ブロックチェーンとは|仕組みや特徴をわかりやすく解説

インターネットの次に大きな革命と言われるブロックチェーンをご存知でしょうか?

暗号資産ビットコインの技術基盤として知られるこの技術は、金融から医療、物流までさまざまな分野に変革をもたらす可能性を秘めています。

しかし、ブロックチェーンとは一体何なのか、どうしてそんなに注目されているのか、詳しくわからない方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、初心者の方でも理解できるように、ブロックチェーンの仕組みや特徴を、わかりやすく解説します。

目次

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは、分散型台帳技術の一種で、あらゆる取引データが記録された世界規模の帳簿のようなもので、そのデータはブロックという形で記録されています。

以下で詳しく解説します。

ブロックチェーン技術の概要

ブロックチェーン技術は、サーバーを介さず、個々の参加者が対等な立場で直接やりとりするP2P(ピアツーピア)ネットワークを利用して、世界中に点在するコンピュータにデータを分散させ、ネットワーク参加者全員で取引内容にかかるデータのブロックを鎖状に繋げることで、中央集権を置かずに破壊・改ざんが困難なネットワークを作ることのできる技術です。

ブロックとは、一定時間内に行われた取引の履歴(トランザクション)をひとつの塊にしたもので、過去のブロックの後ろに追加されていきます。

こうして鎖のようにつながるので、ブロックチェーンという名が付けられています。

各ブロックに格納される4つの情報

ブロックに記録される取引の履歴は、ブロックチェーン上で時系列に記録・公示されています。

そして、各ブロックに記録された取引の履歴(トランザクション)が改ざんされないように、前のブロックの取引情報を要約したもの(ハッシュ値)と、一度だけ使われるランダムな数値(ナンス値)を用いて、暗号化が図られています。

ブロックの構造を、以下で詳しく解説します。

タイムスタンプ

ブロックチェーンの各ブロックには、タイムスタンプが含まれています。

タイムスタンプとは、そのブロックが生成された日時を示す文字列のことで、電子データがある日時に存在していたこと及びその日時以降改ざんされていないことを証明する技術です。

前ブロックのハッシュ値

ブロックチェーンの各ブロックには、前ブロックのハッシュ値が含まれています。

ハッシュ値とは、元データからハッシュ関数と呼ばれる計算手順により求められた、固定の桁数の値です。

ハッシュ値の特徴は、元のデータがほんの少しでも変われば、計算されるハッシュ値が全く異なる点にあります。そのため、ハッシュ値から逆算して元のデータを割り出したり、復元したりすることは不可能と言われています。

トランザクション

ブロックチェーンの各ブロックには、トランザクションが含まれています。

トランザクションとは、取引の履歴のことで、各ブロックには一定時間内に行われたすべての取引が記録されています。

ナンス

ブロックチェーンの各ブロックには、ナンスが含まれています。

ナンスとは、[Number used once]の略で、直訳どおり、一度しか使われない数値です。

ナンス はワンタイムトークンとも言われ、リクエストが正当なものであるかどうかを見極めるためのものとして、マイニングの際に使用されています。

マイニングとは、取引の整合性をマイナーと呼ばれる人たちが行う承認作業のことで、新たに追加されるブロックを過去のブロックとを鎖状に繋いでいく作業でもあります。

つまり、ナンスとはブロックチェーンに、新たなブロックを生成する際の検証に一度きりで用いられる使い捨ての数値です。

ブロックチェーン技術の大きな利点でもある2つの特徴

ブロックチェーン技術の大きな特徴として、次の2つがあります。

  • 非中央集権的管理
  • 耐改ざん性

ひとつずつ解説します。

非中央集権的管理

ブロックチェーン技術の特徴の一つとして、非中央集権的な管理システムであることが挙げられます。

従来のデータベースの管理は国・組織・企業・個人などが一手に担う中央集権的なものでしたが、ブロックチェーン技術では、中央集権的な管理者がいなくても、参加する多数の各参加者(ノード)で合意形成して取引の記録を行えるシステムとなっています。

具体的には、ブロックチェーンに参加している一部の利用者から取引等の情報が発信されると、その内容がP2Pネットワークに参加している各参加者(ノード)に逐次送信され、各参加者(ノード)による検証作業が一定の水準に達すれば、正当な処理として承認され、新たなブロックとしてブロックチェーンに追加される仕組みです。

中央管理者がいないため、サイバー攻撃や故障によりシステムが動かなくなる事態を避けられたり、多額のコストを投じてシステムを開発したりする必要がない点が利点です。

耐改ざん性

2つめの特徴として、高度な耐改ざん性を持つことが挙げられます。

従来型のデータベースは、複数のデータの集合体から必要に応じてデータを呼び出したり、組み合わせたりしてデータベースが構成されています。そのため、1つのテーブルのデータが書き換えられても、他のデータとの整合性が崩れていることに気づかない危険性があります。

ブロックチェーンでは、1つのブロックを改ざんするとブロック内の情報が組み変わってしまいます。そうすると、次のブロックに含まれるハッシュ値との整合性がとれなくなります。

後続のブロックには前のブロックを基に作ったハッシュ値が入っているので、1つのブロックの取引履歴を改ざんすると、次のブロックも、その次のブロックもすべて作り直さなくてはなりません。

ブロックチェーンが長ければ長いほど改ざんしにくくなるため、改ざんは不可能と言われています。

ブロックに記録された情報が意図的に改ざんされたり、消去されたりするリスクは技術的にほぼゼロであり、参加者のパソコンで登録された情報が同期されているので、データの透明性も担保されます。

ブロックチェーンの3つの種類

ブロックチェーンには、大きく分けて次の3つの種類があります。

  • パブリックチェーン
  • プライベートチェーン
  • コンソーシアムチェーン

それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

パブリックチェーン

パブリックチェーンは参加者に制限がなく、誰でも自由に参加・離脱できるブロックチェーンです。

中央管理者が存在せず、参加者が相互にやり取りを承認し合うシステムになっています。

パブリックチェーンの代表格は、ビットコインです。多くのパブリックチェーンは、ノードを運用する人(マイナー)に対して、運用報酬(手数料)として暗号資産を直接与える仕組みになっています。

参加者が増えるほど、システムが停止する可能性が低くなり、不正や改ざんに対して強くなっていきます。

パブリックチェーンのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
データの透明性が高い誰でも参加できる処理速度が遅いプライバシーが担保されていない

プライベートチェーン

プライベートチェーンは限定されたユーザーのみが参加でき、単体の管理者によって管理されるブロックチェーンです。

参加は承認制となるため、金融機関での記録など、組織内で行われる機密性の高いやり取りを記録する場合に利用されます。

プライベートチェーンのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
処理速度が早いプライバシーが担保される承認されたユーザーしか参加できないパブリックチェーンと比べてデータの透明性が低い中央集権的な要素を持つ

コンソーシアムチェーン

コンソーシアムチェーンは限定されたユーザーのみが参加でき、複数組織の管理者によって管理されるブロックチェーンです。

パブリックチェーンとプライベートチェーンの中間に位置付けられます。

コンソーシアムチェーンのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
一定のデータの透明性、処理速度、プライバシーを担保できる複数管理者による分散管理ができるそれぞれの管理者がセキュリティ対策を講じるためセキュリティ性が高い承認されたユーザーしか参加できない複数組織の利害関係が生じるため運用変更が難しい

ブロックチェーン技術の問題点とは

優れた特徴のあるブロックチェーン技術ですが、課題となる問題点もいくつかあります。

51%攻撃のおそれがある

中央管理者を置かないブロックチェーンでは、参加者全員で取引データの正当性を検証し、一定の水準に達すれば、正当な処理として承認されます。

この合意形成の仕組みを、コンセンサスアルゴリズムと呼びます。

コンセンサスアルゴリズムには、様々な方法がありますが、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)という多数決方式での承認方法を採っている場合、51%攻撃のリスクがあります。

51%攻撃とは、特定のグループもしくは個人が、ブロック上に過半数を超える処理能力を持つことで、不正取引を実行するものです。

PoWの場合には、計算量に基づいて取引の承認が行われるため、悪意あるユーザーが共謀し、過半数を超えた処理能力を持った場合には、不正な取引が発生する可能性があります。

この51%攻撃をいかに防ぐかもブロックチェーンの課題といえるでしょう。最近では、PoS(プルーフ・オブ・ステイク)の方法をとるものも多いです。

処理速度が遅い場合がある

参加者(ノード)が増えると、対応できるシステムの規模(スケーラビリティ)が問題になってきます。

システムのキャパシティをオーバーすると、決済や送金に遅延が発生する、多額の取引手数料が必要になるなどの問題につながります。

参加者や取引量増加に対するスケーラビリティ対策もブロックチェーンの大きな課題の一つです。

個人情報が流出しても削除できない

ブロックチェーン技術は、データの改ざんや意図的なデータ消去を防止するメリットがありますが、裏を返せば、意図せずブロックチェーン内に個人情報が流出しても、削除できないということです。

暗号化された状態とはいえ、参加者全体にデータが行きわたる状況は、デメリットと言えるでしょう。

まとめ

ブロックチェーンの主な特徴は、非中央集権化、透明性の高さ、改ざん防止ができるという点です。

法整備やセキュリティリスク、スケーラビリティなどの課題が存在しますが、ビジネス分野への導入が試行錯誤されており、市場規模は拡大していく見込みです。

当事務所は、ブロックチェーンや暗号資産などを含むWeb3分野に着目し、研究・実務を深めてきました。

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