不貞行為が会社に損害を与えたとして、慰謝料の支払いを求めたが、認められなかった事例

被告会社に勤務する愛之助が不二夫の妻である不二子と不貞関係にあり、愛之助が被告会社の事業の執行について不二夫に損害を与えたと主張して、不二夫が、愛之助の勤務する会社に対し、慰謝料3000万円の支払を求めたという事案です。


不二夫と不二子は、約3年間内縁関係にあり、その後婚姻、婚姻期間は約1年です。愛之助は、被告会社の技術・知的財産統括本部長であり、かつ、被告の子会社の代表者です。不二子は、被告の研究所において事務員として勤務していましたが、本社に転勤となり、愛之助の部下として勤務していました。


争点は、愛之助が被告会社の事業の執行又はこれに準ずるものとして不二子と不貞関係をもったか否か、またその損害額についてです。


愛之助と不二子の間で「愛している」などと記載した電子メールが頻回にやり取りされ、愛之助と不二子は、本件婚姻前から性的関係を伴う親密な交際をしていたと認められ、両者の間で交わされた電子メールの内容に照らせば、愛之助と不二子は、両者の自由な意思に基づき性的接触を伴う交際を開始しこれを継続したと考えるのが自然であると判断されています。


愛之助が被告会社の本部長、子会社の代表取締役という肩書き・地位、権威等を利用し、不二子をして愛之助の依頼を拒みがたい状況にあったことに乗じて不貞関係を強要したとの不二夫の主張は、提出された証拠の信用性が低く、採用されませんでした。


愛之助と不二子の前記性的関係を伴う交際は、不二夫と不二子が内縁関係に入った後又は本件婚姻後にも継続して行われたなどの不二夫の主張についても、具体的に不貞行為の内容を特定して主張していない上にこれを裏付ける的確な証拠はなく、仮に、不二夫主張のような事情があったとしても、愛之助と不二子は、前記のとおり両者の自由な意思に基づき交際を継続していたに過ぎないことに鑑みれば、愛之助の被告の技術・知的財産統括本部長等としての職務執行の一部あるいはその延長として前記交際がされたと評価することはできないし、これらと密接に関係があるものとして前記交際がされたということもできないとして、不二夫の主張は採用されませんでした。
不二夫の請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないとして棄却されました。

当事者の情報

不貞期間本件婚姻前の交際と認められ
請求額3000万円
認容額0円
子供人数不明
婚姻関係破綻の有無不明

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