配偶者や同居中の交際相手からの暴力に悩む被害者を守るための制度として、保護命令があります。この制度では、裁判所が加害者に対して、被害者への接触や連絡を禁止する命令を出し、加害者がこれに違反すると懲役や罰金が科せられます。

本記事では、保護命令の手続きや要件について詳しく解説します。
被害者が安全を確保するために知っておきたい基礎知識をわかりやすく説明しておりますので、ぜひ参考にしてください。

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保護命令とは

保護命令とは、配偶者や同居中の交際相手などから暴力を受けた被害者を守るための制度です。

被害者の申し立てに基づき、裁判所が加害者に対して、被害者へのつきまといや接触・連絡等を禁止する命令を出します。

加害者がこれに違反した場合は、2年以下の懲役202561日以後は拘禁刑)または200万円以下の罰金に処せられます。

なお、保護命令の手続では、保護命令の申立てをする被害者を【申立人】、申立ての相手となる配偶者や生活の本拠を共にする交際相手を【相手方】といいます。以下、本記事でも、同様に表記します。

保護命令の種類

保護命令には、次の6つの種類があります。

  1. 申立人への接近禁止命令
  2. 申立人への電話等禁止命令
  3. 申立人の子への接近禁止命令
  4. 申立人の子への電話等禁止命令
  5. 申立人の親族等への接近禁止命令
  6. 退去等命令

このうち、②~⑤は単独で発令されず、①の命令と同時か、①の命令が既に出ている場合にのみ発令されます。

①申立人への接近禁止命令

申立人へのつきまといや、申立人の住居勤務先等の近くをはいかいすることを禁止する命令です(⑥の退去等命令の対象となる住居を除く)。

申立人への接近禁止命令の期間は1年間です。

②申立人への電話等禁止命令

申立人に対し、以下のいずれの行為もしてはならないことを命ずる命令です。

禁止される行為

面会の要求/行動監視の告知等/著しく粗野乱暴な言動/無言電話、緊急時以外の連続した電話・文書・FAX・電子メール・SNS等の送信/緊急時以外の深夜早朝(22~6時)の電話・FAX・電子メール・SNS等の送信/汚物等の送付等/名誉を害する告知等/性的羞恥心を害する告知等・物の送付等(電磁的記録の送信を含む)/GPSによる位置情報の取得等

期間は、①の接近禁止命令の有効期間が経過する日までの間です。

 

③申立人の子への接近禁止命令

申立人と同居する未成年の子へのつきまといや、子の学校等の近くをはいかいすることを禁止する命令です(※子が15歳以上の場合は子の同意がある場合に限る)。

期間は、①の接近禁止命令の有効期間が経過する日までの間です。

※同居していない子や成年に達した子については、子への接近禁止命令を申立てられません。申立人とも相手方とも同居していない子や成年に達した子は、⑤の申立人の親族等に対する接近禁止命令の申立てとなります。

④申立人の子への電話等禁止命令

申立人と同居している子に対し、以下のいずれの行為もしてはならないことを命ずる命令です(※子が15歳以上の場合は子の同意がある場合に限る)。

禁止される行為キストが入ります。

行動監視の告知等/著しく粗野乱暴な言動/無言電話、緊急時以外の連続した電話・文書・FAX・電子メール・SNS等の送信/緊急時以外の深夜早朝(22~6時)の電話・FAXの送信/汚物等の送付等/名誉を害する告知等/性的羞恥心を害する告知等・物の送付等(電磁的記録の送信を含む)/GPSによる位置情報の取得等

期間は、①の接近禁止命令の有効期間が経過する日までの間です。

⑤申立人の親族等への接近禁止命令

申立人の親族等(申立人の成年の子を含む)へのつきまといや住居、勤務先等の近くをはいかいすることを禁止する命令です(※親族等の同意がある場合に限る)。

期間は、①の接近禁止命令の有効期間が経過する日までの間です。

⑥退去等命令

申立人と相手方が共に生活の本拠としている住居からの一時的な退去や住居の付近のはいかいの禁止を命ずる命令です。

退去命令の期間は2か月間(住居の所有者または賃借人が申立人のみで、申立人の申立てがあったときは6か月間)です。

たとえば、申立人が相手方と暮らしていた家に戻って荷物の引き取りをしたり、交渉によって相手方が退去させた後に賃貸借契約を解約したりする場合などに利用されます。

保護命令の要件

保護命令が発令される要件は、以下のとおりです。

申立人への接近禁止命令の要件

保護命令の申立てが認められるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

  • 配偶者等から身体に対する暴力、生命・身体・自由・名誉・財産に対する脅迫を受けたこと
  • 配偶者等からのさらなる身体に対する暴力、生命・身体・自由・名誉・財産に対する脅迫により、生命または心身に重大な危害を受けるおそれが大きいこと

つまり、これまでに配偶者等から暴力や脅迫を受けたことがあり、今後もそのような暴力や脅迫を受ける可能性が高い場合に、保護命令が発令されます。

接近禁止命令等の対象となる脅迫の具体的例は、以下のとおりです。

重大な危害とは、少なくとも通院加療を要する程度の危害のことです。心身に重大な危害のうち、心(精神)への重大な危害としては、以下のような疾患が考えられます。

  • うつ病
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD
  • 適応障害
  • 不安障害
  • 身体化障害

申立ての際には、医師の診断書の添付を求められます。

申立人の子や親族への接近禁止命令等の要件

申立人の同居の子への接近禁止命令および電話等禁止命令、申立人の親族等への接近禁止命令については、上記の要件を満たし、申立人への接近禁止命令が発令されるとともに、下表に示したそれぞれの命令の要件を満たす必要があります。

申立人以外への命令の種類 要件
申立人の同居の子への接近禁止命令 申立人が、同居の子に関することで、相手方との面会を余儀なくされると認めるべき場合

(例:相手方が通園・通学先から子を連れ去るなど、申立人が相手方と会わざるを得なくなる状況を防ぐために必要がある場合など)

申立人の同居の子への電話等禁止命令
申立人の親族等への接近禁止命令 申立人が、その親族等に関することで、相手方との面会を余儀なくされると認めるべき場合

(例:相手方が申立人の実家に押しかけるなどして、申立人が相手方に会わざるを得なくなる状況を防ぐために必要がある場合など)

なお、申立人への電話等禁止命令は、個別の要件はなく、申立人への接近禁止命令が認められる方について、申立てにより認められます。

退去等命令の要件

退去等命令の申立てが認められるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

  • 配偶者等から身体に対する暴力、生命・身体に対する脅迫を受けていること
  • 配偶者等からのさらなる身体に対する暴力により、生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと

なお、申立人が申立時にすでにシェルター等に避難していても、一時的な避難であることが明らかであれば、退去命令を出してもらえる可能性があります。

保護命令の手続きの流れ

保護命令の手続きの流れは、以下のとおりです。

警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談

保護命令の申立てを行う前に、配偶者からの暴力被害について、あらかじめ警察や配偶者暴力相談支援センターなどに相談します。

保護命令が迅速に発せられるためには、保護命令を認める要件を満たしているかを速やかに判断できる資料が整えられている必要があるからです。警察や配偶者暴力相談支援センターに相談・援助・保護を求めた事実がある場合には、裁判所からこれらの機関に書面の提出や説明を求めることで迅速に証拠を確保できます。

そのため、保護命令の申立て前に警察や配偶者暴力支援センターに相談等を求めましょう。

なお、警察や配偶者暴力支援センターに出向いて相談することが難しい場合には、供述書を作成し、公証人の面前で宣誓して認証してもらう方法もあります。

宣誓供述書の作成方法は、次章で説明します。

裁判所への保護命令の申立て

保護命令の申立ては、配偶者から暴力を受けた状況保護命令の要件を満たしていることを示す事情などを申立書に記載し、地方裁判所に提出して行います。

次のいずれかを管轄する地方裁判所に申立てます。

  • 相手方の住所または居所
  • 申立人の住所または居所
  • 申立てにかかる暴力等が行われた地

必要書類は、次章で説明します。

裁判所による審理

申立書が受理されると、裁判官が、申立書に記載された事実や提出された証拠書類について、申立人本人から直接話を聞きます。

弁護士に手続きを依頼している場合は、弁護士が同席したり、申立人本人に代わってこの面接に出頭したりできます。

面談は、原則として申立てを受理した当日に行われます。面談日から1週間後口頭弁論期日または相手方が立ち会える審尋期日を設けます。

ただし、次のような場合には、相手方の審尋期日等を経ずに保護命令が発令されることがあります。

  • 申立人が相手方からのさらなる暴力等により生命や心身に重大な危害を受ける可能性が高い場合
  • 緊急に保護命令を発しなければ申立人の保護ができないような場合

申立てに先立ち、警察や配偶者暴力相談支援センターに相談等をした場合は、裁判所がこれらの機関に対し、相談時の状況や執られた措置の内容を記載した書面の提出等を求めます。

裁判所による保護命令の発令

裁判所は、審理の結果、保護命令発令の要件を満たしていると判断した場合には、速やかに、保護命令を発令します。

保護命令は、相手方に決定書が送達されたとき、あるいは相手方が出頭した期日で直接言渡したときに、効力を生じます。

警察等への保護命令発令の通知

保護命令の発令後、裁判所は、申立人の住所または居所を管轄する警視総監または道府県警察本部長に連絡をして、保護命令が発令された旨とその内容を通知します。配偶者暴力相談センターに相談した旨を申立書に記載しているときは、同センターにも通知されます。

裁判所から通知を受けた警視総監または道府県警察本部長は、申立人の住居や勤務先などを管轄する警察署長に対し、保護命令が発令された旨とその内容を通知します。申立人にも連絡をとり、警察との連絡体制を整えて、必要な保護措置を講じます。

併せて、相手方の生活場所を確認し、保護命令の内容に違反していないか監視したり、違反した場合は逮捕したりするなど、必要な措置を講じます。

保護命令の申立てに必要なもの

保護命令の申立てに必要なものは、以下のとおりです。

保護命令申立書

申立書は、裁判所提出用に1部、相手方送付用に1部の合計2部を提出します(申立人用の控えも取っておいてください。)。

裁判所によって申立書の書式は異なりますが、主に以下の事項を記載します。

記載事項 詳細
①当事者の住所・氏名等 申立書は相手方に見られるので、相手方に知られたくない住居所は申立書に記載せず、相手方に知られている住所や相手方と同居していたときの住所を記載しても差し支えありません。

※弁護士に依頼している場合は、代理人弁護士の住所・氏名も記載します。

②申立ての趣旨 発令してほしい保護命令の内容を記載します。
③申立ての理由 ⑴相手方から身体に対する暴力等を受けた状況

いつ、どこで、どのように相手方から暴力または脅迫を受けたかなど状況を詳しく記載します。

「殴られた。」、「脅迫された。」等ではなく、「令和〇年〇月〇日、左眼あたりを右の拳で〇回殴られた。」など具体的に記入します。

⑵生命・心身(退去等命令を申立てる場合は生命・身体)に重大な危害を受けるおそれが大きい事情

相手方の性格や日頃の言動、暴力を振るったり脅迫したりする理由等などを詳しく説明しながら、このままでは生命をも脅かす重大な危害が及ぶ可能性があるため、保護命令が必要だということを文章で訴えます。

⑶警察や配偶者暴力相談支援センターに相談した事実等

警察や配偶者暴力相談支援センターに相談・援助・保護を求めたことがある場合は、以下の事項を記載します。

①    相談等をした機関の名称

②    相談等をした日時・機関

③    相談等の内容

④    相談等に対してとられた措置

④子への接近禁止・電話等禁止を求める場合の子の表示 申立人の子への接近禁止命令・電話等禁止命令の申立てを行う場合は、以下の事項を記載します。

① 子の氏名及び出生の年月日

② 子に関して申立人が相手方と面会することを余儀なくされることを防止するために保護命令を発する必要があると認めるに足りる事情

(単に「子供に執着しているから。」ではなく,「令和○年○月○日、私に暴力を振るった後、「子供は意地でも渡さん。」と言った。」など具体的に記入します。)

⑤親族等への接近禁止を求める場合の親族等の表示 申立人の親族等への接近禁止命令の申立てを行う場合は、以下の事項を記載します。

① 親族等の氏名と申立人との関係(申立人の子である場合は出生年月日)

② 親族等に関して申立人が相手方と面会することを余儀なくされることを防止するために保護命令を発する必要があると認めるに足りる事情

⑥再申立ての場合は前回の保護命令事件の表示 以前に保護命令が発令された申立理由と同一の暴力等を理由として申立てをする場合には、その旨と前回の保護命令の事件番号等を記載します。

申立人と相手方の関係が確認できる書類

申立人と相手方の関係を明らかにするために、次のいずれかの書類を提出します。

  • 戸籍謄本
  • 住民票(続柄の記載された世帯全員の写し)

申立人の親族等に対する接近禁止命令を申立てる場合は、親族等の戸籍謄本も必要です。

申立人と相手方が法律上の婚姻関係にない場合は、生活の本拠を共にしていたことを証明するものとして、次のような資料を提出します。

  • 申立人の住民票
  • 相手方の住民票(取得できる場合)
  • 生活状況がわかる写真や手紙
  • 光熱費等の支払請求書の写し
  • 賃貸借契約書の写し
  • 生活状況を具体的に記載した陳述書 など

なお、戸籍謄本や住民票は個人番号(マイナンバー)の記載のないものを提出しましょう。

暴力・脅迫を受けたこと等を証する資料

①暴力または脅迫を受けたこと②今後、相手方からさらに身体に対する暴力を振るわれて、生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことを証明する証拠を提出します。

証拠の具体例は、下表のとおりです。

①を証する資料 ②を証する資料
【暴力を受けた場合】

・診断書
・負傷部位の写真
・暴力を受けた状況を具体的に記載した陳述書 など

【脅迫を受けた場合】

・脅迫内容が記載されたメールや手紙の写し
・脅迫を受けた状況を録音した音声
・脅迫を受けた状況を具体的に記載した陳述書 など

相手方から受ける暴力が次第にひどくなっていることや、相手方がさらにひどい危害を加えようとしている状況を具体的に記載した陳述書 など

宣誓供述書(警察等に相談をしたことがない場合)

保護命令を申立てる前に、配偶者暴力相談支援センターや警察の職員に相談等をしていない場合は、宣誓供述書の提出が必要です。

宣誓供述書は、申立人が相手方から暴力等を受けた状況についての供述を記載した書面を公証役場に持参し、公証人の面前で宣誓して認証を受けることで作成する書面です。

公証人の認証を受けるには、手数料として11,000が必要です。

法務局やその支局内に公証人がいない場合や、公証人がその職務を行えない場合、法務大臣は、法務局または支局に勤務する法務事務官に認証を行わせられます。

供述書を作成する際は、以下のポイントを意識するとよいでしょう。

その他

その他、保護命令の内容に応じて、以下の書類の提出が求められます。

同意書

申立人の子(その子が15歳以上の場合)や申立人の親族等への接近禁止命令を申立てる場合は、同意書が必要です。
親族が未成年の場合、その親族の法定代理人(親権者父及び母等)が作成する同意書が必要です。

なお、申立時ないし面談時に申立人の子や親族等が同行しない場合には、その子や親族等が同意書に署名したことを裏付ける証拠として、以下のような資料の提出が求められます。

  • 印鑑証明書
  • 裏面に署名のあるクレジットカード
  • 子や親族等が従前から日常的に使用し、氏名を書いている学用品・生活用品等

申立人が相手方との面会を余儀なくされることを証明する証拠

申立人の子(その子が15歳以上の場合)や申立人の親族等への保護命令を申立てる場合は、申立人がその子や親族等に関して相手方との面会を余儀なくされることを証明する証拠を提出します。

例えば、相手方が申立人の親族等の自宅に押し掛けて、「申立人を出せ!」等と叫び続ける行為がある場合、その状況を具体的に記載した親族等の陳述書などが該当します。

賃貸借契約書等

6か月間の退去等命令を求める場合には、退去を求める建物の所有者または賃借人が申立人であることを証明するために、以下の資料を提出します。

  • 建物登記事項全部証明書
  • 賃貸借契約書 など

既に発令された保護命令決定謄本等

以前に保護命令が発令された申立理由と同一の暴力等を理由として申立てをする場合には、以下の書類を添付します。

  • 前回の保護命令申立書の写し
  • 前回の保護命令謄本の写し

収入印紙

申立て手数料として、1,000円分の収入印紙が必要です。

収入印紙は申立書の印紙貼付欄に貼り付ける形で納付します。

郵便切手

連絡用の郵便切手を納めます。

内訳や金額等は裁判所によって異なりますが、2,000円~3,000円程度とされていることが多いです。

保護命令についてもっと詳しく知りたい方に|QA5

保護命令手続きについて、もっと詳しく知りたい方に向けて、よくある質問とその答えを紹介します。

接近禁止命令はどのくらいの距離の接近が禁止される?

接近禁止命令では、具体的に接近してはいけない距離が指定されるわけではありません。

相手方が申立人につきまとったり、申立人の住居や勤務先等の近くをうろついたりすること、すなわち、日常的な行動範囲が制限されます。

保護命令の申立てはモラハラでは認められない?

モラハラの態様によっては、保護命令の申立てが認められる可能性があります。

保護命令を申立てられるのは、配偶者から身体に対する暴力を受けた方のほか、生命・身体・自由・名誉・財産に対する脅迫を受けた方も含まれます。

自由・名誉・財産に対する脅迫の例としては、次のようなケースが該当すると考えられています。

  • 「言うことを聞かないなら家に閉じ込める」と告げる
  • 「性的な画像をSNSで晒す」などと告げる
  • 「通帳やキャッシュカードを取り上げる」と告げる

単に「お前は馬鹿だ」「お前には何の取り柄もない」「誰のおかげで生活できると思っているのか」などの暴言や、無視をする、生活費を渡さない等の行動だけでは脅迫に該当するとえず、保護命令の対象とならない可能性が高いです。

もっとも、具体的な言動が自由・名誉・財産に対する脅迫に該当するかどうかは、裁判所が個別の事案ごとに判断しますので、全体としてみれば脅迫になるようなケースでは保護命令の申立てが認められる可能性はあるでしょう。

保護命令は離婚後でも申立てられる?

暴力等を受けた後に離婚した場合は、婚姻中に受けた暴力等を理由として、保護命令を申立てられます。

ただし、婚姻中または同居中に暴力がなく、離婚または事実上の関係当の解消後に、初めて暴力を受けた場合は、そのことを理由とする申立てはできません。

婚姻関係がない交際相手にも接近禁止命令を出してもらえる?

生活の根拠を共にしている同棲中の交際相手であれば、接近禁止命令の対象となります。

しかし、同棲していない交際相手を相手方として接近禁止命令の申立てはできません。

同棲関係にない交際相手の暴力等にお悩みの場合は、警察に相談してみましょう。つきまといに対する警告や禁止命令など、ストーカー規制法に基づく措置をとってもらえる可能性があります。

保護命令の期間満了後も暴力を振るわれる可能性が高い場合は?

前回の保護命令の根拠となった暴力等を原因として、再度、保護命令を申立てられます。

ただし、再度の申立てを行う場合も、当初の申立てと同様に警察や配偶者暴力相談支援センターへの事前相談を経て申立書や証拠資料を提出する必要があり、再申立ての段階で保護命令の要件を満たすかどうかを、改めて判断されます。

まとめ

保護命令制度は、被害者が安心して生活を送るための重要な仕組みです。

発令には厳格な要件が定められているものの、正しい手続きと適切な準備があれば、迅速な対応が期待できます。配偶者から暴力や脅迫等の被害を受けている場合、まずは警察や配偶者暴力相談支援センターに相談し、必要な証拠を整えましょう。

裁判所への申立てに不安がある方は、離婚手続きを含め、弁護士の力を借りることも検討してみてください。