ドバイ法人の株主構成|株主を個人・法人とする場合のメリットデメリット

この記事では、ドバイ法人を設立する際の株主構成について弁護士が解説します。

目次

ドバイにおける株主構成

ドバイ法人を設立する場合に、その株主を起業家個人にするのか、それとも日本法人を株主にするのかという点がしばしば検討事項となります。本稿ではドバイ法人の株主を個人または法人とする場合のメリットデメリットの比較を行います。

ドバイ法人設立のスムーズさ

ドバイ法人を設立する場合、株主に関する情報・書類を提出する必要がありますが、株主を個人にするのかそれとも法人にするのかでその手間に大きく異なるところがあります。

株主を個人とする場合、必要とされる書類は原則としてパスポートのみであり、書類作成の手間などは原則としてかかりません。

これに対して法人を株主にする場合、商業登記や定款、取締役会決議の提出が必要になるだけでなく、その資料の英訳を作成し、英訳された資料の公証を受け、さらにUAE大使館にて領事認証を受けるという非常に手間・時間がかかる手続きが要求されます。

スムーズな法人設立という観点では、個人株主の方が時間・コストの観点から有利と言えます。

課税リスク

ドバイに設立した法人の利益に対して外国子会社合算税制により課税が実施された場合、株主を個人にするかそれとも法人にするかによって、課税対象や税率に差異が発生します。

例えば、日本居住の個人がドバイ法人の株主となり、ドバイ法人の利益に対して外国子会社合算税制が適用される場合、株主個人に納税義務が発生する上、その税率は高いものになることが一般的です。

これに対して、日本の法人がドバイ法人の株主となる場合、当該日本法人に納税義務が発生し個人には直接責任が及ばない上に、その法人税率は個人に対する税率より低くなることが一般的です。

日本における課税リスクの観点からは日本法人を株主とした方が万が一の事態が発生した場合のダメージが低くなる可能性が高いと言えます。

グループ価値としての評価

日本で既に事業をおこなっており、その一環としてドバイ法人を設立する場合には、日本法人を株主とすることが適当な場合があります。ドバイ法人の株主を個人とした場合、投資家などからドバイ法人が日本法人のグループとして評価されない可能性があり、資金調達などの観点から不利に判断されるおそれがあるためです。ドバイ法人の位置付けと資金調達のプランニングによっては、日本法人を株主とした方が適当なケースがあります。

結語

以上、ドバイ法人を設立するに際してしばしば検討事項となる、誰を株主にするかという問題について解説しました。自社の置かれている状況を前提に以上の検討ポイントを考慮した上で、株主となるべき主体を特定する必要があります。ドバイでは株主の変更が容易でなく、基本的に後戻りできないポイントとなりますので、事前に十分に検討することが推奨されます。

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