更新日:2024年1月20日 (土)

公開日:2024年1月20日 (土)

法定相続情報一覧図が使えないことがある!ケース別に紹介

法定相続情報一覧図が使えないことがある!ケース別に紹介 法定相続情報一覧図が使えないことがある!ケース別に紹介

サマリー

法定相続情報証明制度がスタートして5年以上経ちましたが、本制度の詳細が広く知られているとは言い難いのではないでしょうか。

この記事では、相続手続きにおいて、法定相続情報一覧図が使えないことがある点について、ケース別にご紹介ます。

法定相続情報証明制度とは?

法定相続情報証明制度とは、相続人を特定する戸籍謄本等と相続関係を示した図を法務局に提出し、登記官の認証文付きで法定相続情報一覧図が交付される制度です。法定相続情報一覧図を利用すれば、法定相続人が誰なのか分かるので、各種相続手続きにおいて戸籍謄本等の提出が不要となります。

法定相続情報一覧図の写しの交付例は、以下のとおりです。

出典: 「法定相続情報証明制度」について:法務局 (moj.go.jp)

なお、法定相続情報制度の詳細については、関連記事をご参照ください。

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法定相続情報一覧図が使えないケースは?

法定相続情報一覧図は、A4サイズの用紙1枚で法定相続人が分かるため、各種相続手続きの負担が軽減できます。ただし、法定相続情報一覧図が使えないケース等がありますので紹介します。

被相続人や相続人の一部が日本国籍ではない場合

被相続人や相続人の一部が日本国籍を有していない場合、法定相続情報一覧図が使えません。

法定相続情報一覧図を作成するには、被相続人の出生から死亡までつながりのある戸籍謄本等と、相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本が必要です。

戸籍は、人の出生から死亡までの親族関係を登録公証するもので日本国民のみについて編製されます。つまり外国籍の人について日本の戸籍は作られず、出生時は日本国籍を有していた人が、後に外国籍を取得した場合は該当の戸籍から除籍されます。

被相続人が外国籍を取得した、あるいは出生時に外国籍であった場合、出生から死亡までのつながりが分かる日本の戸籍謄本等を取得できません。外国籍を持つ人が相続人となる場合、手続きに必要となる現在の戸籍謄本が日本にはありません。

そのため法定相続情報一覧図の作成ができないのです。

相続人の一部が相続放棄をした場合

相続人の一部が相続放棄をしている場合、法定相続情報一覧図だけでは相続手続きを進められません。

なぜなら相続放棄をしたことは戸籍謄本に記載されるわけではないからです。法定相続情報一覧図は、戸籍謄本等をもとに作成します。実際は相続放棄をしているので相続人に該当しないのにも関わらず、法定相続情報一覧図に名前が載ってしまう事態となります。

つまり法定相続情報一覧図のみで正確な相続手続きができないため、相続登記や被相続人名義の預金の払い戻し、相続税申告などの相続手続きには、追加の書類として相続放棄申述受理証明書の提出が必要です。

相続人の一部が相続欠格に該当する場合

相続人の一部が相続欠格者に該当する場合、その相続欠格者を除いた相続人のみで各種相続手続きを行うときには、法定相続情報一覧図だけでは手続きを進められません。

相続欠格者とは、下記に該当する人です。

  • 故意に被相続人または同順位以上の相続人を死亡させてしまった、または死亡させようとした場合
  • 被相続人が殺害されたのを知ったにもかかわらず、告発や告訴をしなかった場合
  • 詐欺・脅迫で被相続人の遺言を取消し・変更を妨げた場合
  • 詐欺・脅迫で被相続人の遺言を取消し・変更・妨害させた場合
  • 被相続人の遺言書を偽造・破棄・隠ぺいした場合

相続欠格者になった場合、戸籍謄本等にその旨は記載されません。つまり相続放棄と同様に、戸籍謄本等をもとに作成される法定相続情報一覧図に相続人の一人として名前が掲載されます。

よって、法定相続情報一覧図のみで正確に相続手続きができません。

相続欠格者を除いた他の相続人のみで遺産分割協議を行って各種相続手続きを行う場合には、追加で相続欠格者の印鑑証明書を添付した相続欠格証明書確定判決の判決書謄本(及び確定証明書)が必要となります。

法定相続情報一覧図の保管等の再申出が必要になるケースは?

法定相続情報一覧図の写しが交付された後に、子の認知や胎児の出生、相続人の廃除があった場合など、被相続人の死亡時点に遡って相続人の範囲に変更が生じたときは、当初の申出人は法定相続情報一覧図の再申出ができます。

具体的には、次の3つのケースです。

  • 相続人の一部が相続廃除された場合
  • 被相続人が遺言で子どもを認知した場合など
  • 相続発生時、相続人の一人に胎児がいた場合

相続人の一部が相続廃除された場合

家庭裁判所において特定の相続人について相続廃除を認める審判が下り、審判確定後、相続人廃除に関する届出がなされた場合、法定相続情報一覧図の保管等の再申出ができます。

相続廃除とは、相続権を持っている人を相続人から外す制度です。自分の財産をどうしても渡したくないと考えた場合、家庭裁判所に申し立てをして認められたら、該当者の相続廃除ができます。

相続廃除された人は、その旨が戸籍謄本等に記載されます。

そのため再度法務局に法定相続情報一覧図の保管等の再申出をすることで、相続人の範囲変動後の内容が記載された一覧図の写しの交付を受けられます。

被相続人が遺言で子どもを認知した場合など

法定相続情報一覧図の写しの交付を受けたあとに、次の届出がなされた場合は、一覧図の保管等の再申出を行うことで、相続人の範囲変動後の一覧図の写しの交付を受けられます。

  • 遺言認知の届出がなされた
  • 死後認知請求を認める判決が確定して、認知の届出をした

子どもを認知する旨の遺言書が見つかったら、遺言執行者は就任から10日以内に認知の届け出をしなければいけません。死後認知の訴えが認められたら、判決確定日より10日以内に認知届を提出しなければなりません。この届出によって認知された子どもは相続人の一人として戸籍に記載されます。

一度目の法定相続人情報一覧図の写しの交付を受けたあとに、認知の届出がなされた場合は、再度法務局に法定相続情報一覧図の保管等の再申出ができます。

相続発生時、相続人の一人に胎児がいた場合

法定相続情報一覧図の写しの交付を受けた後に、被相続人が亡くなった時点では胎児だった者が無事に出生した場合、法定相続情報一覧図の保管等の再申出ができます。

胎児が無事に生まれると出生届が提出され、戸籍にその名前が記載されます。胎児が相続開始後に出生した場合は、相続開始時に遡って既に生まれたものとみなされ、相続人となります。

再度法務局に法定相続情報一覧図の保管等の再申出を行えば、出生した子が相続人として記載された一覧図の写しの交付を受けられます。

法定相続情一覧図が使えない場合はどうすればよいか?

法定相続情報一覧図が使えない場合、相続に関わる諸手続きは従来通り相続関係説明図を作成し、戸籍謄本等を一式そろえて提出しなければいけません。

相続関係説明図の作成については、以下を参照にしてください。

出典:「法定相続情報証明制度」について:法務局 (moj.go.jp)

まとめ

2017年5月にスタートした法定相続情報証明制度は、相続に関わる諸手続きが楽になるメリットがあります。A4の用紙1枚で相続人の確認ができるため、従来のように戸籍謄本等の束を何度も出す手間が省けるのは、とても便利です。

ただし、すべての人がこの制度を利用できるわけではありませんし、法定相続情報一覧図の申出をしたあとに相続人の変更があった場合は再提出しなければならないなど、課題はあります。

利用できるかどうか、さらに利用するメリットがあるかどうかを考えて、法定相続情報証明制度の活用を検討するといいかもしれません。

法定相続情報一覧図を利用できないケースでは、相続手続きを弁護士に依頼する方法もあります。弁護士に手続きを依頼すれば、面倒な戸籍の収集や各種相続手続きにかかる手間や時間が省けます。

法定相続情報一覧図を利用できず、相続手続きにお困りの方は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。

コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:東京本店

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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