更新日:2021年8月23日 (月)

公開日:2021年8月23日 (月)

鎖骨骨折で後遺症を負った場合の慰謝料相場・後遺障害等級を解説

鎖骨骨折で後遺症を負った場合の慰謝料相場・後遺障害等級を解説 鎖骨骨折で後遺症を負った場合の慰謝料相場・後遺障害等級を解説

サマリー

自転車やバイクでの交通事故の場合、転倒した衝撃で鎖骨を骨折することも少なくありません。この記事では、鎖骨の骨折による後遺障害の症状や等級、慰謝料の相場、後遺障害認定を受ける際の注意点や弁護士に相談するメリットを解説いたします。

鎖骨骨折による後遺障害(後遺症)

ここでは、後遺障害の意味をご説明した上で、鎖骨骨折がどの後遺障害等級に該当しうるのか、といった点をお伝えします。

 

後遺障害とは

まず、後遺障害と後遺症はほぼ同じ意味で使われることが多いですが、厳密には異なります。

これ以上治療を続けても完治せず、症状が残ってしまうものを「後遺症」とし、大半の方がイメージするのはこちらかと思います。

それに対し「後遺障害」は、後遺症の症状と交通事故の因果関係が認められ、かつ労働能力の喪失(低下)が伴い、その程度が自賠責の等級に当たるものとされています。

後遺障害による慰謝料を請求するには、単に後遺症が残っているだけでなく、「後遺障害」として認定される必要があります。

 

鎖骨骨折による後遺障害の症状と等級について

鎖骨の骨折による後遺障害には大きく分けて3つの種類があります。

  • 肩関節の可動域制限
  • 鎖骨の変形・偽関節
  • 神経症状

それぞれの症状と後遺障害の等級については以下の通りです。

 

肩関節の可動域制限

鎖骨は肩関節と胸骨をつなぐ骨です。そのため、鎖骨の骨折により思うように腕(肩)が上がらなくなってしまうことがあります。これらは機能障害や運動障害とも呼ばれます。

このような症状に関する後遺障害の等級は3つあります。

8級6号 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

「上肢の三大関節」とは、肩・肘・手首の関節のことを指し、「用を廃す」とは次のいずれかに当てはまる場合を言います。

  • 関節が強直(全く動かない)もしくはそれに近い状態にあるもの
  • 関節が完全弛緩性麻痺(筋肉が弛緩して動かせない)もしくはそれに近い状態にあるもの
  • 人工関節等を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側(症状が無い方)の1/2以下に制限されている状態にあるもの

つまり、肩関節が全く動かせない、もしくはそれに近い状態、または人工関節を挿入置換し通常の1/2以下しか動かせない場合が8級6号に該当します。

10級10号 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

「機能に著しい障害を残すもの」とは関節の可動域が健側(症状が無い側の1/2以下の場合、または可動域の制限が無くても人工関節等を挿入置換した場合のことを指し、これに該当する場合は10級10号になります。

12級6号 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

「機能に障害を残すもの」=関節の可動域が健側の可動域の3/4以下に制限されている状態の場合、12級6号に該当します。

 

鎖骨の変形・偽関節

変形障害とも言い、鎖骨は骨折しても癒合(骨がくっつくこと)することが比較的多いのですが、骨折した場所や程度によって変形が残ってしまうことがあります。

また、骨折した部分が完全に癒合せず、関節ではない部分が関節のように動いてしまう「偽関節」といった症状が残る場合もあります。

これらの症状に関する後遺障害等級は次になります。

12級5号 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

「著しい変形」とは裸体になったときに骨の変形が明らかに目で見て確認できる状態のことを言い、これに該当する場合は12級5号となります。

 

神経症状

鎖骨の骨折により、近くを通っている神経が圧迫・損傷された場合、痛みやしびれといった症状が残ることがあります。

神経症状に関する後遺障害は以下の2つになります。

12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

ここでは、神経症状が「頑固な」ものであるかで等級が分かれます。

一般的に、MRIやレントゲン等他覚所見で異常が確認できる等、神経症状が鎖骨の骨折によるものだと医学的に証明できれば12級13号に該当します。

医学的に証明ができなくても、医学的に説明、もしくは推定が可能な場合は14級9号となり得ます。

 

鎖骨骨折による後遺障害の等級と慰謝料の相場

後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料を請求できます。後遺障害慰謝料として算定される金額は、後遺障害の等級と算定基準によって異なりますので、以下それぞれの基準と相場について解説します。

 

慰謝料の基準となる考え方

後遺障害慰謝料の算定基準の考え方として3つの考え方があります。

 

自賠責基準

加入が義務付けられている自賠責保険での基準であり、交通事故被害者に対する最低限の補償という考え方です。そのため、3つの基準のうち、最も低い金額になります。

 

任意保険基準

任意保険会社が示談する際に提示する、任意保険会社独自で定められた基準です。基本的に自賠責基準よりは高額であるものの、弁護士基準よりもかなり金額が低いことが多いです。

 

弁護士基準(裁判基準)

裁判例等を基に考えられた、弁護士が相手方と交渉する際や裁判になったときに用いられる基準です。3つの基準の中で最も高額となる基準ですが、制度として設けられている自賠責基準と違い、あくまでも相場としての性格があるため、実際の金額が基準よりも増減することがあります。

 

後遺障害等級ごとの基準別慰謝料相場

任意保険基準の慰謝料金額は保険会社ごとに異なり、また相場も公開されていることも少ないのですが、自賠責基準と同じか、少し高い金額になります。

後遺障害等級 自賠責基準※ 弁護士基準(裁判基準)
8 331万円 830万円
10 190万円 550万円
12 94万円 290万円
14 32万円 110万円

※2020年4月1日施行の新基準での金額となります。それ以前に発生した交通事故については旧基準が採用されます。

 

このように、自賠責基準と弁護士基準は2倍~3倍近くの差があります。

 

鎖骨骨折で後遺障害認定を受けるための注意点

後遺症が残ってしまった場合でも、必ずしも後遺障害慰謝料を受け取れるわけでなく、後遺障害慰謝料を受け取るには後遺障害等級認定を受ける必要があります。後遺障害等級認定を受けるに当たって、いくつか気を付けるべき点もあります。

 

整形外科での診断・治療をしっかり受ける

鎖骨骨折の場合、骨折の程度によっては折れた骨が近くの神経や血管、肺を傷つけてしまうことがあります。そのため、医師による診断・治療を受ける必要があります。

交通事故による怪我全般に言えることですが、事故直後は痛みをあまり感じなくても、時間をおいてから徐々に痛みが強くなることも少なくありません。時間が経ってから病院に行き、骨折等していたことが判明しても、事故との因果関係がはっきりしないと請求できる慰謝料額が少なくなってしまう可能性があります。交通事故で身体を強く打った、強い衝撃を受けた等があったら出来るだけ早く受診することをおすすめします

さらに、鎖骨骨折の治療期間が長くなると、面倒になって途中で通院を止めてしまう方もいるかもしれません。

しかし、通院を途中で止めてしまうと、後遺症が残ってしまった場合、後遺症の残存が適切な治療を受けなかったことに起因するとされる可能性があるほか、後遺障害認定を申請する際に必要な後遺障害診断書を医師に書いてもらえないということになりかねないので、整形外科での治療をしっかり受けることが重要です。

 

後遺障害が交通事故に起因することを明らかにする

上記でも軽く触れましたが、後遺障害が認められるには、その症状と交通事故の因果関係が医学的に明らかでなければなりません。そのため、レントゲンやMRI等の画像検査が重要となってくるケースも多くなります。

特に、神経症状で12級と認定されるには画像検査等による他覚的所見によって異常が認められることが条件となるため、画像検査が必要となってきます。

 

適切な内容の後遺障害診断書を作成してもらう

後遺障害診断書は後遺障害認定を申請する際に必要な書類です。

接骨院や整骨院の施術者は医師ではないため、後遺障害診断書を作成できないということに注意する必要があります。必ず、症状が固定するまで整形外科等の病院に通院し、医師に後遺障害診断書を作成してもらいましょう。

また、記載されている情報が後遺障害等級の条件を満たすものでなければ、後遺障害認定されません。適切な内容の後遺障害診断書を書いてもらうことも重要です。特に神経症状の場合は画像検査で異常が認められなければ自覚症状による判断になる部分が大きいです。

症状の一貫性・連続性が無ければ「交通事故による後遺障害」として判断されないこともあるため、適切に症状を伝え、その内容を後遺障害診断書に記載してもらう必要があります。

さらに、肩関節の可動域制限がある場合は、可動域(肩が何度まで上がるか)が非常に重要になります。後遺障害等級に該当すると認定してもらうために、医師による可動域検査をしっかり受け、その内容を正確に後遺障害診断書に書いてもらうことが大切です。

 

鎖骨骨折で後遺症が残った方が弁護士に相談するメリット

交通事故により後遺症が残ってしまった方が弁護士に相談するメリットとして以下のことが挙げられます。

 

必要書類の収集・申請手続きの負担を大幅に減らせる

後遺障害等級認定を被害者自身で行うと、必要書類をご自身で揃えなければなりません。大半の方が初めてのことで、そもそも何が必要な書類かを調べるところから始まるかと思います。

交通事故による後遺症を負ってしまった中で、調べる→必要書類の収集→申請手続といった一連のことをご自身で行うのは非常に負担となってしまうでしょう。

弁護士に相談すれば、弁護士が必要書類を集めて(一部ご自身でご用意いただく書類もございます)申請手続きをしてくれるため、大幅に負担を減らすことができます

また、医師の意見書や弁護士の意見書、その他の後遺障害等級認定に比較的有利な資料を用意して申請できることも弁護士に相談するメリットになります。

後遺障害等級認定後であった場合も異議申立による等級変更が可能なこともあり、不服申立をする場合も必要書類を集めなくてはなりません。弁護士に相談していただければ、代わりに必要書類を収集するため、被害者の方の負担を大幅に軽減できます。

 

慰謝料の増額の可能性

後遺障害等級認定を受けた後は加害者側の保険会社との交渉によって受け取れる慰謝料の金額が決まります。直接ご自身で交渉する場合、相手方の保険会社から自賠責基準に近い金額を提示されることも少なくありません。

また、直接相手方の保険会社と交渉すること自体に疲れてしまい、低い金額のまま受け入れてしまうこともあるかもしれません。

それに対し、弁護士は弁護士基準に基づいて相手方の保険会社と交渉します。上記でも述べましたが、自賠責基準と弁護士基準では慰謝料の相場に2倍~3倍近く差があるため、弁護士に依頼するのとしないとでは受け取れる慰謝料額がかなり変わってきます。さらに、交渉自体を弁護士が代理で行うので相手方の保険会社と交渉する煩わしさからも解放されます。

後遺障害の等級によっても慰謝料の基準額が異なります。後遺症として症状はあるのに、後遺障害認定の申請で不足部分があるなどで低い等級になってしまうと、受け取れる慰謝料の金額も変わってしまいます。

このようなことを避けるためにも、適切な後遺障害認定の申請や不服申立によって適正な後遺障害等級の認定を受けることが重要であり、交通事故に強い弁護士にお願いするメリットと言えるでしょう。

 

まとめ

以上のように、ただ後遺症があれば十分な額の慰謝料を受け取ることができるというわけではなく、後遺障害として認定され、相手方の保険会社と慰謝料額を交渉していく必要があります。

さらに、肩の可動域検査や画像検査の資料等、鎖骨骨折自体への知識が必要なケースもあります。

弁護士に相談すれば、代わりに弁護士が後遺障害認定に有利な資料を集め、代理で相手方の保険会社と交渉してくれるため、被害者の方の負担がかなり減ります。

弁護士に相談するデメリットとして挙げられる弁護士費用ですが、ご自身(または同居のご家族)が加入している自動車保険に弁護士特約が付帯されていれば、保険会社が代わりに費用を負担してくれます。

弁護士特約の限度額を超えてしまった場合はご自身で負担していただくことになりますが、多くの保険会社の弁護士費用特約の上限額が300万円であるため、よほどの高額な請求にならない限り弁護士費用がこの額を超えることはほとんどないと考えて良いでしょう。

弁護士特約が利用できない方であっても、弊所の初回無料相談をご利用いただいて、まずは費用・方針を含めた話を弁護士から聞いてから改めて依頼するかを決めるということも可能です。

示談交渉で相手方の保険会社から提示される金額が本来受け取ることができる慰謝料額よりもかなり少ないことは多く、自賠責基準に近い金額だと弁護士基準の2~3倍近く差があります。そのため、弁護士費用よりも増額できた額の方が多くなることも少なくありません。

 

お困りの方は一度、ネクスパート法律事務所の無料相談をご利用してみてはいかがでしょうか。

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