旦那の浮気が発覚し、離婚する場合には慰謝料を請求することができます。今回は旦那の浮気が原因で離婚した場合の慰謝料の相場や、慰謝料請求をする前に準備しておくこと、また離婚する際の流れについて解説します。
目次
浮気（不貞行為）は裁判で認められる離婚原因
浮気（不貞行為）は、民法第770条で定められた裁判で認められる離婚原因のひとつです。
（裁判上の離婚）第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。２ 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。引用元：民法 | e-Gov法令検索
ただし、厳密に言うと「浮気」と「不貞行為」は定義が異なり、離婚原因として認められる「不貞行為」は浮気相手と肉体関係があるかどうかがポイントとなります。肉体関係のないただの男女関係の場合は、離婚や慰謝料の請求が認められない可能性があるので注意が必要です。また、慰謝料請求の際には、旦那が浮気相手と肉体関係があったことを証明する証拠が必要となります。
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旦那の浮気で離婚する場合の慰謝料相場
不貞行為により慰謝料を請求する際、離婚をする場合としない場合で慰謝料の相場は異なります。離婚する場合の慰謝料相場は100～300万円程度と言われています。相場の金額にかなり大きな幅がありますが、浮気の程度、浮気がどのくらい夫婦関係に影響を与えたのかなど、さまざまな要因により慰謝料が変動します。また、当然この金額は相場ですので、相場以上・以下の金額になることもあります。
離婚しない場合の慰謝料相場
では、離婚しない場合の慰謝料の相場はどのくらいなのでしょうか。一般的には50万円から200万円程度と言われています。離婚する場合に比べると、慰謝料の金額はやや下がると考えて良いでしょう。やはり、離婚せざるを得ないほど夫婦関係が破綻してしまった場合と、離婚をするほどではない場合では、離婚する場合の方が受ける精神的苦痛は大きいため、慰謝料の金額は高くなります。
浮気相手だけに慰謝料請求も可能
旦那の浮気が発覚しても離婚しないというようなケースでは、浮気相手だけに請求したいと考える方もいるでしょう。不貞行為は旦那と浮気相手双方に責任があるため、原則二人に慰謝料の支払い義務が生じますが、浮気相手だけに慰謝料を請求することも可能です。
旦那の浮気で離婚慰謝料を請求する前に準備すること
浮気した旦那に離婚や慰謝料の請求をする前に準備しておいた方が良いものがあります。
- 証拠を確保する
- 弁護士に依頼する
それぞれ解説いたします。
証拠を確保する
まずは、旦那の浮気の証拠を確保することが大切です。浮気した証拠がなければ、離婚や慰謝料の請求が認められない可能性があります。浮気の証拠として有効なのは、ラブホテルに出入りする写真・浮気を自白した音声・肉体関係があったことを伺わせるLINEのやり取り、などが有効な証拠となります。
しかし、浮気した証拠を集めることは簡単なことではありません。ご自身で証拠を確保するのが難しい場合は、弁護士や探偵などの専門家に一度相談することをおすすめします。
・浮気・不倫の慰謝料請求で有効な証拠｜LINEやメールだけでも請求できる？
弁護士に依頼する
旦那の浮気で離婚する場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼することで、慰謝料の請求はもちろん、有利な条件で離婚を進められる可能性があります。離婚時には財産分与や養育費など、決めるべきことがたくさんあります。
ご自身だけで対応していくのは精神的にも大きな負担が掛かり、早く離婚を済ませたいという気持ちから本来受け取れるべきお金を請求しないというケースは多くあります。弁護士に依頼すると、相手との交渉を代行してくれますので、精神的な負担も減りスムーズに離婚が進みます。
出来るだけ早く離婚したい、有利な条件で離婚したい、慰謝料をどれだけ請求できるのか分からない、というような方は弁護士に依頼することをおすすめします。
旦那の浮気で離婚慰謝料を請求できないケース
旦那が浮気をしても離婚の慰謝料が請求できないケースをご紹介します。
- 不貞行為がなかった（証拠がない）
- 夫婦関係がすでに破綻していた
- 時効を迎えている
これらの場合は慰謝料が請求できない可能性がありますので注意が必要です。
不貞行為がなかった（証拠がない）
まず、旦那の浮気が不貞行為にあたらない（肉体関係がない）場合は、慰謝料の請求は原則できません。また、証拠がない場合も同様です。したがって、肉体関係があったことを証明できる証拠をできる限り集めておくことが大切です。
夫婦関係がすでに破綻していた
続いて、夫婦関係が既に破綻していた場合です。不貞行為をする以前から夫婦関係が破綻していた場合、必ずしも不貞行為が原因で離婚に至ったとは言い難いです。浮気の慰謝料は「夫婦の権利」を侵害することで発生する慰謝料です。
したがって、夫婦関係がすでに破綻していたのであれば、夫婦の守るべき権利はなかったと考えられますので、慰謝料の請求は認められません。長期間別居している、すでに離婚の話し合いが進んでいた、などのケースでは、夫婦関係がすでに破綻していたとみなされる可能性があります。
時効を迎えている
慰謝料請求には時効があり、時効を迎えている場合は慰謝料を請求できません。浮気で旦那と離婚する場合には、「浮気の慰謝料」と「離婚の慰謝料」のふたつを請求できます。それぞれの時効は以下のとおりです。
| 慰謝料の種類 | 時効 |
|---|---|
| 浮気の慰謝料 | ・浮気の事実と浮気相手を把握してから3年 ・20年以上前の浮気 |
| 離婚の慰謝料 | ・離婚してから3年 |
上記の時効を迎えている場合は、慰謝料請求ができないので注意が必要です。また、浮気の慰謝料に関しては、配偶者に対して請求する場合は「離婚後6ヵ月」が経つまでは時効が完成しません。したがって、仮に旦那の浮気を知ってから3年以上が経過していても、浮気相手に対して慰謝料は請求できませんが、旦那に対しては慰謝料請求することが可能です。
ただし、時間が経過するほど証拠を確保することは難しいと考えられますので、旦那の浮気が発覚したらできるだけ早く行動することが大切です。
浮気した旦那と離婚する際の流れ
では、浮気した旦那と離婚する際にはどのような流れになるのでしょうか。一般的には以下の流れで進められます。
- 離婚したい旨を旦那に伝える
- 離婚の合意・離婚条件を決める
- 離婚届の提出
離婚したい旨を旦那に伝える
まずは、離婚したい旨を旦那に伝えます。上述しましたが、浮気（不貞行為）は裁判でも認められる離婚原因のひとつです。したがって、仮に旦那が離婚を拒否しても、最終的には裁判で離婚が認められます。
旦那の浮気が原因で離婚する旨を伝える際は、感情的になってしまうこともあると思いますが、できるだけ冷静に伝えることが大切です。お互いが感情的になってしまうと、離婚の話し合いが中々進まず長期化してしまうことも考えられます。また「浮気した旦那と話したくない。」というような場合は、弁護士に依頼して代理で交渉を進めてもらいましょう。
離婚の合意・離婚条件を決める
離婚について合意できれば、離婚条件を決めていくことになります。離婚時には、慰謝料のほかに夫婦のお金を分け合う財産分与、子どもの親権や養育費など決めるべきことがたくさんあります。どのような条件で離婚するか夫婦で話し合い、合意した内容については離婚協議書などの書面に残しておきましょう。
また、離婚協議書を公正証書にすることで、離婚後に養育費などが払われなかった場合、強制執行によって旦那の財産を差し押さえることが可能になります。不安な方は公正証書にしておくほうが良いでしょう。
離婚の話し合いが進まない場合は、協議離婚から調停離婚に発展し、調停でも離婚が成立しなければ裁判に進みます。離婚条件等で旦那と揉めてしまった場合には、専門家である弁護士に間に入ってもらうことで、円滑に話し合いを進めることができます。
離婚届の提出
最後に離婚届を提出すれば離婚が成立します。双方が署名押印をした離婚届を、市区町村の役所、役場に提出すれば形式的に離婚が認められることとなります。
まとめ
今回は旦那の浮気が原因で離婚する際、慰謝料の相場がどの程度になるのかをご紹介しました。一般的には、離婚する場合でもしない場合でも50万円から200、300万円ほどの慰謝料を請求することができます。
また、浮気をした旦那だけではなく、浮気相手にも慰謝料を請求できる点も知っておくと良いでしょう。本文中でも触れましたが、1人で慰謝料の請求や離婚の手続きをするのは大きな負担が掛かりますので、可能ならば弁護士に依頼することをおすすめします。
