解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、30代の男性です。以前からの知人である既婚女性Bさんと関係を持ち、それがBさんの夫Cさんに知られました。Cさんの代理人弁護士から、慰謝料300万円を求める内容証明が届きます。当事務所は受任後、謝罪の意向とともに相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会し、求償権を放棄する条件で請求額の2割に満たない額を提示しました。相手方は減額に応じつつも高い水準を維持し、当方が求償権放棄を条件に100万円まで引き上げたところ、相手方は求償権の放棄は不要と回答しました。当事務所は、求償権を保持したまま金額の交渉に絞る組み立てに切り替え、数回の応酬を経て130万円・一括で合意。合意書には、不貞の事実の確認、相互の接触禁止、清算条項が置かれ、求償権放棄の条項は置かれていません。Aさんは期限内に振り込んで終結しました。担当は北條さやか弁護士です。
請求300万円に対し、合意額は130万円(約57%減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、300万円の内容証明が届いた
- Aさんは不貞の事実を認めており、争点は金額だった
- Aさんは遠方在住で、来所せずに手続を進める必要があった
本当の課題は3つ
- 前提事実の確認——別居・離婚の有無と、Bさん本人への請求の有無は、慰謝料の水準と交渉の組み立てを左右します。金額の話をする前に確認する必要がありました
- 求償権放棄をどう使うか——Aさんが支払った後にBさんへ負担を求める権利(求償権)の放棄は、相手方ご夫婦にとって利益があり、金額の引き下げと引き換えにできることがあります。ただし、相手方が放棄を不要とすれば、この材料は使えません
- 相手方が放棄不要と回答した後の組み立て——求償権を保持したまま金額の交渉に絞る場合、支払った後にBさんへ求償できる余地が残ります。その前提で、どこまで応じるかを判断する必要がありました
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、求償権放棄を条件に提示する
受任後、当事務所は受任通知を送り、謝罪の意向とともに、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会しました。回答を踏まえ、当事務所は求償権を放棄する条件で請求額の2割に満たない額を提示しました。
(2) 応酬の中で、相手方が「放棄は不要」と回答する
相手方は減額に応じつつも高い水準を維持しました。当事務所は求償権放棄を条件に100万円まで引き上げましたが、相手方は求償権の放棄は不要と回答し、金額を維持しました。求償権放棄を材料にした引き下げは、ここで使えなくなりました。
(3) 求償権を保持したまま、金額の交渉に絞る
当事務所は、求償権を保持したまま金額の交渉に絞る組み立てに切り替えました。Aさんが支払った後にBさんへ求償できる余地が残る前提で、当方の最終提示として請求額の4割程度を示しました。相手方は請求額の半額を示し、双方が歩み寄って130万円で合意に至りました。
(4) 合意書を締結し、一括で支払う
相手方の合意書案には、不貞の事実の確認、相互の接触禁止(同居の親族を含む)、清算条項が置かれ、求償権放棄の条項はありませんでした。双方が記名押印して130万円・一括で締結し、Aさんは期限内に振り込みました。遠方在住のAさんとは、書面と電話のやり取りで手続を進めました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 提示方針と、相手方が求償権放棄を不要とした後の組み立てについて説明を受けて判断
- 合意書の条項の説明を受けて締結し、期限内に一括で振り込み。来所なしで完結
解決結果
ご依頼前、Aさんは300万円の請求を前にしていました。
解決時には、金額は300万円から130万円へ。相手方が求償権の放棄を不要と回答したため、合意書に求償権放棄の条項はなく、Aさんは支払った後にBさんへ求償できる余地を保持しています。合意書には、不貞の事実の確認、相手方とAさんが互いに接触しない相互の条項(同居の親族を含む)、清算条項が置かれています。Aさんは期限内に一括で振り込み、終結しました。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
求償権の放棄は、慰謝料の引き下げと引き換えにできる材料の一つですが、相手方がそれを不要とすることもあります。本件では、相手方が放棄を不要と回答したため、求償権を保持したまま金額の交渉に絞りました。支払った後に不倫相手へ求償できる余地が残る分、金額の受け止め方も変わります。定型の進め方に固執せず、相手方の回答に応じて組み立てを切り替えることが大切です。
この事例に関するよくある質問
Q1. 求償権の放棄とは何ですか?
求償権は、慰謝料を支払った後に、不倫相手へ負担を求める権利です。放棄すれば相手方の配偶者に請求が及ばないため、相手方にとって利益があり、慰謝料の引き下げと引き換えにできることがあります。
Q2. 相手方が「求償権の放棄は不要」と言ってきました。どういう意味ですか?
相手方が、不倫相手への求償を気にしていないという意味です。本事例では、当方が放棄を条件に提示した後に相手方が不要と回答したため、求償権を保持したまま金額の交渉に絞りました。
Q3. 求償権を保持したまま合意した場合、後で不倫相手に請求できますか?
合意書に求償権放棄の条項がなければ、支払った後に不倫相手へ負担を求める余地は残ります。実際に請求するかどうかは、別途の判断になります。
Q4. 遠方に住んでいますが、依頼できますか?
本事例では、遠方在住の依頼者と、来所なしで書面と電話のやり取りで手続を完結しました。