更新日:2026年3月11日 (水)

公開日:2023年8月18日 (金)

別居中の不貞行為は慰謝料請求できる?婚姻破綻と認められるケース・認められないケースを解説

別居中の不貞行為は慰謝料請求できる?婚姻破綻と認められるケース・認められないケースを解説 別居中の不貞行為は慰謝料請求できる?婚姻破綻と認められるケース・認められないケースを解説

サマリー

「別居中の不貞行為は慰謝料請求の対象にならない?」別居中なら、配偶者以外の人と交際しても問題ないだろうと考えている人もいるかもしれません。
しかし、別居中の不貞行為でも、慰謝料請求が認められるケースはあります。
別居中の慰謝料請求が認められるか否かは、婚姻関係が破綻しているかがポイントです。
別居しているだけで、ただちに婚姻関係の破綻が認められるわけではありません。
この記事では、7つの別居のパターンを、慰謝料請求が認められやすいケースと認められにくいケースの2つに分けて解説します。
「別居中だから大丈夫だろう。」と甘く考えるのはおすすめしません。
この記事を読んで、別居中の不貞行為のリスクについて、学びましょう。

配偶者以外の人との交際は別居中でも不貞行為にあたる?

配偶者以外の人と肉体関係を持った場合は、別居中でも不貞行為にあたります。
不貞行為とは、配偶者のある人が配偶者以外の人と肉体関係を持つことです。
別居中でも、婚姻関係にある以上、配偶者以外の人と肉体関係を持てば、それは不貞行為です。
配偶者以外の人と交際しているものの、2人で食事に行ったり、映画を見に行ったりするだけの関係で、肉体関係が全くない場合には、原則として、不貞行為にはあたりせん。
どこからが不貞行為にあたるのか否かに、別居中であることは関係しません。
具体的にどこからが不貞行為にあたるのかについて、詳しくは「不貞行為にあたる肉体関係の定義とは?みんなの疑問6選を徹底解説 」の記事をご参照ください。
ただし、別居中の不貞行為が慰謝料請求の対象になるかについては別の問題です。

別居中の不貞行為は慰謝料請求の対象になるのか?

別居中の不貞行為が慰謝料請求の対象になるかは、ケースバイケースです。
交際開始時点の婚姻関係の状態によって判断されます。

別居前から交際を継続しているケース

別居前から交際を継続している場合は、原則として、慰謝料請求の対象です。
交際開始時に同居していた場合は、基本的に、交際開始時点では、婚姻関係が破綻していなかったと考えられるからです。
したがって、別居前から交際を継続している場合は、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

別居後に交際を開始したケース

別居後に交際を開始した場合は、ケースバイケースです。
別居の内容によっては、交際開始時点で既に婚姻関係が破綻していたと評価される可能性があるからです。
ただし、別居しているだけで婚姻関係の破綻が認められるわけではありません。
別居の年数や夫婦の意思、交流状況などを総合的に考慮して、婚姻関係が破綻しているか否かが判断されます。
したがって、別居後に交際を開始した場合は、慰謝料の支払い義務があるかどうかを精査する必要があるでしょう。

別居中と不貞行為の関係|別居中だとなぜ問題になるの?

「別居中だと不倫慰謝料請求が難しい場合がある。」
ネット上で、このような情報が目にした方は、別居の事実が不倫慰謝料請求に何らかの影響を及ぼす可能性があることに気づいたかもしれません。
別居中の不貞行為が問題になるのは、婚姻関係という保護すべきものが実質上ない場合があるからです。
夫婦には、平穏な婚姻生活を送る権利があり、この権利は法律の保護の対象です。
つまり、慰謝料請求が認められるのは、不貞行為によって平穏な婚姻生活を送る権利が侵害されたからです。
それまで円満に暮らしていた夫婦が、不貞行為によって離婚に至れば、それは平穏な婚姻生活を送る権利が侵害されたと言えるでしょう。
しかし、形式上は婚姻関係にあっても、蓋を開けたら婚姻関係が破綻状態にあるケースも多々あります。
例えば、離婚を前提に別居をしているようなケースです。
不貞行為以前から婚姻関係が破綻していた場合には、不貞行為によって侵害される権利がないと考えられるため、原則、慰謝料請求が認められません。
夫婦には、原則として同居の義務があるため、別居は、夫婦のイレギュラーな形です。
したがって、別居中の場合は、婚姻関係の状態について争いになりやすい特徴があります。

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められやすい5つのケース

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められやすいケースは、次の5つです。

  • 別居期間が短い
  • 正当な理由のある別居(単身赴任・家族の介護など)
  • 別居中も一定程度の交流が継続している
  • 夫婦関係の修復を前提とした別居
  • 夫婦のどちらかによる一方的な別居

これらのケースでは、婚姻関係が完全には破綻していないと評価される傾向があります。

別居期間が短い

別居期間が短いケースです。
婚姻関係の破綻を判断するうえで、ひとつの目安となるのが別居期間です。
〇年以下なら婚姻関係は破綻していない、〇年以上なら婚姻関係は破綻しているとの明確な基準はありませんが、別居期間が長ければ長いほど、婚姻関係の破綻が認められやすい傾向にあります。
別居期間が短い場合には、婚姻関係が完全に破綻しているとは認められにくく、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

正当な理由のある別居(単身赴任・家族の介護など)

正当な理由のある別居(単身赴任・家族の介護など)のケースです。
正当な理由のある別居の場合、夫婦双方に婚姻継続の意思がないとは言えず、婚姻関係の破綻は認められません。
したがって、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

別居中も一定程度の交流が継続している

別居中も一定程度の交流が継続しているケースです。
例えば、定期的に食事を共にしたり、旅行に行ったりしているケースが挙げられます。
別居中も一定程度の交流が継続している場合には、婚姻関係が完全に破綻しているとは認められにくく、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

夫婦関係の修復を前提とした別居

夫婦関係の修復を前提とした別居のケースです。
例えば、夫婦喧嘩が発端で別居を開始したものの、離婚が前提ではなく、冷却期間としての別居のケースが挙げられます。
この場合は、夫婦関係の修復可能性が全くないとは言えません。
したがって、婚姻関係が完全に破綻しているとは認められにくく、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

夫婦のどちらかによる一方的な別居

夫婦のどちらかによる一方的な別居のケースです。
例えば、夫婦の一方が離婚したいからと、勝手に出ていったケースが挙げられます。
夫婦の一方に婚姻継続の意思がある以上、婚姻関係が完全に破綻しているとは認められにくく、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。
ただし、一方的な別居が開始した後も、何年もその状態を放置していた場合には、既に双方に婚姻継続の意思がないと評価され、婚姻関係の破綻が認められる可能性があります。

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められにくい2つのケース

別居中の不貞行為で慰謝料請求が認められにくいケースは、次の2つです。

  • 正当な理由のない長期間の別居
  • 夫婦双方が離婚を前提とした別居

これらのケースでは、婚姻関係が既に破綻していたと評価される傾向があります。

正当な理由のない長期間の別居

正当な理由のない長期間の別居ケースです。
夫婦には、同居、扶助、協力義務があります。
正当な理由のない長期間の別居は、夫婦の同居、扶助、協力義務に反しており、夫婦双方に婚姻継続の意思がなく、夫婦関係の修復も困難と捉えられる傾向があります。
したがって、婚姻関係の破綻が認められやすく、慰謝料請求が認めらない可能性があります。

夫婦双方が離婚を前提とした別居

夫婦双方が離婚を前提とした別居ケースです。
例えば、夫婦双方が離婚の意思を示しており、離婚について具体的な協議をしているケースが挙げられます。
夫婦双方に婚姻継続の意思がなく、修復可能性もないとして、婚姻関係の破綻が認められやすく、慰謝料請求が認めらない可能性があります。
ただし、離婚協議中や離婚調停中、離婚裁判中でも、夫婦の一方に離婚をする意思がない場合には、婚姻関係が完全には破綻していないとして、慰謝料請求が認められる可能性があります。

別居中の不貞行為に関する裁判例

別居中の不貞行為に関する裁判例を紹介します。

慰謝料請求が認められた裁判例|東京地裁令和2年9月2日判決


この事例では、婚姻関係破綻を判断するうえで、以下の事情が考慮されています。

  1. 子の学校とAの勤務地を理由とした合理的理由のある別居
  2. 定期的に子を交えての交流がある
  3. Aは離婚の申し出をしたが、Xは婚姻関係の継続と別居の解消の意向を示した

裁判所は、これらの事情から、不貞行為時に婚姻関係が破綻していたとは評価できないとし、慰謝料請求を認めました。
ただし、XとAの婚姻関係が、破綻はしていないまでも良好であったとまでは評価できないとして、慰謝料の減額要素として考慮されています。

慰謝料請求が否定された裁判例|東京地裁令和元年9月19日判決


この事例では、婚姻関係破綻を判断するうえで、以下の事情が考慮されています。

  1. XとAの婚姻関係が別居以前から相当程度平穏を欠いており、別居は夫婦間の不和を原因とするもの
  2. XとAとの間の協議は、婚姻関係を修復するためではなく、離婚の条件を話し合うためのもの
  3. 別居解消に向けた協議ないし試みは一度たりとも行われていない

裁判所は、これらの事情から、婚姻関係が破綻していたことは明らかというべきであるとし、慰謝料請求を認めませんでした。
なお、Xは、Aが子どもの学校行事に参加したり、XとAの2人で飲みに行ったり、カラオケに行ったりしたとして、夫婦関係は改善していたと主張しました。
しかし、裁判所は、仮にこのような事実があったとしても、直ちに夫婦としての共同生活の回復・改善を意味するものとは解されないから、これらの事実は上記認定を左右しないとしました。

別居中の不貞行為で慰謝料請求されたら弁護士に相談すべき理由

別居中の不貞行為で慰謝料請求されたら、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士への相談をおすすめする理由は、次のとおりです。

  • 婚姻関係の破綻が認められるのは簡単ではない
  • 夫婦での話し合いは平行線になりやすい
  • 離婚する場合は離婚に関する取り決めも任せられる

以下、詳しく説明します。

婚姻関係の破綻が認められるのは簡単ではない

婚姻関係の破綻が認められるのは簡単ではないからです。
婚姻関係が完全に破綻しているとして、慰謝料請求が否定されるケースは少ないです。
裁判所も、婚姻関係の破綻についての判断は慎重です。
さらに、婚姻関係が破綻していたことは、慰謝料を請求された側が証明する必要があります。
「別居中だから、婚姻関係は破綻していた。」
「自分は離婚の申し出をしており、婚姻関係を継続する意思はなかった。」
これらの主張だけでは不十分です。
あなたの方で、婚姻関係が破綻していたことを証明できなければ、慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。
弁護士であれば、別居前や別居中の夫婦関係について、あなたの具体的事情から、慰謝料の支払いが免れる事案か、慰謝料の支払いは発生するものの減額できる事情がないかを適切に判断できるでしょう。

夫婦での話し合いは平行線になりやすい

夫婦での話し合いは平行線になりやすいからです。
夫婦間の話し合いでは、怒りや悲しみなどの感情面が優勢し、相手の意見が受け入れにくくなりやすいでしょう。
さらに、別居に至った経緯や別居中の夫婦関係について、事実関係の認識にズレが生じやすいです。
客観的な証拠をもって判断すべき部分でも、主観的な主張をし続けることで、交渉が長引く可能性があります。
弁護士が介入することで、冷静かつ客観的な判断がしやすくなるでしょう。

離婚する場合は離婚に関する取り決めも任せられる

離婚する場合は、離婚に関する取り決めも任せられるからです。
離婚する場合には、財産分与や(子がいる場合は)養育費、親権など話し合う項目が山積みです。
弁護士に依頼すれば、慰謝料請求だけでなく、離婚条件に関する交渉も全て任せられるため、あなたの負担が軽くなるでしょう。

別居中の不貞行為に関するQ&A4選

別居中の不貞行為について、よくある疑問にお答えします。

別居中に配偶者以外の人と同棲をするのはあり?

別居中に配偶者以外の人と同棲するのはおすすめしません。
別居中でも婚姻関係の破綻が認められなければ、慰謝料請求の対象です。
さらに、通常であれば、あなたの配偶者は、あなたと恋人との間に不貞行為があったことを証明する必要がありますが、同棲の事実が明らかであれば、それだけで不貞行為があったとされる可能性が高いです。
したがって、別居中に配偶者以外の人と同棲をしたことで、配偶者から慰謝料請求されるリスクがあるでしょう。

別居中に不貞行為をした場合は離婚請求で不利になる?

別居中に不貞行為をした場合は、離婚請求で不利になる可能性があります。
別居中の不貞行為によって、あなたが有責配偶者にあたる可能性があります。
有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。
離婚を考えている場合には、別居中に不貞行為をするのは避けましょう。

別居中に不貞行為をした場合は子の親権に影響する?

別居中に不貞行為をした場合でも、必ずしも子の親権に影響するわけではありません。
基本的に、夫婦の問題と子どもの問題は分けて考えられるため、不貞行為をしたからといって、親権が得られないわけではありません。

家庭内別居中の不貞行為の場合は慰謝料の支払い義務が生じる?

家庭内別居中の不貞行為の場合も、通常の別居と同様に、支払い義務が生じるかはケースバイケースです。
家庭内別居でも、婚姻関係が破綻していたと判断される場合には、慰謝料の支払い義務は生じません。
ただし、家庭内別居は通常の別居よりも婚姻関係破綻と評価されにくい傾向があります。

まとめ

別居中の不貞行為でも、慰謝料請求が認められる可能性はあります。
あなたとしては、婚姻関係の破綻を主張したいと考えているかもしれませんが、婚姻関係の破綻が認められるのは簡単ではありません。
別居中の不貞行為で慰謝料請求された方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
ネクスパート法律事務所では、不倫問題に強い弁護士多数在籍しています。
初回の相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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