配偶者がどうやら不貞をしていることが分かったとき、不貞をするような配偶者とは離婚したいし、配偶者にも不貞相手にもしっかり慰謝料請求したいという方は少なくないでしょう。
しかし、不貞の責任を追及しようとした場合に、相手がどのようなことを言ってくるか、自分の主張が認められて、離婚して慰謝料をもらうことができるのか不安な方も少なくないと思われます。
そこで今回は、不貞による離婚を請求した場合に争点になりやすいことについて解説します。
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目次
争点になりやすいこと|①不貞をしているかどうか
配偶者に対して、不貞による離婚請求やこれに基づく慰謝料請求をすると、「不貞はしていない」と反論され、そもそも不貞があったかどうかが争点化することが少なくありません。
どのような場合に争点になりやすいか
不貞しているかどうかが争点になるのは、不貞の証拠が足りないときです。
例えば、不貞相手と一緒に出歩いている写真や、不貞相手とのSNSのやりとりなどがあっても、性的な関係を推認させるようなものが全くないようなケースです。
具体的には、一緒にショッピングや食事をしているだけの写真や、「昨日は楽しかったね」というだけのやり取りしかなければ、交際していることの証拠にはなっても、不貞していることの証拠としては足りません。
このような場合に、「不貞はばれていない」と相手に判断されて不貞そのものを否定され、不貞しているかどうかが争点になります。
争点化するのを回避するためにはどうすればよいか
不貞の責任を追及する場合、追及する側が不貞に関する証拠を裁判所に提出しなければなりません。
そのため、不貞の有無の争点化を回避するためには、性的な関係を結んだことが強く推認される証拠を集めることが最も大切です。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 2人でホテルに入ってしばらくの間出てこなかった、あるいは、2人きりでマンションの一室に入って朝まで出てこなかったことなどがわかる探偵の報告書
- ホテルの領収証
- 性的関係を結んだことについてふたりで交わしているSNSの会話など
不貞が認定されそうになくてもあきらめる必要はない
不貞している当事者の中には、不貞の証拠を残さないように細心の注意を払っている人も少なくなく、この場合は、証拠の収集がとても難しいといわざるを得ません。
しかし、だからといって諦める必要はありません。
集められるだけの証拠を集めて、不貞の主張に併せて予備的に交際関係にあったことを主張し、これにより婚姻関係が破綻したことを示すことができれば、離婚請求が認められ、また、金額は少なくても慰謝料も認められる可能性があります。
ですので、証拠が足りないからといって、不貞やこれに関連する主張をすることを一切諦めるのではなく、証拠に合わせてできる限りの主張をすることを検討することが大切です。
争点になりやすいこと|②不貞前に婚姻関係が破綻していたかどうか
不貞そのものの有無が争点とならない場合でも、不貞の当事者から、不貞をする前に婚姻関係が破綻していたと主張され、この点が争点になることも少なくありません。
婚姻関係がすでに破綻している後で配偶者以外の人と性的関係を結んでも、離婚原因にはならないからです。
しかし、このような主張が認められるのは、原則として、夫婦が別居した後に不貞があった場合に限定されます。
同居中、夫婦仲が悪い程度では婚姻関係の破綻の主張は認められません。
ですが、逆をいえば、別居後一定期間を経た後に配偶者に不貞された場合には、不貞を理由とする離婚の請求等を行っても、認められない可能性が極めて高くなります。
争点になりやすいこと|③相手が強引だったかどうか
不貞そのものを否定できない場合、相手が強引で断ることができなかったという主張がなされ、このような理由により、不貞による離婚や慰謝料請求が認められなくなるのかが問題となることがあります。
確かに、暴力をふるわれたり、何か弱みを握られて脅迫されたりしているようなケースや、勤務先の上司からセクハラの一環として断ることができない状況下で性的関係を迫られた場合などは、その証拠があれば、これらの事情が考慮され、離婚や慰謝料が認められなくなる余地があります。
しかし、そうではなく、単に相手に強く関係を求められて断り切れなかったというだけでは、責任を回避できません。
「相手が強引だった」という主張は、他に反論することがない場合によくみられるものです。
このような主張がなされたら、先に述べた事情を示す証拠がない限り、他に主張できることがないと判断して差し支えないでしょう。
争点になりやすいこと|④慰謝料の金額
不貞があった場合には、不貞をした配偶者や不貞相手に慰謝料を請求できますが、その金額もまた、争点になりやすい事項といえます。
不貞に基づく慰謝料の金額は、次のような様々な要素により決まります。
- 不貞の期間や頻度
- これにより離婚したかどうか
- 婚姻期間の長さ
- 子どもの年齢 など
不貞そのものの証拠はあっても、いつからしていたのかわからない場合には、証拠が見つかった時点から不貞の期間や頻度がカウントされてしまうため、その分、慰謝料の金額が低くなってしまう可能性もあります。
そのため、慰謝料の金額を決める場合も、不貞に関する証拠がどの程度揃っているかが問題となります。
できる限り証拠を集め、それに基づいてどの程度の金額を請求できるか検討をつけておくことが重要です。
まとめ
今回は、不貞慰謝料について争点になりそうなことを全般的に解説しました。
不貞をした当事者の中には、不貞をしたことに対する責任から逃げようとする人も少なくありません。
逃げられないようにするためには、しっかりと証拠をそろえ、理路整然とした主張をすることが大切です。
当事務所は、不貞の問題について精通している弁護士が多数在籍しております。
配偶者に不貞をされて離婚をお考えの方は、是非お気軽にご相談ください。お待ちしております。