自己破産をすると、現在持っているクレジットカードは使えなくなります。
新しいクレジットカードも作れません。
しかし、この先ずっとクレジットカードを作れないわけではありません。
この記事では、自己破産をするとクレジットカードはどうなるのか、次のとおり解説します。
- 自己破産でクレジットカードが作れなくなる理由
- 自己破産でクレジットカードが使えなくなる理由
- 自己破産でクレジットカードはいつから使えなくなる?
- 自己破産の際クレジットカードで気を付けること
- 自己破産の際クレジットカードでやってはいけないこと
- 自己破産後にクレジットカードの代替として利用できるカード
- 自己破産後に新しいクレジットカードを作れる時期はいつ?
- 自己破産後クレジットカードの審査に落ちた場合の対処法
自己破産を検討しているけど、クレジットカードはどうなるのか気になっている方は、ぜひ参考になさってください。
自己破産でクレジットカードが作れなくなる理由
なぜ自己破産をすると、クレジットカードが作れなくなるのでしょうか。
ここでは、クレジットカードが作れなくなる理由をご説明します。
信用情報機関に事故情報が登録される
自己破産をすると、信用情報機関に自己破産した事実(事故情報)が登録されます。
クレジットカードの申し込みをすると、カード会社は審査の際、信用情報機関に照会をかけます。事故情報が登録されている場合、審査に通らないためクレジットカードを新たに作れなくなります。
信用情報機関に登録されるまでの流れをご説明します。
受任通知の発送
弁護士に自己破産を依頼した場合、弁護士は債権者に対して、債務整理手続きの依頼を受けたことを知らせる書面(受任通知)を発送します。
受任通知を受け取ったカード会社は、顧客が自己破産をすることを知ります。
事故情報の登録
カード会社は、顧客が自己破産することを知ると加盟している信用情報機関に通知し、事故情報が登録されます。
これがいわゆるブラックリストに載ると言われる状態です。
信用情報機関には以下の3つがあります。
- 株式会社シーアイシー(CIC)
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
自己破産でクレジットカードが使えなくなる理由
自己破産をすると、新しくクレジットカードを作れなくなるだけではありません。今使っているクレジットカードも使えなくなります。
ここでは、自己破産でクレジットカードが使えなくなる理由を解説します。
強制解約されるから
弁護士からの受任通知を受領すると、カード会社は契約に基づきクレジットカードを強制解約します。
自己破産を弁護士に依頼しない場合は、自己破産を申し立てたことがわかった時点で強制解約されます。
自己破産でクレジットカードはいつから使えなくなる?
それでは、自己破産をすると、いつからクレジットカードが使えなくなるのでしょうか。
ここでは自己破産でクレジットカードはいつから使えなくなるのか?について解説します。
自己破産申立てで強制解約|自分で申立てる場合
自己破産は、弁護士に依頼せず自分で申立てることも可能です。
自分で裁判所へ自己破産申立てをした場合、裁判所から債権者に対して、自己破産したことの通知が送付されます。自己破産を申立てたことをカード会社が知ったら、クレジットカードは強制解約されて使えなくなります。
受任通知受領時に強制解約|弁護士に依頼した場合
弁護士に依頼した場合、弁護士から債権者に対して受任通知を送付します。
カード会社は弁護士からの受任通知を受け取ると、クレジットカードを強制解約します。強制解約されると、カードは使えなくなります。
弁護士に相談しようと思ったら使わない
カード会社が強制解約するまでは、クレジットカードを利用できると思われるかもしれません。
しかし、弁護士に相談する直前にクレジットカードを利用すると免責が認められない可能性があります。免責不許可事由である偏頗弁済・詐術による借入とみなされる可能性があるからです。偏頗弁済と詐術による借入については後述します。
自己破産を弁護士に相談しようと考えている場合は、相談を決めた時点でクレジットカードの利用は止めましょう。
自分で自己破産申立てをする場合は、申立てをすると決めた時点でクレジットカードの利用は止めましょう。
自己破産の際クレジットカードで気を付けること
ここでは、自己破産をする際、クレジットカードに関してどんなことに気を付けるべきなのかをご説明します。
偏頗弁済
クレジットカードが使えなくなると困るからと言って、自己破産検討後に利用・返済を続けることは止めましょう。偏頗弁済をしたとして、免責されない可能性があります。
偏頗弁済とは、ある特定の債権者にだけ優先的に借金の返済をすることです。
自己破産では、債権者をみな平等に扱わなければなりません。偏頗弁済は免責不許可事由に該当します。
詐術による借入れ
自己破産しようと検討し始めたら、クレジットカードの利用は控えましょう。このままでは借金の完済はできないと思った後にクレジットカードを使う行為は、詐術による借入れとみなされる場合があります。
詐術による借入れとは、返済するつもりがない、または返済能力がないのにお金を借りることです。詐術的な借入れは、免責不許可事由です。
公共料金等の支払い
ガス・水道・電気などの公共料金の支払いをカード払いにしている方は、支払い方法を口座振替や請求書払いに変更しましょう。
そのままにしておくと、カードが強制解約になり、公共料金の支払いが延滞してしまいます。
自己破産の際クレジットカードでやってはいけないこと
ここでは、クレジットカードに関してやってはいけないことを解説します。
以下の行為をすると自己破産できないおそれがあるので、やってはいけません。
クレジットカードを持っていることを隠す
クレジットカードがなくなると困る! 利用しているクレジットカードを解約したくない! と思い、クレジットカードを隠そうとする方もいます。
自己破産申立の過程で、収入・支出、家計の状況、通帳の入出金を精査します。弁護士・裁判官・破産管財人にはバレてしまうため、契約しているクレジットカードすべてを申告しましょう。
クレジットカードを隠していたことが申立後にバレると、免責されない可能性があります。
クレジットカードで商品を購入して換金する
現金が必要だからと、クレジットカードで購入した商品を現金化するのは止めましょう。
クレジットカードの現金化も、免責不許可事由です。
自己破産後にクレジットカードの代替として利用できるカード
ここでは、クレジットカードが作れない間、クレジットカードの代わりに利用できるカードをご説明します。
プリペイドカード
プリペイドカードは事前にお金をチャージして利用します。
チャージした金額分利用できるので、クレジットカードの代わりに使うことも可能です。使いすぎを予防できる点でも、自己破産後のカード利用としておすすめです。
デビットカード
デビットカードは、支払いと同時に指定口座から引落される仕組みのカードです。申込時の審査がないので、自己破産後でも利用できます。
口座にある預金の範囲内しか利用できず、原則一括払いのみですが、クレジットカードの代替として使えます。
家族カード
家族カードは、契約している本会員の家族用に発行されるカードです。
自分が自己破産した場合、家族が本会員として契約しているクレジットカードの家族カードは利用できます。通常のクレジットカードと変わらず利用できますが、支払いの請求は本会員にされるので、使いすぎには気を付けましょう。
自己破産後に新しいクレジットカードを作れる時期はいつ?
自己破産をすると信用情報機関に事故情報が登録され、登録されている間は新たなクレジットカードは作れません。
登録期間は5年~10年間で、各信用機関の登録期間は以下のとおりです。
- 株式会社シーアイシー(CIC) 5年
- 株式会社日本信用情報機構(JICC) 5年
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 10年
自己破産後にクレジットカードの申し込みをする場合には、信用情報の開示請求をし、登録の抹消を確認してから申し込むとよいでしょう。
自己破産後クレジットカードの審査に落ちた場合の対処法
自己破産後にクレジットカードを改めて作ろうとしたのに、審査に落ちてしまった場合、どのようにしたらよいでしょうか。ここでは、その対処法をご説明します。
信用情報機関の事故情報が消えたか確認してから申し込む
信用情報機関に事故情報が登録されていると、クレジットカードの申込みをしても、審査に通りません。
信用情報機関に登録が残されているかどうかは、ご自身で信用情報機関に開示請求をして確認できます。事故情報が消えていることを確認してから申し込みましょう。
審査に落ちた後はすぐに申し込みをしない
審査に落ちた場合、すぐ別のクレジットカードの新規申し込みはしないようにしましょう。
審査落ちした事実も信用情報機関に登録されてしまうからです。
改めて新規申し込みをするには、情報が消える半年が過ぎるまで待つとよいでしょう。
キャッシング枠を無しにして申し込む
キャッシング枠とは、クレジットカードでお金を借りられる限度額のことです。
キャッシング枠をつけると、その分審査が厳しくなります。
まとめ
自己破産をすると、クレジットカードは使えなくなります。新規作成も5年~10年できません。
クレジットカードが使えなくなると困るからと言って、借金を返せない状態のままにしておくと、裁判を起こされたり、財産を差し押さえられたりする可能性があります。
おひとりで悩まず、一度弁護士に相談することをおすすめします。少しでも早い経済的立て直しができるよう、適切なアドバイスを受けられるでしょう。