
不倫がバレて相手配偶者から慰謝料請求されたものの、預貯金がない、自由に動かせるお金がないなどの理由から「とても払えない」と絶望的な気持ちになっていませんか?
不倫慰謝料の場合は「周囲に不倫の事実をバラされるのではないか」との不安から、冷静な判断がしにくいため、突発的な行動をとりがちです。
この記事では、請求された慰謝料を払えないとどうなるのか、詳しく解説します。
慰謝料請求されたらやってはいけないことや、状況を打開するための具体的な対処法もお伝えしますので、ぜひご一読ください。
目次
慰謝料請求されたが払えない場合はどうなる?
慰謝料請求されたが払えない場合は、周囲に不倫の事実をバラされたり、裁判を起こされて最終的に給与や財産を差し押さえられたりするリスクが現実化するおそれがあります。
請求された慰謝料を払えない場合は請求を無視しがちですが、さらに状況を悪化させかねないため、誠実に対応することが大切です。
以下で、詳しく紹介します。
周囲に不倫の事実をバラされる
周囲に不倫の事実をバラされるおそれがあります。
慰謝料を払わないと、相手配偶者はあなたに反省の色が見られないと思うのも無理もないでしょう。ことの重大さを理解させれば慰謝料請求に応じるのではないかとの考えから、あなたの職場や親族に不倫の事実をバラすなど、感情的な行動に出るかもしれません。
裁判を起こされる
裁判を起こされるおそれがあります。
慰謝料請求を無視すると、相手配偶者があなたとは交渉できないと考えるのも致し方ないでしょう。交渉では解決できないと判断し、次のステップとして裁判などの法的措置を選択する可能性が高まります。
裁判になった場合、裁判所へ出向いたり、提出書類を作成したりする労力がかかりますし、敗訴すれば慰謝料のほかに裁判費用の負担も生じます。
裁判所からの通知をも無視した場合は欠席判決となり、相手配偶者の請求通りの判決が下される可能性が高いです。
慰謝料請求を無視すると、より多くの金銭的負担を負いかねません。
強制執行により財産や給与を差し押さえられる
強制執行により財産や給与を差し押さえられるおそれがあります。
裁判で判決が確定したり和解が成立したりすると、その内容は強制執行の根拠となる債務名義となります。そのため、裁判で決まってもなお慰謝料を支払わない場合は、相手配偶者は、債務名義に基づいてあなたの財産や給与を差し押さえられます。
適切な対応を取らないと、最終的に財産や給与を差し押さえられる可能性があることを忘れてはいけません。
慰謝料請求されたが払えない場合に確認すべき4つのこと
請求された慰謝料が支払えない場合は動揺するのも無理もありませんが、落ち着いて以下の4点を確認することが大切です。
- 慰謝料請求に法的根拠があるか
- 請求されている慰謝料が相場と比べて高額でないか
- 支払義務がある慰謝料か
- 時効期間を経過していないか
以下で、詳しく解説します。
慰謝料請求に法的根拠があるか
慰謝料請求に法的根拠があるか確認しましょう。
慰謝料請求は、民法第709、710条を法的根拠としています。
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
引用:民法/e-Gov法令検索
そのため、そもそも故意または過失によって他人の権利や利益を侵害する行為(不法行為)がない場合は、慰謝料請求の対象とはなりません。
不倫が民法上の不法行為となるのは、既婚者が配偶者以外の人と肉体関係を持った(不貞行為)場合です。肉体関係には性的類似行為(口淫、手淫、裸で抱き合うなど)も含まれます。
そのため、不倫相手と2人きりで食事をしたり、キスやハグをしたりしただけでは、原則として、不法行為には該当しません。
もっとも、不貞行為がなくても、常識的に考えて既婚者との交際として度が過ぎている場合は、慰謝料請求の対象となる可能性があります。
不貞行為なしで慰謝料請求されているなら、「不貞行為なしで慰謝料請求された!あなたの危険度チェックと8つの裁判例」で慰謝料請求の対象となるかどうかチェックすることをお勧めします。
請求されている慰謝料が相場と比べて高額でないか
請求されている慰謝料が相場と比べて高額でないか確認しましょう。
慰謝料の金額は法律で定められているわけではありませんが、過去の裁判例から導き出された相場があります。それぞれの事情によって変動しますが、不貞行為発覚後の夫婦関係ごとの慰謝料相場は以下のとおりです。
| 不貞行為発覚後の夫婦関係 | 慰謝料相場 |
| 離婚しない場合 | 50~100万円程度 |
| 不貞行為が原因で別居した場合 | 100~150万円程度 |
| 不貞行為が原因で離婚した場合 | 200~300万円程度 |
高額な慰謝料を請求されている場合は、交渉次第では減額してもらえる可能性があります。
慰謝料の相場について、詳しくは「15の判例から見る不倫慰謝料の相場と増額のための3つのポイント」をご参照ください。
支払義務がある慰謝料か
支払義務がある慰謝料か確認しましょう。
支払義務のない慰謝料を請求されるケースは少なくありません。
以下のようなケースでは、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。
- 不倫相手と肉体関係を持っていない
- 不倫相手から肉体関係を持つことを強要された
- 不倫相手が既婚者だと過失なく知らなかった
- 不倫相手と肉体関係を持つ前から相手夫婦の婚姻関係が破綻していた
- 相手配偶者が不貞行為の証拠を持っていない
- 不倫相手がすでに十分な慰謝料を払っている
もっとも、支払いを拒否できる可能性があるケースに該当する場合でも、請求を無視したり、「払わない」と意思表示をしたりするだけでは支払いを拒否できません。
支払いを拒否する根拠を示して支払義務がないことを説明し、相手配偶者に納得してもらう必要があります。
慰謝料の支払いを拒否できるケースについては「不倫慰謝料の支払いを拒否できる7つのケースと拒否する場合の注意点」で詳しく解説しています。
時効期間を経過していないか
時効期間を経過していないか確認しましょう。
慰謝料請求権には時効があります。

不法行為による損害賠償請求権は、以下のいずれか早い方が到来した時点で、時効により消滅します。
- 被害者が損害及び加害者を知った時から3年
- 不法行為の時から20年
時効は、損害の事実を知った時と加害者を知った時の2つの時点のうち、遅い方から進行するため、時効の起算点を適切に判断することが大切です。
もっとも、時効期間が経過しても、それだけでは慰謝料請求権は消滅しません。時効期間が経過した後、消滅時効を援用することで、確定的に権利が消滅します。
慰謝料請求権の消滅時効について、詳しくは「過去の不倫の慰謝料を請求されたら支払うべき?時効と対処法を解説」をご参照ください。
慰謝料請求されたが払えないときの対処法
支払う必要がある慰謝料が払えない場合の主な対処法として、以下の5つを紹介します。
- 減額交渉をする
- 分割払いを打診する
- 不倫相手に支払いを求める
- 親族に立替払いを依頼する
- 自己破産を検討する
以下で、詳しく解説します。
減額交渉をする
相場を超える慰謝料を請求されている場合は、減額交渉ができる可能性があります。
減額交渉の方法に決められたルールはありません。慰謝料を請求してきた相手に対して、電話・メール・書面など、可能な方法で連絡を取りましょう。書面で交渉する場合は、特定記録郵便を利用すれば書面が配達されたかどうか確認できます。
相手配偶者から「慰謝料を〇月〇日までに支払わなければ会社にバラす」などと脅されている場合は、内容証明郵便を利用した方が良いでしょう。
いずれの方法を選択しても、不倫が事実であれば正直に認めてきちんと謝罪をし、慰謝料減額の相談をしましょう。謝罪もなくいきなり減額交渉をすると相手が不快に感じ、交渉に応じてくれないおそれがあります。
慰謝料減額について合意ができれば、示談書を作成しましょう。口約束だけでは「減額に応じた覚えはない」などと言われるおそれがあります。トラブル回避のためにも、合意した内容をもれなく記載した正確な示談書を作成しましょう。
「不貞慰謝料は減額してもらえる?9つの減額要素と交渉方法を徹底解説」では、減額要素について詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
分割払いを打診する
分割払いを打診することを検討するのも良いでしょう。
慰謝料の支払いは一括払いが原則ですが、当事者双方の合意が得られれば分割払いもできます。
もっとも、分割払いにすると、慰謝料を受け取る側には以下のようなデメリットがあるため、合意を得るのは簡単ではないでしょう。
- 途中で支払いが滞るリスクがある
- 精神的な負担が続く
分割払いを打診する際は、月々の支払金額や支払い回数などを明確に提示しましょう。誠意ある対応をすることで、分割払いを受け入れてもらえるかもしれません。
支払い方法別のメリット・デメリットは、「不倫慰謝料の支払い方法|双方の立場からメリット・デメリットを解説」で詳しく解説しています。
不倫相手に支払いを求める
不倫相手に支払いを求めるのも方法のひとつです。
不倫は自分一人ではできません。不倫相手にも責任がある共同不法行為ですので、慰謝料の支払義務は不倫相手にもあります。
当事者のどちらかが慰謝料を全額支払っても法的に問題はありませんから、あなたが慰謝料を払えないなら、不倫相手に慰謝料を支払うよう依頼してみても良いでしょう。
親族に立替払いを依頼する
親族に立替払いを依頼することを検討しても良いでしょう。
請求された慰謝料をどうしても支払えない場合、可能であれば親族に借金を申し出て、立替払いをお願いしましょう。不倫をしたことを咎められるでしょうが、不徳の致すところと反省し、謙虚に受け止めましょう。
自己破産を検討する
最終手段として自己破産を検討する選択肢もあります。
自己破産とは、借金の返済ができなくなった人が支払いの免除を求めて裁判所に申し立てする手続きです。裁判所から免責決定されれば、借金の支払いが免除されます。
裁判所は、不倫慰謝料は基本的に免責されるものと判断しています(東京地方裁判所平成15年7月31日判決)。
ただし、自己破産をすれば官報に掲載されたり、ブラックリストに登録されたりするなどのデメリットもありますので、安易に自己破産を選択するのは適当ではありません。
請求された慰謝料が払えないと悩んでもしてはいけないNG行為
請求された慰謝料が払えないと悩んでも、金融機関から借金をして慰謝料を支払うのは賢明ではありません。
相手配偶者とのトラブルは解決できても、想定外の利息をとられるなど、借金で首がまわらなくなり別のトラブルを抱える可能性があります。
あなたの生活を悪化させかねないため、衝動的に借金をして慰謝料を支払うことはやめましょう。
慰謝料請求されたが払えない場合は弁護士への相談も検討を
慰謝料請求されたが払えないと悩んでいるなら、弁護士への相談・依頼を積極的に検討することをお勧めします。
弁護士への依頼を勧める主な理由は、以下の4つです。
- 相手配偶者との直接交渉を避けられる
- 相手配偶者が減額に応じてくれる可能性が高まる
- 正確な示談書の作成を任せられる
- 調停や訴訟になった場合も対応を任せられる
以下で、詳しく紹介します。
相手配偶者との直接交渉を避けられる
不倫配偶者との直接交渉を避けられます。
相手配偶者があなたに対して悪い印象を抱くのは致し方ないでしょう。当事者同士で示談交渉をするとお互いに感情的になりやすいため、話し合いがまとまらないかもしれません。
弁護士が間に入ることで冷静に話し合いを進めやすくなるため、早期解決が望めます。
あなたにかかる精神的・時間的な負担も軽減されるでしょう。
相手配偶者が減額に応じてくれる可能性が高まる
相手配偶者が減額に応じてくれる可能性が高まります。
不倫慰謝料の減額交渉に長けた弁護士であれば、あなたに減額要素がないか検討し、適切な法的根拠に基づいて減額するよう交渉してもらえます。
相手配偶者の感情を逆撫でしないよう配慮して交渉を進められるため、減額に応じてもらえる可能性が高まるでしょう。
正確な示談書の作成を任せられる
正確な示談書の作成を任せられます。
慰謝料の減額や分割払いに合意できたら、解決後のトラブルを防ぐためにも、示談書を作成する必要があります。
示談書を作成する際は、相手配偶者と取り決めた内容や盛り込むべき項目を漏れなく示談書に記載しなければ意味がありません。
弁護士に依頼すれば正確な示談書の作成を任せられるため、安心して示談できるでしょう。
調停や訴訟になった場合も対応を任せられる
調停や訴訟になった場合も対応を任せられます。
相手配偶者との交渉がまとまらない場合は、調停や訴訟へと移行する可能性があります。
調停や訴訟になると、書面の作成や証拠の収集をしなければなりません。慣れない作業をご自身で行うのは精神的にも時間的にも負担がかかります。
弁護士に依頼すれば、調停や訴訟になった場合も対応を任せらレます。納得のいく解決を図れるようサポートしてもらえるでしょう。
まとめ
請求された慰謝料が払えない場合は見て見ぬ振りをしたくなるのも無理もありませんが、請求を無視してはいけません。落ち着いて請求内容を確認し、請求されている金額を支払う必要があるかどうか適切に見極めることが大切です。
慰謝料請求の対応を弁護士に任せたいとお考えなら、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。
ネクスパート法律事務所には、15,000件を超える不倫問題に関するお問い合わせが寄せられ、数多くの案件を解決へと導いています。
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