更新日:2024年8月29日 (木)

公開日:2024年8月29日 (木)

所有者不明土地建物管理制度とは?従来制度との違いや利用方法を解説

所有者不明土地建物管理制度とは?従来制度との違いや利用方法を解説 所有者不明土地建物管理制度とは?従来制度との違いや利用方法を解説

サマリー

人口減少や高齢化、都市部への人口集中などを理由に、所有者が不明な土地や建物が全国的に増えています。

このような土地や建物が増えればさまざまな弊害が出るため、2023年4月に所有者不明土地管理制度および所有者不明建物管理制度(以下、所有者不明土地建物管理制度といいます)が施行されました。

この記事では、本制度が従来の制度と違う点や利用できる要件・流れについて解説します。

所有者不明土地建物管理制度とは?

所有者不明土地建物管理制度の概要と従来の制度の違いについて、以下でそれぞれ解説します。

制度の概要

所有者不明土地建物管理制度は、調査を尽くしても土地・建物の所有者が分からない、所有者が分かっていても所在が分からない場合に、利害関係人が地方裁判所に申し立てることで、土地・建物の管理を行う管理人を選任してもらう制度です。

従来の不在者財産管理人制度や相続財産管理人制度との違い

従来の不在者財産管理人制度相続財産管理人制度との違いとしては、以下の点が挙げられます。

  • 人単位で財産全般を管理しなければならないため非効率で負担が大きい
  • 所有者が全く分からない場合は制度の利用ができない

所有者不明土地建物管理制度は、裁判所が個々の土地・建物について管理人を選任するため、特定の土地・建物に特化して管理を行える点が従来の不在者財産管理人制度や相続財産管理人制度と違う点です。

所有者不明土地建物管理制度が利用できる3つの要件とは?

所有者不明土地建物管理制度では、次の3つの要件を満たした場合に、裁判所が管理命令を発する形で管理人が選任されます。

①所有者が分からない・所有者の所在が分からないこと

調査を尽くしても所有者が分からない、または所有者が分かっても所在が分からないことが必要です。

登記事項証明書を取得し、登記上の所有者の住所を参考に所有者の居所を調べても分からない場合や登記上の所有者がすでに亡くなっており、相続人が特定できないケースが該当します。

②管理が必要であると認められること

所有者不明土地や建物が管理不全の状態に陥っており、管理が必要だと認められる状況であることが必要です。

したがって、所有者が不明でも、第三者が適切に管理している場合などには、管理人による管理の必要はないと考えられることもあり得ます。

③利害関係人が申し立てること

所有者不明土地や建物の存在で迷惑を被っているなどの利害関係人による申立てが必要です。

例えば、所有者不明土地が不法投棄の場所になっているため、隣の住民に迷惑がかかっている、所有者不明建物が老朽化で崩れ落ちそうになっているため、近隣住民の通行の妨げになっているといった事例が挙げられます。

所有者不明土地建物管理制度を利用する流れは?

所有者不明土地建物管理制度を利用するには、どのような流れで続きをするか、以下で解説します。

不動産の所在地を管轄する裁判所に申立てをする

所有者不明土地建物の所在地を管轄する裁判所に、所有者不明土地・建物管理命令の申立てをします。

裁判所が1か月以上の異議申出期間等を定めて公告する

申立てがなされた裁判所は、1か月以上の異議申出期間等を定め、以下の事項を公告します。

  • 申立てがあったこと
  • 管理命令をすることについて、異議があるときは、届出期間満了日までに異議の届出をすること
  • 異議がないときは、管理命令が発せられること
  • 対象となる土地・建物及びその所有者の氏名住所
  • 申立人の氏名住所

裁判所が管理命令を発令し管理人を選任する

異議申出期間等に誰からも申し出がなければ、裁判所は所有者不明土地建物管理命令を発令して、所有者不明土地建物管理人を選任します。

所有者不明土地管理命令および所有者不明土地管理人については、以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。

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管理人が選任されたことが公示される

裁判所書記官が嘱託で登記申請をし、所有者不明土地建物管理人が選任された旨が登記され、公示されます。

所有者不明土地建物管理人が管理・処分する

裁判所から選任された所有者不明土地建物管理人が、土地または建物を適切に管理します。管理人ができる行為は以下のとおりです。

  • 保存行為
  • 土地・建物の性質を変えない範囲でその利用または改良を目的とする行為

裁判所の許可を得て、土地を売却したり建物を取り壊したりするなどの処分行為も可能です。その際に金銭を得たら管理人は供託をして公告しなければなりません。

所有者不明土地建物管理制度に関するQ&A

所有者不明土地建物管理制度に関して、よく寄せられる疑問点と回答を紹介します。

制度を利用するためにはどの程度の調査が必要ですか?

所有者不明土地建物管理制度を利用するためには、少なくとも以下のような調査が必要であると考えられています。

所有者が登記簿上及び住民票上の住所に居住しているかどうかを調査する

所有者またはその所在が分からないと言えるためには、登記簿上及び住民票上の住所に居住しているかどうかを調査する必要があるといわれています。

所有者が法人の場合は、法人の登記簿上の所在地に本店また主たる事務所がないか、代表者が法人の登記簿上及び住民票上の住所に居住していないかを調査する必要があるでしょう。

所有者が死亡している場合は相続人の有無や所在を調査する

登記上の所有者がすでに亡くなっている場合、その相続人の有無や所在を調査しなければいけません。具体的には、所有者の出生から死亡までの戸籍謄本を取得して法定相続人の特定をしたり、住民票等でその所在を調査したりします。

法定相続人が相続放棄をしていないか確認する

法定相続人が特定できたら、相続放棄をしていないか確認をします

法定相続人に対して確認をしてもいいですが、被相続人(登記上の所有者)が亡くなった住所地を管轄する家庭裁判所に照会すれば、相続放棄もしくは限定承認の申述の有無の回答が得られます。

以上の調査を経ても、所有者またはその所在が判明しない、相続人がいないと分かったり、相続人がいたとしても相続放棄をしている事実が分かったりしたら、所有者不明であると認められます。

土地とその土地上の建物のいずれも所有者が不明の場合は双方申立てが必要ですか?

土地とその上に建っている建物のいずれも所有者が不明である場合は、所有者不明土地管理命令と所有者不明建物管理命令の双方を申立てなければいけません

理由としては、土地と建物の所有者が異なる場合、利益相反を防止するために別々の管理人を選任すべきだと考えられるからです。

なお、裁判所によっては、双方を申立てる場合でも申立書を1通にしてもよいとしていますので、事前に裁判所に相談をしてみましょう。

管理命令の取り消し後に再び管理の必要が生じた場合は再度の申立てが必要ですか?

所有者不明土地建物の管理命令が取り消されたあと、再び管理の必要が生じたら、管理命令を取り消した決定の取消しまたは再度所有者不明土地建物の管理命令の申立てをしなければいけません。

例えば、ごみの除去や雑草の伐採等のために発令された管理命令の目的が達せられ、当該命令が取り消された後に、同土地等について、再びごみの除去等をする必要が生じた場合には、再度もの申立てが必要です。

このような事情が生じた場合は、裁判所に相談をしたほうがよいでしょう。

まとめ

所有者不明土地建物管理制度は、社会問題となっている所有者が不明の土地や建物の問題を解決する手段の一つとして注目されています。制度を利用するにあたっては、所有者や所有者が亡くなっている場合は相続人を調査しなければならず、一般の人はハードルが高いと感じることもあるでしょう。

所有者不明土地建物管理制度の利用を考えている人は、ぜひネクスパート法律事務所に相談をしてください。

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コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:東京本店

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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