解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、独身の女性です。既婚男性Bさんとの関係について、Bさんの妻Cさんの代理人弁護士から、Aさんの勤務先宛に慰謝料300万円を求める書面が届きました。回答期限は1週間で、応じなければ訴訟を提起するとされていました。当事務所は受任の翌日に受任通知を送り、謝罪の意向とともに相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会。別居も離婚もしておらず、Bさんへの請求もないとの回答を踏まえ、求償権を放棄する条件で50万円を提示しました。相手方は、婚姻期間の長さや関係の期間を挙げて100万円を超える額を示すとともに、Bさんに関する私物の処分、直筆の謝罪文、接触禁止と違反時の違約金を条件として求めてきました。当事務所は、金銭以外の条件はすべて受け入れる旨を早期に伝えて争点を金額に絞り、別居・離婚に至っていない事案では求償権を放棄しなくても100万円程度が水準であることを書面で示して、求償権放棄を条件に60万円を提示。相手方は90万円を示し、電話での協議を経て70万円・求償権放棄で合意しました。担当は北條さやか弁護士です。
請求300万円に対し、合意額は70万円(約77%減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面と電話で進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、300万円の請求書が勤務先宛に届いた
- 回答期限は1週間で、訴訟の予告があった
- 一括では払えず、減額と分割を希望していた
- 相手方は金銭以外の条件(謝罪文・私物の処分・接触禁止)も求めてきた
本当の課題は3つ
- 金銭以外の条件をどう扱うか——相手方が求める謝罪文や私物の処分、接触禁止は、Aさんにとって受け入れられる範囲のものでした。これらを争えば交渉は長引きます。早期に受け入れて、争点を金額に絞る判断が必要でした
- 水準の根拠——別居・離婚に至っていない事案の慰謝料には、裁判例上の一定の水準があります。求償権の有無と組み合わせて、根拠のある提示をする必要がありました
- 接触禁止条項の運用——違約金付きの接触禁止条項は、偶然の遭遇まで違反とされれば依頼者の日常を脅かします。条項の運用について、相手方の考えを書面で確認しておく必要がありました
Aさんはご相談時に「不倫慰謝料の減額と分割払いの依頼をお願いしたいです」「自分たちが間違えたことはわかっている」と話されていました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 勤務先に請求書が届いた後、Webフォームから相談し、依頼
弁護士の対応
(1) 翌日に受任通知を送り、前提事実を照会する
受任の翌日、当事務所は受任通知を送り、1週間の期限を無力化しました。続けて、謝罪の意向を伝えるとともに、相手方ご夫婦が別居や離婚に至っているか、Bさん本人に慰謝料を請求しているかを照会。相手方からは、別居はしておらず、Bさんへの請求もないとの回答がありました。
(2) 求償権放棄を条件に提示し、相手方が金銭以外の条件を示す
回答を踏まえ、当事務所は求償権を放棄する条件で50万円を提示しました。相手方は、婚姻期間の長さや関係の期間を挙げて100万円を超える額を示すとともに、Bさんから贈られた物を含む私物の処分、直筆の謝罪文、業務上必要な場合を除く接触禁止と故意に違反した場合の違約金を条件として求めてきました。
(3) 金銭以外の条件を受け入れ、水準を示す
当事務所は、相手方が主張した事実関係のうち事実と異なる点は否認したうえで、別居・離婚に至っていない事案では、求償権を放棄しなくても100万円程度が水準であることを書面で示し、求償権を放棄するなら60万円を提示。あわせて、私物は既に処分済みであること、接触禁止には応じること、謝罪文は金額次第で用意することを伝えました。相手方は、私物の処分と直筆の謝罪文、違約金付きの接触禁止は必須としつつ、90万円を示し、違約金の対象は故意の違反に限られ、偶然の遭遇で直ちに離れれば対象外であることを書面で明言しました。
(4) 電話での協議を経て70万円で締結
当事務所は電話での協議を経て、金銭以外の条件はすべて応諾したうえで、求償権を放棄して70万円を提示。相手方はこれを受け入れて合意書案を送付し、当方が応諾して締結に至りました。Aさんは期限内に一括で振り込み、締結後に直筆の謝罪文を当事務所経由で相手方代理人に提出して終結しています。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 照会の結果と提示方針について説明を受け、金額を確認
解決結果
ご依頼前、Aさんは勤務先に届いた300万円の請求と1週間の期限を前に、対応の見通しが立たない状態でした。
解決時には、金額は300万円から70万円へ。求償権を放棄する条件と引き換えに、当方の提示額に近い水準で合意しました。合意書には、不貞の事実の確認と今後関係を持たない約束、慰謝料の一括払い、求償権の放棄、謝罪文の提出、Bさんに関する私物の処分、Bさんへの接触禁止と故意に違反した場合の違約金、相手方とAさんが互いに接触しない取り決め、清算条項が置かれています。接触禁止の違約金については、故意の違反のみが対象であり、偶然の遭遇で直ちに離れれば対象外であることを、相手方が書面で明言しました。Aさんは期限内に振り込み、直筆の謝罪文を提出して終結しています。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方が、金額に加えて謝罪文や私物の処分、接触禁止といった条件を求めてくることがあります。これらがご本人にとって受け入れられる範囲であれば、早期に受け入れて争点を金額に絞る方が、結果として負担は小さくなります。本件では、別居・離婚に至っていない事案の水準を書面で示し、求償権放棄を交換材料に70万円で合意しました。違約金付きの接触禁止については、故意の違反に限られることを相手方に書面で明言させています。条項の運用まで確認してから締結することが大切です。
この事例に関するよくある質問
Q1. 勤務先に慰謝料の請求書が届きました。会社に知られませんか?
親展の郵便であれば中身は本人しか見られませんが、勤務先宛の郵便自体が圧力になることはあります。代理人が付けば、以後の連絡は原則として代理人宛になります。本事例でも、受任通知の後は事務所が窓口になり、300万円の請求が70万円での合意となりました。
Q2. 謝罪文や私物の処分を求められています。応じるべきですか?
ご本人にとって受け入れられる範囲であれば、早期に応じて争点を金額に絞る方が、交渉は前に進みます。本事例では、私物の処分と直筆の謝罪文、接触禁止を早期に受け入れ、金額の交渉に集中しました。
Q3. 接触禁止に違約金が付いています。偶然会ってしまったらどうなりますか?
条項の運用は確認が必要です。本事例では、違約金の対象は故意の違反に限られ、偶然の遭遇で直ちに離れれば対象外であることを、相手方が書面で明言しました。締結前に、このような運用の確認を代理人を通じて行うことをお勧めします。
Q4. 別居も離婚もしていない相手方夫婦です。慰謝料の水準はどのくらいですか?
別居・離婚に至っていない事案には、裁判例上の一定の水準があります。本事例では、求償権を放棄しなくても100万円程度が水準であることを書面で示し、求償権放棄を条件に70万円で合意しました。具体的な見立ては初回相談でお伝えできます。