立ち退きを弁護士に依頼するデメリット3選 依頼すべきケースも解説

立ち退き問題は、当事者間で折り合いがつかないまま交渉が長引くケースも少なくありません。そのため、弁護士に依頼することを検討される方もいらっしゃると思います。
本記事では、立ち退きを弁護士に依頼する際のデメリットをはじめとして、それでも依頼を検討したほうがよいケース、さらに弁護士選びのコツまでを詳しく紹介します。デメリットを理解し、より良い解決策を模索するための参考にしてください。
立ち退き交渉を弁護士に依頼する3つのデメリット
立ち退き交渉を弁護士に依頼するデメリットは、コスト面、賃貸人・賃借人双方の関係性の悪化、交渉の長期化の3つが挙げられます。それぞれ解説します。
弁護士費用に関わるコストの問題
弁護士に依頼するデメリットとして真っ先に思い浮かぶのは、弁護士費用がかかる点です。弁護士費用は相談料、着手金、報酬金、実費など多岐にわたります。立ち退き問題は複雑な点が多く、時間や手間がかかる傾向があります。交渉の内容によっては、弁護士が労力を要するケースがあり、その分費用がかさみます。交渉が長期化すれば、それに比例してさまざまな費用が増えるため、あらかじめ想定されるコストを調査した上で依頼を決定したほうがよいでしょう。
賃貸人・賃借人間の関係が悪化するリスク
弁護士が介入した場合、賃貸人・賃借人当事者間で感情的なしこりを生み、関係が悪化するリスクがあります。賃貸人・賃借人として長期間なんらかのやり取りがあった場合、話し合いの場を求めずにいきなり弁護士が介入したら、相手はびっくりするかもしれません。お互いに顔見知りの間柄であれば、まずは当事者同士で話し合いの場を持ったほうがよいかもしれません。話し合いをした結果、解決点が見つけられないと判断した場合に弁護士への依頼を考えましょう。
弁護士に依頼してからも、自分の権利を主張し過ぎると関係修復が困難になることも珍しくありません。譲歩できるところは、譲歩する姿勢が重要です。特に賃貸借契約が継続中の場合は、長期的な視点で良好な関係を維持する方法を検討したほうがよいです。
交渉が長期化する可能性
弁護士による交渉は、長期化する可能性があります。なぜなら弁護士は、法的な根拠や手続きに基づき進めていくため、場合によっては解決までに時間を要するからです。特に訴訟を提起することになった場合、解決まで時間がかかります。
交渉が長期化するほど精神的な負担が増えます。当事者同士の話し合いで合意が見込める場合は、弁護士に依頼するタイミングを慎重に見極めたほうがよいでしょう。
立ち退き交渉を弁護士に依頼したほうがよい理由は?
立ち退き交渉を弁護士に依頼するデメリットはあるものの、弁護士からサポートやアドバイスを得ることでリスクを最小化し、円滑に交渉が進められる可能性が高まります。ここでは、立ち退き交渉を弁護士に依頼することをおすすめする理由について解説します。
立ち退きの正当事由が見極められる
弁護士は、法的な視点で立ち退きの正当事由を見極められます。
賃貸借契約では、所有者側が正当な理由なく賃借人に退去を求めることは認められません。立ち退き要求を含む賃貸借契約の問題は、法律の専門知識を要する場合が多く、正当事由が何に当たるか見極めが重要です。弁護士に依頼すれば、法的観点で契約書を精査し、最適な交渉方針が立てられます。判例を含む多くの法律知識を駆使して、正当事由に該当する条件や過去の事例を調査してトラブルを未然に防ぎ、交渉を有利に進められます。
適切な立ち退き料が得られる可能性が高まる
弁護士に依頼すれば、適切な立ち退き料が得られる可能性が高まります。法的根拠に基づいて算出した立ち退き料を明確に提示できるのは、大きな強みです。万が一賃貸人から低すぎる立ち退き料を提示された場合に、その条件をそのまま受け入れるリスクを回避できます。
適切な立ち退き料は、単なる家賃の〇か月分という相場に留まらず、賃借人が立ち退きによって被る経済的・精神的損害がどれぐらいの金額になるかという点が重要です。賃貸人は賃借人の知識不足や時間的な制約につけこみ、不当に低い立ち退き料を提示するケースがあります。こうした事態に陥らないための見極めが大切で、弁護士であれば適切なサポートが可能です。
スムーズに合意が得られる可能性がある
弁護士に依頼すれば、立ち退きに関して自分の希望する方法でスムーズに合意が得られる可能性があります。
弁護士は立ち退きに関する法律や判例を熟知しているため、交渉を上手くリードできます。立ち退き料、立ち退きスケジュールの交渉など、当事者間で折り合いをつけにくい部分を効率的に進められます。
精神的・時間的負担が避けられる
弁護士が間に入れば、精神的・時間的負担が避けられます。弁護士は感情的な対立を回避しながら交渉が進められます。法的根拠を提示して、当事者間の紛争のリスクを最小限に抑えることが可能です。
書面作成や事務手続きのサポートが受けられるのも利点です。立ち退き交渉で必要な書類は多岐にわたるため、手続きに不慣れな人が単独で対応すると負担が大きいです。交渉自体がストレスになる場合もあるため、弁護士が代理人として交渉を進めれば、煩雑なやり取りを任せられ、仕事や家事等に集中できます。
立ち退きを弁護士に依頼する際のポイントは?
立ち退きを弁護士に依頼する際にどのような点を重視して弁護士を選ぶか、ポイントを解説します。
立ち退き交渉の事例・実績が豊富か確認する
依頼を検討している弁護士が、立ち退き交渉に関して実績が豊富にあるかどうか確認をしましょう。弁護士事務所によって得意分野や注力分野が異なるからです。立ち退きに関する類似案件を数多く手掛けていれば、交渉のポイントや争点を正確に把握していると期待できます。
不動産関連の紛争に数多く携わった実績がある弁護士は、その経験を活かして交渉戦略を柔軟に組み立てられます。実績が少ない事務所でも優れた弁護士は存在しますが、多くの事例をこなした弁護士はリスク回避のノウハウが豊富です。事前に事務所のウェブサイトや無料相談などで確認しておくと安心です。
スピード感のある対応が期待できるか確認する
スピード感のある対応が期待できるかどうか確認しましょう。
立ち退き交渉はタイミングを逃すと相手方の態度が硬化する場合があり、解決までの時間が長引いてしまうかもしれません。迅速かつ柔軟に対応できる弁護士であれば、問題を早期に解決へ導いてくれる可能性が高まります。
立ち退き交渉は粘り強い協議が求められますが、スピーディーに行動する弁護士なら、適切な書面準備ができ、相手方とのコミュニケーションも円滑に進められます。初回の相談や諸々連絡のやり取りで、対応が早い弁護士かどうかある程度見極められます。
初回相談で費用や方針を明確にしてもらう
初回相談で、費用や方針を明確にしてもらいましょう。初回相談で、弁護士費用や立ち退き手続きの流れ、予想されるリスクなどをしっかり説明してくれる弁護士なら、安心して依頼できます。
費用面の不安を払拭するためにも、初回相談時に見積もりや解決までの方針の詳細を尋ねることが大切です。あいまいな回答が続く弁護士は避けたほうがよいでしょう。
コミュニケーションがとりやすさを確認する
依頼を検討している弁護士が、コミュニケーションがとりやすいかどうか確認をしましょう。なんとなく話しづらい、話がかみ合わないなど、初回相談で不安要素を感じた場合は、依頼を見送ったほうがいいかもしれません。
コミュニケーションがとりやすいと感じるかどうかは、人によって異なります。そういう意味でも初回相談の場は貴重ですので、自分に合った弁護士かどうかを冷静に見極めましょう。
まとめ
立ち退き交渉を弁護士に依頼することは、専門的な法知識や交渉力を得られる一方で、費用負担や当事者同士の関係悪化などのデメリットも存在します。この記事で紹介したデメリットに関して理解した上で、立ち退き問題を弁護士に依頼すべきかどうかを検討しましょう。
当事者同士で解決したいと望んでいても、置かれている状況によっては、弁護士への依頼が避けられないケースがあります。トラブルを円満かつ迅速に解決するために、安心して依頼できる弁護士を選び、費用や方針を明確に把握しておくとよいです。立ち退き交渉がどのような経緯や目的で進められているのかを踏まえ、時間と費用のバランスを取りながら最善の判断をしてください。
ネクスパート法律事務所には、不動産案件を多数手掛けた経験のある弁護士が在籍しています。
初回相談は30分無料ですので、立ち退き問題でお悩みの方はぜひ一度ご連絡ください。


















