解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、男性です。知り合った女性Bさんと関係を持ち、その後、Bさんの夫Cさんに関係が知られました。Cさんは本人でAさんに電話をかけ、関係のある人には全部話す、職場に知らせるなどと告げたうえで、住所と電話番号を聞き出し、慰謝料200万円を支払えば終わりにする、やり取りの記録や動画などを第三者に公開しないことも条件にすると求めてきました。相手方に弁護士は付いていません。Aさんは、毎日職場に知らされるのではないかと怯え、弁護士に頼むこと自体が相手方を刺激するのではないかと不安を抱えたままご相談に至りました。当事務所は受任後、相手方本人との窓口となって協議し、60万円・一括で合意。合意書は当事務所が起案し、謝罪と再発防止の約束、慰謝料の一括払い、Bさんに対する求償権の放棄に加え、相手方とその勤務先への連絡を含む迷惑行為や不利益な言動を互いに行わないという相互の条項と清算条項を置き、相手方本人に郵送で署名・返送してもらって締結しました。担当は北條さやか弁護士です。
電話で求められた200万円に対し、合意額は60万円(7割減)。受任から締結まで数か月で、Aさんが相手方本人と直接やり取りする場面は、受任後はありませんでした。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方本人から電話で、職場に知らせるなどと告げられたうえで200万円を求められた
- 相手方に弁護士は付いておらず、本人と直接向き合わなければならない状態だった
- 住所と電話番号を聞き出されており、いつ連絡が来るか分からなかった
- 弁護士に頼むことで相手方を刺激するのではないかと不安だった
本当の課題は3つ
- 本人同士のやり取りを止める——相手方本人が直接電話をかけ、職場への通報をほのめかす状況では、Aさんは怯えたまま判断を迫られます。まず窓口を代理人に移し、Aさん本人への連絡を止めることが出発点でした
- 職場への連絡を条項で防ぐ——金額の合意だけでは、相手方が職場に連絡してくる不安は残ります。合意書に、勤務先への連絡を含む迷惑行為を行わない旨を明記し、しかも相互の義務とすることで、相手方にも同じ制約を受け入れてもらう必要がありました
- 弁護士のいない相手方との締結——相手方に代理人がいない場合、合意書は当方で起案し、本人に理解してもらったうえで署名してもらう必要があります。対面せず、郵送だけで完結させる段取りが必要でした
Aさんはご相談時に「お金もとてもじゃ払えないので減額をできないか相談したいです」「関係しているところは全部言うと言われたので、毎日怖くて仕事行くのもバラされるのではないかと精神的にしんどいです」「弁護士にお願いをしたいというのはあるが、逆鱗に触れてしまうのではないかということがある」と話されていました。
弁護士の対応
(1) 受任し、相手方本人との窓口になる
当事務所は受任後、相手方本人に受任を通知し、以後の連絡は当事務所宛にするよう求めました。相手方本人がAさんに電話をかけてくる状況は、この時点で止まっています。Aさんが心配していた「弁護士に頼むことで相手方を刺激する」という事態は起きませんでした。
(2) 金額を協議する
当事務所は相手方本人と協議を重ね、相手方ご夫婦が婚姻を継続していることなどを踏まえて、60万円・一括で合意しました。Aさんが支払った後にBさんへ負担を求める求償権については、相手方ご夫婦の家計から支出されることになる以上、放棄する方向で整理しています。
(3) 迷惑行為の禁止を相互の条項にする
相手方に代理人がいないため、合意書は当事務所が起案しました。金額と求償権放棄に加えて、当事務所が重視したのは、相手方がAさんの職場に連絡してくる不安を条項で手当てすることです。相手方またはその勤務先に連絡するなどの迷惑行為や不利益な言動を行わないという条項を、Aさんの側だけでなく相手方の側にも課す相互の義務として置きました。Aさんが受けた「職場に知らせる」という言葉を、条項で封じる設計です。
(4) 郵送だけで締結する
最終案が固まった段階で、当事務所は合意書2通と返送用の封筒を相手方本人に送り、署名・押印して返送してもらう形で締結しました。相手方と対面する場面はなく、Aさんは期限内に相手方の口座へ一括で振り込んで終結しています。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 相手方から告げられた内容を共有し、条項で手当てする方針を確認
解決結果
ご依頼前、Aさんは相手方本人からの電話と職場への通報の不安を前に、弁護士に頼むことすらためらっていました。
解決時には、金額は200万円から60万円へ。合意書は当方で起案し、謝罪と再発防止の約束、慰謝料の一括払い、Bさんに対する求償権の放棄、相手方とその勤務先への連絡を含む迷惑行為や不利益な言動を互いに行わないという相互の条項、清算条項を置きました。Aさんは期限内に相手方の口座へ振り込み、終結しています。受任後、相手方本人がAさんに直接連絡する場面はなくなり、職場への通報も記録上ありません。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方本人から「職場に知らせる」と告げられ、弁護士に頼むこと自体が相手方を刺激するのではないかとためらう方がいます。しかし、代理人が付けば、以後のやり取りは代理人を通して行われ、本人への直接の連絡は原則として止まります。本件では、金額の合意に加えて、勤務先への連絡を含む迷惑行為を互いに行わないという条項を置き、職場への通報の不安を条項で手当てしました。怯えたまま本人と向き合い続けるより、まずご相談ください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 相手から「職場に知らせる」と言われています。弁護士に頼むと、かえって刺激しませんか?
代理人が付けば、以後のやり取りは代理人を通して行われ、本人への直接の連絡は原則として止まります。本事例でも、受任通知の後に相手方が依頼者や職場に連絡してくることはなく、200万円の請求が60万円での合意となりました。
Q2. 職場に連絡されないように、合意書で約束させることはできますか?
できます。本事例では、相手方またはその勤務先に連絡するなどの迷惑行為や不利益な言動を行わないという条項を、相互の義務として置きました。ただし、条項があっても相手方の行動を完全に保証するものではありませんので、違反があれば代理人にご相談ください。
Q3. 相手方に弁護士が付いていません。合意書は誰が作りますか?
当事務所が起案し、内容を相手方本人に理解してもらったうえで、署名・返送してもらう形で締結します。本事例では、合意書2通と返送用の封筒を送り、対面せずに郵送だけで締結しました。
Q4. 求償権を放棄すると、何が変わりますか?
求償権は、あなたが支払った後に不倫相手へ負担を求める権利です。相手方ご夫婦が婚姻を継続している場合、不倫相手に求償しても結局は相手方の家計から支出されることになるため、放棄を前提に金額を整理することがあります。本事例もその形で合意しました。