に多額のキャッシュアウトを伴うため、留意する必要があります。

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