婚姻関係が破綻したとして、不倫の慰謝料350万円を求めたが、破綻は認められず、慰謝料150万円が認められた事例

本件は、カナダ人である不二夫の妻である不二子が、愛子に対し、愛子が不二夫との不貞行為に及んだため、不二子と不二夫との婚姻関係が破綻したとして、不倫の慰謝料350万円と弁護士費用35万円の支払を求めた事案です。


不二子と不二夫は、婚姻後カナダで暮らしていました。不二夫は、パフォーマーとして世界各地でショーに出演しており、愛子も、同じくパフォーマーです。愛子と不二夫は、メキシコでのショーで仕事を共にした頃から交際を開始し、性交渉を持つに至りました。不二子は、メキシコから自宅に戻った不二夫から愛子との交際を告げられ、自宅アパートを出、不二夫と別居しました。愛子と不二夫は、判決当時も関係を継続していました。


愛子は、不二夫と交際を開始した際は、不二夫が既婚者であることを知らなかったなどと主張していましたが、証拠によれば、愛子は、不二夫から自身が既婚者であり、アパートに一緒に住んでいることを打ち明けられたことが認められました。


愛子は、不二夫から、不二子との婚姻関係が既に破綻している、不二子とは別々の部屋で寝ており、未だに同一のアパートに住んでいるのは出張で新しいアパートを見つける時間が取れなかったためであるなどと説明されたと主張していましたが、不二子と不二夫が未だ婚姻関係にあり、かつ、アパートで一緒に住んでいることの認識がある以上、少なくとも愛子において、不二子と不二夫との婚姻関係を破綻させることについて過失が認められると判断されています。


また、婚姻関係の破綻の有無についても、不二子と不二夫は、当時一緒に旅行等に出かけることもあり、不二子においては、不二夫の親族へも気遣いをし、また、夫の仕事の心配もするなど、互いが相手方に対して深刻な葛藤を抱えている状態であるなどということを窺うことはできず、不二子と不二夫との婚姻関係が破綻していたことを認めることはできないとされています。


この点、愛子は、不二子と不二夫は、数年前から不和となっており、引っ越しと離婚ついて協議しており、不二子と不二夫との婚姻関係は破綻していた旨主張し、不二子が不二夫に対して送った電子メールを証拠として提出しましたが、夫婦間において口論等があったからといって、直ちに夫婦関係の破綻を推認させるものでないことは当然であるが、上記メールは、およそ夫婦関係の破綻を窺わせるものではないと判断されています。


これらの事情から、不倫の慰謝料としては150万円が相当との判決が出ました。

当事者の情報

不貞期間約1年
請求額385万円
認容額170万円(うち慰謝料150万円)
子供人数不明
婚姻関係破綻の有無婚姻関係が破綻していたことを認めることはできない

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