解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、女性です。既に離婚が成立していた元夫のCさんから、婚姻中のBさんとの関係を理由に、Cさんの代理人弁護士を通じて慰謝料500万円を求める書面が届きました。不倫相手のBさんは、既にCさんに相当額を支払っていました。当事務所は受任後、不倫の慰謝料は不倫の当事者2人が連帯して負う性質の債務であり、Bさんの既払い分は控除されるべきこと、そして、離婚の際にAさんが慰謝料的な要素を含む条件を既に受け入れていたことを根拠に、請求額の1割に満たない額から交渉を始めました。相手方は、金額を引き上げる事情を挙げて請求額の6割を示し、以後、当方が請求額の1割台、相手方が3割と段階的に応酬。当事務所は、Aさんが用意できる最大の額として100万円を、訴訟外の和解に限る最終回答として示し、相手方はこれを受け入れて合意書案を作成しました。担当は北條さやか弁護士です。
請求500万円に対し、合意額は100万円(5分の1)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面と電話で進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 既に離婚した元夫の弁護士から、500万円の請求が届いた
- 不倫相手のBさんは、既に元夫に相当額を支払っていた
- 離婚の際には、Aさんが一定の条件を受け入れて取り決めをしていた
- 相手方は、金額を引き上げる事情をいくつも挙げていた
本当の課題は3つ
- 既払い分の控除——不倫の慰謝料は、不倫の当事者2人が連帯して負う性質の債務です。Bさんが既に支払った分は、Aさんが負う額から控除されるべきものです。この構造を交渉の出発点に据える必要がありました
- 離婚の際の条件をどう位置づけるか——離婚の際にAさんが受け入れた条件には、慰謝料的な要素が含まれていました。これを本件の慰謝料の算定に反映させる主張が必要でした
- 相手方の増額主張への対応——相手方は、金額を引き上げる事情をいくつも挙げていました。一つひとつに事実関係で反論しつつ、金額の交渉を前に進める必要がありました
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 既払い分の控除と、離婚の際の条件を根拠に提示する
受任後、当事務所は、不倫の慰謝料は不倫の当事者2人が連帯して負う債務であり、Bさんが既に支払った分は控除されるべきこと、そして、離婚の際にAさんが慰謝料的な要素を含む条件を既に受け入れていたことを書面で示し、請求額の1割に満たない額を提示しました。相手方は、金額を引き上げる事情をいくつも挙げて、既払い分や離婚の際の条件を考慮しても請求額の6割を下回らないと反論しました。
(2) 増額主張に事実関係で反論する
当事務所は、相手方が挙げた事情のそれぞれについて、当時の経緯や双方の認識を示して反論し、裁判例に照らしても相手方の主張する水準にはならないと考えられることを述べたうえで、早期解決のため請求額の1割台を提示しました。相手方はこれを拒み、請求額の3割を示しました。
(3) 訴訟外に限った最終回答で100万円を示す
当事務所は、Aさんが用意できる最大の額として100万円を、これが最終回答であり、訴訟外での和解に限るとの条件を付して示しました。訴訟に移行すれば、この提示は前提から外れることを明確にした形です。相手方はこれを受け入れ、100万円の合意書案を作成して送付してきました。
(4) 合意書を確認して締結
相手方の合意書案には、謝罪、慰謝料100万円の一括払い、清算条項が置かれていました。当事務所は条項を確認してAさんに説明し、応諾。双方が記名押印して締結し、Aさんは期限内に一括で振り込んで終結しました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 不倫相手の支払いと離婚の際の取り決めについて事実を整理して共有し、主張の土台に
- 相手方の増額主張への反論方針について説明を受けて確認
- 用意できる最大の額を率直に伝え、最終回答の条件について説明を受けて判断。締結後は期限内に振り込み
解決結果
ご依頼前、Aさんは離婚が済んだ後に届いた500万円の請求を前に、既に不倫相手が支払っている分がどう扱われるのかも分からない状態でした。
解決時には、金額は500万円から100万円へ。不倫相手の既払い分の控除と、離婚の際の条件を根拠に交渉し、訴訟外の和解に限るとの条件を付した最終回答で合意しました。合意書には、謝罪、慰謝料の一括払い、清算条項が置かれ、Aさんは期限内に振り込んで終結しています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
離婚が済んだ後に、元配偶者から不倫を理由に慰謝料を請求されるご相談があります。このとき、不倫相手が既に支払っている分と、離婚の際に受け入れた条件は、どちらも金額の算定に関わります。本件では、既払い分の控除と離婚の際の条件を根拠に交渉し、最後は訴訟外に限った最終回答として金額を示しました。「これ以上は訴訟で」という線を明確にすることが、相手方に判断を迫る材料になります。
この事例に関するよくある質問
Q1. 離婚した元配偶者から、今になって慰謝料を請求されました。払う必要がありますか?
離婚後でも、婚姻中の不倫を理由とする慰謝料の請求は、法律上の期間内であれば可能です。ただし、不倫相手が既に支払っている分や、離婚の際に受け入れた条件は、金額の算定に関わります。本事例では、これらを根拠に交渉し、500万円の請求が100万円での合意となりました。
Q2. 不倫相手が既に元夫に慰謝料を払っています。私の分は減りますか?
不倫の慰謝料は、不倫の当事者2人が連帯して負う性質の債務です。不倫相手が既に支払った分は、あなたが負う額から控除されるべきものです。本事例でも、この構造を交渉の出発点に据えました。
Q3. 離婚のときに条件を受け入れました。それは考慮されますか?
離婚の際に受け入れた条件に慰謝料的な要素が含まれていれば、本件の慰謝料の算定に反映させる主張ができます。本事例では、この点を根拠の一つとして交渉しました。ただし、どこまで考慮されるかは事案によります。
Q4. 「訴訟外の和解に限る最終回答」とは、どういう意味ですか?
訴訟に移行すれば、その提示は前提から外れるという条件を付した回答です。相手方に対して、この額で訴訟外で解決するか、訴訟で争うかの判断を迫る意味があります。本事例では、この条件を付した100万円の提示を相手方が受け入れました。