ドバイ・UAEは個人所得税ゼロが魅力ですが、2023年6月から法人税（Corporate Tax, CT）制度が導入されました。
課税対象となる法人・事業体は 法人税登録・申告義務を負うこととなり、未対応の場合 AED10,000（約42万円）の遅延登録ペナルティが課されます。
ペナルティの発生タイミング：設立から3か月以内の登録義務
UAE法人税の実務運用では、設立日（法人設立または課税対象者該当日）から3か月以内にFTA（連邦税務庁）へ法人税登録を行わなければ、AED10,000の遅延登録ペナルティが課される運用となっています。
設立日：2025年1月15日
法人税登録期限：2025年4月14日まで
この期限を過ぎると AED10,000のペナルティが即発生します。
新制度：CTP006によるペナルティ免除措置
2025年7月、UAE連邦税務庁（FTA）は CTP006 Public Clarificationを発表し、条件を満たせば 遅延登録ペナルティAED10,000を免除・返金する制度を導入しました。
ペナルティ免除の適用条件【最重要ポイント】
次の2つの条件を満たした場合、設立3か月以内登録の遅延によるAED10,000ペナルティも免除・返金対象となります。
(1) 初回課税期間終了日から7か月以内に、次のいずれかをFTAへ提出すること。
- 法人税申告書（Corporate Tax Return）
- 免税対象者の場合は年次免税申告（Annual Declaration）
(2) 上記期限内に提出が完了していること
設立日：2024年10月1日
法人税登録期限（3か月）：2024年12月31日（この期限未登録の場合ペナルティ発生）
会計年度終了日：2025年3月31日
7か月後の申告期限：2025年10月31日
この申告期限までに法人税申告書または免税申告書を提出すれば、未払いのペナルティは課金されず、支払済の場合はEmaraTaxアカウントへ返金されます。
中小企業免税制度（Small Business Relief, SBR）との関係
制度概要
UAEには 年間売上3,000,000 AED（約1.2億円）以下の法人が法人税負担を実質ゼロ化できる中小企業免税制度（Small Business Relief, SBR） があります。
- 売上3,000,000 AED以下 → SBR適用可 → 法人税ゼロ化可能
- 課税所得375,000 AED以下 → 通常の法人税非課税枠としてゼロ
なお、 SBR適用でも登録義務・申告義務があります。
SBR適用・法人税ゼロであっても法人税登録義務はあり、設立から3か月以内の登録が必要です。
登録遅延の場合、AED10,000ペナルティが課されますが、今回の免除制度（CTP006）により 7か月以内の申告でペナルティ免除・返金が可能です。
よくある誤解の整理
「税金ゼロなら申告不要」
「納税期限（9か月以内）を守ればペナルティ回避可能」
「SBR適用だからペナルティも発生しない」
実務対応チェックリスト
- 設立後3か月以内に法人税登録済か確認
- 課税年度終了7か月以内に申告・免税申告スケジュール設定
- SBR対象者も年次免税申告を期限内提出
- ペナルティ支払済の場合は返金処理依頼
- EmaraTaxアカウントのステータスを確認
結論：ドバイ進出で「ペナルティ回避×税負担ゼロ」を実現する鍵
ドバイ・UAEは依然として税務メリットが大きいものの、
- 設立から3か月以内の法人税登録義務
- 課税年度終了7か月以内の申告義務
があり、対応遅延で AED10,000のペナルティ負担リスクが生じます。
しかし、今回の CTP006免除制度を活用することで、このペナルティを無駄なく回避可能です。
中小企業免税制度（SBR）と併せて活用することで、税負担ゼロ・ペナルティゼロでの運営が可能となり、資金流出を抑えたドバイ事業運営が実現します。
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