不貞行為と別居年数の関係|別居中の慰謝料請求のポイントは?

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不貞行為と別居年数の関係 慰謝料請求のポイントを解説

「別居中に配偶者が不倫した。もう夫婦は別々で暮らしているから、慰謝料請求はできないのだろうか?」
このように悩んでいませんか?
たとえ別居中でも、慰謝料請求が認められる可能性はあります。
この記事では、別居の年数に着目し、別居年数ごとの裁判例をご紹介します。
別居中の不貞行為の慰謝料相場別居年数以外に考慮される要素についても解説します。
ぜひ参考にしてください。

不貞行為の慰謝料請求が認められる別居年数の目安は?

「別居年数が何年までなら慰謝料請求できるのか?」と疑問を抱く方は多いでしょう。
しかし、この問いに対する明確な答えはありません。
裁判所は、別居中の不貞行為の慰謝料請求について、単に別居期間の長さだけで判断するのではなく、その夫婦の事情を総合的に考慮するからです。
慰謝料請求が認められるか否かを判断する際には、不貞行為が行われた時点で婚姻関係が破綻していたかどうかが重要なポイントです。
婚姻関係の破綻とは、夫婦が婚姻継続の意思を失い、夫婦としての共同生活を回復する見込みがない状態です。
婚姻関係が既に破綻していた場合、不貞行為によって侵害される円満な婚姻共同生活は存在しないことになり、慰謝料請求は認められないのが基本的な考え方です。
この婚姻関係の破綻を検討する際のひとつの重要な要素として、別居年数が関係します。

【別居年数別】不貞行為の慰謝料請求の裁判例

別居年数別に、不貞行為の慰謝料請求に関する裁判所の判断をご紹介します。

別居年数約1か月|東京地裁令和5年6月28日判決

別居年数約1か月の事案です。
不倫相手に対して、慰謝料110万円の支払いが命じられました。

【本事案の概要とポイント】

  • 原告(妻)とA(夫)の婚姻期間は20年以上、2人の子あり
  • Aは、突然離婚を切り出し、家を出て被告と別居を開始
  • 別居後、Aは被告と共同で借りたマンションで不貞行為に及ぶ
  • 離婚話の直前まで、原告に対する愛情を含む内容のメッセージカードを送ったり、家族4人で旅行に行ったり、家族LINEで和やかなやり取りを行ったりしていた

裁判所は、別居後1か月時点で婚姻関係が破綻していたとはいえないとして、慰謝料請求を認めました。

別居年数約2か月|東京地裁令和5年3月9日判決

別居年数約2か月の事案です。
不倫相手に対する慰謝料請求は認められませんでした。

【本事案の概要とポイント】

  • 原告(夫)とB(妻)の婚姻期間は約19年、3人の子あり
  • 新型コロナウイルスの感染懸念を理由に、Bが家を出て別居を開始
  • 別居後、Bは被告と不貞行為に及ぶ
  • 別居時点で、すでに夫婦関係は形骸化しており、夫婦間の交流や会話はほとんどない状態だった
  • 原告は、Bとの協議日時を調整したにもかかわらず、自らの都合で中止し、その後、Bとの協議の場を設けようとしなかった

裁判所は、別居時には婚姻関係が既に破綻していたとして、慰謝料請求を認めませんでした。

別居年数約6か月|東京地裁令和5年11月28日判決

別居年数約6か月の事案です。
不倫相手に対する慰謝料請求は認められませんでした。

【本事案の概要とポイント】

  • 原告(夫)とB(妻)の婚姻期間は約11年、2人の子あり
  • 夫婦関係の悪化により、警察沙汰になるトラブル後、原告が別居を開始
  • 別居後、Bは被告と不貞行為に及ぶ
  • 不貞行為が行われた時点で、原告は、不貞行為の証拠を得るため探偵業者に依頼したり、離婚調停を申し立てたりした
  • 別居後、子と一定の面会交流をしているが、再び同居するに至っていない

裁判所は、遅くとも不貞行為時点において、原告は婚姻関係を継続する意思を確定的に喪失していたと判断しました。さらに、原告とBは夫婦としての共同生活の実体を欠き、その回復の見込みがない状態に至っており、原告とBの婚姻関係は既に破綻していたと認めるのが相当であると認定しました。そのため、この事案では慰謝料請求は認められませんでした。

別居年数約2年3か月|東京地裁令和6年1月23日判決

別居年数約2年3か月の事案です。
不倫相手に対して、慰謝料120万円の支払いが命じられました。

【本事案の概要とポイント】

  • 原告(妻)とA(夫)の婚姻期間は約12年、3人の子あり
  • 別居は、子どもの通学の利便性を考慮したもの
  • 別居後、Aは被告と不貞行為に及ぶ
  • 別居中、夫婦の仲は円満とは言えなかったが、互いの家を行き来したり、家族旅行をしたりするなどの交流あり

裁判所は、婚姻期間中、夫婦関係に大きな亀裂が生じたこともあったが、良好であるとはいえないまでも、少なくとも本件不法行為の頃まで危機的な状況が継続していたとはいえないとして、慰謝料請求を認めました。

別居年数4年|東京地裁平成28年10月28日判決

別居年数約4年の事案です。
不倫相手に対する慰謝料請求は認められませんでした。

【本事案の概要とポイント】

  • 原告(妻)とA(夫)の婚姻期間は20年以上、2人の子あり
  • 平成20年頃からAが自宅に戻らなくなり別居が開始
  • 別居後、Aは被告と同居し、不貞行為に及ぶ
  • 不貞行為が行われた時点で、Aが原告宅に全く宿泊しない状態が4年程度にわたって継続
  • Aは別居後も原告に生活費を渡すことがあった

裁判所は、不貞行為当時、婚姻関係はもはや修復が著しく困難な破綻状態に至っていたとし、慰謝料請求を認めませんでした。

別居年数以外に考慮される婚姻関係破綻を判断する7つの事情

別居年数のほかに婚姻関係破綻を判断する際に考慮される要素は、次の7つです。

  • 別居の経緯や理由
  • 別居期間中の夫婦間の交流
  • 生活費の支払い状況
  • 離婚調停・訴訟の有無
  • 未成熟の子の有無と養育状況
  • 離婚に対する夫婦双方の意思
  • 同居期間との対比

以下、詳しく解説します。

別居の経緯や理由

別居の経緯や理由です。
夫婦喧嘩が原因なのか、不貞行為が発覚したためなのか、単身赴任のためなのかなど、別居に至った経緯が考慮されます。

別居期間中の夫婦間の交流

別居期間中の夫婦間の交流です。
別居中も子供の学校行事に一緒に参加したり、定期的に連絡を取り合ったりしているかなどが考慮されます。

生活費の支払い状況

生活費の支払い状況です。
別居後も配偶者が生活費を継続して送金していたかどうかも考慮される場合があります。

離婚調停・訴訟の有無

離婚調停・訴訟の有無です。
すでに離婚に向けた具体的な法的手段がとられているかどうかは、婚姻継続の意思がないことを示す有力な証拠となります。

未成熟の子の有無と養育状況

未成熟の子の有無と養育状況です。
未成年の子供がいる場合、夫婦として子供の養育義務を共同で果たそうとする意思が残っているかどうかが考慮されます。

離婚に対する夫婦双方の意思

離婚に対する夫婦双方の意思です。
別居中の夫婦双方に、婚姻関係を修復する意思が全くないかどうかが判断材料となります。

同居期間との対比

同居期間との対比です。
別居期間が同居期間全体の中で占める割合も考慮されます。

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められやすい5つのケース

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められやすいケースは、次の5つです。

  • 別居期間が短いケース
  • 正当な理由のある別居(単身赴任・家族の介護など)のケース
  • 別居中も一定程度の交流が継続しているケース
  • 夫婦関係の修復を前提とした別居のケース
  • 夫婦のどちらかによる一方的な別居のケース

これらのケースでは、婚姻関係が完全には破綻していないと評価される傾向があります。

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められにくい2つのケース

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められにくいケースは、次の2つです。

  • 正当な理由のない長期間の別居のケース
  • 夫婦双方が離婚を前提とした別居のケース

これらのケースでは、婚姻関係が既に破綻していたと評価される傾向があります。
別居中の不貞行為の慰謝料請求が認められやすいケース・認められにくいケースについて、詳しくは「別居中の不貞行為|ケース別・慰謝料請求の可否と注意点を解説」の記事をご参照ください。

別居中の不貞行為による慰謝料の相場と金額を左右する要素

別居中の不貞行為に対する慰謝料の金額は、不貞発覚後、離婚に至ったか、婚姻継続したかによって分かれます。
不貞行為が原因で離婚に至った場合には、精神的苦痛がより大きいと評価されるため、慰謝料額は高額になる傾向があります。相場は200万円から300万円程度です。
不貞行為が発覚したものの婚姻継続した場合は、婚姻共同生活が維持されたと判断されるため、慰謝料額は比較的低くなります。相場は数十万円から200万円程度です。
ただし、これらはあくまで目安であり、下表の個別事情により左右されます。

要素増額要因減額要因
婚姻期間20年以上など長期にわたる数か月から1年など短い
不貞期間10年以上など長期にわたる1か月未満など短い
子供の有無未成熟の子がいる未成熟子がいない
不貞発覚後の態度謝罪なし、関係継続誠実な謝罪、関係解消
精神的苦痛うつ病などの診断書がある
離婚の有無不貞行為が原因で離婚に至った離婚しない、別居のみ

別居年数を問わず不貞行為の慰謝料請求は弁護士に依頼すべき理由

別居中の不貞行為の慰謝料請求は、別居年数を問わず、弁護士に依頼することをおすすめします。

慰謝料請求の可否を見極められる

弁護士に依頼することで、慰謝料請求の可否を見極められます。
別居中の不貞行為は、慰謝料請求の可否が、夫婦関係が破綻していたかどうかの点にかかっています。
この判断には、法律の知識が不可欠であり、自己判断はリスクを伴う可能性があります。
別居中を理由に、相手方から「すでに夫婦関係は破綻している。」と主張されると、適切な反論を行わなければなりません。
適切な反論ができなければ、たとえ不倫の事実が明白でも、慰謝料を獲得できない可能性もあります。
弁護士は、過去の裁判例(例えば、別居の経緯、期間、離婚意思の有無、経済的交流、子どもの有無など)を詳細に分析します。
あなたのケースが慰謝料請求できる可能性が高いか、あるいは難しいかを客観的かつ論理的に判断してくれます。

破綻していないことを法的に証明できる

弁護士に依頼することで、破綻していないことを法的に証明できます。
婚姻関係が破綻していないことを証明するには、単に「まだ離婚していない。」との事実だけでは不十分です。
別居中の特殊な状況を、法的な観点から整理し、提示する必要があります。
例えば、弁護士は、別居が関係修復を目的とした冷却期間であったことや、単身赴任などのやむを得ない事情であったこと、別居中も家族行事に参加していたことなどを裏付ける証拠を、効果的に整理し、主張してくれます。
婚姻関係が破綻していないことの証明について、詳しくは「婚姻関係が破綻していない証拠は?別居の場合は慰謝料請求できない?」の記事をご参照ください。

感情的な交渉を避けられる

弁護士に依頼することで、感情的な交渉を避けられます。
別居中の不貞行為は、同居中の場合以上に、夫婦関係が拗れた原因や経緯が複雑に絡み合っています。
当事者同士で話し合うと、過去の出来事や感情的な問題が噴出し、冷静な話し合いは困難です。
弁護士は、あなたの感情を汲み取りつつも、交渉窓口としては常に冷静です。
感情的な対立を避け、慰謝料の金額や支払い方法、今後の連絡手段など、具体的な解決策に焦点を当てた話し合いを進めてくれます。
別居中の不貞行為の慰謝料請求は、その特殊な状況ゆえに弁護士の力が不可欠です。
後悔しないためにも、まずは弁護士に相談し、ご自身のケースが慰謝料請求可能かを正確に判断してもらうことをお勧めします。

まとめ

別居中の不貞行為の慰謝料請求が認められる別居年数に、明確な基準はありません。
慰謝料請求の可否は、単に別居期間の長さだけで判断されるのではなく、その夫婦の事情も総合的に考慮されます。
たしかに、通常(同居中)の不貞行為よりも、別居中の不貞行為の方が慰謝料請求のハードルは高いでしょう。
しかし、決して諦める必要はありません。
弁護士に依頼することで、最大限あなたに有利な解決が目指せます。
ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士多数在籍しています。
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この記事の監修弁護士

第二東京弁護士会所属
石田 志寿(登録番号:47706)

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。

これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。

私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。

「相談したら気持ちが落ち着いた」「話しやすかった」といったお声をいただくことも多く、心に寄り添う姿勢と、解決に向けた冷静な判断の両立を常に意識しております。

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