過去の不倫の慰謝料を請求されたら支払うべき?時効と対処法を解説

  • 最終更新日: 2024.04.22

すでに関係を解消した過去の不倫について慰謝料を請求されたあなたは、今とても動揺していることと思います。
すでに終わった不倫について今さら言われても、と困惑するのも無理もありませんが、まずは落ち着きましょう。過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合、冷静な対処が求められます。

この記事では、過去の不倫に基づく慰謝料請求の時効対処法について解説します。
焦って言われるがまま合意してしまい、後悔するケースも少なくありません。この記事が、冷静かつ適切な対応の参考になれば幸いです。

過去の不倫に基づく慰謝料を請求されたら支払うべき?

過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合、あなたに慰謝料の支払義務があるかどうかは、個々の事情によって異なります。

何年も前に不倫関係を解消している場合、最後の不貞行為について時効期間が経過していれば、時効を援用することで慰謝料の支払いを免れる可能性があります。
時効完成前であっても、慰謝料の支払義務を免れる事由があれば、慰謝料の支払いを拒否できるかもしれません。

過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合、焦りや不安、恐怖から不適切な対応をしてしまいがちです。落ち着いて、支払う必要のある慰謝料かどうか判断しましょう。

過去の不倫に基づく慰謝料請求の時効

過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合、時効期間が経過していないか確認しましょう。

時効期間が経過していた場合、時効を援用すれば慰謝料の支払いを免れる可能性があります

そもそも時効とは、ある権利が一定期間行使されない場合に、その権利を消滅させる制度です。不倫の慰謝料を請求できる権利があるにも関わらず行使しないまま放置した場合、請求する側には放置した責任があります。慰謝料を請求される側にとっても、いつ慰謝料を請求されるか分からない状態がいつまでも続くのはよくないという考えが背景にあります。

消滅時効が成立するために必要な時間が経過しても、それだけでは慰謝料請求権は消滅しません。法律で定められた一定の期間が経過した後、消滅時効を援用することにより、確定的に権利が消滅します

不倫の慰謝料請求の時効について、以下で詳述します。

不倫慰謝料請求の時効

不倫の慰謝料請求の時効は、以下のいずれか早い方で完成します。

  • 不倫の事実および不倫相手を知った時から3年
  • 不倫があった時から20年

相手配偶者が、不倫があったこと及びあなたが不倫相手であることを知った時(あなたの氏名や住所を特定した時)から3年以上経過していれば、時効にかかります。

相手配偶者が、不倫の事実を知らなかった場合やあなたの氏名や住所を特定できなかった場合でも、不倫があった時から20年以上経過している場合は、時効が完成します。

相手配偶者があなたの氏名や住所を特定したのがどの時点であるか分かりにくいケースも多いため、時効期間の進行が開始した時期の判断は慎重に行う必要があります。

消滅時効の起算点については、「不貞行為の慰謝料請求はいつまで?起算点や時効が近い時の対処法」をご参照ください。

補足|時効の更新に注意!

不倫慰謝料請求の時効の完成が迫っている場合は、時効の更新事由がないか確認しましょう。

時効の更新とは、進行していた時効の進行がリセットされることです。時効が更新されると、更新された時から新たな時効期間の進行が開始します

時効の更新事由には、主に以下の6つがあります。

  • 内容証明郵便で不倫慰謝料を請求された
  • 不倫慰謝料の支払いを督促された(支払督促)
  • 不倫慰謝料について交渉を行い合意した
  • 慰謝料の支払義務があることを認めた
  • 不倫慰謝料請求の訴訟を提起された
  • 差押えなどの強制執行を申し立てられた

上記のいずれかに該当する場合、不倫相手と不倫があったことを知ったときから3年、不倫があったときから20年のどちらかの時効期間が経過していても、時効は完成しません。

時効が更新されているかどうか判断できない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

過去の不倫に基づく慰謝料請求権が時効にかかっている場合の対応方法

過去の不倫に基づく慰謝料請求権が時効にかかっており、時効の更新事由や完成猶予事由もない場合は、時効の援用をすることで、慰謝料の支払いを免れることができます

時効の援用とは、慰謝料を請求された側が、時効が成立したから支払わない旨を主張することです。時効を援用する場合は、内容証明郵便等で時効援用通知書を発送します。

時効が成立していても、時効の援用をしない限り、不倫の慰謝料請求をされるおそれがあります。時効が成立しているからと請求を放置していると、訴訟を提起される可能性があります。

時効の完成を知らなかった場合、一度慰謝料の支払いを認めてしまうと、時効が完成しているから支払わないと主張できなくなる可能性があります。後から時効の完成を知ったとしても、一度慰謝料の支払義務があることを認めてしまうと、内容を覆すことはとても難しいです。

不倫のときから3年以上経過している場合は、言われるがまま合意せず、時効が完成していないか冷静に判断することが重要です。

過去の不倫の時効が成立していない場合に確認すべき4つのポイント

過去の不倫の時効が成立していない場合、そもそも慰謝料の支払義務があるかどうか確認しましょう。

過去の不倫の時効が完成していない場合に確認すべき主なポイントは、以下の4つです。

  • 不倫があったか
  • 相手が既婚者だと知っていたか
  • 婚姻関係が破綻していなかったか
  • 相手から強制されなかったか

いずれかのケースに該当する場合、慰謝料の支払義務が発生しない可能性があります。

不倫があったか

不倫の事実がない場合、原則として慰謝料の支払義務は発生しません

不倫(不貞行為)とは、配偶者のある者が自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と肉体関係を結ぶことです。不倫の慰謝料を請求する場合は、原則として肉体関係があったことの立証が必要になります。肉体関係がない場合、不貞行為の立証が困難であるため、原則として支払義務は発生しません。

ただし、明らかに社会妥当性の範囲を逸脱する行為があり、夫婦生活の平穏を害し、精神的苦痛を与えた場合は、慰謝料の支払義務が発生する可能性があります。

相手が既婚者だと知っていたか

相手が既婚者だと知らず、かつ、知らなかったことについてあなたに落ち度がない場合、原則として慰謝料の支払義務は発生しません

結婚していないと嘘をつかれていたためです。ただし、知らなかったことについてあなたに落ち度がないとは、当然に認められるわけではありません。

婚姻関係が破綻していなかったか

不倫が始まる前から婚姻関係が破綻していた場合、原則として慰謝料の支払義務は発生しません

平穏な夫婦の生活という保護の対象となる利益がないためです。ただし、婚姻関係が破綻していたかどうかの判断は簡単ではありません。

それぞれに状況により異なるため、慎重に判断する必要があります。

相手から強制されなかったか

脅迫などにより相手から強制されて無理やり肉体関係を持たされた場合、原則として慰謝料の支払義務は発生しません

あなたに責任はないためです。ただし、自分の意思で断れる状況と判断された場合などは、支払義務が発生するケースもあります。

過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合の対処法

過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合、誠意ある対応を心がけることが重要です。不適切な対応により、事態をより悪化させてしまうことも考えられます。

過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合の対処法を紹介しますので、今後の対応の参考になればと存じます。

無視しない

過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合、無視することはやめましょう

無視すると交渉ができないと判断され、訴訟を提起されるおそれがあります。訴訟になると強制執行される可能性があり、預貯金や給料を差し押さえられることも考えられます。

支払義務の有無に関わらず、適切に対処するよう心がけましょう。

高額な慰謝料を請求されたら弁護士への相談がおすすめ

高額な慰謝料を請求されたら、弁護士への相談も検討しましょう。

不倫に基づく慰謝料の相場は、不倫の回数や期間など個々のケースにより異なりますが、50〜300万円程度です。

相場を大幅に上回る高額な慰謝料を請求された場合、弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士に依頼することで、交渉のプロがあなたの代理人として相手と交渉してくれるため、慰謝料の減額や早期解決が期待できます。

まとめ

過去の不倫に基づく慰謝料を請求された場合、時効が成立していないか、慰謝料の支払義務があるかどうか、適切に判断することが重要です。しかし、判断には専門的な知識が必要とされるケースが少なくありません。

ネクスパート法律事務所は、これまで数々の不倫問題についてご相談いただき、解決に導いてきました。ひとりで悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。あなたの不安が軽くなるよう、全力でサポートいたします。

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