更新日:2026年9月14日 (月)
公開日:2024年4月8日 (月)
法人破産・会社倒産手続きの流れとは?申立て前後の進め方を解説
サマリー
会社の経営が悪化し、事業の継続が困難となった場合、選択肢の一つとして法人破産の手続きを検討することがあります。
しかし、実際にどのような順序で手続きが進み、終結までにどの程度の期間を要するのか、把握しきれず不安を抱く経営者の方も少なくないでしょう。
法人破産は裁判所を介して進める法的な手続きであり、申立ての前後にわたって適切な対応を行う必要があります。
この記事では、法人破産・会社倒産手続きの全体像や事前準備から終結までの具体的な流れ、期間の目安について解説します。
法人破産・会社倒産手続きの全体像と期間の目安

法人破産手続きの全体像
法人破産は、会社が債務超過や支払不能に陥った際に、裁判所を通じて保有資産を清算し、法人格を消滅させる法的な手続きです。
手続きの流れは大きく分けると、裁判所へ申し立てを行う前の「事前準備段階」と、申立てが受理された後の「裁判所での破産管財手続き段階」の2つで構成されます。
事前準備の段階では、債権者や従業員への対応方針を定めるとともに、会社の財産や負債の全容を調査し、裁判所に提出する多数の申立書類を収集・作成します。
裁判所への申立て後は、裁判所から選任された破産管財人が会社の財産を調査・換価処分し、集まった金銭を各債権者へ公平に配当して手続きの終結に至ります。
申立てから終結までにかかる期間の目安
法人破産を申し立ててから手続きがすべて完了(終結)するまでにかかる期間は、通常6か月〜1年程度が一般的な目安となります。
ただし、この期間はあくまで一般的な目安であり、会社の規模や保有している資産の内容、債権者の人数などによって大きく前後します。
例えば、会社の資産が預貯金中心で売却に時間を要する不動産などがなく、債権者数も限定的な場合は、半年程度で終結することもあります。
一方で、不動産や設備の売却、売掛金の回収に時間がかかる場合や、複雑な契約関係・訴訟案件が残っている事案では、終結までに1年以上を要することもあります。
| 手続きの段階 | 主な内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 申立て前の準備 | 受任通知発送、財産・負債の調査、申立書類の作成 | 事案に応じた準備期間 |
| 申立て〜開始決定 | 裁判所への申立て、書類審査、破産管財人の選任 | 即日〜数週間程度 |
| 管財手続き〜終結 | 財産調査・換価、債権者集会、債権者への配当 | 約6か月〜1年程度(複雑な場合はそれ以上) |
裁判所への申立てまでに行う事前準備の流れ
法人破産の手続きを円滑に進めるためには、裁判所への申立てを行う前に十分な事前準備を整える必要があります。
申立てまでの主な手順について確認していきましょう。
弁護士への相談と受任通知の発送
法人破産の手続きは法的な判断や各種対応が多岐にわたるため、まずは弁護士に相談して申立ての進め方を検討することが一般的です。
正式に依頼を受けた弁護士は、各債権者に対して受任通知を発送します。
受任通知が届くことで債権者からの連絡窓口が弁護士に一本化され、会社や代表者個人に対する直接の督促や問い合わせが停止します。
債権者からの直接連絡が止まることで、経営者は精神的な負担を軽減しながら申立準備に専念しやすくなります。
従業員への説明と解雇等の対応
会社に従業員がいる場合は、事業停止や破産申立てに伴い、解雇の手続きを進めるのが一般的です。
突然の破産は従業員の生活に大きな影響を与えるため、可能な限り丁寧な説明を行い、未払い賃金の確認や離職票の発行といった諸手続きについて適切に対応することが求められます。
会社の債務・債権・財産の調査
裁判所に正確な状況を申告するため、会社の財務状態や資産関係について詳細な調査を進めます。
決算書や帳簿類をもとに買掛金や借入金などの債務全体を把握するとともに、未回収の売掛金や会社所有の不動産、自動車、什器備品などの資産状況を洗い出します。
事業所の賃貸借契約や機械のリース契約など、締結している契約関係の確認と整理も行われます。
破産申立書および必要書類の準備・収集
負債や資産の全体像が整理できた段階で、裁判所に提出する破産申立書と添付資料の作成・収集に入ります。
申立書には過去数期分の決算書、直近の試算表、預金通帳の写し、賃貸借契約書、財産目録など、多岐にわたる書類を添付する必要があります。
申立書の作成自体は弁護士が進めますが、書類の収集や事情の聞き取りなどにおいて代表者の協力が不可欠です。
裁判所への申立後から手続き終結までの流れ
準備した申立書および必要書類を管轄の裁判所へ提出することで、正式に法人破産の申立てが行われます。
裁判所による書類の審査などを経て、支払不能や債務超過などの要件を満たしていると判断されると、破産手続開始決定が出されます。
開始決定と同時に、裁判所から破産管財人となる弁護士が選任されます。
開始決定後は、会社の財産の管理処分権が破産管財人に移るため、会社側で勝手に財産を処分することはできなくなります。
破産管財人による財産調査・換価処分と債権者集会
選任された破産管財人は、会社の財産状況の調査や売掛金の回収、不動産や設備などの換価処分(売却による現金化)を進めます。
会社の代表者は、破産管財人からの質問や調査に対して適切に説明し、協力する義務を負います。
手続きの進行に応じて、裁判所内で債権者集会が開催されます。集会では破産管財人から会社の資産状況や換価の進捗状況などが報告されます。
債権者集会には破産管財人や裁判官、申立代理人のほか、破産会社の代表者も出席する必要があります。
配当の実施・手続終結と代表者の免責手続
財産の換価処分が完了し、配当に充てる原資が確保できた場合は、各債権者への配当が行われます。
配当が完了すると、裁判所によって破産手続終結の決定が下され、法人格は消滅して一連の法人破産手続きは終了します。
会社の連帯保証人となっている代表者個人も同時に自己破産を申し立てている場合には、法人の手続き終結前後に個人の免責審尋などの手続が進められます。
裁判所から免責許可決定が確定することで、個人の債務についても原則として支払い義務が免除されます。
ただし、税金や社会保険料、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権などの非免責債権は、免責許可決定が出ても免除の対象外となりますので注意が必要です。
法人破産・会社倒産手続きにおける弁護士への相談

法人破産の手続きは、すべての会社において全く同一の流れで進むわけではありません。
抱えている債務の総額や債権者の人数、会社の保有資産の内容によって、必要となる調査や対応の規模は大きく異なります。
また、従業員の有無や雇用形態、事業所が賃貸か自社所有か、設備などのリース契約が残っているかといった契約関係の違いによっても、申立て前に整理すべき事項は多岐にわたります。
複雑な手続きと関係者対応を円滑に進める意義
法人破産の申立てにあたっては、決算書や通帳履歴をはじめとする膨大な資料の精査や、厳格な形式に則った申立書の作成が求められます。
これらを経営者自身のみで漏れなく進めることには相応の困難が伴います。
さらに、取引先や金融機関といった多数の債権者からの問い合わせに対応しながら、同時に従業員への説明や契約の解約手続きを進めることは、経営者にとって精神的にも大きな負担となりやすい点です。
弁護士に依頼した場合は、受任通知の送付によって債権者対応の窓口を一本化できるほか、裁判所や破産管財人に対する書類提出や調査への協力を適切に進めることが可能になります。
会社の状況に応じた適切な対応方針を立て、手続きを円滑に進めるためには、弁護士への相談を検討することが有用です。
破産手続きの開始から終結までは一定の期間を要するため、経営悪化に直面した際には、自社の資産や負債の全体像を把握したうえで、早期の段階から弁護士に助言を求めることが重要といえます。
コラム監修者
RUI SATO
所属:代表(東京オフィス)
明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。