解決結果のサマリー
請求された方の解決事例
約97%の減額(例外的な結末)
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、独身の女性です。出会いの場で知り合った男性Bさんと1年あまり交際していましたが、Bさんが既婚であることは知らされておらず、本人にも周囲にも独身であることを繰り返し確認していました。ある朝、Bさんの妻Cさんが自宅前で待ち伏せし、出勤後に飲食店で数時間にわたって話し合い。CさんはAさんに、既婚と知った上で関係を持ったことを認めて慰謝料300万円を支払う念書への署名を求め、会社にも実家にも言うと迫りました。Aさんは既婚と知らなかったと繰り返し伝え、念書の「既婚者と知った上で」という一文を削除させたうえで、やむなく署名。その後、Cさん本人がAさんとBさんを共同被告として訴訟を提起しました。当事務所は受任後、念書は脅されて署名したものであり、既婚と知らなかったAさんには不法行為の前提となる故意・過失がないとして、念書に基づく債務が存在しないことの確認を求める訴訟を提起。相手方は調査会社の記録などを提出して争いましたが、最終的に和解金10万円での訴訟上の和解が成立しました。これは請求の97%が減額された例外的な結末です。担当は北條さやか弁護士です。
念書の300万円に対し、和解金は10万円。和解条項には、相互の接触禁止と互いの個人情報を明かさない約束、清算条項が置かれ、Aさんは期限内に振り込んで終結しています。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方本人が自宅前で待ち伏せし、数時間の話し合いで念書への署名を迫った
- 会社にも実家にも言うと言われ、署名せざるを得なかった
- 念書には300万円の慰謝料と求償権放棄が記されていた
- Bさんが既婚であることは知らされておらず、周囲にも独身だと確認していた
本当の課題は3つ
- 念書の効力——脅されて署名した念書は、強迫や錯誤などを理由にその効力を争う余地があります。「既婚者と知った上で」の一文をその場で削除させていた事実は、この主張の核になります
- 故意・過失の不存在——不倫の慰謝料は、相手が既婚であることを知っていたか知り得たことが前提です。Aさんが既婚と知らず、知り得なかったのであれば、不法行為は成立しません
- 訴訟をどう組み立てるか——相手方本人が提訴した以上、受け身の答弁だけでなく、念書に基づく債務が存在しないことの確認を求める訴訟を当方から提起し、争点を「念書の効力と故意・過失」に絞る設計が必要でした
Aさんはご相談時に「既婚者と知らなかったということを繰り返し伝え、念書の『既婚者と知った上で』という文言は消してもらいました」「私は、知らなかったのですが、全額支払いでしょうか?」と話されていました。
弁護士の対応
(1) 受任と、相手方本人による提訴
念書への署名の翌々日にご相談を受け、当事務所は受任。相手方本人からは期限までに振り込まなければ法的措置を取るとの連絡があり、その後、Cさん本人がAさんとBさんを共同被告として提訴しました。当事務所は受任通知を送り、以後の連絡を当事務所宛にするよう求めています。
(2) 債務不存在確認の訴訟を当方から提起する
当事務所は、念書に基づく債務が存在しないことの確認を求める訴訟を提起しました。主張の柱は二つです。第一に、念書は自宅前で待ち伏せされ、会社にも実家にも言うと迫られて署名したものであり、強迫・錯誤などを理由にその効力を争えること。第二に、Aさんは既婚と知らず、Bさん本人にも周囲にも独身であることを確認していた以上、不倫の慰謝料の前提となる故意・過失がないこと。念書の「既婚者と知った上で」の一文をAさんがその場で削除させていた事実は、この二つの主張を裏付ける記録として機能しました。Bさん自身も、Aさんに既婚であることを告げていなかったと認める回答をしていました。
(3) 相手方の主張の信用性を崩す
相手方は、調査会社の記録ややり取りの履歴を提出し、Aさんが既婚を知っていたはずだと主張しました。当事務所は準備書面で、事実は認めつつ法的評価だけを争うという方針を徹底し、相手方の主張の信用性を個別に崩す反論を行いました。争点を「念書の効力と故意・過失」に絞ったことで、審理は長引きませんでした。
(4) 訴訟上の和解——和解金10万円
当事務所は、解決金10万円での和解を希望する旨を裁判所に伝え、和解金10万円での訴訟上の和解が成立しました。和解条項は、当初は相手方の一方的な義務として起案されていましたが、裁判所での調整を経て、相互に接触しないこと、互いの個人情報を明かさないことを双方向の義務とする形に整えられました。Aさんは期限内に振り込み、終結しています。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 既婚と知らなかった経緯と、念書の一文を削除させた場面を詳しく共有し、主張の土台に
- 訴訟提起の方針と、争点の絞り方について説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは知らなかったにもかかわらず300万円の念書に署名してしまい、相手方本人から提訴されるという状況にありました。
解決時には、念書の300万円に対し和解金10万円で訴訟上の和解が成立。請求の97%が減額された例外的な結末です。和解条項には、和解金の支払い、相互に自宅への訪問や書面の送付などの接触をしないこと、互いの個人情報を明かさないこと、清算条項が置かれ、Aさんは期限内に振り込んで終結しています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面は、受任後はありませんでした。
- 和解の水準について意向を伝え、和解成立後は期限内に振り込み
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
自宅前で待ち伏せされ、「会社にも実家にも言う」と迫られて念書に署名してしまうご相談があります。脅されて署名した念書は、その効力を争う余地があります。本件では、ご本人が既婚と知らなかったと繰り返し伝え、念書の「既婚者と知った上で」の一文をその場で削除させていたことが、後の訴訟で決定的な記録になりました。相手方の提訴に対しては、債務不存在確認の訴訟を当方から提起し、争点を絞っています。結果は例外的なものですが、署名の場で何を残すかが、その後を左右することはお伝えしておきたいと思います。
この事例に関するよくある質問
Q1. 相手の妻に迫られて念書に署名してしまいました。念書のとおり払わなければなりませんか?
脅されて署名した念書は、強迫や錯誤などを理由にその効力を争う余地があります。本事例では、待ち伏せと「会社にも実家にも言う」という言葉の下で署名した経緯と、既婚と知らなかった事実を主張し、300万円の念書に対し和解金10万円で終結しました。ただし、これは例外的な結末で、結果は事案によって異なります。
Q2. 相手が既婚だと知りませんでした。それでも慰謝料を払うのですか?
不倫の慰謝料は、相手が既婚であることを知っていたか知り得たことが前提です。本当に知らず、知り得なかったのであれば、不法行為は成立しないと主張できます。本事例では、本人にも周囲にも独身であることを確認していた事実と、念書の一文を削除させていた記録が、この主張を裏付けました。
Q3. 相手から訴えられました。こちらから訴えることもできますか?
できます。本事例では、相手方本人の提訴に対し、念書に基づく債務が存在しないことの確認を求める訴訟を当方から提起し、争点を「念書の効力と故意・過失」に絞りました。
Q4. 念書に署名するとき、気をつけることはありますか?
事実と異なる文言には署名しないこと、削除を求めた事実を残すことです。本事例では、「既婚者と知った上で」の一文をその場で削除させていたことが、後の訴訟で決定的な記録になりました。ただし、署名を迫られる場面では、その場で応じずに持ち帰ることが最善です。