経営者との離婚 どんな問題が起こる?

会社経営をしている配偶者との離婚を考えた場合、どのような問題が生じる可能性があるでしょうか。
この記事では、経営者ならではの問題点とそれに対する対応策について解説します。

経営者との離婚に伴い財産分与で生じうる問題

財産分与は、婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産を分けることです。
経営者との離婚に伴い、財産分与で生じうる問題は以下の4つです。

2分の1ルールが修正されることがある

経営者との離婚では、2分の1ルールが修正される可能性があります。
財産分与の割合は、2分の1が原則です。この原則は、夫婦それぞれ同等の貢献度があったからこそ財産が築けたとの考え方からきています。
ただし、夫婦の一方の特殊な才能や努力で財産の大半を築いたと判断される場合は、2分の1ルールが適用されないケースがあります
例えば、会社を立ち上げ、努力と才能で事業を拡大して財産を築いた場合は、夫婦間の貢献度に違いがあると判断される可能性が高いです。
過去の裁判で、会社経営者の夫との離婚で財産分与の割合を夫が95、妻が5の割合で認められた事例があります(平成15年9月26日東京地裁判決)。

財産分与の対象となるものとならないものの判別が難しい

財産分与の対象となるものとならないものの判別が難しいケースがあります。
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた共有財産が対象になるので、会社名義の財産は対象となりません。
ただし、家族経営や個人経営に近い会社の場合、会社名義の財産と個人の財産の区別をしていない場合があります。この場合は、財産を一つひとつチェックして会社名義のものか、個人のものか判断をしなければいけません。

自社株の評価について夫婦間で意見が対立する可能性がある

自社株の評価について、夫婦間で意見が対立する可能性があります。
経営者が保有している自社株については、婚姻期間中に得た場合は財産分与の対象になるケースがあります。ただし、自社株を保有している側は自身の才能や努力によって得たもので、特有財産だと主張し、話し合いでもめるかもしれません。
配偶者が経営している会社が上場していない場合は、株の時価をどのように評価するかでもめる可能性もあります。

現物分与が難しく金銭給付によらざるを得ないこともある

現物分与が難しく、金銭給付に寄らざるを得ないことがあります。
例えば、家族で農業に従事していた場合、たとえ夫婦で農業に貢献しても親族から正当な対価が支払われるケースは少ないです。そのため、夫婦名義の財産がなく、公平な財産分与が期待できない可能性があります。
この場合、親族名義で形成された財産の一部を夫婦の共有財産として評価する以外に方法がないため、金銭給付で財産分与を行わなければいけません

経営者との離婚では経済力の差が親権獲得に影響する?

経営者との離婚で、経済力の差が親権獲得に影響するケースは否定できません。
経済力は、どちらが親権者としてふさわしいか判断材料の一つだからです。
ただし、重要視されるのは子どもの監護をどちらが行ってきたかという点です。仕事を理由に子どもの面倒をみていなかった場合は、親権者にふさわしいと判断される可能性は低いです。
親権獲得において、経営者は有利だと思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
親権獲得に不安がある場合は、弁護士のサポートを受けながら諦めずに交渉するのをおすすめします。

経営者との離婚で雇用関係や取締役・役員の地位はどうなる?

配偶者が会社を経営している場合、会社に雇用されていたり、取締役等の役員になっていたりする場合があります。
その際にどのような点に気を付けるべきか、以下で解説します。

離婚を理由に解雇はできない

離婚のみを理由に解雇はできません
夫婦の問題と雇用関係は別々に考えなければならないからです。
配偶者が経営する会社に雇用されている場合、法律にのっとって処理されるべきですので、不当に解雇されないようにしましょう

取締役・役員なら退任・解任を受け入れざるを得ないこともある

配偶者が経営する会社で取締役や役員をしている場合、退任や解任を受け入れざるを得ないケースがあります。
取締役には任期があるため、任期が満了して再任されない限りは退任せざるを得ませんし、株主総会で解任された場合は、それに従って受け入れなければなりません

経営者との離婚を考えたらすべきことは?

経営者との離婚を考えたらすべきことは、以下の3つです。

分与の対象となる財産を明確にする

財産分与の対象となるものを明確にしましょう。
実際は夫婦の共有財産なのに、財産隠しを目的に財産の一部を会社名義に変更する可能性も少なくありません。
どこまでが財産分与の対象になるのか、事前に把握をしておきましょう。
一般的に財産分与の対象となるもの、経営者だからこそ財産分与の対象になる可能性があるものを以下の表にまとめましたので、確認してください。

一般的に財産分与の対象となるもの 経営者だからこそ財産分与の対象になる可能性があるもの
・現金
・不動産
・車・家電・家具・宝石などの動産
・有価証券
・保険
・退職金 など
・経営する会社の自社株
・ゴルフやリゾート施設の会員権 など

詳細は、「離婚時に財産分与の対象とならないものは何か? 」もご参照ください。

自社株の適正な評価額を調査する

自社株を保有している場合は、適正な評価額を調査しましょう。
会社が上場している場合は、株式市場の時価を参考に評価額が調査できます。
非上場会社の場合は、評価方法がさまざまですので、どのような方法があるか、弁護士のサポートを受けながら調査するのをおすすめします

共同経営を解消する場合は保証契約の解除について債権者と話し合う

離婚によって会社の共同経営を解消する場合、保証契約の解除について債権者と話し合いましょう。
例えば、事業用物件の賃貸借契約や事業資金の借り入れの際に、保証人・連帯保証人になっている場合は、共同経営を解消する前に債権者との交渉が必要な可能性が高いです。
債権者とトラブルにならないように、事前に対応しておきましょう。

経営者との離婚を考えた場合は弁護士に相談・依頼を!

経営者との離婚を考えた場合は、弁護士に相談・依頼をしてください。
会社経営をする配偶者との離婚は、会社員の配偶者との離婚に比べて難しい側面があります。資産が多いために財産分与に手間取ったり、個人の資産と会社の資産の区別が難しかったりするケースもあります。
配偶者との関係が険悪な場合は、資産隠しをされて公平な財産分与ができない可能性があります。配偶者とトラブルにならないように、離婚問題を多く手掛けている弁護士に早めに相談・依頼をして、対策を練りましょう。

まとめ

離婚をする際には、さまざまな話し合いをしなければいけません。配偶者が経営者の場合は、話し合う内容もおのずと違ってきます。スムーズに離婚を進めるためにも早めに弁護士に相談・依頼をしましょう。
ネクスパート法律事務所には、離婚案件を多数手掛けた実績のある弁護士が在籍しています。初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問合せください。