離婚原因を作った配偶者に対して、慰謝料請求を考える人もいらっしゃることでしょう。
離婚によって心に傷を負ったのであれば、その代償として慰謝料を手に入れたいと思うのは、ごく当たり前のことです。
ただし、たとえ相手に非があっても慰謝料請求ができない場合もあります。
この記事では、離婚慰謝料が請求できる4つの理由と請求ができないケースについて解説します。

離婚慰謝料が請求できる4つの理由は?

離婚慰謝料が請求できる4つの理由は、以下のとおりです。

配偶者が不貞行為をした

配偶者が不貞行為をした場合、離婚慰謝料の請求が可能です
夫婦は、お互いに不貞行為をしてはいけない義務を負うと法律で定められているからです。
不貞行為とは、配偶者以外の人と肉体関係を持つことです。デートをした・食事をした・抱き合っていただけでは不貞行為にはなりません
不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合、50万円から300万円が相場の金額といわれています。
一般的に、以下のようなケースでは、慰謝料が相場よりも高額になる場合が多いです。

  • 未成年の子どもがいる
  • 婚姻期間が長い
  • 不貞行為をした期間が長い
  • 不貞行為を何度も繰り返すなど悪質

不貞行為に基づく離婚慰謝料の相場は「不貞行為に基づく離婚慰謝料の相場の金額はどれぐらい?」で詳しく解説しています。

配偶者が身体的・精神的暴力を振るった

配偶者が身体的・精神的暴力を振るった場合、離婚慰謝料の請求が可能です
殴ったり蹴ったりするなどの身体的な暴力はもちろんのこと、暴言を吐く、公の場でバカにする、無視をするといった精神的な暴力(モラハラ)も慰謝料請求の対象となります。
身体的・精神的暴力を理由に慰謝料を請求する場合、50万円から300万円が相場の金額といわれています。暴力で後遺症が残るケガを負ったら、慰謝料が高額になる場合があります。

配偶者から悪意の遺棄をされた

配偶者から悪意の遺棄をされた場合、離婚慰謝料の請求が可能です
夫婦は、同居・協力・扶助する義務があると法律で定められているからです。
悪意の遺棄を理由に慰謝料を請求する場合、50万円から300万円が相場の金額といわれています。
夫婦の一方に以下のような行為がある場合、悪意の遺棄と判断される可能性が高いです。

  • 生活費を渡さない
  • 健康なのに働かない
  • 一方的に別居をする
  • 家から無理やり追い出す

詳しくは「悪意の遺棄とは|該当する行為や慰謝料の相場」の記事をご参照ください。

配偶者が性交渉を拒否した

配偶者が性交渉を拒否した場合、離婚慰謝料の請求が可能です
長期間にわたって正当な理由なく性交渉を拒否され、それが原因で婚姻関係が破綻した場合に慰謝料請求が認められます
配偶者の性交渉拒否を理由に慰謝料を請求する場合、多くても100万円程度が相場の金額といわれています。
例えば、配偶者が病気を原因に性交渉ができずに拒否した場合、病気であることを責めるのは酷です。こうした事情がある場合は、離婚はできますが慰謝料請求は難しいと考えたほうがよいでしょう。
詳しくは「セックスレスは離婚理由になる?定義や慰謝料の相場 」の記事をご参照ください。

離婚慰謝料を請求する理由にはならない典型例は?

離婚慰謝料を請求する理由にならない典型例は、以下の4つです。

性格の不一致や価値観の違い

性格の不一致や価値観の違いを理由に、慰謝料の請求はできません
離婚慰謝料は、離婚によって精神的苦痛を負った人に対して支払われるものです。
性格の不一致や価値観の違いは、どちらが良いのか悪いとは言えないため、慰謝料請求はできないと考えられます。

健康上の問題

健康上の問題を理由に慰謝料請求はできません病気になったことは本人に過失はなく、責めるべきものではないからです。
ただし、病気になった配偶者を介護する際に暴力をふるわれたり暴言を吐かれたりした場合は、慰謝料請求ができるケースがあります。
詳しくは「配偶者の病気や障害を理由に離婚できる?【弁護士が解説】 」の記事で解説しています。

親族との不和

親族との不和を理由に慰謝料請求はできません。離婚の当事者はあくまでも夫婦なので、不仲な親族に対する慰謝料は請求できないからです。
ただし、不仲な親族に対して必要な対応を取らなかった配偶者に責任を求めるのは可能です。その場合、夫への慰謝料請求が認められるケースがあります。
嫁と姑問題で離婚はできるか?あるある事例や慰謝料請求について解説」の記事もご覧ください。

信仰する宗教の違い

信仰する宗教の違いを理由に、慰謝料請求はできません
日本国憲法では、個人に対して信仰する宗教の自由が保障されているため、宗教のみを理由とした権利侵害は認められません
ただし、宗教にのめり込んで生活費をつぎ込んで家計を破綻させたり、家事や育児を一切しなくなったために家庭を破綻させたりした場合は、慰謝料請求が認められるケースがあります。
詳細は「配偶者が宗教にのめり込んだことを理由に離婚できる?【弁護士が解説】」の記事をご参照ください。

離婚慰謝料を請求する理由があっても認められないケースは?

離婚慰謝料を請求する理由があっても認められないケースは、以下の4つです。

加害行為の証拠がない

加害行為の証拠がない場合、裁判で離婚慰謝料を認めてもらうのは難しいでしょう。
例えば配偶者が不貞行為をしていた場合、不貞相手とホテルに入る写真など、肉体関係があることを証明する確たる証拠がなければいけません。
配偶者の暴力や暴言を理由に慰謝料請求をする場合も、暴力や暴言がわかる録音やケガをしたときの写真、医師の診断書等が必要です。
もっとも、配偶者が加害行為を認めれば、証拠がなくても任意に支払ってもらえる場合があります。

婚姻破綻の責任が夫婦双方にある

婚姻破綻の責任が夫婦双方にある場合、離婚慰謝料請求が認められません
例えば夫婦がそろって不貞行為をしていた場合や、一方が暴力をふるい、他方が不貞行為をしていた場合などです。
なお、慰謝料が認められないのは、婚姻破綻の責任が夫婦に同等ある場合や、主に請求者側にある場合です。
夫婦双方に責任がある場合でも、その度合いに差があれば、慰謝料が認められることもあります。

加害行為と婚姻破綻との間に因果関係がない

離婚慰謝料が認められません
例えば、不貞行為より前に夫婦関係がすでに破綻していた場合などです。
不貞行為を理由とする慰謝料を請求するためには、婚姻共同生活という権利または法律上保護される利益を侵害されたといえることが必要です。
不貞行為前から夫婦関係が冷め切っていたのであれば、不貞行為が原因で婚姻関係が破綻したことにはならないため、慰謝料請求は認められません

慰謝料請求の時効を迎えていた

離婚慰謝料請求の時効を迎えていた場合は、慰謝料請求が認められません
離婚慰謝料請求の時効は、離婚が成立してから3年です。

離婚慰謝料を請求したい場合は弁護士に相談を

離婚慰謝料を請求したい場合は、弁護士に相談をしましょう。
配偶者が不貞をしたり、暴力をふるったりした場合でも、証拠がなければ慰謝料請求が難しくなります。どのような証拠を準備すればいいかなど、弁護士であれば的確にアドバイスが可能です。
配偶者に対して離婚慰謝料ができるかどうか、あらかじめ弁護士に相談をして必要な準備を整えましょう。

まとめ

離婚によって精神的苦痛を味わったなら、慰謝料で少しでも自分自身を慰めてあげたいものです。しかし、離婚慰謝料の請求が認められるには一定の理由が必要です。この記事では、認められるケースと認められないケースを紹介しましたが、ご自身がどちらに当てはまるか判断しかねる場合は、早い段階で弁護士に相談をしてください。
ネクスパート法律事務所には、離婚全般を数多く手掛けてきた弁護士が在籍しています。
慰謝料請求でお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修弁護士

弁護士 石田志寿
第二東京弁護士会所属
石田 志寿(登録番号:47706)

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。

これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。

私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。

「相談したら気持ちが落ち着いた」「話しやすかった」といったお声をいただくことも多く、心に寄り添う姿勢と、解決に向けた冷静な判断の両立を常に意識しております。

一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。