離婚時に養育費について話し合って合意したものの、その後の生活環境の変化で合意内容を変更したいと考える場合があります。その一つが養育費の支払い期間の延長です。
この記事では、養育費の支払い期間を延長したいと考えた時、すべきことは何かについて解説します。
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目次
養育費を延長したい場合、取るべき方法は?
養育費の支払い期間を延長したい場合、取るべき方法は次にあげる2つです。
相手と話し合って合意する
相手と話し合い、養育費の支払い期間を延長したいと交渉しましょう。
養育費の支払い期間は、高校を卒業するまで、成人するまで、大学を卒業するまでというように取り決めるケースが多いです。一度合意した内容を一方的に変更はできませんが、両親が話し合って合意できれば変更可能です。
養育費の支払い期間を延長したいと求めるきっかけは、子ども側の事情に変化が生じた場合が多いです。
例えば、離婚した当時、子どもが大学進学を希望していなかったため、養育費の支払い期間を子どもが高校を卒業するまでとしたとします。離婚後しばらくして、子どもが大学進学を希望した場合、大学卒業まで養育費の支払いを延長したいと考える人が多いでしょう。
離婚後に子どもが病気やけがをして、それが原因で成人を過ぎても自立した生活ができなかったり、養育費を請求している父親または母親が何らかの理由で収入が減ったりした場合も養育費の支払い期間を延長してほしいと考えることもあるでしょう。
こうした場合、相手に事情を説明して話し合いで合意ができれば、養育費の支払い期間の延長が可能です。
家庭裁判所に調停を申し立てる
養育費の支払い期間の延長について相手と合意ができない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てましょう。
調停では、家庭裁判所の調停委員が中立の立場で相手との間に入って話し合いを進めてくれます。
なぜ養育費の支払い期間を延長してほしいのか、子どものために必要であることを調停委員に説明し、理解が得られれば、遅々として進まなかった話し合いがまとまる可能性が高くなります。
調停が不成立になった場合は自動的に審判に移行し、裁判所が養育費の支払い期間延長が適切かどうかについて判断します。
養育費延長の申立ての流れは?
養育費延長の申立てはどのように進めればよいか、流れや必要書類について解説します。
家庭裁判所に申し立てる
養育費に関する調停の申立ては、相手の住所を管轄する家庭裁判所(相手と合意しているならそれ以外の家庭裁判所でも可能)に申し立てます。
申立てに必要な書類は以下のとおりです。
- 申立書(原本と写し各1通)
- 送達場所の届出書 1通
- 事情説明書 1通
- 進行に関する照会回答書 1通
- 子どもの戸籍全部事項証明書 1通
- 申立人の収入が分かる資料(源泉徴収票や給与明細、確定申告の写しなど)
- 子ども1人につき1200円の収入印紙
- 郵便切手(家庭裁判所ごとに異なるので要確認)
申立書、送達場所の届出書、事情説明書、進行に関する照会回答書は、裁判所のホームページから定型書式がダウンロードできます。
申立て後、家庭裁判所は調停期日を調整し、2週間後ぐらいを目途に当事者双方に調停期日呼出状を送付します。申立てから調停が開始するまで1か月ほどの期間がかかります。
裁判所の調停委員が間に入り話し合いをする
第1回目の調停では、調停委員2名が当事者双方から話を聞きます。
1回目で双方合意ができれば調停終了となりますが、合意できなければ、その後1か月に1度のペースで調停が開かれます。
調停が成立しなければ審判へ移行する
調停で双方合意ができれば、家庭裁判所が調停証書を作成して終了となります。
不成立となったら自動的に審判へ移行し、裁判官が養育費の延長が適当か否か判断します。
調停の流れについては、「養育費調停とは|申立ての流れや調停で聞かれること」の記事を参考にしてください。
養育費延長を拒否される可能性が高い事由は?
養育費の支払い期間の延長を求めても、調停・審判で拒否されることがあります。
主に次の3つのようなケースです。
養育費を延長する正当な理由がない
養育費の支払い期間を延長する正当な理由が見当たらない場合は、拒否される可能性があります。
ただ単に必要だからという理由だけでは拒否される可能性が高いです。
養育費を決定した際に養育費の延長を予測できた場合
離婚時、養育費を決定した際に養育費の支払い期間の延長を求める可能性が予測できた場合は、拒否される可能性が高いです。
例えば、最初に養育費について話し合いをした際に、子どもが大学へ進学することが予測できていたにも関わらず、養育費の支払い期間を大学卒業までとしなかった場合は、支払い期間の延長が認められないかもしれません。
支払う側の事情に変化があり、養育費の延長が公平ではない場合
養育費を支払う側の事情に変化があり、養育費の支払い期間を延長するのが公平ではないと判断される場合は、支払期間の延長は認められない可能性があります。
例えば、養育費を支払う側が再婚し、再婚相手との間に子どもが生まれたり再婚相手の連れ子を養子縁組した場合や、勤務先の業績が悪く給料が減ったりリストラにあった場合が該当します。
養育費を受け取る側の事情に変化があった場合もあわせて検討されるケースがあります。養育費を受け取る側が再婚しただけでは養育費の支払い期間に影響はありませんが、再婚相手が子どもを養子縁組したら再婚相手(養親)は扶養義務を負います。そのため養育費の支払い期間の延長を求めるのは公平ではないと判断される可能性があります。
養育費の延長を求めるなら弁護士に相談を!
離婚後、養育費の延長を求めるなら、弁護士に相談・依頼をしましょう。
弁護士に相談・依頼するメリットは以下に挙げる点です。
- 養育費の支払い期間延長を認めてもらうための的確なアドバイスができる
- 弁護士が代理人として交渉できるので、相手に会わずにすむ
- 調停を申し立てた場合、調停手続きを任せられる
養育費の支払い期間延長を望む場合、相手と合意できなければ話が進みません。養育費の支払い期間を延長する理由について相手を納得させるには、説得力のある説明が必要です。弁護士であれば、どのように説明すればよいか的確なアドバイスが可能です。
離婚後に相手と会って話し合いたくない人も多いと思います。弁護士であれば代理人として交渉が可能なので、相手と会うストレスが避けられます。
相手との話し合いで合意できなければ、調停を申し立てることになります。
弁護士に依頼すれば、調停の申立て手続きを任せられますし、調停委員とのやり取りがスムーズに行える可能性があります。
弁護士が対応した方が、あなたの言い分が調停委員に的確に伝えられる可能性があります。
まとめ
離婚をした際に養育費について双方で話し合って合意しても、思いがけない事情が発生して変更を余儀なくされるケースは多々あります。
養育費は子どものためのものですから、親は子どものことを考えてお互いに歩み寄り、納得のいく話し合いをしたいものです。
しかし、養育費の支払い期間を延長するのは、支払う側にとっては金銭的負担が生じます。子どものためとはいえ、事情によっては厳しいと感じる人もいるでしょうから、スムーズに話し合いが進むとは限りません。
そんなときは弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
ネクスパート法律事務所には、離婚問題全般を得意とする弁護士が在籍しています。養育費に関する問題で悩みを抱えていらっしゃる方は、ぜひ一度お問合せください。