不貞行為時に既婚者であることを認識していたとはいえず、認識しえなかったことに過失もないため不法行為は成立しないと認めた事例

不二子が愛子に対して、不二夫との間で不貞行為をしたとして慰謝料の支払いを求めたのに対して、愛子が不二子に対し、不二子が愛子の自宅及び勤務先を訪問して一方的な内容の手紙を投函したり、多額の金銭を要求するメールを送信したり、必要性のない民事保全手続を申立てた利した行為が違法であり、これにより名誉、信用及び生活の平穏等を害されたと主張して慰謝料の支払いを求めた事案である。


愛子はヨーロッパを旅行中にスペインに留学中であった不二夫と知り合いほどなくして交際するようになり、留学中の不二夫が一時帰国したり、愛子が海外に出かけたりした際に会うなどして結婚には至らなかったが交際が続いていた。不二夫は不二子と婚姻し、不二子と同居生活を送るようになったが、並行して不二子に秘した上で愛子との交際も続けていた。愛子は40歳目前となって妊娠が難しくなることから子供が欲しいとの気持ちが強くなり、不二夫と相談して婚姻せずに子供を作ること、確実に妊娠できるよう人工授精の方法をとることを決め不二夫との間の子を妊娠した。人工授精及び性交渉があった当時、愛子は不二夫が既婚者であったことを認識していたとは認められず、また、認識しえなかったことに過失があったとも認められず、愛子は、不二夫が既婚者であると知った以降は自宅に宿泊させておらず、不二夫との間で性交渉を持ったとも認められないため不法行為責任を負うとは認められないとした。


不二子が愛子の自宅や勤務先を訪問して手紙等を交付した行為等については、不二夫から突如離婚の申し出をされ、他の女性と人工授精により子どもを作ったことを告げられ、不二子は別居するに至ったのであり、愛子らが不貞関係にありこれにより自己の円満な婚姻生活を侵害されたと考えたとしても無理からぬ面があり、相当性を欠くとは認めがたく、また、手紙の交付行為が社会的相当性を逸脱し、被告の名誉、信用や生活の平穏が害されたとは認めがたく、愛子が資産家であることから高額の慰謝料の支払いを求めるメールを送信したとしてもやむを得ず、保全の必要性がないにもかかわらず嫌がらせの目的で民事保全の申し立てをしたことについても実際に発令されるまでに至ってないのであるから不法行為は成立するとは認められないとした。

当事者の情報

不貞期間
請求額不二子が愛子に対して655万円
愛子が不二子に対して33万円
認容額0円
子供人数
婚姻関係破綻の有無

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