お子様のための大切な養育費ですが、離婚後に支払われなくなってしまうトラブルが後を絶ちません。離婚した元パートナーとの連絡は避けたいにもかかわらず、未払いが続くため督促をご自身で行っている方も少なくないのです。し

かし、連絡先を変えられてしまったり勤務先がわからなくなってしまったりと、一人では対処がしきれなくなった場合には弁護士に依頼をすることもおすすめです。そこで、この記事では養育費の請求や強制執行に関して弁護士に依頼をした場合の「弁護士費用」について詳しく解説します。

養育費の弁護士費用の相場

多くの弁護士は養育費に関するご相談をお受けしています。養育費に関して弁護士に相談する場合によくある3つのケースに分けて、弁護士費用を詳しく解説します。

離婚時に養育費の取り決めをする場合

離婚時に未成年のお子様がいる場合には、親権者となる方は離婚する相手方に対して養育費の請求が可能です。しかし、子どもの年齢や教育状況などに合わせて月々いくら請求すべきなのかわからないものです。

離婚時に養育費を取り決める際にも、弁護士にご依頼をいただくと双方の妥当な着地点を探ったり、離婚調停で話し合いを行ったりなどのサポートが可能です。離婚時の養育費に関する弁護士費用の相場は次のとおりです。

離婚方法 着手金 報酬金
協議離婚 10〜30万円程度 20~40万円+経済的利益10~20%程度
※養育費の報酬金は数年分の10%~20%程度
調停離婚 20〜40万円程度
裁判離婚 30~50万円以上

協議離婚の場合は調停や審判とは異なり裁判所を通す手続きは不要で、スムーズに進めば短期間で離婚が成立するので弁護士費用を比較的抑えることが可能です。

また、調停や裁判は裁判所への印紙代・郵券代が発生し、弁護士が調停などに同行する際の日当もかかります。裁判所への費用は申立先の裁判所によって異なります。協議離婚から依頼し、調停に進んだ場合などは着手金が減額されることがありますので弁護士に確認しましょう。

離婚の弁護士費用の相場はいくら?費用を安く抑えるには

離婚後に養育費の請求のみを依頼する場合

子どもの養育費は離婚後であっても請求をすることができますが、すでに離婚してしまっているため交渉が難航する可能性もあります。元夫婦間でうまく話がまとまらない場合には、弁護士に依頼をすることで依頼者に代わって養育費の請求や金額の交渉を行います。離婚後の養育費請求に関する弁護士費用の相場は以下のとおりです。

養育費の交渉のみ依頼
着手金 10万~30万程度
報酬金 数年分の養育費の10%~20%程度
養育費の交渉で調停や審判に進んだ場合
着手金 20~50万程度
報酬金 数年分の養育費の10%~20%程度

離婚後の教育費に関する協議・交渉や調停はすでに離婚自体は成立しているため費用は離婚時より低くなっています。相手方の生活状況や収入状況によっては養育費が小さい額になる可能性もあり、基本的には報酬金は事件の解決後、無事に養育費が回収できてから発生することが一般的です。

養育費調停とは|申立ての流れや調停で聞かれること

未払い養育費を強制執行で回収する場合

離婚時や離婚後に取り決めを行った養育費が、支払われなくなるトラブルも多く発生しています。元パートナーの住所や連絡先が変わってしまい養育費の請求に難航することもあります。このような場合も弁護士にご依頼をいただくと、現在の住所の調査や養育費の強制執行に関して代理人として行います。強制執行に必要な弁護士費用は以下の通りです。

養育費の強制執行にかかる弁護士費用相場
着手金 10~30万円程度
報酬金 回収額の10%~20%程度

強制執行の養育費の着手金は、回収予定の金額(債権額)に応じて変動することが一般的です。
別途裁判所への申立て費用や必要書類に関する実費などが発生します。

養育費の強制執行とは|デメリットとお金がとれない場合の対処法

養育費の弁護士費用が払えないときの対処法

養育費はお子様の未来を支えるためにも大切なお金ですが、ひとり親としてお子様を育てている上、弁護士費用を支払って養育費の回収に乗り出すことは大きなご負担です。では、弁護士費用の捻出が難しい場合には、どんな対処法が考えられるでしょうか。次の4つの方法をご参考ください。

ご自身で請求、回収する

弁護士に依頼をせずに養育費を回収するためには、ご自身でチャレンジをすることも1つの選択肢です。元パートナーの連絡先やご家族に相談し、大切な子どもの養育費を支払うように交渉をしてみましょう。

調停もご自身で可能です。弁護士に法律相談を行い、手続きに関してアドバイスのみもらうことも方法として検討しておきましょう。なお、調停の申立てに関しては各家庭裁判所の窓口にて書類の書き方や必要書類のアドバイスを受けることも可能です。

法テラスを利用する

ひとり親で養育費の強制執行などに関して弁護士に依頼をしたい場合には、法テラスと契約をしている弁護士に依頼をすることもおすすめです。法テラスは収入状況が一定の基準を下回り、資力が乏しい方(保険や預貯金などの資産状況も含める)が利用できる制度で、審査に通過をすると法テラスが弁護士費用を立替払いしてくれます。

かかった費用に関しては月々5,000円程度を目安に返済を行うしくみで、利息も発生しません。但し、法テラスと契約をしている弁護士でなければ活用ができないため注意しましょう。

法テラス 公式ホームページ

※なお、当事務所では法テラスの民事法律扶助制度の利用を希望される方からのご相談は現在受け付けておりません。

後払い、分割払い対応の弁護士に依頼する

養育費に悩んでいる方の多くはひとり親で経済的にも厳しい方が多く、法律事務所や弁護士によっては着手金や報酬金などに関して後払い、分割払などの仕組みを導入しています。

強制執行の場合、成功すると安定して養育費が回収できるようになるため、弁護士費用の捻出もできるようになります。まずは、弁護士に現在の収入や生活状況を相談して、弁護士費用の支払い時期をどうするべきか相談をしてみましょう。

完全成功報酬の弁護士に依頼する

法律事務所や弁護士によっては、無事に事件が解決出来た後に報酬を請求する「完全成功報酬」を導入していることもあります。例えば養育費の強制執行の場合、無事に給与の差し押さえが成功し、回収できてから報酬金を求める、というものです。この場合報酬金の支払いに感じる負担感が軽減されるでしょう。

未払い養育費で相手の給料を差し押さえするには

養育費の請求・強制執行にかかる弁護士費用は相手に請求できる?

養育費の請求のきっかけになった離婚や、相手方の未払いが原因による養育費の強制執行に関しては、必要となった弁護士費用に関してもできれば相手方に請求したいものです。しかし、原則としては相手方への請求はできません。

不倫やDVによる慰謝料請求などの場合に請求が認められる場合がありますが、養育費の請求や強制執行においては原則ご自身で弁護士費用を負担する必要があります。

離婚の弁護士費用は誰が払うの?相手に請求することはできる?

まとめ

この記事では養育費の交渉や回収、強制執行に関する弁護士費用の相場を焦点に詳しく解説をしました。養育費の問題はお子様の未来に影響する可能性が高く、できる限り早期の解決がおすすめです。まずは弁護士費用に関してもお気軽にご相談ください。