モラハラが原因で離婚を考え始めたとき、誰に相談すればよいのか、費用はどれくらいかかるのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

とくに、経済的に相手に依存している場合は、弁護士への相談をためらってしまうこともあるかもしれません。

この記事では、モラハラを理由に離婚を検討している方に向けて、弁護士費用の相場や、費用を抑えて相談・依頼する方法について、わかりやすく解説します。

モラハラ離婚に弁護士が必要な理由

モラハラによる離婚は、精神的な負担だけでなく、手続きや話し合いの面でも複雑になりがちです。冷静に進めるためには、法律の専門家によるサポートが欠かせません。

ここでは、モラハラ離婚で弁護士が果たす3つの重要な役割を紹介します。

状況に合う対処法が分かる

モラハラの被害は、内容や程度によって適切な対処法が異なります。相手の言動が“意見”なのか“精神的虐待”なのか、自分で判断するのは難しい場合もあるでしょう。

弁護士に相談すれば、モラハラに該当するかどうかを含め、具体的な対応策を教えてもらえます。

さらに、緊急性が高いと判断されれば接近禁止の仮処分や住居からの退去を求める保護命令など、法的手段の提案を受けることもあります

相手との話し合いを代わりにしてくれる

モラハラ加害者とのやり取りは、被害者にとって強いストレスや恐怖を伴います。感情的に追い詰められたり、理不尽な主張に押し切られたりするおそれもあります。

弁護士に依頼すれば、相手との交渉や連絡をすべて代理で対応してもらえるため、直接やり取りする必要がなくなります。

精神的な負担が軽くなり、冷静に離婚の準備を進めやすくなります。

離婚や慰謝料請求の手続きを任せられる

モラハラ離婚では、慰謝料請求や財産分与に向けた証拠の整理、書類の作成などの対応が必要になります。

弁護士は、離婚協議書の作成、調停・訴訟の対応、慰謝料請求の準備なども含め、複雑な手続きを一貫して対応します。
法的根拠に基づいて相手に主張できるため、不当な条件を押しつけられる心配もありません。

【関連:モラハラで離婚を考えたら弁護士に相談・依頼しよう!

モラハラ離婚で弁護士へ依頼したときの費用相場

モラハラが原因で離婚を考える場合、弁護士に依頼することで冷静かつ確実に手続きを進めやすくなります。ただし、依頼する際には費用も気になるところです。

ここでは弁護士費用の内訳や、協議離婚・調停・裁判の各段階に応じた費用相場を解説します。

弁護士費用の内訳

弁護士に離婚問題を依頼した場合、主に以下の費用がかかります。

  • 着手金:事件を依頼するときに支払う費用。成功・不成功に関わらず返金はされません。
  • 報酬金:依頼が成功した場合に支払う成功報酬。離婚成立や慰謝料の獲得が対象になります。
  • 実費・日当:収入印紙代、郵便費、交通費など。調停や裁判への同行が必要な場合は日当が発生することもあります。

事務所によって料金設定は異なりますが、一般的な相場を以下で見ていきましょう。

協議離婚の弁護士費用

話し合いによる協議離婚の場合、弁護士費用は比較的抑えられる傾向があります。

  • 着手金の目安:20〜30万円
  • 報酬金の目安:着手金と同程度
  • 慰謝料や財産分与がある場合:獲得した金額の10~20%

モラハラ加害者との話し合いが難しいケースでは、代理人として弁護士が交渉することで精神的負担を大きく減らすことができます。

離婚調停の弁護士費用

家庭裁判所での調停に進むと、費用はやや高くなります。調停には複数回の出廷が必要になり、その分弁護士の労力も増えるためです。

  • 着手金の目安:30〜40万円
  • 報酬金の目安:着手金と同程度
  • 慰謝料や財産分与がある場合:獲得した金額の10~20%

調停は長期化することもあり、途中での方針変更や追加対応が発生する可能性もあるため、契約前に見積もりを確認しておくことが大切です。

離婚裁判の弁護士費用

調停が不成立になった場合は、裁判へ進むことになります。裁判はさらに費用がかかるうえ、手続きが複雑になるため、専門的な支援がより重要になります。

  • 着手金の目安:40〜50万円
  • 報酬金の目安:着手金と同程度
  • 慰謝料や財産分与がある場合:獲得した金額の10~20%

裁判は証拠の提出や主張の整理など、専門知識が求められる場面が多いため早めに弁護士へ相談することが望ましいです。

モラハラ離婚で弁護士に依頼するメリット

モラハラを受けていると、相手とのやりとり自体が大きなストレスになります。弁護士に依頼すれば、直接の接触を避けながら、自分に不利にならないよう冷静に離婚手続きを進めることが可能です。

ここでは、弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットを解説します。

相手と顔を合わせずに済む

モラハラのある関係では、相手と話し合うこと自体が大きなストレスになります。言葉の暴力や無視、威圧的な態度を受けてきた経験があると、直接会って離婚の話をすることに強い不安を感じる方も多いでしょう。

弁護士に依頼すれば、本人に代わって弁護士が窓口となり、相手とのやり取りをすべて引き受けてくれるため、自分で相手と交渉する必要がなくなり精神的な負担を大きく軽減できます。

さらに、調停や裁判になった場合も、弁護士が同席して対応してくれるので安心して離婚の手続きを進めることができます。

不当な主張に流されずに離婚をすすめられる

モラハラ加害者は、離婚の場面でも「お前が悪い」「慰謝料を払え」などと一方的な主張をしてくることがあります。

本人が冷静に対応しようとしても、長年の支配関係や精神的な影響から、相手の言葉に押されてしまうケースは少なくありません。

弁護士がつけば、相手の主張が法的に妥当かどうかを判断し、必要に応じて反論してくれます。

そして、財産分与や養育費、慰謝料といった重要な点についても、適正な内容での離婚条件を目指すことができます。

相手のペースに巻き込まれず、主導権をもって手続きを進めることができるのは大きなメリットです。

居場所を知られないようにできる

すでに別居している場合、相手に居場所を知られること自体が危険につながる可能性や、モラハラの程度によっては、執拗に連絡をしてきたり突然押しかけてくるなど、身の安全が脅かされるケースもあります。

弁護士に依頼すれば、弁護士の連絡先を通じてやり取りができるため、住所や電話番号を相手に知らせる必要がありません。

住民票の閲覧制限なども活用することで、身元情報の保護が可能です。物理的にも心理的にも相手との距離を確保しながら、安全な環境で離婚を進めることができます。

モラハラ離婚で弁護士に依頼するデメリット

モラハラが絡む離婚は、話し合いでの解決が難しく、弁護士のサポートが有効な場面も多くあります。

ただし、依頼することにはメリットだけでなくデメリットもあります。ここでは代表的な注意点を3つ紹介します。

費用がかかる

弁護士に離婚を依頼すると、着手金や報酬金などの費用が発生します。たとえば、協議離婚でも着手金は20〜40万円程度が相場で、慰謝料請求などを伴う場合は報酬金も追加されます。

さらに、調停や裁判に進むと追加費用が必要になることもあります。経済的に余裕がない場合は、法テラスの利用も検討しましょう。法テラスでは、一定の条件を満たす方に対して、無料の法律相談や弁護士費用の立て替えを行っています。

弁護士選びを誤ると費用と時間の無駄になる

モラハラ離婚では、単なる離婚の知識だけでなく、モラハラ特有の事情を理解して対応できる弁護士であるかが重要です。とくに、調停や裁判まで進むと、離婚の成立までには半年から1年程度の期間を要することもあります

弁護士とも長い付き合いになるため、ストレスなくコミュニケーションがとれる弁護士を選ぶことも大切です。依頼後に対応の遅さや方針の不一致が判明すれば、途中で弁護士の変更を検討せざるを得なくなり、費用と時間のロスにつながります。

弁護士を選ぶ際は、モラハラ離婚の経験や実績、コミュニケーションの丁寧さなどを確認しておくことが重要です。

依頼したからといって必ずしも有利に進むとは限らない

弁護士に依頼することで安心感は得られますが、必ずしも希望通りの結果になるとは限りません。

とくにモラハラは、暴力などと異なり目に見える証拠が少ないため、証明の難しさが課題となります。

証拠が不十分なまま協議や調停を進めれば、納得のできない結果になってしまう可能性もあります。弁護士に任せきりにせず、自分でも証拠を集める努力を続けることが、より良い解決につながります。

モラハラ離婚で弁護士費用が払えない時の対処法

モラハラを受けて離婚したいと考えていても、弁護士費用が払えず踏み出せない方もいます。しかし、経済的に苦しい状況でも法的支援を受けられる方法はあります。代表的な制度や費用負担を軽くする手段について解説します。

法テラスを利用する

収入が一定以下であれば、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を使うことができます。

相談料が無料になるほか、弁護士費用を立て替えてもらえる制度で、原則として月々5,000〜10,000円の分割返済が可能です。

申込みには収入証明や住民票などの書類が必要ですが、事前に相談しておけば手続きは難しくありません。

金銭的に厳しい状況でも法的支援を受けられる制度として、多くの方が利用しています。

分割払いや後払いを利用する

弁護士によっては、着手金や報酬金を一括ではなく分割で支払えるケースがあります。たとえば着手金の一部だけを最初に支払い、残りを月々の分割払いにするなど、柔軟に対応してくれる事務所もあります。

また、離婚成立後に報酬を支払う後払い方式を採用している事務所もあります。

金銭的な不安から相談をためらう方が多いため、費用面に配慮したプランを提示している弁護士も少なくありません。

相談時に「費用面が不安」と正直に伝えることで、現実的な支払い方法を提案してもらえることがあります。

親族などに一時的に立て替えてもらう

身近に信頼できる親族がいれば、弁護士費用を一時的に立て替えてもらうのも一つの方法です。

モラハラを受けて精神的に追い詰められている状況では、自力で問題を解決するのが難しいこともあります。

親族であっても金銭的な支援をお願いするのは勇気が要りますが、現状を丁寧に説明すれば、理解と協力を得られる場合もあります。

モラハラ離婚の弁護士費用でよくある質問

モラハラ離婚に弁護士は必要?

必要性は高いといえます。モラハラは証拠が残りにくく、主張が通りづらいケースもあります。

適切に対処するには、証拠の集め方や主張の仕方を熟知した弁護士の力が欠かせません。相手との接触を避けるためにも、代理人としての役割が重要です。

弁護士費用が払えない場合はどうすればいい?

法テラスの利用や分割払いを検討し、経済的に厳しい場合は、法テラスの無料相談や費用立替制度も視野に入れましょう。

また、弁護士によっては分割払いや後払いに対応していることもあるため、相談時に確認することをおすすめします。

モラハラについて弁護士に無料相談はできる?

可能です。多くの法律事務所では、モラハラ離婚を含む離婚相談を初回無料で受け付けています。

まずは無料相談を利用し、対応可能な内容や費用を確認しましょう。

まとめ

モラハラによる離婚は、証拠の確保や交渉の進め方に専門的な対応が求められるため、弁護士に依頼することで、安全に手続きを進めやすくなります。

費用面に不安がある場合でも、法テラスの利用や分割払いが可能な事務所もあるので早めに相談先を検討することが重要です。

まずは、状況を整理し、適切な対応を取ることが解決への近道となります。