解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、遠方に住む女性です。仕事を通じて知り合った既婚男性Bさんとの関係について、Bさんの妻Cさんの代理人弁護士から、慰謝料300万円を求める受任通知が届きました。当事務所は受任後、謝罪の意向を伝えるとともに相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会。相手方は、別居も離婚もしておらずBさんへの請求もないと回答する一方、関係の期間や態様を挙げて悪質性を主張し、根拠を示さずにAさんの私生活に関わる事柄まで主張してきました。当事務所は、その主張には客観的な証拠を示すよう求め、根拠なく主張を続ければ名誉を害する行為にあたり得ると指摘したうえで、求償権を放棄する条件で請求額の2割に満たない額を提示。相手方は請求額の3分の1を示し、以後、当方はわずかに上乗せした額を上限として据え置き、相手方が段階的に下げてきて、最終的に当方の上限額である60万円・求償権放棄で合意しました。合意書では、AさんとBさんに仕事上の接点が続くことを踏まえ、接触禁止に「業務上必要かつ相当な場合を除き」という例外を置き、会社の指示による連絡や大人数の会議の扱いについても書面で確認して締結しています。担当は北條さやか弁護士です。
請求300万円に対し、合意額は60万円(8割減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面と電話で進み、訴訟にはなっていません。Aさんは遠方に住んだまま、事務所に出向くことなく解決に至りました。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、300万円の受任通知が届いた
- 相手方は関係の期間や態様を挙げて悪質性を強調していた
- 相手方は根拠を示さずに、Aさんの私生活に関わる事柄まで主張してきた
- 遠方に住んでおり、東京の事務所に依頼した理由まで相手方から問われた
本当の課題は3つ
- 根拠のない主張をどう扱うか——相手方が根拠を示さずに依頼者の私生活に関わる主張をしてくる場合、それを放置すれば交渉の前提として独り歩きします。証拠を求め、根拠なく主張を続けることの問題を指摘する必要がありました
- 提示額を据え置く設計——相手方が段階的に金額を下げてくる中で、こちらも刻んで応じれば落としどころが相手方のペースで決まります。当方の上限を早期に示し、動かさない設計が必要でした
- 仕事上の接点が続く前提の接触禁止——AさんとBさんは今後も仕事上の接点が続く関係でした。一律の接触禁止は現実に守れず、違約金付きであればなおさら、例外の範囲を明確にしておく必要がありました
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、根拠のない主張には証拠を求める
受任後、当事務所は謝罪の意向を伝えるとともに、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会しました。相手方は、別居も離婚もしておらずBさんへの請求もないと回答する一方、悪質性を主張し、根拠を示さずにAさんの私生活に関わる事柄まで書面に記してきました。当事務所は、その主張には客観的な証拠を示すよう求め、根拠なく主張を続ければ名誉を害する行為にあたり得ると指摘しました。以後の相手方の書面から、この主張は姿を消しています。あわせて、遠方在住のAさんが東京の事務所に依頼した理由を相手方が問うてきたことについては、回答の必要はなく、当事務所は全国から依頼を受けている旨を伝えました。
(2) 求償権放棄を条件に提示し、上限を早期に示す
当事務所は、別居も離婚もしていない事案として、求償権を放棄する条件で請求額の2割に満たない額を提示しました。相手方は請求額の3分の1であれば協議に応じるとしたため、当事務所は、反省の意思を示す趣旨で相場を上回る額として60万円を提示し、これを上限としました。
(3) 相手方が段階的に下げる間も、据え置く
相手方は3分の1の額を維持し、訴訟になった場合の費用やBさんからの回収の可能性を考慮するよう求めてきましたが、当事務所は、求償権を放棄する条件であれば60万円を超える額には応じられないとして据え置きました。相手方はその後、電話で60万円をやや上回る額を打診し、続いて書面で、依頼者と協議のうえ60万円・求償権放棄で応じる旨を回答。合意書案の金額を修正して送付してきました。
(4) 接触禁止の例外と運用を書面で確認して締結
相手方の合意書案には、Bさんとの接触禁止と違反時の違約金が置かれていました。当事務所は、AさんとBさんに仕事上の接点が続くことを踏まえ、「業務上の接触を除き」という例外の追記を要請。相手方は「業務上必要かつ相当な場合を除き」と追記したうえで、部署が異なる以上連絡は不要であるとの見解を示しました。当事務所は、会社の指示でBさんに相談や連絡を求められる場合もあり得ると説明し、相手方は、Bさん以外に相談を切り替えられる場合は例外にあたらないこと、大人数のウェブ会議やメーリングリストは例外にあたることを書面で示しました。当事務所は、日常的な業務連絡も私的な接触の意図もないことを念のため伝えたうえで締結。Aさんは期限内に一括で振り込みました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 相手方の主張のうち事実と異なる点を共有し、証拠を求める方針を確認
- 提示額と上限の方針について説明を受け、据え置く判断を確認
解決結果
ご依頼前、Aさんは300万円の請求と、根拠のない主張を含む相手方の書面を前に、遠方から対応の見通しが立たない状態でした。
解決時には、金額は300万円から60万円へ。当方が上限として示した額を据え置いたまま、相手方が段階的に下げてきて合意に至りました。合意書には、不貞の事実の確認、慰謝料の一括払い、求償権の放棄とBさんから経済的な利益を受けないことの約束、業務上必要かつ相当な場合を除く接触禁止と違反時の違約金、清算条項が置かれています。接触禁止の運用については、会社の指示があってもBさん以外に相談を切り替えられる場合は例外にあたらないこと、大人数のウェブ会議やメーリングリストは例外にあたることを、相手方が書面で示しました。Aさんは期限内に振り込み、終結しています。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方が根拠を示さずに、ご依頼者の私生活に関わる主張を書面に記してくることがあります。放置すれば、それが交渉の前提として独り歩きします。本件では、客観的な証拠を求め、根拠なく主張を続けることの問題を指摘したところ、以後の書面からその主張は消えました。金額については、上限を早期に示して据え置き、相手方が段階的に下げてきて当方の上限で合意しています。仕事上の接点が続く相手との接触禁止は、例外の範囲と運用まで書面で確認してから締結することが大切です。
この事例に関するよくある質問
Q1. 相手方の弁護士が、根拠のない私生活の話まで書面に書いてきます。どうすればよいですか?
客観的な証拠を示すよう求め、根拠なく主張を続けることの問題を指摘することができます。本事例では、その対応の後、相手方の書面からその主張は消えました。放置せず、代理人を通じて対応することをお勧めします。
Q2. 遠方に住んでいます。東京の事務所に依頼しても不利になりませんか?
不利にはなりません。本事例では、相手方から東京の事務所に依頼した理由を問われましたが、回答の必要はなく、当事務所は全国から依頼を受けている旨を伝えて交渉を進めました。依頼者は事務所に出向くことなく、300万円の請求が60万円での合意となりました。
Q3. 不倫相手と仕事上の接点が続きます。違約金付きの接触禁止条項は守れますか?
例外の範囲を明確にしておく必要があります。本事例では「業務上必要かつ相当な場合を除き」という例外を置き、会社の指示による連絡や大人数の会議の扱いまで、相手方の見解を書面で確認してから締結しました。
Q4. 相手が少しずつ金額を下げてきます。こちらも応じるべきですか?
事案によりますが、刻んで応じると落としどころが相手方のペースで決まりやすくなります。本事例では、上限を早期に示して据え置き、相手方が段階的に下げてきて当方の上限で合意しました。