更新日:2025年8月4日 (月)

公開日:2020年10月19日 (月)

釈放を得るには?手続きや流れ・保釈との違い・事例を弁護士が解説

釈放を得るには?手続きや流れ・保釈との違い・事例を弁護士が解説 釈放を得るには?手続きや流れ・保釈との違い・事例を弁護士が解説

サマリー

ご家族や身近な方が逮捕・勾留されてしまった際、一刻も早く身柄を解放して日常生活に戻してあげたいと強く願うのは当然のことです。身柄拘束が長引くと、仕事や学業への影響など様々な不利益が生じるおそれがあります。刑事事件において身柄拘束から解放されるタイミングは主に3つあり、それぞれの段階に応じた適切な対応や法的手続きをとることが重要です。この記事では、釈放の基礎知識や保釈との違い、釈放に向けた具体的な流れや事例について詳しく解説します。

釈放とは?保釈・仮釈放・出所との違いや基礎知識

釈放とは、警察や検察、裁判所による身柄拘束から解放されることを指します。刑事手続きの中で用いられる用語には「保釈」「仮釈放」「出所」など似た言葉がありますが、それぞれ法的な位置づけや解放される段階が異なります。

用語 対象となる時期・状態 主な特徴
釈放 逮捕後・勾留中・起訴後など全般 身柄拘束から解放されること全般を指す広義の用語
保釈 起訴後から判決確定まで 保釈金を納付し、一定の条件のもとで一時的に身柄が解放される制度
仮釈放 刑務所での服役中(刑期満了前) 改悛の状がある受刑者を刑期満了前に条件付きで釈放する制度
出所 刑期満了時など 刑期を終えて刑務所から退出すること

身柄拘束が生活に与える影響と早期解放の重要性

逮捕や勾留によって身柄拘束が続くと、当然ながら会社への出勤や学校への通学はできなくなります。拘束が長期化すれば、無断欠勤や欠席が続くことになり、解雇や退学処分といった重大な不利益につながる懸念が生じます。

身柄拘束の期間は、起訴前の段階で逮捕から最大23日間に及ぶことがあります。さらに起訴された場合には、原則として2ヶ月間拘束され、その後も1ヶ月ごとに更新される可能性があります。

社会生活への悪影響をできる限り抑えるためには、手続きの各段階において早期の身柄解放を目指すことが大切です。

釈放にかかる費用と期間の目安

起訴前の段階で釈放される場合には、保釈金のような金銭を裁判所に納める必要はありません。一方、起訴後に保釈によって釈放される場合は、裁判所が指定する保釈金(事案により異なりますが100万円以上になることが一般的です)の納付が必要です。保釈金は、保釈条件に違反することなく裁判手続きを終えれば全額還付されます。

身柄解放までにかかる期間は、状況によって異なります。送致がなされない場合は逮捕後48時間以内、検察官が勾留請求をしなかった場合や裁判官が勾留請求を却下した場合は逮捕後72時間以内が一つの目安です。勾留決定後の準抗告や起訴後の保釈請求については、申立てから判断まで数日から1週間程度を要することがあります。

釈放された後の流れ

釈放された後の手続きや生活は、どのような理由で釈放されたかによって大きく3つに分かれます。

  • 在宅捜査への切り替えによる釈放:日常生活を送りながら捜査が継続されるため、警察や検察からの呼出しに応じて出頭する必要があります。
  • 不起訴処分による釈放:事件が正式に終了した状態となるため、刑事責任を問われることなく元の生活に戻ることができます。
  • 起訴後の保釈:刑事裁判を控えている状態のため、住居の制限や事件関係者との接触禁止など、裁判所が定めた条件を遵守して過ごす必要があります。

釈放を得る3つのタイミングと刑事手続きの流れ

刑事事件で身柄を拘束された場合、身柄解放が検討されるタイミングは刑事手続きの進行に応じて大きく3つに分かれます。それぞれの段階において、法的な要件や必要な手続きが異なります。

釈放を得る3つのタイミングと刑事手続きの流れのイメージ

タイミング1:逮捕後勾留前の釈放(逮捕から72時間以内)

警察に逮捕されると、48時間以内に事件が検察官へ送致されるかどうかが判断されます。送致された場合、検察官は24時間以内に裁判官へ勾留請求を行うか、身柄を釈放するかを決定します。

逮捕から勾留請求までの時間は最大で72時間です。この間に検察官が勾留請求を行わない場合や、裁判官が勾留請求を却下した場合には身柄が釈放されます。

勾留が決定する前の72時間以内に適切な意見書を提出するなどの活動を行うことが、早期釈放に向けた重要なポイントとなります。

タイミング2:勾留後起訴前の釈放(勾留決定から処分決定まで)

裁判官によって勾留が認められると、原則として10日間、延長された場合は最大20日間にわたり身柄拘束が続きます。この段階での釈放を目指す手続きとしては、裁判所の勾留決定に対する準抗告の申立てや勾留取消請求などが挙げられます。

また、被害者がいる事件では示談交渉を進めることも重要です。勾留期間満了までに示談が成立して不起訴処分となれば、その時点で身柄は解放され、前科もつきません。

タイミング3:起訴後の釈放(保釈請求)

検察官により正式起訴(公判請求)された後は、保釈請求による身柄解放を目指すことになります。保釈は起訴された被告人の権利として定められており、起訴前の被疑者段階では請求できません。

裁判所に保釈請求書や身元引受書などを提出し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されれば保釈が許可されます。保釈が認められた場合、指定された保釈金を納付することで身柄が解放されます。保釈金は、保釈中の遵守事項を守って裁判に出頭すれば、裁判終了後に全額還付されます。

釈放・保釈を得るために行われる主な手続きと活動

刑事手続きにおいて早期の身柄解放を目指す場合、法律上の要件を満たしていることを客観的に示すため、様々な活動や申立てが行われます。

捜査機関や裁判所への意見書提出と不服申立て

身柄拘束の必要性がないことを法的に主張するため、検察官や裁判官に対して意見書を提出する活動が行われます。定まった住居があることや、証拠隠滅および逃亡のおそれがないことを具体的に主張します。

もし勾留決定が下されてしまった場合や、起訴後の保釈請求が却下された場合には、裁判所に対して「準抗告」などの不服申立てを行う手続きがあります。

準抗告では、当初の判断において身柄拘束の理由や必要性に誤りがあったことを指摘し、裁判官の合議体にあらためて判断の見直しを求めます。

被害者がいる事件における示談交渉

被害者が存在する事件においては、被害者との示談交渉が身柄解放の判断に影響を与える要素の一つとなります。真摯な謝罪と被害弁償を行い、示談が成立することで、被害者の処罰感情が緩和されたと評価される場合があります。

示談の成立は本人が反省し罪を認めていることの現れとも解釈され、証拠隠滅や逃亡を図る可能性が低いと判断される材料になり得ます。

身元引受書の準備と生活環境の整備

釈放や保釈を求めるにあたっては、身元引受人の存在が重視されます。ご家族などが身元引受書や上申書を用意し、釈放後に本人の生活を適切に監督し、出頭を確保する姿勢を裁判所に示します。

また、再犯を防止するための具体的な環境整備も重要です。反復性が疑われる犯罪や依存症などが関係する事案では、釈放前から医療機関での治療計画を立てるなど、生活環境を調整することが求められます。

釈放後の監督体制や再犯防止に向けた環境が具体的に整っていることは、裁判所が身柄解放を検討する上で重要な考慮要素となります。

釈放・保釈が認められた事例

刑事事件において身柄拘束からの解放を目指す際、事案の内容や手続きの段階に応じて適切な弁護活動や環境調整を行うことが重要です。ここでは、実際に釈放や保釈が認められた具体的な事例をご紹介します。

勾留請求の却下により早期釈放となった事例(風俗営業適正化法違反事件)

私服警察官への客引き行為により現行犯逮捕された事案です。逮捕直後に被疑者と接見して事実関係を聴取し、ご両親による身元引受書や本人の誓約書などの証拠資料を迅速に整えました。

検察官への意見書提出後、検察官から勾留請求が行われたため、直ちに裁判所へ意見書を提出するとともに裁判官面接を申し入れました。定職があり家族の監督下にあること、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを具体的に主張した結果、裁判官により勾留請求が却下され、逮捕から3日目の夕方に釈放されました。

勾留決定に対する準抗告が認められ釈放された事例(痴漢事件)

電車内での痴漢行為の疑いにより逮捕され、その後裁判官により勾留が決定された事案です。長期の身柄拘束による生活への影響を防ぐため、速やかに裁判所に対する不服申立て(準抗告)の手続きが進められました。

配偶者による身元引受書の提出や生活環境の監督体制を提示し、逃亡および罪証隠滅のおそれがないことを主張した結果、勾留決定に対する準抗告が認容され、勾留から早期に釈放されました。

釈放後は被害者との示談交渉を行うとともに、医療機関への通院や更生プログラムの受講など再犯防止に向けた環境を整え、最終的に不起訴処分となりました。

保釈請求却下後の準抗告により保釈が認められた事例(恐喝事件)

恐喝被告事件として起訴された後、裁判所に保釈請求を行ったものの、共犯者がすでに保釈されていたことから口裏合わせによる罪証隠滅のおそれがあると判断され、当初の保釈請求が却下された事案です。

この判断に対し、被告人の配偶者だけでなく勤務先の代表者とも連絡を取り、業務中および私生活における厳格な監督体制を整え、具体的な監督計画を記載した書面を添付して準抗告を申し立てました。

一度保釈請求が却下された場合でも、監督体制や身元引受の環境を具体的に補強して準抗告を行うことで判断が見直されることがあります。

準抗告審において罪証隠滅のおそれが十分に防止できると判断され、原決定が取り消されて無事に保釈が認められました。

早期の身柄解放に向けた弁護士への相談

刑事事件において早期の身柄解放を目指す場合、逮捕直後から迅速に弁護活動を開始することが重要となります。

逮捕直後における接見と権利擁護の役割

逮捕直後の勾留が決定するまでの期間は、ご家族であっても原則として面会が認められないケースが多く、ご本人は外部との連絡が絶たれた孤独な状況に置かれます。その間も捜査機関による取り調べは行われるため、精神的な負担から不利な供述をしてしまうリスクが生じます。

弁護士は、勾留前の段階であっても立会人なしで自由に接見(面会)を行うことが可能です。接見を通じて取り調べに対する適切なアドバイスを行い、黙秘権の行使や供述調書への署名押印に関する注意点を伝えることで、ご本人の権利を守る活動を行います。

また、接見を通じてご本人の言い分や事件の全体像を正確に把握するとともに、ご家族との連絡の橋渡しを行うことで、ご本人やご家族の不安を軽減するサポートも担います。

事案に応じた弁護方針の検討と的確な対応

身柄解放に向けた活動は、被疑者が罪を認めている事件(自白事件)なのか、無罪や関与を否定している事件(否認事件)なのかによってアプローチが異なります。

自白事件であれば、被害者との示談交渉やご家族による監督体制の構築を早急に進めることが有効です。一方、否認事件では、安易な自白を強要されないよう権利擁護に注力しつつ、証拠隠滅や逃亡のおそれがない旨を法的に主張していく必要があります。

事案ごとの事情を的確に把握し、検察官や裁判官に対して適切なタイミングで意見書や申立書を提出することが、早期の身柄解放につながる重要な要素となります。

ご家族が逮捕されてしまった際は、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、今後の見通しや具体的な弁護方針について助言を受けることを検討するとよいでしょう。

コラム監修者

HIROYUKI FUJIIE

HIROYUKI FUJIIE

所属:北九州オフィス 支店長

福岡県福岡市出身。東福岡高校、西南学院大学法学部、中央大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。人生の紆余曲折を経て、弁護士として法曹界に入り、一般民事全般・刑事分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の北九州オフィス所長として、依頼者に寄り添い、本当の意味での経済的・精神的満足という結果をご提供することを常に心がけている。

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