離婚をした後に養育費を支払う取り決めを行ったにも関わらず、支払いが滞ったり連絡が取れなくなったりと困った場合には、元パートナーの給料を差し押さえることも1つの方法です。では、養育費のために給料を差し押さえるにはどうすれば良いのでしょうか。この記事では給料を差し押さえる方法や、メリットを中心に詳しく解説します。現在養育費の問題で悩んでいる方の解決へのきっかけになれば幸いです。

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未払い養育費で給料を差し押さえするには

養育費の未払いを解決する方法に「給料の差し押さえ」があります。給料差し押さえとは、簡潔に言うと、裁判所を経由して強制執行を行い元パートナーの給与を養育費の支払いのために差し押さえることです。

ご自身で元パートナーが勤務している会社に連絡をして養育費の支払い交渉をするものではありません。給料差し押さえ自体は養育費の未払以外でも行われています。よくあるのは「借金の滞納」が原因による給料差し押さえです。

この他にも滞納税に関しての給料差し押さえは、税金という特性上職務権限があり裁判所を経由することなく行われています。養育費に関しては地方裁判所に申立てを行って給料差し押さえに臨む必要があります。

養育費の強制執行で給料を差し押さえするメリット

「何度も元夫(元妻)に連絡をしているのに、養育費が支払われない」こんなお悩みを抱えている方は相当数おられます。平成28年度に厚生労働省が発表している「全国ひとり親世帯等調査結果報告|養育費の状況(PDF)」を踏まえると、なんと母子家庭では56%父子家庭ではさらに上回って86%が養育費の支払いを受けられていないという統計結果があります。

養育費の支払いはトラブルの温床と言っても過言ではないのです。大切なお子様のためにも強制執行により給料差し押さえを検討しましょう。給料差し押さえには次の3つのメリットがあります。

養育費の強制執行とは|デメリットとお金がとれない場合の対処法

手取り給料の2分の1を差し押さえできる

強制執行により給料差し押さえを実行すると、元パートナーの手取り給料の2分の1を差し押さえることが可能です。対象となる給料額は税金や社会保険料等を控除した額なので少なくはなります。長らく養育費の未払いに悩まされていた方にとっては給料の全額を差し押さえたいところですが、限度額が法的に設定されています。

養育費の給料差し押さえに関しては、借金の滞納による差し押さえとは異なる限度額が法的に認められています。借金の場合に差し押さえできるのは税金などを控除した後の給料額に対して4分の1までしかできません。養育費は子どもの生活に大きく影響するため、差し押さえできる金額が大きいのです。

過去の未払い分と将来分の養育費を請求できる

未払いとなっていた養育費を給料差し押さえする場合、これまで過去に未払いになっていた分だけではなく、将来分の養育費に関しても請求できます。ですので、将来分の養育費に関しても一括で請求することで、養育費の回収にかかる負担を抑えられます。

養育費確保の手続的な負担軽減の観点から、民事執行法の改正が行われ、平成16(2004)年4月1日より、養育費など扶養義務等に基づく定期的な債権について、相手方が期限の到来した分の養育費を支払わない場合において、その給料や賃料等を差し押さえるときには、将来の分についてもまとめて強制執行の手続をとることができるようになっている。

引用元:養育費の確保策|厚生労働省-PDF-

毎月給料から養育費を受け取ることができる

給料差し押さえを行うための強制執行は、毎月繰り返し裁判所に申立てを行う必要はありません。法律では、養育費などに関しては民事執行法151条の2において特例を設けています。本来は毎回強制執行の手続は必要であっても、この特例の下で毎月給料から養育費を回収することができます。1度の手続きで回収がスムーズになるので大変便利なしくみです。

養育費の強制執行で給料を差し押さえるためには

メリットの大きい養育費への給料差し押さえですが、養育費の未払いに悩んでいるすべての方々が強制執行に臨めるわけではありません。次の3つの条件をクリアしている必要があります。

  1. 債務名義があること
  2. 元パートナーの勤務先の会社名や住所を把握すること
  3. 相手の現住所を把握する

債務名義があること

まず1つ目の条件は「債務名義」です。強制執行を裁判所へ申立てする場合には、養育費を強制的に回収できる証明として、債務名義を必要とします。養育費にただ困っているから、という理由では回収に臨めないのです。

債務名義(さいむめいぎ)とは、債権者に執行機関(執行裁判所又は執行官)の強制執行によって実現されるべき債権の存在および範囲を公的に証明した文書である。

引用元:債務名義 – Wikipedia

債務名義に使用できるのは離婚時に養育費の取り決めを行ったことを証明する公正証書(執行認諾文言があること)、離婚調停時に作成した調停調書など公的な文書が必要です。

元パートナーの勤務先の会社名や住所を把握すること

強制執行を裁判所に申立てする際には、給与の支払先を特定するために元パートナーの現在の勤務先の会社名や住所を把握しておく必要があります。

資格証明書と呼ばれる勤務先の代表者事項証明書などの原本を用意する必要があります。離婚時から勤務先が変わっていることもあるため、調査の必要があるケースもあります。

相手の現住所を把握する

現在の元パートナーの住まいを把握する必要があります。この点はご自身では把握ができなくても、弁護士に依頼をすると調査を行ってくれます。

以上の3つを乗り越えた上で、強制執行を裁判所に申立てすることが可能です。特に債務名義に関してはハードルが高く感じるのではないでしょうか。離婚時に養育費の取り決めを単なる口約束で終わらせてしまった場合には債務名義がないため、まずは弁護士に相談をされることがおすすめです。

給料の差押えの申立てに関する情報|裁判所

給料の差し押さえを弁護士に依頼した場合の費用相場

強制執行に臨む際には条件をクリアし、必要書類を揃えた上で裁判所へ申立てを行う必要があります。子育てをしながら勤務先を探し、住まいの住所を調べたりすることは大変な作業です。そこで、養育費の給料差し押さえに関しては弁護士への依頼がおすすめです。

では、弁護士に給料差し押さえを依頼するとどのぐらいの費用がかかるのでしょうか。一般的な弁護士費用の相場は着手金(弁護士が業務を開始する際の費用)が20~30万、成功報酬としては回収金額に準ずる、もしくは20万以上~が相場です。

調査内容や問題の内容によってはプラスアルファの費用が発生することもあります。この他に、裁判所へ申立ての際に必要な印紙や郵券代などの実費が発生します。費用が気になる場合には、まずは弁護士に相談されることがおすすめです。現在の収入状況にあった費用方針を提案できる法律事務所もあります。

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養育費の給料差し押さえでよくある質問

簡単に養育費の給料差し押さえの仕組みを解説しましたが、よく弁護士には次の2点のようなご質問が寄せられますのでぜひご参考ください。

転職・退職したら養育費の支払いはどうなる?

転職や退職があっても養育の義務が消えるわけではありません。再度調査を要しますが、もう1度強制執行の申立てを行えば再度給与の差し押さえは可能です。

また、退職をしてしまった場合でも預貯金を差し押さえれば退職金等が入っている口座から支払いを受けられる可能性があります。その他の財産も財産開示手続により調査が可能です。

会社側は養育費の差し押さえを拒否できる?

元パートナーの勤務先は従業員をかばって強制執行による給料差し押さえを拒否することがあります。長年付き合いがある従業員を守るためであったり、親族経営の会社のため応じない、などのケースがあります。

この場合も泣き寝入りをする必要はありません。子どもの養育に全く関係のない会社が差し押さえを拒否してきた場合には、会社を相手取り「取立訴訟」に臨むことになります。通常の給料差し押さえより時間も弁護士費用もかかることになりますが、方法は残されていると知っておきましょう。

まとめ

この記事では養育費の給料差し押さえを焦点に、メリットや弁護士費用の相場などを解説しました。現在養育費の未払いに困っている方は、是非この記事をきっかけに弁護士相談をご検討ください。強制執行の前に、弁護士が交渉を開始するだけで支払いに応じるケースもあります。まずは諦めず、気軽に法律相談をご活用ください。