解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、女性です。既婚男性Bさんとの関係について、Bさんの妻Cさんの弁護士から内容証明が届きましたが対応できないまま、Cさんは慰謝料385万円(慰謝料と弁護士費用相当額)を求める訴訟を提起。訴訟の途中で、発覚後の当事者間の出来事を新たな根拠として、請求は440万円に拡張されました。当事務所は答弁書で、不貞の事実は認めつつ悪質性に関する主張を争い、和解による解決を希望して分割の和解案を示しました。しかし当事者間では金額が詰まらず、当事務所は民事訴訟法上の「裁判所等が定める和解条項」(いわゆる裁定和解)を申し立て。裁判所が和解条項を定め、解決金350万円のうち210万円を月々の分割で完済すれば、残額140万円が免除されるという完済免除型の和解が成立しました。担当は北條さやか弁護士です。
拡張後の請求440万円に対し、実質的な支払額は210万円(約48%)。分割は現在も続いており、Aさんは無理のない範囲で履行を続けています。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 内容証明に対応できないまま、訴訟を起こされてしまった
- 訴訟の途中で請求が440万円に拡張された
- 不貞の事実自体は争えないが、悪質だとする主張には納得できなかった
- 転職直後で経済的に余裕がなく、まとまった額は到底払えなかった
本当の課題は3つ
- 事実は認めつつ、悪質性の評価を争うこと——不貞の事実は認めざるを得ない一方、相手方が主張する悪質性については争う余地がありました。認める部分と争う部分を切り分ける必要がありました
- 支払能力に見合う和解の設計——経済的に厳しい中で、現実に払い切れる分割の形を確保する必要がありました
- 金額が詰まらない場合の出口——当事者間で金額の隔たりが埋まらないとき、判決まで争う以外の出口があるかが、本件の鍵でした
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 訴訟を起こされた段階で相談・依頼し、以後の相手方対応・裁判所対応はすべて事務所と連携
弁護士の対応
(1) 認める部分と争う部分を切り分ける
受任後、当事務所は答弁書で、不貞の事実は認めて反省の意を示す一方、相手方が主張する悪質性については争いました。事実を認めることと、その評価をすべて受け入れることは別問題です。あわせて、発覚後の当事者間の出来事についても、経緯を整理して反論しました。
(2) 支払能力に合わせた分割の和解案を示す
Aさんは転職直後で経済的に余裕がなく、まとまった額は払えない状況でした。当事務所は準備書面で、支払能力に見合う額を分割で支払う和解案を示し、和解による解決を求めました。
(3) 金額が詰まらず、裁定和解を申し立てる
しかし、当事者間では金額の隔たりが埋まりませんでした。判決まで争えば時間もリスクもかかります。当事務所はここで、民事訴訟法上の「裁判所等が定める和解条項」(裁定和解)を申し立てました。これは、当事者双方が裁判所に和解条項を定めてもらうことを申し立て、裁判所が定めた条項によって和解を成立させる手続です。当事者間で金額が詰まらない局面での、判決以外の出口といえます。
(4) 裁判所の定めた完済免除型の条項で終結
裁判所は、名目350万円のうち210万円を月々の分割で支払い、完済すれば残額を免除するという和解条項を定めました。支払いが一定回数滞れば免除が失われる担保の構造を伴いますが、Aさんの支払能力に合わせた月々少額・数年の分割です。当事務所はこの条項の意味と、期限どおり払い続けることの重みをAさんに説明し、和解が成立しました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 関係の経緯と、発覚後の出来事、経済状況を率直に共有し、主張と和解案の土台に
- 裁定和解の仕組みと、判決まで争った場合との違いについて説明を受けて方針を確認
- 裁判所が定めた条項(完済免除と、滞った場合の帰結)の説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは訴訟を起こされ、請求が440万円に拡張される中で、払えない額に追い詰められていました。
解決時には、裁判所が定めた和解条項により、名目350万円のうち210万円を月々の分割で完済すれば、残額140万円が免除されるという完済免除型の和解が成立。実質的な負担は拡張後の請求の半分以下に抑えられ、分割はAさんの支払能力に合わせて数年にわたる月々少額の設計です。和解条項には、相手方およびその親族との接触に関する取り決めと清算条項が含まれ、訴訟は終結しました。分割は現在も続いており、Aさんは無理のない範囲で履行を続けています。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
訴訟になっても、必ず判決まで争わなければならないわけではありません。当事者間で金額が詰まらないとき、裁判所に和解条項を定めてもらう「裁定和解」という出口があります。本件では、不貞の事実は認めつつ悪質性を争い、支払能力に合わせた分割を求めたうえで、裁定和解によって完済免除型の和解に至りました。訴訟中は相手方への直接の接触を一切控えることも、和解に向けて大切な姿勢です。訴訟を起こされて途方に暮れている方も、まずご相談ください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 訴訟を起こされました。判決まで争うしかないのでしょうか?
訴訟の途中で和解することは一般的で、当事者間で金額が詰まらない場合には、裁判所に和解条項を定めてもらう「裁定和解」という手続もあります。本事例では、この手続によって完済免除型の和解が成立し、判決に至らず終結しました。
Q2. 「完済免除型」の和解とは、どういうものですか?
和解条項上は一定の額の支払義務を認めたうえで、その一部を期限どおりに完済すれば残額が免除される、という形です。実質的な負担は下がりますが、支払いが一定回数滞れば免除が失われる設計になっていることが多く、期限どおりに払い続けることが条件になります。本事例でも、この点を十分に説明したうえで和解しました。
Q3. 不貞の事実は認めています。それでも争える点はありますか?
事実を認めることと、相手方が主張する悪質性などの評価をすべて受け入れることは別問題です。本事例では、不貞の事実は認めつつ、悪質性に関する主張は争い、あわせて支払能力に合わせた分割を求めました。
Q4. 訴訟の途中で請求額が増えることはありますか?
訴訟の途中で、新たな事情を根拠に請求が拡張されることはあります。本事例でも、発覚後の当事者間の出来事を根拠に請求が拡張されました。発覚後は相手方への直接の接触を一切控えることが、こうしたリスクを避けるうえで大切です。