婚姻関係は破綻には至っていなかったが、不貞行為によって相当に悪い状態であったことを考慮して慰謝料150万円が認められた事例

不二子が愛子に対し、愛子が不二夫と不貞行為に及んだとして、慰謝料1100万円の支払いを求めた事案である。
愛子と不二夫は共通の友人を介して知り合い、不二夫らが別居開始後より交際を開始して肉体関係を持つようになったと主張したが、不二子が不二夫の両親が所有する別荘にあった不二夫所有のパソコンを使用して取得したLINEデータによると別居以前から少なくとも友人を超えた関係にあったことが認められ不貞行為に当たると評価された。

なお、LINEデータの収集方法について、愛子は、不二子の収集方法は建造物侵入罪や不正アクセス禁止法違反に該当する旨主張したが、いずれも著しく反社会的であるとの評価ができるものではなく、LINEデータの証拠能力が認められた。


別居時における婚姻期間は約6年4カ月であること、子が3人いること、婚姻関係は破綻にこそ至っていなかったが、相当に悪い状態にはあったこと、訴訟時点で、不二夫から婚費の支払いを受けていることを考慮し、慰謝料額は150万円、弁護士費用15万円が相当とされた。なお、不二子は慰謝料増額事由として、不法行為による経済的困窮を主張したが、不二夫が不二子と子らが生活する家賃の支払いをしてきたこと、不二子にも少なくとも年100万円の収入はあること、不二子が別居後も美容サロンや習い事に行っていること、不二子自身に貯蓄があること、学費は不二夫が負担していること、不二夫との間に婚費の未払い分や解決金の支払いがあったことを理由に認められなかった。

当事者の情報

不貞期間約3年半
請求額1100万円
認容額165万円
子供人数3人(不二子の連れ子15歳と14歳、不二夫との子9歳)
婚姻関係破綻の有無不二子と不二夫の親も参加する別居協議を経て別居を開始しており、夫婦関係は相当悪い状態にあったと認められる一方で、家族旅行等しており、愛子と不貞関係が開始された時点において婚姻関係が破綻に至っていたとまで認定できない

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