不倫で妊娠してしまったあなたは、今、どんなことに悩んでおられるのでしょうか。
―不倫と妊娠-
この二つの言葉が、あなたの心を重く圧し潰すように感じられるかもしれません。
起きたことは取り消せませんが、未来はあなたが選択できます。まずはご自身の心に耳を傾け、じっくり向き合ってみてください。
不倫で妊娠したあなたが出産・中絶の決断を迫られたとき、そして選んだ道の先で悩んだときに、あなたの意思決定をサポートするための情報を収集いただけるよう、44の質問集をお届けします。
今、あなたが直面している問題は一朝一夕に解決できるものではありません。この記事は、あなたに結論を急がせるものではなく、むしろ、あなたのペースで、あなたが必要な時にご覧いただけるようご用意しました。
岐路での判断に迷ったときの手引きとして、是非ブックマークしてお役立ていただければと思います。
目次
- 1 不倫で妊娠したあなたにやさしく答えるお悩み相談Q&A44選
- 1.1 不倫で妊娠しました。産むか産まないかの決断はいつまでにすべきですか?
- 1.2 中絶するなら早い方が良い理由には、身体への負担以外に何がありますか?
- 1.3 不倫相手に妊娠したことを告げる場合、何をどう話せばよいのでしょうか?
- 1.4 不倫相手に妊娠を告げたら「妻と別れる」と言ってくれました。信じてもよいですか?
- 1.5 不倫相手と再婚できたとしても、慰謝料など経済的なダメージは覚悟した方がよいですか?
- 1.6 相手が不倫や妊娠の事実を伏せて奥さんと離婚をした場合、後から問題になりますか?
- 1.7 妊娠を機に不倫相手は奥さんと別居しました。離婚成立前に同棲を開始してもよいですか?
- 1.8 不倫相手に子の認知や養育費を求める場合、具体的にどのように進めればよいですか?
- 1.9 不倫相手に子を認知してもらうことには、どんなメリットがありますか?
- 1.10 不倫相手に子を認知してもらうと、相手の奥さんから慰謝料を請求されますか?
- 1.11 妊娠・出産の事実が相手の奥さんにバレた場合、不倫慰謝料の金額はいくらになりますか?
- 1.12 認知してもらうことには、奥さんからの慰謝料請求以外にもデメリットはありますか?
- 1.13 相手の奥さんに不倫がバレて示談した後、妊娠が判明したら、さらに慰謝料を請求されますか?
- 1.14 不倫相手が認知届に署名してくれれば、役所への提出は私が代行できますか?
- 1.15 不倫相手が子の認知を拒否しています。強制的に認知させる方法はありますか?
- 1.16 不倫相手に養育費を支払ってもらえる場合、具体的にはいくらぐらい貰えるのでしょうか?
- 1.17 不倫相手に子を認知してもらえないと養育費はもらえませんか?
- 1.18 不倫相手に認知なしで養育費を支払ってもらう場合も公正証書は作成できますか?
- 1.19 認知なしで養育費を支払ってもらう場合の注意点はありますか?
- 1.20 不倫相手に養育費を一括で支払ってもらう場合の注意点はありますか?
- 1.21 不倫相手から認知と養育費の支払いの合意が得られたら、交際を続けてもいいですか?
- 1.22 妊娠を告げた途端、音信不通になったら、不倫相手に認知や養育費を請求できませんか?
- 1.23 不倫相手から「認知も養育費もいらないと一筆書け」と言われました。応じなければなりませんか?
- 1.24 中絶できない時期になって「離婚できない」と言われました。不倫相手に慰謝料を請求できますか?
- 1.25 不倫で妊娠した場合でも、父親である相手に子との面会を義務づけられますか?
- 1.26 不倫で妊娠しました。相手に内緒で産もうと思いますが、バレる可能性はありますか?
- 1.27 不倫相手に子を認知してもらいたくないです。相手が勝手に認知する可能性はありますか?
- 1.28 不倫相手の子を一人で育てる場合、家族や友人に事実を伝えるべきでしょうか?
- 1.29 不倫で妊娠しました。シングルマザーが受けられる公的支援等はありますか?
- 1.30 不倫で妊娠した場合、中絶手術の費用負担を相手に求められますか?
- 1.31 不倫相手から「おろして欲しい」と言われて中絶した場合、慰謝料を請求できますか?
- 1.32 不倫相手に避妊していると嘘をつかれて妊娠しました。中絶による慰謝料を請求できますか?
- 1.33 不倫相手から暴力や脅迫を伴う強要を受け中絶した場合、慰謝料を請求できますか?
- 1.34 妊娠判明から中絶まで不誠実な対応を受けました。不倫相手に慰謝料を請求できますか?
- 1.35 不倫相手の曖昧な態度が原因で中絶時期が遅れました。慰謝料を請求できますか?
- 1.36 妊娠を告げた際に相手が既婚者と判明しました。中絶する場合、慰謝料を請求できますか?
- 1.37 中絶手術のために仕事を休んだ場合、減収分を不倫相手に請求できますか?
- 1.38 遠方の病院で中絶手術を受ける場合、不倫相手に交通費を請求できますか?
- 1.39 不倫相手に何も告げずに中絶することに法的な問題はありますか?
- 1.40 不倫で妊娠しました。父親が夫か不倫相手のどちらか分からない場合、どうすればいいですか?
- 1.41 既婚で不倫して妊娠しました。不倫相手の同意があれば中絶できますか?
- 1.42 夫に内緒で不倫相手との子を夫の子として育てることにリスクはありますか?
- 1.43 夫以外の子を妊娠しました。離婚後なら実の父親の名前を書いて出生届を出せますか?
- 1.44 離婚後産まれる不倫相手との子を夫の戸籍から抜くには、どんな手続きが必要ですか?
- 2 まとめ
不倫で妊娠したあなたにやさしく答えるお悩み相談Q&A44選
不倫で妊娠しました。産むか産まないかの決断はいつまでにすべきですか?
できることなら妊娠3か月(11週6日)までに決断できるのが理想です。
日本の法律では、妊娠6か月(21週6日)まで中絶手術が認められていますが、妊娠4か月(12週目0日)以降になると、身体への負担が大きくなるからです。
出産するか否かの大事な決断には判断材料となる様々な情報も不可欠ですし、相手男性との話し合いなどがスムーズに進まず、現実には3か月以内の決断が難しいかもしれません。しかし、「相手から明確な答えが欲しい」と決断を先延ばしにすると、あっという間に時が過ぎてしまうこともあります。
出産するにせよ中絶するにせよ悔いが残らないように、相手男性と、そしてご自身のお気持ちと十分に話し合うべきですが、中絶を選択する場合、妊娠4か月(12週0日)以降はご負担が大きくなることを頭の片隅に置いておきましょう。
中絶するなら早い方が良い理由には、身体への負担以外に何がありますか?
妊娠4か月(22週目)以降の中絶となると役所への死産届や胎児の埋葬が必要です。
妊娠3か月(11週6日)までの中絶を初期中絶、4か月(22週目)以降の中絶を中期中絶と言います。
初期中絶は原則入院が不要であるのに対し、中期中絶では入院加療も必要で、費用面でも初期中絶に比べて高額になります。手術後、各種手続きが必要となるため、精神的負担も大きくなります。
主な違いは、下表でご確認ください。
不倫相手に妊娠したことを告げる場合、何をどう話せばよいのでしょうか?
まず、あなたがどうしたいのかを率直に伝えましょう。
相手男性とは、主に以下の点について、話し合うことになるでしょう。
- 出産するか中絶するか
- 二人の関係を今後どうしていくか
- 出産する場合、子を認知するかどうか
- 出産する場合、子の養育費や出産費用をどうするのか
- 中絶する場合、手術の費用負担をどうするのか など
妊娠は、二人に責任があります。
お互いに相手を尊重しながら対等な立場で意見を出し合い、冷静に話し合いましょう。
不倫相手に妊娠を告げたら「妻と別れる」と言ってくれました。信じてもよいですか?
信じるかどうかは別として、「妻と離婚して君と再婚する」という趣旨の約束は、原則無効です。
相手の男性が離婚するつもりでも、妻が同意しない限り離婚は成立しないため、「妻と離婚する」という男性の約束には、そもそも効力が発生しないからです。裁判で離婚を求めても、自ら離婚原因を作った配偶者(有責配偶者)からの離婚請求は、配偶者が和解に応じるか一定の条件をクリアしない限り、否定される傾向にあります。
法律的な考え方では、このような約束が100%守られる保証はありません。
不倫相手と再婚できたとしても、慰謝料など経済的なダメージは覚悟した方がよいですか?
一概には言えませんが、覚悟しておいた方が良いでしょう。
夫婦の話し合いで離婚できる場合でも、妻から離婚に応じる条件として高額な慰謝料を請求されたり、慰謝料に代えて多額の財産分与を求められたりすることがあるからです。妻との間に妻との間に子がいれば、その子の養育費を払いながら、あなたとの間に生まれる子を育てることになるかもしれません。
男性だけではなく、あなたも妻から慰謝料を請求される可能性もあります。
離婚となれば慰謝料額も高額になる傾向があるため、晴れて相手男性と結婚しても経済的に苦労する場面は想定しておいた方がよいでしょう。
相手が不倫や妊娠の事実を伏せて奥さんと離婚をした場合、後から問題になりますか?
離婚後に不倫・妊娠の事実が判明すれば、慰謝料を請求されるおそれがあります。
相手男性が、慰謝料の支払いを免れる目的で不倫や妊娠の事実を伏せて離婚協議を進めた場合、妻との間で「お互いに慰謝料等名目の如何に関わらず金銭を請求しない」と約束をしていても、その約束は無効となるからです。
実際の裁判でも、裁判所は以下のように判断し、請求者の夫とその不倫相手に対して、連帯して200万円を支払うよう命じています。
幼子がいる夫婦の有責配偶者からの離婚請求は一般的には認められないこと、そのような離婚には慰謝料の支払を伴うことに照らすと、被告Y2が被告Y1との継続した不貞関係や婚外子の妊娠の事実を隠して、清算条項を含む本件協議離婚書を原告X1に示し署名させたことは、被告Y2が、慰謝料の支払いを免れて被告Y1との再婚を果たすためであったものと認められ、その清算条項は、原告X1の要素の錯誤により無効であるから、原告X1は、被告らに対し、不貞行為による慰謝料の請求ができるものとするのが相当である
―東京地判平成28年6月21日
妊娠を機に不倫相手は奥さんと別居しました。離婚成立前に同棲を開始してもよいですか?
離婚成立前に不倫相手との同棲を開始することはおすすめできません。
相手男性と妻との間で離婚自体については合意に至っているものの、条件面の話し合いのために別居を開始した場合、基本的には婚姻関係が破綻していると評価できるでしょう。しかし、あなたと相手との不倫が、婚姻関係が良好だった時から始まっていたのであれば、妻は自身の夫とあなたに慰謝料を請求できます。
妊娠の事実がある以上、「夫婦が別居(婚姻関係が破綻する)前に、肉体関係(不貞行為)はなかった」と言い逃れできません。
男性が妻にあなたとの関係や妊娠の事実を告げた上で、離婚の合意を得ているとも限りません。離婚後、男性の妻に不倫や妊娠、離婚成立前の同棲の事実が発覚した場合、その精神的苦痛は大きいと言えるため、高額な慰謝料を請求されるおそれもあります。
無用な混乱を避けるためにも、離婚成立前の同棲は控えた方がよいでしょう。
不倫相手に子の認知や養育費を求める場合、具体的にどのように進めればよいですか?
まずは話し合いでの解決を目指しましょう。
相手男性が、任意に認知してくれるなら、裁判所の手続きもそれにかかる費用も必要ありません。
任意認知は、子の父が役所に認知届を提出することで法的な父子関係を成立させる制度です。子が生まれる前に認知の届出をする場合(胎児認知)は、子が生まれてから効力が発生します。子が生まれた後に認知の届でをする場合(通常認知)は、その効力は出生の時まで遡って発生します。
認知届に必要な書類や届出先などの詳細は1.14をご参照ください。
養育費についても、いくらを何歳まで支払ってもらえるのか、よく話し合って具体的に取り決めておきましょう。相手男性が支払いを確実に続けられる範囲での金額を検討し、ある程度折り合いをつけることも大切です。
認知や養育費の支払いに関する合意事項は、書面化しましょう。確実にしたい場合は、弁護士に依頼して公正証書を作成してもらうことをおすすめします。
不倫相手に子を認知してもらうことには、どんなメリットがありますか?
相手男性に子を認知してもらうと、次のような効果があります。
- 父の戸籍に子の名前が記載される
- 子の戸籍に父の名前が記載される
- 子や子を監護する母は父に対して養育費を請求できる
- 父が死亡した場合、子は第一順位の相続人となる
- 父母の話し合いにより、父を親権者と定められる
認知によって父と子の親子関係が生じ、その結果、親権・監護、扶養、相続等の権利義務関係が発生するからです。
不倫相手に子を認知してもらうと、相手の奥さんから慰謝料を請求されますか?
相手男性の妻にバレて慰謝料を請求される可能性があります。
認知届(胎児認知の場合は出生届)の提出後、相手男性の戸籍の身分事項の欄には、次の事項が記載されるからです。
- 認知日
- 認知した子の氏名
- 認知した子の戸籍(本籍地+筆頭者(あなた)の氏名)
戸籍をとる機会はそう多くはありませんが、妻が何らかの手続きのために戸籍をとった場合、認知の事実、不倫の事実がばれてしまいます。あなたの氏名・本籍地も知られてしまうため、慰謝料請求の手続きが迅速に進む可能性もあります。
なお、認知請求そのものが、慰謝料を支払う義務を生じさせるものではありません。
妊娠・出産の事実が相手の奥さんにバレた場合、不倫慰謝料の金額はいくらになりますか?
相場は事案によって異なりますが、目安は以下のとおりです。
- 相手夫婦が離婚しない場合:100万円から200万円程度
- 相手夫婦が離婚する場合:150万円から300万円程度
妊娠した場合は、悪質な不倫と判断されて上記相場の金額幅の中でも、比較的高額な慰謝料を支払うことになるケースが多いです。
出産した場合、中絶・流産した場合よりもさらに配偶者の受ける精神的苦痛が大きくなるため、相場より増額される可能性もあります。
認知してもらうことには、奥さんからの慰謝料請求以外にもデメリットはありますか?
認知してもらうことで生じる問題は、主に以下のとおりです。
- 将来、子が相手男性を扶養する義務が生じる
- 将来、あなたが別の男性と結婚した場合、実の父親である相手男性の認知は取り消せない
認知によって父子関係が発生するということは、その子にも父親を扶養する義務があるということになります。将来的に父親である相手男性が生活に困窮した場合や介護が必要な場合に負担を求められる可能性があります。
認知した子と血縁上の父子関係がない場合を除き、一度した認知は取り消せません。認知が取り消せるとなると子の身分関係が極めて不安定になるからです。
将来、あなたが別の男性と結婚したいと考えたとき、先になされた認知を取り消したいと思っても、それは叶えられません(婚姻後、要件を満たす場合に、夫となる男性が特別養子縁組をすれば、実父との法的な親子関係は解消されます)。
相手の奥さんに不倫がバレて示談した後、妊娠が判明したら、さらに慰謝料を請求されますか?
慰謝料を請求される可能性はあります。
ただし、支払い義務を負うかどうかは、あなたが相手の奥さんに支払った慰謝料の額や示談の内容、示談成立後の交際継続の有無等によります。
示談成立前の不貞行為(性交渉)によって妊娠した場合、次の要件を満たせば、相手の奥さんから慰謝料を請求されても、支払わずに済むかもしれません。
- 示談成立後、相手男性との関係をきっぱり解消した
- 相手の妻と交わした示談書にお互い債権債務はないことを確認する条項(清算条項)が入っている
- 妊娠の事実を踏まえても十分な慰謝料を既に支払っている
妊娠したこと自体については、全体の不貞行為の一部を構成するものの、独立した不法行為とはみることはできないとするのが、裁判所の考え方であるからです(東京高判昭和57年9月30日)。あなたが相手男性の子を出産するか否かによって、相手の妻が受ける精神的苦痛に差があることは当然のことですが、既に支払った慰謝料額が相場を大きく上回る額であれば、追加で支払わずに済む可能性があります。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、相手の妻からの追加請求に応じなければならない可能性があります。
- 示談成立後も相手男性と不倫関係を続けた
- 相手の妻と交わした示談書に清算条項が入っていない、違約金の定めがある
- 示談成立前に妊娠が分かっていたのに、相手の妻にあえて「妊娠していない」と嘘をついた場合
慰謝料の支払い義務が生じるかどうかは、個別具体的な事情によって異なるため、弁護士への相談をおすすめします。
不倫相手が認知届に署名してくれれば、役所への提出は私が代行できますか?
子の父親の署名があれば、市区町村役場への提出はあなたが代行できます。
認知の届出人は子を認知する父親ですが、届出人とは認知届に署名をする人(認知の当事者)です。認知の当事者である父親が署名を済ませた認知届であれば、その認知届は届出人本人以外の人でも提出できます。
ただし、提出時に認知届に不備があった場合、その場で加筆や訂正はできないのでご注意下さい。
届出先や届出に必要な書類は、以下のとおりです。市区町村によっては、必要書類が異なる場合がありますので、届出前に必ず市区町村役場に確認しましょう。
不倫相手が子の認知を拒否しています。強制的に認知させる方法はありますか?
父子関係の存在が客観的に認められるときには、認知の訴えができます。
これを強制認知といいます。
認知の訴えは、調停前置主義が採用されているため、まずは認知調停を申し立てます。当事者間で認知に関する合意が成立すれば、家庭裁判所は合意に相当する審判ができ、これによって認知の効力が発生します。
合意に至らなかった場合は、認知の訴えを提起し、父子関係が認められるかを争うことになります。
訴訟では、裁判所が、当事者の主張や証拠などにより明らかとなった事実等に照らして父子関係があると認めた場合、判決によって強制的に認知させることになります。
強制認知が認められた場合も、市区町村役場に認知届を提出する必要がありますが、この場合は、認知調停の申立人・認知訴訟の原告(=あなた)が届出人となります。
不倫相手に養育費を支払ってもらえる場合、具体的にはいくらぐらい貰えるのでしょうか?
厚生労働省「令和3年度ひとり親世帯等調査」によると、母子家庭の養育費の平均は50,485円です。
子どもの数別の養育費月額は、以下のとおりです。
※画像引用元: 厚生労働省
養育費の定め方は法律で決められているわけではないため、当事者で自由に決められます。父母の年収や子の数、生活水準などに応じて、金額を決めるのが一般的です。
実務では、家庭裁判所が養育費を算定している際に活用している養育費算定表を使って算出することが多いです。
子供の数と年齢別に、請求する側(あなた)の年収を横軸、請求される側(相手男性)の年収を縦軸とした算定表をもとに、養育費を算出します。
相手男性と妻との間に子がいる場合は、上記算定表をそのままあてはめて養育費の金額を算定できません。
養育費の計算方法については、弊所離婚サイトのコラム「養育費の相場は月いくら?養育費の計算方法や平均受給金額」で詳述しておりますので、ご参照ください。
不倫相手に子を認知してもらえないと養育費はもらえませんか?
相手男性が支払いの意思を示せば、養育費を受け取れることもあります。
相手が養育費の支払いも拒否している場合は、認知されなければ、調停や審判などの法律上の手続きによって、相手男性に養育費を請求できません。認知により法律上の父子関係が成立することで、初めて法律上の扶養義務(養育費の支払い義務)が発生するからです。
相手が認知を拒否する場合は、強制認知という手段をとれば養育費を支払わなければならなくなることを説明してみるのも一つの手段です。
不倫相手に認知なしで養育費を支払ってもらう場合も公正証書は作成できますか?
公証人の判断にもよりますが、絶対に不可能というわけではありません。
養育費支払いに関する公正証書を作成するためには、原則として認知済みであるか、認知の合意も併せて行う必要があります。公正証書には法的に無効なことや公序良俗に反することは書けないからです。
認知されていない場合、法律上、扶養義務は発生しないので、養育費名目での公正証書作成は困難です。
しかし、支払いを受ける金銭の名目を工夫すれば、同様の趣旨の公正証書を作成できる場合もあります。
この場合、公証人から、認知しない理由や背景事実の説明、生物上の父子関係を証明する資料の提出等を求められるでしょう。法律上の扶養義務に基づくものではなく贈与扱いとなるため、公正証書手数料も高くなります。
認知なしで養育費の支払いを受ける場合の公正証書作成についてお悩みの方は、弁護士への相談をおすすめします。
あくまで公証人の判断次第ですが、弁護士のサポートを受けることで落とし所を探れることもあります。
認知なしで養育費を支払ってもらう場合の注意点はありますか?
あなたに贈与税が課税される可能性があります。
認知されていない場合は、法律上の扶養義務が生じないため、支払い総額そのものが贈与とみなされることがあるからです。
認知なしで養育費に相当する金銭の支払いを受けることについて公正証書を作成できた場合でも、滞納時の強制執行の取扱いが以下のとおり異なります。認知されていない以上、法律上の扶養義務が生じないため、民事執行法上の扶養料の特例が適用されないからです。
なお、金銭の動きから相手の妻に不倫や妊娠・出産の事実が判明することもあります。支払い方法については、この点も踏まえて、相手男性とよく話し合われることをおすすめします。
不倫相手に養育費を一括で支払ってもらう場合の注意点はありますか?
あなたに贈与税が課税される可能性があります。
法律では、扶養義務者である父母間において生活費または教育費にあてるためにした贈与のうち、通常必要と認められるものについては、贈与税の課税価格に算入しない旨が規定されています(相続税法第21条の3第1項2号)。
ただし、一括払いで受け取った養育費が生活費または教育費に充てられずに預貯金となっている場合、子の養育のために通常必要と認められるものの範囲を超えると判断される可能性があるからです。
なお、国税庁の個別通達によれば、養育費の一括払いについて、次のような内容で調停調書が作成された場合は、贈与税は課税されないとされています。
- 養育費を子名義の口座に振り込む
- 養育費の振込後、それを管理する親権者が信託銀行と子供を委託者兼受益者にして養育費を預け、毎月子に対し信託銀行から一定額を支払う均等割給付金の金銭信託契約を締結する
養育費一括払いによる贈与税課税にご不安がある方は、弁護士への相談をおすすめします。
不倫相手から認知と養育費の支払いの合意が得られたら、交際を続けてもいいですか?
相手が離婚していない以上、交際は続けるべきではありません。
相手男性があなたの子を認知して養育費を支払うことについて、仮に妻の了承を得ていたとしても、相手夫婦が離婚しない限り、あなたと相手男性との交際は、不倫関係のままですので、不倫慰謝料を請求されるおそれがあります。
相手男性が妻に認知や養育費の支払いについて、事前に了承を得ていない場合でも、認知や出産により妻に不倫の事実が発覚するのも時間の問題です。
認知届や養育費の支払いなど、子のために必要な場合を除き、連絡を取り合うことも控えた方が良いでしょう。きっぱりと関係を断てない場合でも、肉体関係を持ったり、将来を見据えた親密な交際を続けたりしてはいけません。
妊娠を告げた途端、音信不通になったら、不倫相手に認知や養育費を請求できませんか?
弁護士のサポートを得ることで、相手男性に認知や養育費を請求できる可能性があります。
相手の連絡先(携帯電話番号やメールアドレスなど)がわかれば、弁護士に認知および養育費の請求手続きを依頼することで、居所等を調べられることもあるからです。
弁護士は、依頼を受けた事件について、依頼者の利益を守る視点から真実を発見し、公正な判断がなされるように職務を行います。このような弁護士の職務の公共性から情報収集のための手段として、弁護士会を通じて、公的機関や民間企業に対して照会を申し出る権限が認められているからです(弁護士法第23条の2)。
妊娠を告げた途端に不倫相手が音信不通となり、お悩みの方は、弁護士への相談をおすすめします。
不倫相手から「認知も養育費もいらないと一筆書け」と言われました。応じなければなりませんか?
そのような要求に応じる必要はありません。
そもそも、認知や養育費の請求は子の権利でもあるので、父母が子の権利を一方的に制限できません。仮に、父母間で「認知は求めない」という合意をしていたとしても、子は父親である相手男性に対して、認知および養育費を請求できます。
相手の要求を受け入れられないなら、あなたがどのような約束をしたとしても、産まれてくる子の父親に対する認知・養育料請求を制限されることがないことを伝え、書面の提出を拒否しましょう。
中絶できない時期になって「離婚できない」と言われました。不倫相手に慰謝料を請求できますか?
不倫相手に慰謝料を請求するのは基本的に難しいでしょう。
1.4で述べたとおり、相手が「妻と離婚して君と再婚する」という約束には、そもそも効力がないからです。
もっとも、当事者間の話し合いにより、相手男性が支払いの意思を示せば、慰謝料を受け取れることもあります。
相手男性が任意に慰謝料を支払わない場合でも、出産費用の半分や出産から社会復帰までの生活費の折半を請求できる可能性はあります。
不倫で妊娠した場合でも、父親である相手に子との面会を義務づけられますか?
父母間の協議で、面会交流の方法や頻度について取り決められます。
ただし、家庭裁判所の調停や審判手続きを利用する場合は、認知によって法律上の親子関係が成立していることが必要です。
不倫で妊娠しました。相手に内緒で産もうと思いますが、バレる可能性はありますか?
相手男性と会う機会がなければバレる可能性は低いでしょう。
婚姻関係にない男女の間に生まれた子の出生届に父親の名前を書く必要もありませんし、産まれた子は母親の氏を称して母親の戸籍に入籍するので、戸籍の父親欄も空欄です。
戸籍に記載されている人またはその配偶者、直系尊属(両親や祖父母)若しくは直系卑属(子や孫)以外の第三者は、自分の権利を行使したり、自分の義務を履行したりするために必要でない限り、あなたの戸籍を取得できません。
何かのきっかけで、相手男性が妊娠・出産の事実を知り、自分の子だと確信して自ら認知届を出すような場合には、その届出のために戸籍謄本を請求する可能性は否定できませんが、そのようなケースは稀でしょう。
ただし、相手男性の妻に過去の不倫の事実がバレて、慰謝料請求のために住所を調査され、住民票の記載から子が生まれたことが明らかになることはあり得ます。
不倫相手に子を認知してもらいたくないです。相手が勝手に認知する可能性はありますか?
相手男性が勝手に認知する可能性は否定できません。
任意認知は、父である相手男性が単独でできるからです(子が胎児あるいは成人している場合を除く)。
認知される子または子の母の側から、認知届出をされないようにする方法もありません。
不倫相手の子を一人で育てる場合、家族や友人に事実を伝えるべきでしょうか?
サポートを望むなら、お伝えされるとよいかもしれません。
シングルマザーになる場合、子どもに対する責任をあなた一人で負うことになりますが、一人で抱え込む必要はありません。子育ての支援や経済面・精神面でのサポートとして、あなたを支えてくれる人がいるなら、周りの人に頼ることも大切です。
不倫で妊娠した事実を話したくないなら、シングルマザーになることを選択したことだけを伝えても良いでしょう。
ご両親、兄弟姉妹、信頼できる友人などの中から、お子様に関する大きな決断をする際に、安心して相談できる人を見つけておくことをおすすめします。
不倫で妊娠しました。シングルマザーが受けられる公的支援等はありますか?
シングルマザーの方が受けられる主な公的支援等を以下に紹介します。
このほか、自治体によっては、次のような支援を受けられることがあります。
- 母子家庭の公益住宅への優先的入居・家賃の減額等の優遇措置
- 上下水道料の一部免除
- 公営交通の無料パスや割引
- 単身家庭ホームヘルパー派遣制度
詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。
不倫で妊娠した場合、中絶手術の費用負担を相手に求められますか?
基本的には、手術費用の折半を相手男性に請求できると考えます。
中絶手術による身体的・経済的負担は、不倫をした2人が共同で行った性行為に由来するものであるため、その行為の結果として生じたものとして、それらの不利益を、あなたと不倫相手が等しく分担すべきとするのが裁判所の考え方だからです(東京高判平成21年10月15日)。
なお、中絶を選択する場合は、相手男性が費用負担の意思を翻した場合に備え、次のいずれかの方法で、費用の支払を確保することをおすすめします。
- 手術を受ける前に相手男性から費用を受領する
- 相手男性との間で費用負担に関する書面による合意を得る
不倫相手から「おろして欲しい」と言われて中絶した場合、慰謝料を請求できますか?
慰謝料を請求しても認められる可能性は低いでしょう。
相手の要望を受け入れて中絶を選択した以上、あなたも同意したものと考えられるからです。
慰謝料の請求根拠となるのは民法の不法行為の成立には、故意または過失と権利・利益の侵害が必要です。妊娠・中絶が同意に基づくものである以上、権利侵害があったとはいえません。
相手男性が医師免許を持っていて、あなたに麻酔をかけ、無理やり中絶手術したのであれば、強制的に中絶させられたと言えますが、相手男性の「おろして欲しい」という要求に応じて中絶したということは、やむなくであっても、あなた自身が決断して中絶を受けたことになります。
したがって、相手男性からの求めに応じて中絶手術に至っても、原則として慰謝料は請求できません。
例外的に慰謝料を請求できるケースは、次項以下をご確認ください。
不倫相手に避妊していると嘘をつかれて妊娠しました。中絶による慰謝料を請求できますか?
慰謝料を請求できる可能性があります。
相手男性から避妊していると嘘をつかれ性行為に及んだ場合や、性行為中に同意なく避妊具を外されたことで妊娠して中絶した場合は、あなたの性的交渉に関する自己決定権を侵害したと判断される可能性があるからです。
ただし、性交渉は通常密室で行われているため、相手男性が嘘をついたことや、意図的に避妊具を外したことの立証は容易ではありません。
相手が事実を認めたやりとりなどが残っているのであれば、それを持参して、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
不倫相手から暴力や脅迫を伴う強要を受け中絶した場合、慰謝料を請求できますか?
慰謝料を請求できる可能性があります。
中絶そのものではなく、その決断に至るまでの強要・脅迫行為が、不法行為に該当する可能性があるからです。
暴力や脅迫の態様によっては、慰謝料の支払いだけでなく、刑事責任を追及できることもあります。
暴力を伴う強要や、中絶に従わない場合に暴力に訴えるなどの脅迫を受けたりした場合は、出来る範囲で被害の証拠を確保して、弁護士に相談することをおすすめします。
妊娠判明から中絶まで不誠実な対応を受けました。不倫相手に慰謝料を請求できますか?
慰謝料を請求できる可能性があります。
出産するか中絶するかの決断において、女性は直接的に身体的・精神的苦痛にさらされるとともに、経済的負担も負うことになります。
それらの苦痛や負担は、あなたと不倫相手が共同で行った性交渉によるものであるため、相手男性にも、あなたが受ける不利益を軽減・解消したり、費用を分担したりする義務があると考えられています(前掲東京高判)。
そのため、相手男性が、子どもを産むか中絶するかの選択をあなたに委ねるのみで、ろくに話し合いにも応じずに不誠実な対応をとった場合には、慰謝料請求が認められる可能性があります。
不倫相手の曖昧な態度が原因で中絶時期が遅れました。慰謝料を請求できますか?
慰謝料を請求できる可能性があります。
相手男性が、あなたが妊娠したことを知りながら、出産するかどうかの意向確認や中絶同意書への署名に誠実かつ迅速に対応しなかったことが原因で、中絶の時期が遅くなり、身体的・精神的負担が増大したことが明らかな場合には、慰謝料請求が認められるでしょう。
相手男性は、妊娠の可能性があることを認識しつつあなたと性行為をし、その結果妊娠し、中絶するに至ったのですから、相手男性はあなたが受ける中絶による身体的・精神的苦痛や経済的負担を等分に負担すべき義務を負うからです(東京地判平成27年9月16日)。
相手男性が誠実かつ速やかな対応をせず、あなただけが中絶による身体的・精神的・経済的不利益を負担している場合には、あなたの法律保護される利益を違法に侵害するものとして、慰謝料請求が認められる可能性があります。
妊娠を告げた際に相手が既婚者と判明しました。中絶する場合、慰謝料を請求できますか?
慰謝料を請求できる可能性があります。
相手が独身だと嘘をついて積極的に肉体関係を迫ったり、あなたと結婚をする気もないのに結婚をほのめかしたりして性交渉に至った場合は、あなたの肉体関係を結ぶ相手を自由に選ぶ権利を侵害したと判断されることがあるからです。
ただし、相手が独身だと気づけなかったことについて、あなたに落ち度がある場合は、慰謝料請求は認められません。この場合、慎重に対応しなければ、かえって相手の妻からの慰謝料請求のリスクを負うことになります。
なお、独身と騙されていたことについて、相手男性に慰謝料を請求できない場合でも、中絶費用の折半は求められるでしょう。
既婚者と知らずに交際した場合の慰謝料請求のリスクについては「既婚者と知らずに交際|慰謝料を払わなくていい可能性を探る18のチェックリスト」をご参照ください。
中絶手術のために仕事を休んだ場合、減収分を不倫相手に請求できますか?
減収分のうち、いくらかを請求できる可能性はあるでしょう。
中絶手術や術後の診察のため仕事を休んだ場合、収入がなくなったことが妊娠・中絶の結果であると認めるに足りる証拠があれば、相手に半額の負担を求められる可能性があります。
遠方の病院で中絶手術を受ける場合、不倫相手に交通費を請求できますか?
半額の負担を請求できる可能性があります。
ただし、近くに病院があるのに、あえて遠い病院で手術を受けた場合、妊娠・中絶との因果関係を否定される可能性もあります。
周囲の目が気になり、遠方の病院で中絶手術を受けることを希望する場合には、事前に相手男性に説明をして理解や費用負担についての同意を得ておくことをおすすめします。
不倫相手に何も告げずに中絶することに法的な問題はありますか?
あなたが法的に責任を負うことはありません。
2013年、厚生労働省は、「未婚の場合は本人の同意のみでよい」と見解を示しており、相手男性の同意書なしで、中絶手術を実施している医療機関もあります。
相手から同意を得られない事情がある場合は、医療機関に相談すると良いでしょう。
不倫で妊娠しました。父親が夫か不倫相手のどちらか分からない場合、どうすればいいですか?
妊娠6週0日以降であれば、出生前親子鑑定(DNA診断)の実施を検討できます。
出生前親子鑑定とは、母親の血液から検出される胎児のDNAと、父親の可能性のある男性のDNAから親子関係を調べる方法です。
鑑定には、基本的に検体(口の中を綿棒でぬぐって細胞を採取するのが一般的)を提出する男性の同意が必須とされています。
どちらが父親か判明するまで、ご主人に不倫の事実を伏せておくのがベストだと考えると、不倫相手の同意を得て、相手の検体とあなたの血液で検査するのが望ましいでしょう。
既婚で不倫して妊娠しました。不倫相手の同意があれば中絶できますか?
不倫相手の同意だけでは、原則として中絶手術は受けられないでしょう。
母体保護法上、人工妊娠中絶を行うにあたっては、原則として配偶者の同意を得ることが要件とされているからです(母体保護法14条)。
不倫で妊娠した場合は、以下の免除事由に該当しない限り、配偶者の同意を求められるでしょう。
- 配偶者の所在・行方が不明なとき
- 判断能力がないなどの事情で配偶者が意思を示せないとき
- 妊娠後に配偶者が死亡したとき
- 性暴力によって妊娠した場合
- DV等で婚姻関係が事実上破綻し、配偶者の同意を得るのが難しい場合
同意書の取り付けについてお悩みの方は、まずは医療機関に相談してみると良いでしょう。
夫に内緒で不倫相手との子を夫の子として育てることにリスクはありますか?
事実が明らかになったとき、離婚や慰謝料を請求されるおそれがあります。
不倫相手とあなたのご主人の血液型が異なる場合、出生後の子の血液型の検査でバレる可能性があります。
不倫相手とご主人が同じ血液型でも、成長につれて子どもの顔立ちなどからご主人が疑い、DNA鑑定の結果バレてしまうということもあり得ます。
不倫相手の子だと知らずに自分の子として育てたご主人の精神的苦痛は、大きいと評価されるでしょう。
実際に、不倫相手の子であるのに、夫の子として育てた女性とその不倫相手に対し、180万円の慰謝料の支払いを命じた裁判例もあります(東京地判平成24年12月25日)。なお、このケースでは、裁判外において不倫相手が2回にわたり各10万円(合計20万円)を支払っています。
不倫相手の子であることを秘して、ご主人の子として育てることは、ご主人だけでなく、お子様をも傷つけかねない行為であるため、おすすめできません。
夫以外の子を妊娠しました。離婚後なら実の父親の名前を書いて出生届を出せますか?
2024年4月1日以後に出産され、かつ、元夫以外の男性との再婚後に子が生まれた場合には、再婚後の夫の名前を書いて出生届を提出できます。
2024年4月1日に施行された改正民法では、離婚後300日以内に生まれた子であっても、その間に母が再婚をしたときは、再婚後の夫の子と推定すると定めているからです(民法772条3項)。
2024年3月31日以前に生まれた子については、離婚後、元夫以外の男性と再婚したかどうかに関わらず、離婚後300日以内に生まれた子は、元夫の子とみなされます。
この場合は、実の父親の名前を書いて出生届を出しても、受理されません。
元夫との父子関係を否認するには、次項で説明する嫡出否認の手続きを経て、元夫の子でないことを認める合意に従った審判ないし判決を得た上で、元夫を父としない出生の届出ができます。
離婚後産まれる不倫相手との子を夫の戸籍から抜くには、どんな手続きが必要ですか?
離婚後、2024年3月31日以前に子が生まれた場合や、2024年4月1日以後でも再婚前に子が生まれた場合には、嫡出否認の調停を申し立てる必要があるでしょう。
2024年4月1日以後に子が生まれた場合、嫡出否認の調停は、次の期間内に行う必要があります。
- 子・母が申し立てる場合:子の出生の時から3年
- 父(不倫相手)が申し立てる場合:父(不倫相手)が子の出生を知った時から3年
- 元夫が申し立てる場合:元夫が子の出生を知った時から3年
2024年3月31日までに生まれた子について、子・母が嫡出否認の申し立てをする場合は、2024年4月1日から1年以内に行う必要があります。
当事者間で、元夫の子どもではないという合意ができ、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で、その合意が正当であると認めれば、合意に従った審判がなされます。
既に子の出生届を提出している場合は、審判確定から1か月以内に審判書謄本と確定証明書を添えて、戸籍の訂正を申請すれば、父の欄から元夫の氏名が消除されます。
出生届を提出していない場合は、審判書謄本と確定証明書を添えて出生届を提出します。
調停不成立の場合や合意に相当する審判による解決ができなかった場合は、嫡出否認の訴えを提起できます。
調停が不成立となった場合、その通知を受けた日から2週間以内に訴えを提起すれば、調停申立て時に訴えの提起があったとみなされます。
まとめ
不倫で妊娠したあなたが、法的なアドバイスを必要としているなら、私たちはいつでもあなたのそばにいます。
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プライバシーと信頼を大切にし、あなたの状況に適したアドバイスを提供いたしますので、お気軽にご相談ください。