痴漢で逮捕|初犯の場合、処分はどうなる?【弁護士が回答】
痴漢とは、相手が望んでいないにもかかわらず、卑猥な行動で性的嫌がらせをすることです。
痴漢行為の内容によって、各都道府県で定められた迷惑行為防止条例違反と強制わいせつ罪のどちらかが適用されます。強制わいせつ罪で起訴され刑事裁判になると罰金刑は定められていないので懲役刑が確定する可能性があります。
痴漢行為を行い逮捕された場合、どのようなことになるのでしょうか?
この記事では痴漢事件の初犯で逮捕された場合の疑問に、弁護士が回答いたします。
目次
痴漢の初犯でも逮捕される?在宅事件になるのか
ポイント
刑事事件は、在宅事件と身柄拘束事件の2種類があり、事件の内容によってどちらになるかが決まります。 |


在宅事件になる主な条件
- 初犯である
- 犯行が悪質でない
- 犯罪事実を認め、反省している
- 証拠隠滅のおそれがない
電車内等で痴漢行為を行い現行犯逮捕された場合、まずは駅事務室にて身体拘束され、その後警察にて事情聴取を受けます。その間は身体が拘束されるので通勤通学途中だった場合は会社や学校へ行けません。
取り調べ後に逮捕されずに帰宅が許されたり、逮捕されても勾留請求がされずに釈放されたりして在宅事件になった場合は、通常どおりの生活を送りながら捜査が進められます。捜査機関から呼び出された場合は出向いて取り調べを受けますが回数などは決まっていません。
身柄拘束事件は勾留期間に期限がありますが、在宅事件の場合は期限がないため身柄拘束事件より長引くケースもあります。
痴漢の初犯でも起訴される?
ポイント
起訴されると刑事裁判を受けることになります。日本では起訴されると99%有罪になるといわれているため、不起訴を得ることが重要です。 |


悪質な痴漢と強制わいせつの判断は難しく、起訴するかどうか、何の罪で起訴するかは、捜査結果をふまえて検察官が決定します。
起訴されてしまうと有罪になる確率が高いため、逮捕されたらできるだけ早く被害者と示談するのが大切です。示談が成立すれば被害者が加害者を許していると判断され、不起訴になる可能性が高まるからです。
痴漢の初犯は略式起訴になる?
ポイント
略式起訴の場合、通常裁判よりも早く身柄が解放されるメリットがあります。しかし、有罪になれば前科がつくので、できる限り不起訴を目指しましょう。 |


痴漢行為がどちらの罪になるかは、主に以下により決定します。
- 動機
- 痴漢行為の内容
- 同種の前科前歴の有無 など
迷惑防止条例違反で略式起訴になる場合は罰金刑になるケースが多く、逮捕・勾留されている場合は釈放されます。ただし、罰金刑は刑事罰ですから前科がつきます。
痴漢の初犯でも実刑になりますか?
ポイント
痴漢行為の内容が悪質かどうかによって罰則や実刑になるかどうかが決まります。十分反省していることを伝えて実刑を回避することが大切です。 |


初犯の場合でも、痴漢行為が悪質な場合や被害者と示談が成立していない場合は実刑になる可能性があります。


迷惑防止条例違反 | 強制わいせつ罪 | |
痴漢行為の 主な内容 |
・公共の場所において、衣服の上からまたは直接、胸や下半身を触った | ・衣服の下から胸や下半身を触った
・暴行や脅迫をしてわいせつな行為を行った |
罰則例 |
【東京都/千葉県/埼玉県】
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 【神奈川県】 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
6月以上10年以下の懲役 |
痴漢の初犯で執行猶予を得るポイントは?
ポイント
執行猶予がつけば、猶予期間中に罪を犯さない限り懲役刑が執行されません。社会復帰を早めるためには執行猶予の獲得が重要です。 |


起訴され懲役刑が科せられたとしても、以下の場合であれば、執行猶予がつく可能性が高くなります。
- 量刑が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金
- 被害者と示談が成立している
- 痴漢行為が悪質でない
痴漢の初犯でも懲役刑になる?
ポイント
懲役刑になると一定期間刑務所に入れられてしまいます。罰金刑や執行猶予など、少しでも負担の少ない処分を目指しましょう。 |


痴漢行為が悪質であると判断される理由の一部は以下のとおりです。
- 被害者が拒絶しているにもかかわらず執拗に痴漢行為を続けた
- 特定の人物を狙い繰り返し痴漢行為を続けた
- 計画的に繰り返し痴漢行為を行った
懲役刑が確定すると学校や会社を休まなくてはなりません。会社員の場合は業務がストップしてしまうおそれがあります。業務がストップし業績に多大な損害を与えてしまった場合は、のちに損害賠償請求をされる可能性もあります。
実名報道されてしまった場合は、当事者だけでなく学校や会社までもが悪いイメージがつき、迷惑がかかります。たとえ報道がされなかった場合でも、まわりの人達に性犯罪で逮捕され懲役刑を受けたと知られた場合は、当事者だけでなくご家族にも影響がでる可能性があります。
痴漢の初犯で逮捕|処分を軽くするためにできることは?
痴漢の初犯で逮捕された場合に、処分を軽くするために大切なことは以下のとおりです。
- 弁護士に相談する
- 被害者と示談をする
- 再犯防止対策を行う
弁護士に相談する
痴漢の初犯で軽微な事件であれば、微罪処分や不起訴処分などの比較的軽い処分で終わるケースがあります。しかし、刑事事件は最終的な処分が決定するまでは油断できません。なるべく軽い処分を希望するのであれば、早い段階で弁護士に相談しましょう。
被害者と示談をする
示談は、被害者に心から謝罪し、話し合いで決めた金額を支払うことにより当事者間で解決できる方法です。
被害者は加害者と直接連絡を取り合うことを嫌います。弁護士ならば被害者が了承すれば、捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえます。
交渉に慣れた弁護士に依頼することで、被害者の心情に配慮したうえで適正な金額で示談交渉を進められます。初犯で、かつ示談が成立すれば不起訴処分になる可能性が高くなります。
再犯防止対策を行う
弁護士にご相談いただくことで、示談成立にむけての弁護活動と同時に、痴漢を繰り返してしまう原因が病気の場合は、専門医療機関に関する情報の提供などを行い再犯防止に向けた対策をご提案いたします。
早い段階でこうした再犯防止に関する対応をとれば、万が一起訴されても量刑を軽くできる可能性があります。
まとめ
電車内などで痴漢をしたとき逮捕されるのが嫌で逃げる方がいますが、逃げる手段として線路に降りてしまったら鉄道営業法違反で処罰されたり、その結果電車を止めてしまったら高額な賠償金を請求されたりする場合があります。逃げる途中で他の人にぶつかり怪我をさせてしまったら傷害罪に問われる可能性もあります。
痴漢で現行犯逮捕されたりした場合は逃げたりせず、すぐに弁護士にご相談ください。
ネクスパート法律事務所では、ご相談を24時間受け付けておりますので、まずはお電話、メール、お問い合わせフォームよりご連絡ください。